結 果

1）社会機能（LASMI下位項目）と基本属性の関連および各評価尺度との関連

BNSSのサブドメインとLASMIの下位項目の得点を表7に示した．LASMI下位項目と 基本属性と各評価尺度との関連を表8に示した．性別を除く基本属性と各評価尺度の間に 相関は認められなかった．LASMI下位項目の日常生活機能，対人関係機能，持続性・安定 性は女性に比べ男性の重症度が有意に高かった．日常生活機能，対人関係機能，労働機能

はSCoRS-JとBPRSと相関を認めた．持続性・安定性はSCoRS-Jとのみ相関を認めた．自

己認識についてはSCoRS-J ，BPRSと相関が認められた．

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表7 BNSSのサブドメインおよびLASMI下位項目得点（N=100）

平均値 SD 最大値 最小値 失快楽症 6.1 4.3 18 0 非社会性 4.3 2.7 12 0 意欲の低下 3.5 2.4 11 0

感情鈍麻 5 4.1 17 0

会話の貧困 3.3 3.5 12 0 日常生活機能 14 11.1 43 0 対人関係機能 15.5 9.8 44 0 労働機能 17 10.3 38 0 持続性・安定性 6.7 3 10 0 自己認識 2.4 2.3 10 0

※ SD=Standard Deviation

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表8 LASMI下位項目と基本属性および各評価尺度との関連（N=100）

日常生活 対人関係 労働 持続性

安定性 自己認識

r^a) r r r r

基本属性 年齢 .059 -.047 .133 .112 .018 発症年齢 -.029 -.131 -.014 -.097 .071 罹患期間 .111 .081 .181 .181 -.072 入院回数 .119 .041 .193 .165 -.007

投薬量^b) .095 .061 .075 .002 .077

p^c) p p p p

性別 .023 .005 .092 .014 .688

r r r r r

SCoRS-J^d) .710^** .651^** .720^** .558^** .365^**

BPRS^e) .294^** .382^** .299^** .177 .483^**

a)r＝Pearson の相関係数（*p＜0.05，**p＜0.01）

b)投薬量はCP換算値

c)性別によるt検定結果

d)SCoRS-J=Schizophrenia Cognition Rating Scale日本語版 e)BPRS=Brief Psychiatric Rating Scale

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2）社会機能（LASMI下位項目）と陰性症状のサブドメインとの関連

LASMI下位項目とBNSSおよびBNSSサブドメインとの相関係数を表9に示す．日常生

活機能，対人関係機能，労働機能，持続性・安定性はBNSSおよびすべてのサブドメイン と相関を認めた．一方，自己認識はBNSSおよびBNSSサブドメインと相関を認めなかっ た．よって，BNSS および BNSSサブドメインとの相関が認められた日常生活機能，対人 関係機能，労働機能，持続性・安定性を従属変数，失快楽症，非社会性，意欲の低下，感 情鈍麻，会話の貧困を独立変数として重回帰分析を行った．統計値を表10に示した．日常 生活機能，労働機能については意欲の低下がp＜.05を示していた．対人関係機能について は意欲の低下，非社会性，感情鈍麻がp＜.05を示していた．持続性・安定性については失 快楽症，非社会性，意欲の低下がp＜.05を示していた．調整済みR²は.567～.646を示して いた．VIF値が5を超える値はなかった．

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表9 LASMI下位項目とBNSSサブドメインとの関連（N＝100）

日常生活 対人関係 労働 持続性 安定性

自己認識

r^a) r r r r

失快楽症 .577^** .602^** .474^** .417^** .159 非社会性 .602^** .740^** .551^** .516^** .152 意欲の低下 .778^** .682^** .757^** .723^** .091 感情鈍麻 .505^** .682^** .435^** .309^** .181 会話の貧困 .581^** .663^** .489^** .334^** .061

BNSS^b) .714^** .803^** .538^** .357^** .197

a)r＝Peason積率相関係数（*p<0.05，**p<0.01）

b)BNSS=Brief Negative Symptom Scale

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表10 LASMI下位項目とBNSSのサブドメインとの関連（N=100）^a)

非標準化係数 標準化係数

有意確率

Bの95.0%信頼区間 調整済み

R² B 標準誤差 ベータ 下限 上限 VIF

(定数) 1.069 1.569 .497 -2.050 4.189

.602 失快楽症 -.050 .277 -.019 .858 -.600 .501 2.543

日常生活 非社会性 .425 .449 .101 .346 -.467 1.317 2.567 意欲の低下 3.034 .489 .652 .000 2.061 4.007 2.500 感情鈍麻 -.151 .308 -.053 .626 -.762 .461 2.634 会話の貧困 .530 .364 .163 .149 -.194 1.253 2.842

(定数) 2.309 1.290 .077 -.256 4.874

.646 失快楽症 -.111 .228 -.049 .627 -.563 .342 2.543

対人関係 非社会性 1.475 .369 .402 .000 .742 2.208 2.567 意欲の低下 .933 .402 .230 .023 .134 1.733 2.500 感情鈍麻 .646 .253 .260 .012 .144 1.149 2.634 会話の貧困 .273 .299 .096 .364 -.322 .868 2.842

(定数) 5.740 1.485 .000 2.787 8.694

.567 失快楽症 -.445 .262 -.188 .093 -.966 .077 2.543

労働 非社会性 .553 .425 .145 .197 -.291 1.397 2.567 意欲の低下 3.318 .463 .786 .000 2.397 4.239 2.500 感情鈍麻 -.129 .291 -.050 .659 -.708 .450 2.634 会話の貧困 .162 .344 .055 .639 -.523 .847 2.842

持続性 安定性

(定数) 3.356 .476 .000 2.407 4.305

.578 失快楽症 .161 .080 .226 .048 .002 .320 2.543

非社会性 .272 .130 .237 .039 .015 .530 2.567 意欲の低下 1.159 .168 .912 .000 .825 1.493 2.500 感情鈍麻 -.074 .096 -.099 .443 -.264 .117 2.634 会話の貧困 -.133 .119 -.151 .268 -.370 .104 2.842 a)分析は重回帰分析を使用

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