田村 駿裕
1. はじめに
はじめて城端を訪れた時、石畳の道路や家と家の間にある小道といった独特の景観が 印象に残った。同時に、町の規模に対して、スーパーやコンビニ、娯楽施設といった、
地元住民が利用できる生活施設が少ないのではないかとも感じた。このような印象から、
古い町並みを持つ城端の住民が、日常的にどのような場所で買い物をしたり、余暇を過 ごしたりしているのかということに関心を持ち、調査をおこなうことにした。
具体的には、城端の住民が城端にある施設や商店をどれほどの頻度で利用し、どのよ うに利用をしているのかについて聞き取り調査をおこなって、住民の行動範囲や城端で の生活のあり方を考察した。さらに、住民が城端で生活をしていて不便に感じている点 はあるのか、城端にどのような施設・商店があればいいと考えているかについて、また、
住民たちが城端に対してどのように認識しているかについても、聞き取り調査をおこな った。この報告では、施設・商店に関わる人々や住民の語りをもとに、施設に焦点をあ てて、城端の住民の生活と城端に対するイメージを明らかにしたい。
2. 城端住民の施設・商店の利用状況について
まず、城端内の施設や商店をどれぐらいの頻度で利用しているのか、また、どのよう に施設を利用しているのかという問いに対する住民の語りを、世代別に見て比較してみ たい。
2-1. 10代から20代
ある女子小学生は「ふだんは神社やスーパーとか町中で友達と遊ぶ」と話し、中学生 の男子は「城端の外に遊びに行くことはほとんどない。ほとんど友達の家でゲームをし て遊んでいる」と話していた。小学生や中学生は神社やスーパー、友達の家など、城端 の中で過ごすことが多いようである。また、小学生からは、城端の中の体育施設で運動 をするとう回答もあった。
一方、ある男子高生は「コンビニくらいしか利用しませんね。他に利用するようなと ころも城端にはないですし」と話し、10代の男子大学生も、「城端内の施設とかは、ほ とんど利用しないですね。高校生ぐらいになってくると、遊ぶところもないからいつも、
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福光・福野にカラオケしに行ったりはします」と語るように、城端に若者が楽しめる娯 楽施設がないため、高校生以上になると、福光や砺波といった城端の外に出かけていく ことが多いようである。またある高校生は「土日も部活があるので、城端の中にいる時 間が少ないかもしれない」と語っていたが、城端内に高校がないため、高校生たちは多 くの時間を城端の外で過ごしている。
2-2. 30代から40代
30代の男性で会社員は、「あまり城端の施設は利用しないかな、夏の間に息子と温水 プールに行くか行かないかという感じ。土日には車で、金沢や砺波のほうまで買い物に 出かけているよ」と話し、ある30代の女性も「城端のお店はほとんど利用しません。
近くのスーパーも値段が高くて、品ぞろえも悪いからいつも車で福光の安いスーパーま で買いに行っています」と語るように、30代から40代では自家用車を持っている人が 多いこともあって、買い物は城端でせず、金沢や砺波に出かけていく人が多い。また上 述の会社員は、「休みの日には、毎週金沢とかに子どもが喜びそうなレジャー施設に連 れて行っているよ」と述べ、高校生と同様に、娯楽についても、城端の外に出かける傾 向がある。
しかし、ある30代の主婦は、「城端にあるお店は結構利用しています。スーパーは2 日に1回は行くし、ベビー用品を買いに地元の商店にも行きます。やはり手軽に、パッ と買い物できて便利ですね」と話す。この世代でも、時間をかけずに、地元の商店やス ーパーで買い物をおこなう人もいないわけではない。
2-3. 50代以上
ある60代の女性は「買い物は近所のスーパーで済ませています。そこに行けば友達 にも会えるし。もう年ということもあって、ほとんど城端の外に買い物に出かけるとい うことはほとんどないですね」と話す。同じく60代の女性も「行きつけの地元商店や、
顔なじみの個人病院があるので、いつも利用しています。個人病院だと、ほんの小さな 用事でも行きやすいし、親切にしてもらえるので助かります」と語るように、50 代以 上の世代では、若い世代とは対照的に、城端の商店やスーパーや病院をよく利用してい るようである。その理由の一つに、体力的に城端の外に出かけていくことが大変という 語りも多くあったが、90 代男性の「介護施設に行って、友人とおしゃべりするのが楽 しいよ」という語りや、80 代女性の「温水プールの施設があって、週二回は行ってい ます。健康のためというのもあるけど、そこで友人に会えるのも楽しみ」という語りか ら、高齢者の住民にとって城端の施設や商店は、友人との交流を楽しむ場となっている といえる。
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2-4. まとめ
以上のように、世代によって城端の施設、商店の利用状況や利用する理由は様々であ ることがわかった。10代から20代では、小学生や中学生は城端内で過ごすことが多く、
