2.5 臨床に関する概括評価
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.1 異所性 ADH 症候群を対象とした反復経口投与試験
本試験は,異所性 ADH 症候群を対象として,塩酸モザバプタンを反復経口投与時の有効性,
安全性及び薬物動態を検討することを目的とした多施設非盲検非対照試験である。
塩酸モザバプタンの用法・用量は,30 mg 1日1回7日間の反復投与とし,7日間投与が困難と 判断された場合は,3日間投与も可とした。
17例が組み入れられ,高度の低ナトリウム血症のため観察期に中止した1例を除く16例を有 効性の評価対象とした。有効性評価対象の16例のうち,1例が有害事象のため3日間投与で中止 した。有効性評価対象例 16 例の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.5.4-1 及び表 2.5.4-2 に示した。
男性10 例,女性6 例と男性が多く,高齢者(65歳以上)が半数をしめ,大部分(16 例中 13 例)が60歳以上であった。
基礎疾患では,16例中14例が肺小細胞癌,この他,胸腺小細胞癌,子宮頚癌が各1例であり,
いずれも悪性腫瘍が基礎疾患であった。異所性ADH症候群の罹病期間では,14例が6ヵ月未満 であった。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
2.5 臨床に関する概括評価 26
表 2.5.4-1 有効性評価対象例の人口統計学的及び他の基準値の特性(1)
特性 区分 症例数
男 10
性別 女 6
20〜29 0 30〜39 0 40〜49 1 50〜59 2
60〜69 10
70〜79 3
80〜89 0
65歳未満 8
年齢
(歳)
65歳以上 8
肺癌(小細胞癌) 14 胸腺小細胞癌 1 基礎疾患
子宮頚癌 1
〜1ヶ月未満 5
1ヶ月〜6ヵ月未満 9
6ヵ月〜 1
異所性ADH症候群 の罹病期間
不明 1
あり 5
飲水制限 なし 11
<資料番号5.3.5.2-01:表8.2-1抜粋>
表 2.5.4-2 有効性評価対象例の人口統計学的及び他の基準値の特性(2)
項目(単位) 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値 年齢(歳) 16 63.9 8.1 48 64.5 78 身長(cm) 16 159.53 7.94 147.0 159.70 176.0
体重(kg) 16 54.95 11.80 33.0 54.15 82.4 血清Na濃度(mEq/L) 16 117.3 4.3 110 116.5 124 血清浸透圧(mOsm/kg) 15 250.2 17.7 229 247.0 290 尿中Na排泄量(mEq/日) 16 184.48 101.05 60.0 161.00 392.0
尿浸透圧(mOsm/kg) 15 526.8 134.4 266 542.0 755
<資料番号5.3.5.2-01:表8.2-2>
2.5.4.1.1 血清ナトリウム濃度推移
有効性評価対象16例の血清ナトリウム濃度の平均値は,治療期2日目から上昇がみられ,その 後緩やかに上昇を続け,後観察1日目0時間(7日間投与24時間後)まで投与直前に比べ高い値 が持続した(表 2.5.4-3)。
2.5 臨床に関する概括評価 27
表 2.5.4-3 血清ナトリウム濃度の推移(129-C*-001P試験)
治療期1日目0時間からの変化量 時期1) 例数 平均値 標準
偏差 標準
誤差 最小値 中央値 最大値
例数 平均値 標準 偏差
標準
誤差 最小値 中央値 最大値 観察期-2日目0時間 6 122.5 5.0 2.0 115 122.0 128 観察期-1日目0時間 11 122.0 5.5 1.7 113 123.0 129 治療期1日目0時間 16 122.8 6.7 1.7 107 123.0 132
治療期2日目0時間 15 129.1 5.7 1.5 117 130.0 138 15 6.3 3.8 1.0 -3 7.0 11 治療期3日目0時間 14 129.9 5.4 1.4 119 132.0 137 14 7.1 5.2 1.4 -5 8.5 14 治療期4日目0時間 15 131.8 5.9 1.5 121 131.0 142 15 9.0 6.2 1.6 -5 9.0 18 後観察1日目0時間 14 133.3 8.3 2.2 119 133.0 148 14 10.9 8.2 2.2 -5 10.0 23
「後観察1日目0時間」は,「治療期7日目24時間」に相当する。 単位:mEq/L 1):3日間投与例の後観察1日目0時間は,治療期4日目0時間として集計し,後観察1日目0時間には加えていない。
<資料番号5.3.5.2-01:表8.4-1より抜粋>
2.5.4.1.2 臨床症状推移
臨床症状についての評価は,低ナトリウム血症に随伴する臨床症状(食欲低下,嘔気・嘔吐,
頭痛,中枢神経性症状)及び口渇を評価項目と規定し,症状毎に定めた程度により評価すること とした。
有効性評価対象例16例のうち,観察期の臨床症状の調査が同意取得前であった1例(症例番号
