第 6 章 相転移 63
6.4 相転移
なので、
log (
1 + (βzJ m0)2
2 +(βzJ m0)4 24
)
−βzJ m20
≈ (
1− 2 βzJ
)(βzJ m0)2
2 +
( 1 24− 1
8 )
(βzJ m0)4
= (
1− T Tc
)(βzJ m0)2
2 − 1
12(βzJ m0)4 である。(6.29)より、
βzJ m0 =
√
3Tc−T Tc
def=
√
3˜t (6.33)
より、
F =−kBT N [
log 2 + (3
2˜t2− 3 4t˜2
)]
=−kBT N [
log 2 + 3 4˜t2
]
(6.34) となる。m = 0の場合に比べて、m=m0の方が自由エネルギーが−3N kBT˜t2/4だけ 小さいことが分かる。つまりT < Tcでは強磁性相が安定なのである。
次に比熱を求めよう。比熱は
C =T∂S
∂T =−T∂2F
∂T2 で与えられる。
F =
{ −kBT Nlog 2, T > Tc
−kBT N [
log 2 + 3(T4Tc−2T)2 c
]
, T ≤Tc
(6.35) なので、
C= {
0, T > Tc
3N kB(T+2(T−Tc))T
2Tc2 , T ≤Tc (6.36)
となる。比熱はT =Tcで
∆C= 3N kB
2 (6.37)
飛ぶことになる。注目すべき点はこの飛びがz, Jなどの物質パラメータによらず普遍 的なことである。
1次相転移 エントロピーに飛び、発散があるもの。例: 水–氷、水–水蒸気 2次相転移 比熱に飛び、発散があるもの。例: 強磁性–常磁性
3次相転移 比熱の微分に飛び、発散があるもの。例: ボーズ–アインシュタイン凝縮 こうした相転移が起こる温度を臨界温度とよび、Tcと表した。また磁化など、相転移 を特徴づける変数を秩序パラメータと呼んだ。
秩序パラメータxが相転移点付近で、
x∼
T −Tc
Tc
y (6.38)
となっているとき、yを臨界指数と定義する。Tcは物質によって全く異なる値を取る。
ところが臨界指数は多くの物質で共通ある。それどころか、磁気系と合金系で同じ臨界 指数が現れたりと、全く異なるように見える系で共通の値を示す。これを普遍性 (uni-versality)と呼ぶ。
例を挙げよう。磁気相転移では磁化m0は m0 ∼
(Tc−T Tc
)β
, β = 1
2 (6.39)
となった。これは磁化の臨界指数2が1/2を示している。また比熱は C∼
(Tc−T Tc
)α
, α= 0 (6.40)
である。
このさいだから、もう少しいろいろな臨界指数を計算しておこう。常磁性領域では なにか異常はないのであろうか?強磁性はいきなり起こるのではなく、スピンが揃う 傾向が徐々に強くなるはずである。転移点付近では常磁性領域だと磁化は0であるが、
ちょっとでも磁場をかければかなり大きな磁化が得られるであろう。つまり、帯磁率
χ= dM/dBが大きいはずである。それを定量的に議論する。磁場がかかると平均場ハ
ミルトニアンは HMFA =−2J zm∑
i
Si+J zN m2−2h∑
i
Si =−2(J zm+h)∑
i
Si+J zN m2 (6.41) となる。hは磁場に比例した量で係数を簡単にするために導入した3。これより、
m = 1
2tanhβ(zJ m+h) (6.42)
をうる。h, m(∝h)は小さいとすると、
m≈ 1
2β(zJ m+h)
2通常βと記す, 1/kBT と混乱しないこと
32h=gµBBで、gはg-因子、µBはボーア磁子である
となり、
m (
1− Tc T
)
= hβ 2 となるので、
m= 1
kB(T −Tc) h 2 となる。こうして、
χ∝ ∂m
∂h ∝ 1
T −Tc (6.43)
となる。こうして、χの臨界指数をγとすると、
χ∼(T −Tc)−γ, γ = 1 (6.44) となる。
転移点直上では強磁性でも常磁性でもない。このとき、mの磁場依存性はどうなっ ているだろう?(6.42)で、T =Tcとおくと、βczJ/2 = 1より
m≈m+ βch 2 − 4
3 (
m+βch 2
)3
(6.45) をうる。これより、
3βch 2 =
(
m+ βch 2
)3
(6.46) となる。さて、mとhが同じオーダーだと右辺はh3で左辺はhのオーダーとなるので 矛盾する。mの方がhに関してのオーダーが小さくて初めてこの式は成立するので、
m∼h1/δ, δ >1 (6.47)
という臨界指数、δを定義できる。(6.46)より、
m∼h1/3, δ = 3 (6.48)
をうる。