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III. 調査結果

3) 研究開発・勤務先選定・発明に関する意識

「研究開発・勤務先選定・発明に関する意識」に関して、【研究開発に取り組む上での動機】

【優れた発明を生み出すために重要なこと】【組織で勤務し続ける上で重要なこと】等につ いて、以下の意見を得た。

図表Ⅲ

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国内在住外国人研究者

業種 意見

情報通信

JF8

(国籍:中国、勤務先:日系企業、勤務地:日本)

【研究開発に取り組む上での動機】

・ 自身が仕事(システム開発)に取り組む上での一番の動機はやはり顧客 に喜んでもらうことであり、そして、その結果、社内においても有形無 形の評価をしてもらえることも働く上での大きな動機となる。

・ 研究開発職といっても顧客寄りの開発であり、顧客と折衝をして課題点 や要望を聞き取り、その課題を解決し、要望を実現できるようなシステ ムを開発することが自身の仕事であり、やはり顧客に喜んでもらい、仕 事を評価してもらうということが一番の喜びとなる。また、このような 結果をたくさん残すことで、社内において昇格や賞与・給与という形で 評価してもらえることももちろん働く上でのやりがいとなる。

・ 一方で、特許申請という点だけをみた場合には、これといったモチベー ションは思いつかない。というのも、特許はそもそもの研究が大変なう えに、申請の際の書類作成などの手間も非常に面倒であり、それに対す る報酬というのは少額の報奨金くらいであるため、正直なところあまり 割に合わないし、そもそもそこまでやる時間がないというのが実情であ る。なお、他社が特許申請時にどのくらいの報奨金を払っているのかは わからないが、当社の場合では確か申請時と認可時のそれぞれで十数万 円の報奨金もらえるはずであり、決して安くはない金額だと思ってい る。それでも、日々の仕事の忙しさと特許申請に掛かる手間を考えると、

積極的に特許を申請しようとは思えないのである。

【組織で勤務し続ける上で重要なこと】

・ 組織で働き続ける上で重要なのは、好きなことをやらせてもらい、その 努力や成果を周囲に評価してもらうことである。

・ サッカー選手はサッカーというスポーツが好きだからこそ、多くの時間 と労力を尽くしてゴールを決めて、その結果を年俸という形で評価して もらい、また次のシーズンに活躍しようと練習に励むものである。これ はどんな仕事でも同じであり、好きだからこそ最後まで仕事をやり遂げ られるし、その仕事に情熱を注いで働けるのだと思う。

・ また、その仕事を会社や顧客から認められ、会社からは給与や賞与、昇 格といった形でしっかりと評価されたり、顧客からはリピートという形 で評価されたりすることで、また頑張ろうという気持ちになることがで きるのだと思う。

【優れた発明を生み出すために重要なこと】

・ 当社(もしくは、同じような業種)に限っていうと、優れた特許を生み 出すためには特許申請に詳しい人やアシスタントなどの特許申請(もし くはそれを補助すること)を目的とした人材の確保が必要不可欠であ る。

・ 当社のような IT システム系の会社では研究開発といっても顧客ありき の開発が殆どであり、特許のための研究開発というのはあまり行われな いのが実態である。そのため、主業務であるユーザーありきの開発やユ ーザーサポート(顧客対応)に追われ、特許申請を行っている暇はない というのが本音である。また、会社としても同じような考え方だと思う。

・ そのため、もしも優れた特許を数多く申請したいのであれば、それ専門 の人材を確保し、現業(顧客向けのシステム開発)を行っている開発者 の手間を少しでも減らすような取組が必要だと思う。

・ また、優れた発明(特許)を生み出すためには、当然のことながらそれ を開発できるだけの環境も必要であり、相応の予算や実験設備等が会社 から提供されることも重要である(ただし、当社の場合は開発にあたっ て実験設備等はあまり必要ないが)。

JF11

(国籍:中国、勤務先:日系大学、勤務地:日本)

【研究開発に取り組む上での動機】

・ 所属組織の業績の向上とそれに対する社会的な評価を得ることが重要 である。自分の属する組織の業績向上に貢献し、それが認められること で自分のキャリアをさらにアップしたい。良い仕事をした結果としての キャリアアップが動機の源である。

【組織で勤務し続ける上で重要なこと】

・ 組織に対する社会的評価、良好な人間関係、金銭的な処遇、評価の透明 性、目的を実現出来る研究予算・設備・レベルが重要である。中でも正 当な評価とまわりの良好な人間関係が重要と思う。これ等があってはじ めて公平なキャリアアップが可能になると考えるからである。

