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ユニタリー性による Lifshitz スカラー理論の制限

第 8 章 ユニタリー性 75

8.2 ユニタリー性による Lifshitz スカラー理論の制限

ばで書き換える. すなわち,

⟨p1,· · ·,pni|T|k1,· · · ,knf

=δ 5 ni

,

j=1

Ej

nf

,

m=1

Em

6 δd

ni

,

j=1

pj

nf

,

m=1

kj

⎠M"p1,· · · ,pni →k1,· · · ,knf# (8.14).

と書き換える. この関係式(8.10)を用いる事で, 振幅 |M(E,P;l →l)| M(E,P;l →l) =$

ni(pj)dΠnf(km)hl(pj) ¯hl(km)M "

p1,· · · ,pni →k1,· · · ,knf# (8.15). として書き換えられる. このユニタリー性による制限値は直交基底 {hl(pj)}の任意の選び方 に対して満たすべきである. この要請は, 散乱振幅に対するユニタリー性による制限値が, 任意 の規格化された始状態と終状態に対して満たすべきであることを意味する. すなわち, 任意の 規格化関数に対して, C(E,P)上で定義される.

8.2 ユニタリー性による Lifshitz スカラー理論の制限

この節では, Lifshitzスカラー理論における散乱振幅の高エネルギーの振舞いを評価する. 以下では, 2-2対散乱に限って議論を進める. 相対論的な理論では, 重心系の散乱振幅を考慮 するだけで十分である. なぜなら, Lorentzブーストを用いる事でに基準座標に移る事ができ るからである. 一方, Lorentz対称性がないならば, 系の全運動量がゼロでない状況も考慮する 必要がある. そのような散乱の過程では, 重心系とは関係がない. また, そのような系で得られ る条件は, 相互作用項に対し, 重心系とは異なるユニタリー性の制限を与える. 大きい全運動量 Pを持つ高エネルギーの散乱振幅に興味があるので,

E ≈Pz, (8.16)

とする. そして, P :=|P|→ ∞の極限を取る.

この設定の下で, 二つの典型的な状態が存在する. これらの状態は, 異なる高エネルギーの振 舞いをする. すなわち,

a). 二つの粒子の運動量が大きさ |p1|=|p2|を持つ2粒子状態,

b). 片方の運動量が p1 = 0 であり一方がp2 =Pとなる運動量を持つ2粒子状態.

である. a), 重心系の散乱と場合と同じように, どちらの粒子のエネルギーも無限に近づく 場合である. b) , 片方の粒子のみは高エネルギーを持ち, もう片方が静止している場合であ る. 例えば, 実験室系がこの例である. この系での散乱は, 重心系とは大きく異なる振舞いをす

る. 二つの規格化された状態|E,P, l⟩ (l =α,β)を構成する. これらの状態は, 各々a) b) の状態の性質を持つ. 第一の状態は |α⟩で特徴付けられる. |α⟩, 二つの粒子のエネルギーが P → ∞として無限大に近づく状態である. 関数hl=α(p1,p2)

hα(p1,p2) = 1

!Nα(P) ×

- 1 "FF|p1|−|p2|FF≤P/2#

0 "FF|p1|−|p2|FF> P/2# . (8.17) として定義する事で, 状態|α⟩は得られる. 規格化因子Nα

Nα(P) =$

Iα

ddp1 2E1

ddp2 2E2

δ(E1+E2−E)δd(p1+p2−P), (8.18) によって得られる. ここでの積分範囲は,

Iα =C

(p1,p2)∈Rd×Rd FFF FF|p1|−|p2|FF≤P/2D

. (8.19)

である. 単純な次元解析*1によって, 極限 P → ∞ , Nα が漸近的に

Nα(P)≈Pd3z. (8.20)

として振る舞う事が評価できる. (相空間での積分についての詳細は, 付録B を参照の事) (8.10)の離散的な規格化状態の定義に基づいて, 状態|α⟩

|α⟩ = 1

!Nα(P)

$

Iα

ddp1 2E1

ddp2 2E2

δ(E1+E2−E)δd(p1+p2−P)|p1,p2⟩. (8.21) によって定義する. 二つ目の状態は, |β⟩で示される. この状態は, 一粒子のみが, 極限P → ∞ の高エネルギーを持つ状態である. この直交関数

hβ(p1,p2) = 1

!Nβ(P) ×

- 1 (|p1|≤ϵに対して)

