第 6 章 Lifshitz スカラー理論における 1 ループレベルでの繰り込み可能性 49
6.4.6 シフト対称性を持つ有限個の相殺項
前節の例で, シフト対称性がない場合, 無限個の発散が生じる事を確認した. 一方, シフト対 称性がある場合はn >6のn点図では発散がない事を確認した.
この節では, 1ループオーダーで一般にzi ≤3の相殺項のみが必要とされる事を示す. そし て,シフト対称性がある場合は, 発散が有限個のみ存在する事を確認する.
1ループ図に対する発散の一般的な考察
z = 3のスケーリングを持つ理論では, 作用は zi ≤3の相互作用項で構成される. この相互 作用項は, 多くとも6階の空間微分を持つ. 内線とバーテックスの数は, あらゆる1ループ図 においても同じである. そのため1ループ図は以下の形をとる.
Γ=$
dωpd3p V1D1V2D2· · ·VqDq. (6.32) ここで, 全てのバーテックスVI (I = 1,2· · ·, q)は運動量の6次以下の多項式でかける.
VI = ,
{ai}
C{ai}pa0k1a1ka22· · ·knan ,
,n i=0
ai ≤6 , ai ≥0, (6.33)
ここで, この係数 C{ai} は, 結合定数と次の相対運動量で表示される角度を引数に持つ関数で ある. その相対運動量の角度は ˆp·ˆki とˆki·ˆkj で表される.
内線に対するプロパゲーターは次のように表される.
DI = 1
ω2p+p6+· · · = 1 ω2p+p6
,C{b,ci,di} ωpc0pd0 (ωp2+p6)b
Bn i=1
ωicikidi, (6.34) ここで, この係数 C{b,ci,di} はこのモデルの相対角度とパラメーターの関数で書ける. 方程式 eq. (6.34)における和は全ての非負整数b, ci とdiをとる. これらの非負整数は
6b≥ ,n i=0
(3ci+di). (6.35)
を満たす. その時, (6.33)と (6.34)を合わせて, あらゆる1ループの寄与は
Γ=$
dωpd3p,C˜{˜b,˜ci,d˜i} ωp˜c0pd˜0 (ω2p+p6)˜b
Bn i=1
ωi˜cikid˜i, (6.36)
の形をとる. ここで, 非負整数˜b, ˜ciとd˜i上での和は, 6˜b≥
,n i=0
(3˜ci+ ˜di), (6.37)
を満たす. (6.21)と同じ変数変換をすると, 式 (6.36)は次のように書ける. Γ=$
dρdθd2pˆ,C˜{˜b,˜c
i,d˜i}ρ5−6˜b+3˜c0+ ˜d0(cosθ)c˜0(sinθ)d˜30 Bn i=1
ωci˜ikdi˜i. (6.38)
すなわち, 5−6˜b+ 3˜c0+ ˜d0 ≥ −1を持つ項は, 紫外発散を持つ. ˆpとθ についての積分は決し て発散を生まない事に注意しよう. (6.37)を考慮に入れると, 次の性質を持つ相互作用項では, 紫外発散が現れない.
,n i=1
(3˜ci+ ˜di)≤6. (6.39)
この不等式は, 紫外発散を吸収するために, zi > 3の相互作用項を導入する必要はない事を示 す. なぜなら, 7
i˜ci と 7
id˜i は, 相互作用項における時間微分と空間微分の数だからである.
6.4 1ループ図における紫外発散 61 上記の議論では, 外線の数に関わらず, あらゆるn点図が紫外発散を生じうる事を意味して いる. すなわち, 我々は一般に, あらゆる種類の紫外発散を吸収するために, 無限個の相互作用 項を取り扱わなければならない. 一方で, シフト対称性を持つ理論は, 少なくとも一つ以上の空 間微分が各外線に伴って現れる. 結果として, あらゆるn点図に対して, (6.38)における外線 運動量の数は全てノン・ゼロである. この事実は
d˜i≥1 =⇒
,n i=1
d˜i ≥n. (6.40)
と表される. これは, 条件(6.39)が, n >6に対して満たされるはずがない事を意味している. そのためn > 6となるn点図では発散がない. 従って, あらゆる1ループ次数では, あらゆる 紫外発散は有限個のシフト対称性を持つ場合の相殺項でキャンセルする事ができる.
高次のループ図
次に, より高次のループ図の場合を議論しよう. 高次のループ図を厳密に評価するのは簡単 ではない. そのため, 見かけ上の発散次数の議論に制限して評価する. 一般的なLifshitzスカ ラー理論で, ナイーブな評価をすると, 次の事が明らかになる. もし, 次の見かけ上の発散次数 が非負であるならば, ある図は紫外発散を持つ:
Ddiv = 2z(L−P) + ,z zi=0
2ziVzi, (6.41)
ここで,Lはループ積分の数である. また,P はプロパゲーターの数である. Vzi (zi = 0,· · · , z) は, 2zi の空間微分を持つバーテックスの数である. 2ziの空間微分を持つ一般のバーテックス は, 2zi のループ運動量を持つ. だから, このバーテックスのDdiv への寄与は 2ziである. 図 において, 決まっていない運動量の数を数えると, ループループ積分とプロパゲーターとバー テックスの数は
L =P − ,z zi=0
Vzi + 1. (6.42)
として関係づけられる. その時, LとP を削除して, Ddiv を Ddiv = 2z−
,z zi=0
2(z−zi)V2zi. (6.43)
として書き換える事ができる. この式は, zi =z を持つバーテックスが見かけ上の発散を変え ない事を示している. 示されたこの事実が, 無限種類の紫外発散が存在すつ理由である.
一方で, シフト対称性がある場合, 外線の数を考慮に入れなければならない. シフト対称性が 伴うバーテックスが伴う各外線は, 少なくともDdiv を一つ減らすので, n点図の見かけ上の発
散は次の不等式を満たす:
Ddiv ≤ 2z− ,z zi=0
2(z−zi)V2zi−n ≤ 2z−n. (6.44) n >2z = 6のn点図はいつも負のDdiv を持つ. そのため, このn点図は有限だと期待され る. すなわち, あらゆるループで繰り込みであるためには, 有限個の相殺項で十分である.