【優れた発明を生み出すために重要なこと】

要と考えるからである。

・ 発明への持続的なインセンティブのためには、成果をあげた場合、金銭 的・地位の処遇に加えて、本人の名誉となるような表彰も重要である。

発明をし、次いで論文にまとめることにより、このようなことを実現し た人物という本人の名誉を獲得したいというインセンティブにつなが ると思う。

JF19

(国籍:欧州、勤務先:米系日本法人企業、勤務地:日本)

【研究開発に取り組む上での動機】

・ 物事の原理を理解して、開発することを大事にしている。もともと機会 学習にすごく興味があり、コンピュータを利用した解析を一つの手段と して取り組んできた。

・ エンジニアとして、世の中の問題を解決すること、人の課題を解決する ことをしたい。

【優れた発明を生み出すために重要なこと】

・ エンジニアは、命令されれば、毎日、小さな発明を複数している。世界 的には新しくないかもしれないし、小さなものかもしれないが、発明は する。一方で、大きな発明をするためには大きな指令が必要。大きい課 題、すなわち取り組むテーマ、目標設定が重要になる。資源のある大き い会社はリソースが揃っているので、長期的に大きいものを狙ってい る。そういう中で日々使うような短期的な技術・商品が生まれる。

・ 発明には、設備の充実よりも研究者の教育の方が重要。設備の重要性は 分野によるとは思う。例えばバイオでは、出身国(欧州)のような資源 を持っていない国でも、費用を

1000

分の1で使えるような発明をした 事例もある。

電機・

精密機械

JF1

(国籍:中国、勤務先:日系企業、勤務地:日本)

【研究開発に取り組む上での動機】

・ 研究をすること自体が好きである。新しいものが好きで、それを追究す ることが大きなモチベーションになっている。

・ 特許を出願しても報奨金は数千円程度なので、たいしたモチベーション にはならない。日系電機メーカーの場合は、出願時に数千円、登録時に 1万円程度が貰えた。実績報奨は、良いシステムではあるが、内部の評 価が不透明で納得し難い面がある。どうしてその金額になるのかがわか らない。評価する側が、製品の中でどこが発明に該当する箇所なのかわ かっていない。見えない部分の評価で、正しく評価されていないような 不透明感がある。

・ 事業部が現在の会社に売却される際に、誰の特許がどの製品に入ってい

のるかが調べられた。それによって発明が利用されていたことが明らか になり、100 万円程度を貰うことができた。

・ 研究者としては、なぜ報奨が、お金が貰えないのか、大きな声を立てる のは嫌われる雰囲気がある。彼はお金のために研究をしているのか、と 言われてしまう。

・ H 社では、特許の出願時に 10 万円がもらえる。日系電機メーカーの時よ りもインセンティブの金額は増えた。

【組織で勤務し続ける上で重要なこと】

・ 外国人は流動性が高いと言いつつも J 氏が移動をしていない理由は、あ る程度会社から評価されていると感じているためである。以前は、どれ だけ働いても課長止まりなのかと思っていた時期があり、悩んでいた。

研究室長にはなっても、やはり外国人は上のポジションには行けないの かと、将来が見えない時があった。ちょうどそのときに、主管研究員に ポジションを引き上げてくれたことが会社に残るきっかけになった。役 職が上がれば、給料も付随して高くなる。

・ 会社の社会的地位やブランドは大きく意識はしていない。日系電機メー カーは、組織としてあまりに伝統的で面倒なところはある。意思決定の 遅さ、調整ごとの多さなど、無駄な、ノンプロダクティブなことが多く、

効率的ではない。例えば、セキュリティPC(SPC)を使わなければいけ ないこと。使えるソフトウェアが限られてしまい、不便である。日本は、

1人が事故を起すとみんなを縛るような仕組みができる。ヒューマンエ ラーは起きてしまうものだが、それをヒューマンでカバーしようとする 日本と、システムでカバーしようとするアメリカの違いがある。とはい え、日系電機メーカーは非常に良い会社だと思っている。

【優れた発明を生み出すために重要なこと】

・ 良い発明を生み出そうする際に重要なことは、ひとつは、将来の動向を 把握することである。そのために、学会に行く、他社の動向を探るなど をする。もうひとつは、何か障害が出た瞬間に、解決策を考えることで ある。その解決策が特許になりそうなものかどうか判断し、可能であれ ばデータをとっておき、そこから考えて特許として出願する。特許は時 間との戦いでもある。加えて、今ある問題を、逆に考えて利用したらど うなるかを考える。そうすると良い発明に繋がる。

JF5

(国籍:中国、勤務先:米系企業、勤務地:日本)

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