∑鴇
6.3 環境賞の利用価値および非利用価値
( 1 ) Choke Pri¢○が存在する場合の非利用価値
ここでは, CVおよびEVを用いて定義した環境質
の質的変化がもたらす総便益は,利用価値Ⅳse
Va血e)と非利用価値pontLSe Vdtw)との加法分離形
として表現可能であることを示す.本研究における
利用価値とは,評価する環境質を直接的に利用して得られる便益および環境質との物理的・空間的距離 に係わらず書籍・画像等による情報を得るという間 接的な利用から得られる便益を意味する.一方,非 利用価値とは,環境質を直接的にも間接的にも利用
することなく得られる便益を意味している.これは, KrudnaDによる「環境・資源から得られるサービス を利用して効用を得ることを期待せず,或いは,意 図せずに,環境・資源の質的・量的サービス畳の変 化に対する個人のWTP,或いは, WTA」という定 義に依拠している:環境賞の限界的な質的変化がもたらす稔価値(29)
式は, Choke PTiceを用いて表現すると(32)式および
(33)式の加法分離形として表現することが可能であ
る.
Totd V血‑ eb,i,p:,p:,qvo,us)‑eG':,p:,p:,qv,us) 再掲(29)
(eb霊,・pu:i,)p?=iq:, ,u呂)I
」
eb1‑2b:, qyo,us)p:, qvo, u
‑eb:,pis,p: ,qYO,uS) eb:Zb: ,qwo, uB)p: ,qWO, uS)
‑eb:Zb:,qv,u8)p:,qV
まず, (33)式におけるp諒,qs,us)は,環境水準qs ,
合成財の価格p:ぉよび達成すべき効用水準usが所 与の下で,直接的利用サービス21および間接的利用 サービスzZを享受することを意図しなくなるような
極めて高い価格p:68,qB,uB)ぉよぴp;68,q8,uB)の組み 合わせある.また, eb.'26,:,qWO,us)p:,qVO,uS)は,直
接的および間接的利用サービスを享受することを意 図しないにも係わらず効用水準を維持するための必
要最小所得を 表 し て い る.ま た, ebI'26:,qy,V')p:,qy,uB)についても同様の解釈が可 能である.したがって, (33)式は,外生的状況を示 す6・:, q8,uB)がwithおよびwithout両状態において環境
賞を直接的または間接的に利用しないことを意図し
ないにも係わらず,効用水準Ⅶ'を維持するためにヽヽ
補償されるべき必要最小所得の変化分を意味してい
る.ゆえに, (33)式は,概念的に環境質の非利用価 値(ここでは,敢えて純非利用価値ohrc Nonuse V血e)とも称する)であると解釈できる.また, (32)式の中括弧第1項は,環境質の質的水
準q'において,環境賞を直接的にも間接的にも利
用することを意図しなくなるようなcbkc Pdceを与 えたときの必要最小所得と,環境賞の質的水準q'におけるS(S『dth,without)状態における必要最小所
得との差を表している.また,中括弧第2項は,堤 境質の質的水準が√○であることに注意すれば同様 の解釈が可能である.すなわち, (32)式は環境質の 質的変化前後において環境賞を直接的および間接的 に利用することにより得られる価値の増加分を意味 していることから,概念的に利用価値であると解釈 できる.
以上の議論より,稔価値は,利用価値および非利 用価値との加法分離形として(34)式のように定式化 可能であることが分かる.
Total VahLe ‑ eG':,p;,p:,qvo,uS)‑ eG',I,p;,p:,qv,us) eG',126':, qv,uS)p:,qY,u8
‑ebts,p;,p:,qv,u,)
(
+
[
¶へー・ノ
eG'l'lb:,qW,u8)p:,qVO
‑ e虹,p:,p:,qvo,ul) eG'L'血,qvo,us)p:,qvo,us)
‑ eb,',ら:,qv,us)p: ,qv,
¶へーノ1」=日月
Iu lu
‑ lUse vah・e]・ ENonyse Value] (34)
(2) Choke Priceが存在しない場合の非利用価値 稔価値が前節のように利用価値および非利用価値 に分解可能であるためには,環境質の直接的利用お よび間接的利用を意図しなくなるようなchoke Ptice であるp.謳,qs,us)が存在することが前提となる.こ こで, Choke Pdceの定義である(30)式および(31)式 を勘案すると,仮に, Cbke PTiceが定義不可能であ
るということは,ある効用水準を達成するためには
環境質を一定水準以上利用している必要があることと同義であることが分かる.したがって,この場合 は,環境質を直接的かつ間接的な利用を意図しなく なるような状況下の必要最小所得(これまでの議論
においてeb:2鋲,qs,ua)p:,qs,us) iこ相当する)が概念
的に無限大であると考えられる.本研究では,非利 用価値はMaの定義に依拠しており,より正確
には「環境質の質的変化に起因する効用の変化分を,環境質を直接的および間接的には利用することを意
図しないという前提の下でのWTP,或いは, WTA」と定義されることから, Cbke Priccの存在 の有無によって,以下の3ケースに分類し,非利用 価値の理論的定義を試みる.