0 (|p1|>ϵに対して) , (8.22) は, ϵϵ ≪P を満たす定数となる状態を与える. この規格化因子Nβ(P)は式 (8.18) と同様 に定義され, この積分範囲は,

Iβ =3

(p1,p2)∈Rd×Rd FF |p1|≤ϵ4

. (8.23)

で定義される. 状態 |β⟩,

|β⟩ = 1

!Nβ(P)

$

Iβ

ddp1 2E1

ddp2

2E2 δ(E1+E2−E)δd(p1+p2−P)|p1,p2⟩. (8.24)

*1積分における規格化因子の寄与はddp1 ddp2 Pd, E1 E2 Pz, δ(E1+E2E) Pz δd(p1+p2P)Pd. によって与えられる

8.2 ユニタリー性によるLifshitzスカラー理論の制限 79 で与えられる. 高エネルギー極限では, E =Pz+O(Pz1)となる時のみにこの状態が存在す る事に注意せよ. 規格化因子Nβ(P)の漸近的な振舞いは, 以下のように評価できる. (詳細は 付録 B を参照の事) この場合の二つ目の粒子は, 大きい運動量 |p2| ≈ P, を持つ. そのため, ddp2とE2 は各々, Pd Pz, として振る舞う. 一方で, ddp1 とE1は P に依存しない. なぜ なら, p1は高エネルギー極限で小さいままだからである. デルタ関数δd(p1+p2−P)≈P−d を消去した後, δ(E1+E2−E)の議論で, Pz の次数とお互いにキャンセルする. また, Pz1 の次数の項は支配的となる. 従って, δ(E1+E2−E)P(z1) の次数である. そして, Nβ

は高エネルギー極限で

Nβ(P) ≈ P2z+1, (8.25)

として振る舞う. 二つの状態|α⟩|β⟩を考慮に入れると, 次の3つの散乱振幅を考える事が できる. M(α →α), M(β →β) M(β →α) = M(α →β)の三通りである. 以下の評価 では, p1,p2 (k1,k2), ()状態の二つの粒子の運動量を表す.

M(α →α)

こ の 散 乱 過 程 で は, 始 状 態 と 終 状 態 の 粒 子 の 全 運 動 量 が 無 限 に 近 づ く. す な わ ち,

|p1|,|p2|,|k1|,|k2|≈P と表記できる. 散乱振幅の式. (8.15)の積分の形では, 始状態と終状 態の相空間の因子dΠ(p)dΠ(k) のどちらもNα として同じエネルギーを持つ. hα の上で の M(p1,p2 → k1,k2)のリーディングオーダーの振舞いが, M(p1,p2 → k1,k2) ≈Pa, と仮定すると, 散乱振幅は

M(α →α)≈Pa−3z+d. (8.26)

として振る舞う. 従って, 以下の場合, ユニタリー性による制限 M(α → α) ≤ 1は満たされ る. その場合とは,

M(p1,p2 →k1,k2)≈Pa a ≤3z−d. (8.27) である.

M(β →β)

この場合,最初の粒子の始状態と終状態の運動量は, |p1|,|k1|∝P0 小さく,二つ目の粒子の 始状態と終状態の運動量は大きなP に対して, 大きくなる|p2|,|k2|∝P. dΠ(p)dΠ(k) どちらも, 同じ高エネルギーで, Nβ として振る舞う. 従って, M(p1,p2 →k1,k2) ≈Paを仮 定すると,

M(β →β)≈Pa2z+1. (8.28)

であることがわかる.

ユニタリー性による制限 M(β →β)≤1は以下の条件の時に満たされる. その条件とは, M(p1,p2 →k1,k2)≈Pa a≤2z−1. (8.29) である.

M(β →α)

|β⟩ からt|α⟩への散乱について考える. この場合, 一つの粒子の始状態の運動量のみは小さ く|p1| ∝ P0. もう一方の始状態の運動量が大きい |p2|,|k1|,|k2| ∝ P. 積分測度dΠ(p) dΠ(k), 各々, 高エネルギーでNβ とNαとして振る舞う. M(p1,p2 →k1,k2)≈Paを仮 定すると,

M(β →α)≈Pa5z2d−1. (8.30) が得られる. ユニタリー性による制限M(β →α)≤1 は次の条件の時,満たされる. その条件 とは,

M(p1,p2 →k1,k2)≈Pa with a≤(5z−d−1)/2. (8.31) である.