5 章 在宅医療コーディネーター養成講座案 1. 在宅医療コーディネーター養成講座案
日本医療コーディネーター協会 理事 水木 麻衣子
在宅医療コーディネーター養成講座案
日本医療コーディネーター協会 理事 水木 麻衣子
1.介護支援専門員を対象にした意思決定支援のカリキュラム 1. 豊島区在宅医療コーディネーター養成講座のあゆみ
豊島区には開業医が約 300 名存在する。申請者らが関与した豊島区医師会実施の調査 結果(2009 年実施)によれば、そのうち約 100 名が在宅医療に取り組んでいる、あるい は取り組む意欲をもっていることが明らかとなった。また、意欲を有しながら取り組め ていない理由として、①医師自身が情報収集を含むすべての業務を担わざるを得ないた め、外来診療の合間のみでは事前情報の収集が十分にできない、②訪問看護ステーショ ン、介護支援専門員等地域の資源を把握していない、③専門に応じた医師間の相互連携 を行いたいが、他の医師が何を得意としているか把握していない、④急変時、状態悪化 時の入院施設探し等の対応を迫られることがあるが、診療との兼ね合いで対応が困難な 場面がある、等があげられた。ここにあげられた役割は、即ち調整(コーディネーショ ン)であり、必ずしも医師が担う必要はない。これらを担える人材を地域に配置するこ とで、在宅医療に取り組む医師を少しでも増加させることができる可能性があると考え た。豊島区医師会では、上記のような課題意識を受け、2009 年東京都福祉保健局のモデ ル事業として申請者が在宅医療コーディネーターとして調整機能を担う取り組みを試 行した。試行中に体験された事例の中には、コーディネーターが現行制度の隙間を埋め るような役割(例:介護保険が使えず調整を担う人物がいない etc)を果たす場面が散 見され、シームレスな地域医療の実現に寄与していると考えられた。また、体験した医 師からも好評を得た。その後、豊島区が独自の在宅医療コーディネーターを養成する方 針になり、申請者が研修企画運営を担当し、現在まで区内の介護支援専門員を対象に豊 島区在宅医療コーディネーター研修を 3 期、上級研修を 1 期継続してきている。研修修 了生にOJTと事例検討を多職種で行い、コーディネーション機能の可視化と問題の共 有を図っている。
① 2009 年に豊島区医師会が試行した東京都福祉保健局のモデル事業に医療コーディ ネーターとして参加。本事業内容は、豊島区在宅医療コーディネーター(仮称)を 配置し、調整機能をコーディネーターに担わせることを前提として、在宅医療コー ディネーターモデルを使い、コーディネーションの実例検証を行うことを目的とし ていた。
② 2010 年に豊島区の第 1 回在宅医療コーディネーター養成講座を主催に伴い、企画運 営評価を担当。
③ 2012 年に豊島区が豊島区在宅医療コーディネーター配置を見据え、在宅医療コーデ ィネーター養成講座修了者の中からコーディネーターを選抜し、在宅医療コーディ
ネーターモデル事業を行った.その際、コアコーディネーターを担当しコーディネ ーター候補者のスーパーバイズを行うとともに、コーディネーション検証部会を企 画。また豊島区の第 2 回在宅医療コーディネーター養成講座の企画運営評価を担当。
④ 2013 年豊島区在宅医療コーディネーター養成講座上級編開催に伴い、企画運営評価 を担当。
⑤ 2014 年第三回豊島区在宅医療コーディネーター養成講座修了
2. 豊島区在宅医療コーディネーター養成講座の概要
豊島区在宅医療コーディネーター養成講座で習得する知識、技術、態度は「意思決定 支援と合意形成」である。豊島区では介護支援専門員を主な対象にしているため、「態 度」は介護保険の運用者という枠と医療者の壁を乗り越えて意思決定支援者を引き受け る意味を理解してもらうところから始まる。知識に関しては、医療コーディネーション のプロセスの理解とアセスメントが大切になる。まずは意思決定が出来る状態かどうか の見極め、意思決定に必要な知識の補足説明力、患者家族が自分で考えていく過程をた すけるエンパワメント力が求められる。技術に関するコアスキルはダイアログ、基本的 なコミュニケーションスキルである。意思決定支援のあり様は疾患固有でもなく、定式 化したものはない。あるのはプロセスである。そのため、事例を通して、その事例を疑 似体験していくことで、必要な知識、スキルを習得する方法が主になる。受講者の知識、