スーパーなど城端の施設を利用する機会が比較的多い。それに対し、高校生以上になる と、娯楽施設を求めて城端の外に出かけることが多い傾向がある。このように小、中学 生と高校生以上では、行動範囲が異なっているようである。
30代から40代の全体の傾向としては、高校生や大学生と同様に、城端内の施設を利 用することは比較的少ないようである。城端で得られないモノやサービスを求めて、金 沢や砺波などの娯楽施設や大型のチェーン店に出かけていっている。高校生などと違っ て、自家用車を利用して移動するため、行動半径は広い。
50 代以上になると、自家用車を持っていないことや、体力的な問題から城端内のス ーパーや個人病院を利用する機会が多く、10 代から40 代までの若い世代と比べると、
その行動範囲は狭い。しかし、顔なじみの店があるなど地元商店と密接な関係を持って いたり、そこで友人とのおしゃべりを楽しんだりと、城端の施設や商店は、高齢者のコ ミュニケーションの場となっている。
3. 城端の生活施設と住民
ここでは、住民の「城端にどのような施設や商店があればいいと思うか?」という問 いに対する語りを見ていきたい。また、そこから住民が生活において不便に感じている 点も見ていきたいと思う。ここでも、世代別に比較していく。
3-1. 10代から20代
先に触れたように、10代から20代の高校生、大学生は娯楽施設を求めて城端の外に 出かけていくことが多いが、砺波の高校に通う男子高生は「やっぱりボーリングとか、
なんでも遊べるような娯楽施設が欲しいですね。いつも砺波とかに遊びには行きますが、
正直いちいち出かけていくのは面倒な時もありますね」と語り、城端内にも娯楽施設が あれば良いと感じている。また、ある女子中学生は、「公園とか、気軽に暇をつぶせる 場所が少ない気がする」と話し、城端には時間をつぶせるような場所が少ないと感じて いるようである。他にも、コンビニエンスストアを求める声もあった。
3-2. 30代から40代
30代から40代では、自家用車を持っている人が多いため、生活に不便を感じている 人は少ないようである。しかし、主婦や女性から「車があれば特に不便はしないけど、
冬は雪がひどくなるから、もう少し買い物ができるところが欲しい」、「子ども向けの本 を買いたいので、大きな本屋があればいいかも」といった話を聞いた。また、会社員の 30 代男性は、「地元の商店は営業時間が短いから、仕事帰りに寄りたくても寄れない。
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もう少し営業時間を長くしてもらいたい」と、午後八時前後にはほとんど閉店してしま う城端の地元商店に対する要望を述べていた。
3-3. 50代以上
「大きな総合病院がないのが不便。南砺市まで行かなきゃいけないから」(60代女性)
や「病院がないのが少し不便だねぇ」(90代男性)といった、健康に配慮しなければな らない高齢者が、総合病院が城端にないことを不便に感じているという回答がいくつか あった。一方で、「南砺にある病院は、以前、城端にあった病院に比べるとだいぶ(診 療)科も増えているし、きちんと整備されていて、医療環境は今のほうが充実している のではないか」という語りもあった。自家用車が自由に使える場合は、40代や30代の 住民と同様に、生活に不便は感じないということであろう。
また、「買い物などの用事はほとんど城端内で済ませることができるし、とくに今の 環境に不便は感じないし、こういう施設や店が欲しいというのも思いつかない」と話す 人もいた。若い世代と違って、とくに娯楽や買い物に遠出をしなければならない必要が ない高齢者にとっては、城端に現在ある商店や施設で十分なのであろう。
3-4. まとめ
世代によって、城端に求めるものは異なっている。10代から40代までの世代の住民 たちは、娯楽施設や大きなスーパーができれば、移動時間を短縮できて便利だと考える 傾向がある。しかし、このような希望は、あくまで、あったら便利だという程度のもの で、ぜひとも城端に欲しいといった要望ではない。50 代以上も同じように、大きな病 院がないのを不便に感じているという語りもあったが、城端から城端外にある病院行き のバスが出ていることもあり、差し迫って、不自由に感じている人はいないと言える。
4.城端のイメージに対する語り
ここまで、城端にどのような施設、商店が欲しいかに関する住民の語りについてみて きたが、その語りの中には、娯楽施設や大型のスーパーができることで、城端の景観が 壊れてしまうならば必要ないというような、城端のイメージに対する語りが多く見られ た。
そこで、これからは、住民の城端に関する語りから、住民が城端に対してどのような イメージを持っているのかについて見ていきたい。
4-1. 城端の文化について
30 代の女性は「大きなデパートとかできればいいと思うけど、むぎやや曳山の情緒 あるイメージを壊してしまうかもしれないから無理には必要ないかも」と、施設よりも 麦屋祭や曳山祭といった城端ならではの文化を優先すべきではないかと語る。ほかにも