0012*)を除く15例を臨床症状の評価対象とした。この15例のうち,塩酸モザバプタン投与前に
低ナトリウム血症に随伴する臨床症状がみられた症例は8例であった。また,塩酸モザバプタン 投与前に低ナトリウム血症に随伴する臨床症状がみられなかったが,投与開始後に症状が発現し た症例が1例あり,食欲低下が発現した症例であった。
塩酸モザバプタン投与中に,すべての臨床症状が消失に至ったものは8例中3例であった。ま た,他の4例は,いずれかの臨床症状の消失又は軽快が認められた。これら7例の臨床症状の消 失又は改善は,治療期1日目あるいは2日目にみられた。このうち1例(症例番号0009*)では,
治療期2日目に嘔気・嘔吐が消失した後,5日目に一過性に発現したが,6日目以降には症状が消 失していた。
臨床症状評価対象例の15例について,各症状の推移を表 2.5.4-4に示した。
塩酸モザバプタン投与前にみられた低ナトリウム血症に随伴する臨床症状は,15例中食欲低下 8例,嘔気・嘔吐5例,頭痛5例,中枢神経性症状4例であった。このうち,塩酸モザバプタン 投与中に症状が消失に至ったものは,食欲低下3例,嘔気・嘔吐5例,頭痛5例,中枢神経性症 状4例であった。また,食欲低下については2例で症状が軽快した。不変であったものは,食欲 低下3例であり,悪化したものはなかった。
塩酸モザバプタン投与前にみられなかった症状が投与中に発現したものは,食欲低下1例,頭 痛1例,中枢神経性症状1例であった。このうち,頭痛,中枢神経性症状が発現した症例は同一 症例であり,治療期(7日間)のうち5日目あるいは 7日目に症状が発現した症例であった。食 欲低下が発現した1例は,血清ナトリウム濃度による重症度分類(2.5.4.2.3参照)では,治療期1 日目0時間から治療期4日目0時間(最終投与後24時間)において,軽症から正常へと改善して
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
2.5 臨床に関する概括評価 28
いた症例であったが,副作用(食欲減退,夜間頻尿,倦怠感,口渇,血中尿素増加)により3日 間投与で試験を中止した症例であった。
口渇については,塩酸モザバプタン投与前に口渇がみられた症例が4例あり,このうち2例は 投与中に消失した。また,塩酸モザバプタン投与前には口渇がみられなかったが,投与中に発現 した症例が5例あり,このうち3例は治療期(7日間)のうちの1〜2日間の発現で,7日間の投 与終了時には消失していた。
各臨床症状の改善がみられた症例の血清ナトリウム濃度による重症度分類の改善をみると,食 欲低下の消失あるいは軽快がみられた5例,嘔気・嘔吐の消失がみられた5例,頭痛の消失がみ られた5例及び中枢神経性症状の消失がみられた4例はいずれも血清ナトリウム濃度による重症 度分類が一段階以上改善した症例であった。
食欲低下が不変であった3例は,いずれも7日間投与例であり,血清ナトリウム濃度による重 症度分類では,中等症から正常へと改善した症例,中等症から軽症へと改善した症例,軽症から 軽症の症例であった。
表 2.5.4-4 低ナトリウム血症に随伴する臨床症状及び口渇の推移(129-C*-001P試験)
塩酸モザバプタン投与前に「有」 塩酸モザバプタン 投与前に「無」
合計 有→消失 有→軽快 有→不変 有→増悪 合計 無→無 無→発現 食欲低下 8 3 2 3 0 7 6 11)
嘔気・嘔吐 5 5 0 0 0 10 10 0
頭痛 5 5 0 0 0 10 9 12)
臨 床 症
状 中枢神経性症状 4 4 0 0 0 11 10 13) 口渇 4 2 −4) 2 −4) 11 6 55) 1):治療期1〜3日目に症状が発現し,3日間投与で試験を中止した(症例番号 0005*)。
2):治療期(7日間)のうちの5日目及び7日目に症状が発現した(症例番号 0009*)。
3):治療期(7日間)のうち5日目に症状が発現した(症例番号 0009*)。
4):口渇は,「0:無,1:有」で評価したため,「有→軽快」及び「有→増悪」の区分はない。
5):5例中3例は,治療期(7日間)のうちの1〜2日間に症状が発現したが,投与を継続し投与終了時には消 失した。
<資料番号5.3.5.2-01:付録Ⅱ-16より作成>
2.5.4.1.3 反復経口投与試験症例に対するレトロスペクティブ調査(129-F*-RS調査)
異所性ADH症候群を対象とした反復経口投与試験(129-C*-001P試験)における有効性評価対 象16例中調査に対する同意が得られなかった2例(症例番号0014* 及び0015*)を除く14例に ついて調査を実施し,その結果を検討した。本調査によって試験期間中にみられた血清ナトリウ ム濃度の上昇が塩酸モザバプタンによるものか否かを確認することには限界があると考えざるを 得なかったが,調査実施症例14例中試験期間中に血清ナトリウム濃度の上昇がみられた13例の うち,12例における血清ナトリウム濃度の上昇は,塩酸モザバプタン投与による可能性が高いと 考えられた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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