a) p謳,qyo,u8)が存在しない場合の非利用価値 まず,環境質の質的水準がwithout状態における
choke PTiceであるP舟,qwo,us)が存在しない場合は,
witho山状態において環境質を直接的にも間接的に も利用することを意図しない場合の必要最小所得は, 概念的に無限大であると考えられる.一方,wi血状 態においては, Choke Priccが存在することから eG・諒,qv,us)p:,qv,us)が定義可能である.すなわち,
この場合の非利用価値は,無限値と有限値の差分と なることから, (35i式のように無限大となる.
Nonwe Vdue
=‑‑eb,濾,qv・us)p:,qv,u8)‑‑ (35)
b) p舟,qB,us)が存在しない場合の非利用価値 この場合は,without状態およびwi也状態の何れの 状態においても環境質を直接的かつ間接的な利用を 意図しなくなるような場合の必要最小所得は,概念 的に無限大であると考えられる.すなわち,非利用 価値ば,無限値と無限値の差分となり,無限値また は有限値の双方をとる可能性が残る.
C) p舟,qv,u8)が存在しない場合の非利用価値 最後に, wi血状態におけるChoke Pdceである p:2bB,qY,u8)が存在しない場合は,with状態におい
て環境質を直接的にも間接的にも利用することを意 図しない場合の必要最小所得は,概念的に無限大で あると考えられる.一方,without状態においては, Choke Priceが 存 在 す る こ と か ら cG・:26:,qvo,us)p:,qvo,u8)が定義可能である.すなわ
ち,この場合の非利用価値は,有限値と無限値の差 分となることから, (36)式のように無限大となる.
No〝〝se Vahle
=eG・:之G,:,qvo,uB),:,qVO,u恒‑lQ (36)
(3)直接的および間接的利用価値の定式化 ここでは,環境質の限界的な質的変化がもたらす 利用価値を分解することを試みる.すなわち, (32) 式の利用価値は, (37)式および(38)式の加法分離形
として表現することが可能であることを示す.
Use I/血e =
+
eG'鶴p:,qv,uS)p;,p:,qV,u
‑ e駁,p;,p:,qv,uB)
eG滝,p: ,qvo,uBlp:,p:,qVO,u5
‑ eG':,p;,p: ,qyo,uS)
e6':16:,qy,us)p:,qy ,us)
‑ e¢鶴p: ,qv,us)p; ,p:
‑i
iiiiS
'
▼ 8】′
eb:心,qVO,uslp:,qVO,us)
‑ eb:伝,p:,qvo,us〉p;,p:,qyo,us
(38)
(37)式の中括弧第1項は,環境質の質的水準qvに おいて,環境賞を直接的な利用を意図しなくなるよ
うな⊂抄ke PriccであるP偏,p:,qv,us)を与えたとき
の必要最小所得と,環境質の質的水準√における 最小必要所得との差を意味してる.また,中括弧第 2項は,環境賞の質的水準が√○であることに注意 すれば同様の解釈が可能である.ここで, (37)式で
与えられる間接的利用サービスの価格Plは,市場
で与えられる価格P2のままであることに注意が必S要である.したがって, (37)式は,環境質の質的変 化において環境質を直接的に利用することにより得 られる価値の増加分を意味していることから,概念
的に直接的利用価値pircct Use V血C)であると解釈 できる.
一方, (38)式の中括弧第1項は,環境質の質的水
準でおよび環境質を直接的かつ間接的な利用を意
図しなくなるような価格p,.26:,qy,u4)の下での必要 最小所得と,環境質の直接的な利用を意図しなくな
るようなchoke P.iceであるPこら;,P:,qy,uB)を与えた
ときの必要最小所得との差を意味してる.また,中 括弧第2項は,環境質の質的水準がq'oであること に注意すれば同様の解釈が可能である.すなわち, (38)式は環境質の質的変化において,環境賞を直接 的な利用を意図しないという条件は固定のまま,間 接的に利用することにより得られる価値の増加分を 意味している.すなわち, (38)式は,直接的に利用 することを意図しないという純粋な状況における間 接的利用価値を意味しており,本研究では純間接的
利用価値qtuc I血ct Use V血e)と定義する.
ここで, (38)式におけるPrb:,p:,q8,uB)を p:<p.'伝,p:,qS,uS)という条件が成立するp:に置き 換えた場合に導かれる(39)式についても(38)式と同
様の解釈が可能であり,間接的利用価値(hdiTeCt Use Valtw)が直接的な利用水準によって様々な定義
が可能であることには注意が必要である.
