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産学官連携、イノベーション、外資導入などの状況 第1項 産学官連携

第3章 国家ハイテク産業開発区の現状

第4節 産学官連携、イノベーション、外資導入などの状況 第1項 産学官連携

開発区の要人を西安に招集し、「世界一流のサイエンスパークを建設するイノベーション宣 言」に調印した。2006年10月23日、中国科学技術部が再度それら6地域の産業開 発区の要人を深センに招集し、「世界一流のサイエンスパークを建設するアクション方案」

に調印した。北京中関村をはじめとするこれら6地域の国家ハイテク産業開発区は総合的 な実力が強いと言う特徴が現れている。

2006年12月、中国初かつ最大の中関村サイエンスパークが、中国標準化管理委員 会などの中央官庁により、初の「国家高新技術産業標準化示範区(国家ハイテク産業標準化 モデルパーク)」(以下、「中関村モデルパーク」と略す)に指定された。中関村モデルパーク の目指すところは、企業の技術規格作成を促し、戦略的な競争優位を強化させることであ る。その具体的な目標は、下記の通りである34

①中関村モデルパークに立地する企業は、国際機関、国家、業界及び企業連盟により制 定されるすべての規格策定プロセスの20%以上に参加する。

②独自の著作権を持つ国際規格、国家規格、業界規格、地方規格など諸規格の数と質を 高め、中国における最高レベルを目指す。

③業界で指導的地位にある企業が国際規格の制定に参加する割合を5%以上とし、併せ てR&Dを展開していく。

④中関村モデルパークの企業が独自開発した技術規格をベースとする産業連盟と技術連 盟を結成し、連盟メンバー企業の85%以上が当該規格を採用する。

⑤中関村モデルパークにおいて、国内で一流の規格サービス・プラットフォームを構築 し、同パークの規格関連サービスの能力と質を高める。

⑥北京市規格専門家のデータベースを作り、ハイテク産業分野の標準化におけるハイレ ベルの人材を育成する。

⑦中関村モデルパークの重点企業が全国専門標準化技術委員会(TC)や技術委員会部会 (SC)のワークショップに参加する割合は、5%を確保する。リーディング企業が国際 専門規格化委員会や部会のワークショップに参加する割合は、1%を確保する。

⑧中関村モデルパークの建設は、北京中関村サイエンスパークが提唱している「知的所 有権、標準及びブランド」と言う戦略に沿って展開されるものである。

第4節 産学官連携、イノベーション、外資導入などの状況

中国は、計画経済から市場経済へと転換する過程で、計画経済のような非効率な体制は 産業界の要求に適しておらず、中国の科学技術と産業界の発展への妨げとなると認識した ため、新たな市場メカニズムを構築し、産業と科学技術を市場へと参入させ、中国の産業 構造の再構築に資する産学官連携体制を構築しようと考えた。

そこで、中国政府は産学官連携プロジェクトを実験的に活用し、そこでのいくつかの成 功事例をもとに、中国における産学官連携の代表的な方法を検討した。例えば、国家級の 科学技術振興プロジェクトを起用して産学官連携をスタートすること、大学発技術型ベン チャーの設立と科学技術研究所の独立を奨励すること、大手国有企業に業界の技術開発セ ンターを設立させ企業の研究開発への参入を奨励し研究機関の提携を促進すること、サイ エンスパークなどを建設して民間企業の参入を支援することなどである。

しかし、最初から国家級のハイテク産業開発区としてではない。ハイテク産業開発区に おける産学官連携は上記のような流れの中で始まり、中国政府は、各種の産学連携支援政 策や具体的な措置が、ハイテク産業開発区における企業集中、技術開発、産業蓄積などに どのように作用したのかを検証した。その結果を受けて、開発区内で実践、修正を行った 後、ようやく全国に向けて推進する体制を整えた。実験地としてのハイテク産業開発区が モデルとなり、信頼できる参考事例となったことから、各地の政府は中央政府のやり方を 次々と模倣し始め、各地に多様なサイエンスパークが設立されることになった35