経験が様々なので、グループワークを通してお互いの知を共有して、自分に必要な知識、
技術、あるいは態度を各自学んでいただく形になる。講座の工夫としては、研修そのも のに地域の医師、歯科医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、理学療法士等、地域包括ケ アのスタッフ、病院医師に講師として参加していただくことで、研修そのものが有機的 な連携の場にするということ。それは、多職種が在宅医療コーディネーターの使い方を 知る機会にもなるので、とても有意義である。また、在宅医療コーディネーターが連携 のツールを積極的にしようするために、研修に連携ツールの使った演習なども行ってい る。
【参考】平成26年度第三回豊島区在宅医療コーディネーター養成講座の概要
①コンセプト
医師から信頼され、選ばれる医療コーディネーション力のあるケアマネージャーの養成
②到達目標
患者家族のそばにいて自立支援を行う介護支援専門員だからこそできる意思決定支援と 関係調整を理解する。
③開催方法と受講者募集
●募集人数 25 名
●研修日程 全4回 各回共午後 6 時 30 分から午後9時まで
・平成 26 年 11 月 26 日 水曜日 ・平成 26 年 12 月17 日 水曜日 ・平成 27 年 1月 21 日 水曜日 ・平成 27 年 2 月 18 日 水曜日
④カリキュラム
1回目:本人家族の「選択と心構え」をいかに支えるか 【講義】
これからのケアマネージャー像に迫る。ケアマネージャーとして厚生労働省の掲 げる地域包括ケアシステムの基盤をなす「本人・家族の洗濯と心構え」にどれだけ 関われますか
2回目:人生の最終段階における意思決定支援
到達目標:患者家族のそばにいて自立支援を行うケアマネ-ジャーだからこそできる「選択 と心構え」への支援の方法がわかる。支援対象のイメージは認知症、脳血管障害等、ケアマ ネ-ジャーの得意領域。現状は、ケアマネ-ジャーはこれらの疾患のイメージはできており、
自立支援のプランは作成できるものの、ターミナルに向けて早期の準備をしていく関わり は乏しい状況。担当初期から、定期的に「選択と心構え」への支援ができるようにする。
【講義】
意思決定という観点から見た疾患の特徴と支援のタイミングを考える。事前指示や成 年後見も視野に
【演習】
高齢者がん患者、認知症患者等で本人の決断をアセスメントし、本人の決断を実現する
3回目:療養の場の移行における意思決定支援
到達目標:意思決定に時間をかけられない状態の変化が著しい場合の考え方や対応方法が わかる。支援対象のイメージは積極的治療の終了したがん患者。現状のケアマネージャーの 関わりは、疾患のイメージは乏しく、自立支援のプランは作成するものの、意思決定支援に は敷居が高い状況。本講の目標は信頼関係が構築された人に起こる状態の変化、それに伴う 療養の場の変更に際し選択と心構えへの関わりができること。
【講義】
ケアの最適化をはかる意思決定支援 【演習】
転院、退院、入院(所)場面における本人の決断のアセスメントと実現支援
4回目:患者が望む意思決定支援と連携ツール 【講義】
患者の体験談 【演習】
連携ツールの体験
●参考資料(別添) 豊島区より
①豊島区在宅医療コーディネーター研修チラシ ②豊島区在宅医療コーディネーター研修募集要項
④ 豊島区在宅医療コーディネーター研修ガイドライン
豊島区の
◆日時:①平成 26 年 11 月 26 日(水)②12 月 17 日(水)
③平成 27 年 1 月 21 日(水)④2 月 18 日(水) 全4回 各回とも午後 6 時 30 分より 9 時まで
◆会場:豊島区池袋保健所 3 階講堂
(豊島区東池袋 1 丁目 20 番 9 号)◆対象:・豊島区内、及び豊島区を訪問地域としている隣接区の居宅介護支援事業所職員 ・豊島区高齢者総合相談センター職員
・豊島区内医療機関職員 等 全 4 回全てに出席できる方
※主にケアマネジャーさんを対象とした研修ですが、区内各事業所に在勤である、その他の職種 の皆様も、受講をご希望でしたらぜひお問い合わせください。
※過去の本研修(22・24 年度)を受講された方(25 年度上級編受講者は除く)も対象とします。