国家ハイテク産業開発区には開発区管理委員会が設けられているが、これは開発区の所 在する地域政府の出先機関であり「官」の代表である。また、国家ハイテク産業開発区に 入っている企業は必ずしもハイテク企業ではないものの、基本的には技術開発型企業が主 となっており、「産」を意味する。更に、国家ハイテク産業開発区は、多くの場合「学」を 意味する大学や研究機関が集中している場所に設立されているため、そこで大学サイエン スパークが設けられていることはもとより、大学や研究機関で生まれた成果をハイテク産 業開発区へ移転、または共同創業することも増えたと同時に、開発区において産学協同の 研究開発センターなども多数設けられるようになった。これこそ、国家ハイテク産業開発 区における産学官連携の構図であり、自然な展開と考えられる。

国家ハイテク産業開発区における産学官連携はハイテク企業のサポートや産業開発だけ でなく、知的財産の創出、保護、活用や、ブランドの構築、周知、育成など、経営課題へ のソリューション検討に及ぶサポートを含んでいる。

第2項 イノベーション

国家ハイテク産業開発区におけるイノベーションは多種多様に行われ続けている。計画 経済体制の下ではとても考えられなかった国家ハイテク産業開発区と言う制度及びその具

35 日中経済協会レポート「中国での産学研連携のメカニズムの実態及び日本との連携強化の探索に関する調査 報告書」2003 年 3 月。

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体化そのものも制度的なイノベーションである。国家がハイテク産業開発区に投入した資 金は多くないが、多くの優遇政策を通じて、企業、科学技術者の創業への積極性を向上さ せた。ハイテク産業開発区は、まさに科学技術者の「創業楽園」(気持ちよく創業し成功へ 向けて取組めるパーク)となった。

伝統的な中央集権的な官僚制を変えるために、区域ごとの産業政策を制定し、地方政府 の積極性を引き出した。技術領域においては、研究開発の市場指向に一層力を入れたこと により、生まれる技術が増えただけでなく技術の移転も加速した。技術への投資による経 済的な効果が更に増大したため、海外からの投資も増えた。

「技術移転の重視」、「地方のハイテクパークの一層の専門化」、「国家経済貿易委員会や 国家発展計画委員会(現在の国家発展改革委員会)などの部門からのハイテクへの投資」、

「多国籍企業の研究開発資源の利用」、「中国で設立された海外R&Dセンターに対する、

国内R&Dセンターと同等の政策適用」、「留学生の創業に対する支援」といったさまざま な政策は、まさに政策的なイノベーションの例示となろう。

国家ハイテク産業開発区は、その内部構成、運営管理、及び発展拡大のプロセスの中で、

国家と地方が提供している良好な設備環境をもとに高度成長を実現させたと同時に、技術 イノベーション、開発イノベーション、ひいては産業イノベーションを通じて、中国のコ ンピュータ、新素材、生物プロジェクト、光学設備、機械設備、電力設備の一体化、新エ ネルギーと環境保護などの産業発展のための重要な基盤となった。

また、中国各地に開設された国家ハイテク産業開発区では、さまざまな分野の科学技術 成果をもとに、多くの新興企業が次々に成長している。売上高の約50%は電子・情報技 術分野の新興企業であるが、それに次いで新エネ・省エネ技術や環境保護技術に関連する 新興企業も売上高の約20%を占める健闘を見せている。新エネルギー技術の例を挙げる と、リチウム二次電池のように、従来日本の技術力が圧倒的に優位であった分野において、

日本製品を抜いてシェアを拡大する中国製品も現れてきている。

ハイテク産業開発区における新興企業の短期間での売上上昇に、科学技術成果が結びつ いている点が特長である。2007年の54国家ハイテク産業開発区の年間生産高は1兆 2048億元に達した。中国の工業生産全体を上回る年率30%以上の成長を維持し、中 国経済の急速な発展をリードする動力となっている。まさに54の国家ハイテク産業開発 区は今や中国の自主革新の拠点となった36と言える。

こうした短期間の急速な発展を支える要因の一つに、過去20年間にわたり中国が独自 に構築してきたイノベーションシステムが指摘されている37。これは国家ハイテク産業開発 区などのインフラ整備にとどまらず、海外の優秀な中国人研究者を呼び戻す「海亀政策」

などの人的資源拡充にも重点を置くもので、このようなシステムの中で、大学の先端研究

36 中国国際放送局「ハイテクゾーンが中国技術革新の拠点に」2007 年 11 月 30 日。

37 角南篤「中国の科学技術政策とイノベーションシステム―進化する中国版『産学研・合作』―」、PRI Discussion Paper Series. No.03A‐17、C 経済産業研究所(2003 年)。

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