肋d Use Value
eら;,p;6':,p: , qy ,us)p: ,qy ,u
‑ Cも;,p:,p:,qv,us)
e厨,p源,p: ,qvo,uS)p: , qvo,u
‑ e駁,p;,p: , qyo,us)
(39)
既存の環境質の価値分類においては直接的利用価 値および間接的利用価値が個別に表現されているも のの,本研究によれば, (39)式より,直接および間 接的利用価値は,互いの利用水準に依存しているこ とが分かる.ここで,世帯は,第1に間接的利用量 を決定し,第2に間接的利用サービスから得られる 情報により直接的利用量を合理的に決定するという 2段階の意思決定過程を仮定すると,直接的利用価 値は所与である間接的利用量の下で定義されるもの であり,一方,間接的利用価値は,直接的な利用を 意図しない状況下で定義されるものであると考える ことができる.このとき,既存の間接的利用価値の 概念は,本研究で定義した純間接的利用価値と一致 することは明らかである.なお,上記の仮定,すな わち,利用価値の分離については,直接的利用量が
情報等から合理的に決定可能であるという構造を説 明し得るモデル構築が必要と思われるが別稿に譲る
ものとしたい.以上より,利用価値は直接的利用価値および純間 接的利用価値の加法分離形として(40)式のように定 式化が可能であることが示された.
Use VoLye =
eb:26:,qv ,us)p:,qv,u8
‑e駁,p:,p:,qv,u8)
〈
斗ノ
eG':遍, qYO,uB)p:, qVO,u 一壷,p:,p:,qm,uS)
eG':伝,p: ,qv, uS) p:,p:,qY,u8
‑C駁,p;,p:,qw,us)
‑(
(
巧ノ耳ノ
eb碇p: ,qvo,us) p:,p:, qvo,u
‑ e触,p:,p:,qvo,u8)
eb:26:,qv ,us)p: ,qv ,uS)
‑ eb.'b92,P: ,qv ,uB)p:,p: ,qV,u
(
eb.'2触, qvo, u8)pst, qVO,us)
‑ eG舟,p: ,qvo,u8) p:,p:, qVO,u8
lDb・ecf Use VaJue]+ lpure lndl'rect Use Value]
ヽヽ
(40)
(4)環境賞の価値分類
前節では,環境質の賓的変化に対する稔価値が, 利用価値および非利用価値に理論的に分離されるこ
とを示した.また,利用価値は直接的利用価値およ び間接的利用価値から構成されることを示したもの の, (39)式が示しているように直接および間接的利 用価値は互いの利用水準に依存していることから, 各々を個別に計測することは不可能であることが分 かる.すなわち,直接的利用価値および間接的利用 価値を定義するためには,直接的な利用と間接的な 利用の間に,依存関係を明示的に考慮する必要があ るものと考えられる.
一方,環境質の価値分類に関しては, McComellの,
R血血山 ad Stoll岬, FreeTTull'およびBishop and
welsh'2'由耕究により,ほぼ体系化されている.し かし,これらの研究の間麓点の一つとして,間接的 利用価値が概念的な整理に終始しており,理論的な
定式化がなされていないという点にある.それに対
して本研究では,環境質から享受されるサービスを を直接的利用サービスと間接的利用サービスに大別 した便益評価モデルを構築することにより,環境質 の質的水準の変化がもたらす直接的利用価値および 間接的利用価値を理論的に定式化した.義一1には, 本研究における環境賞の価値分類を示す.なお,本 研究は既存の環境質の価値分類における存在価値に 着目したものであり,義‑1においては,オプション価値(opdon Vdue),遺産価値pequest v血e)およ び代位価値(ⅥcadoⅦs Vdqe)は考慮していない.
表‑1 環境賞の価値分類 利用価値 ノ ゥ4凉駅 幵 鰍によりのみ発生する 価値
紺雑兵的利用価値 ケy駅 / リ+X, (,Rツ 質に関する情報等か問射りサービ スの利用により発生する価値
才幹 儖 y駅 幵 塀のu用
(鈍非利用価値) リ+X, (,Rノ ツ ることのみに対して発生する
以上,本研究では, CVおよびEVの概念で定義し た龍価値が利用価値および非利用価値に分離可能で あることを示したのみならず,既存の環境質価値の 分類図に理論的な根拠を与えた.
6.4 環境賞の各価値の計測可能性
本研究において定式化した総価値,利用価値およ び非利用価値は,支出関数または効用関数を用いて 表現されているため,それらが示す符号は,支出関 数(同時に効用関数)の形状によって決定されている
と考えられる.そこで,ここでは,まず第1に,非 利用価値の符号を支出関数の形状から考察すること, 第2に利用価値および非利用価値の符号を規定する 支出関数の条件を導出する.
(1 )非利用価値の計測可能性
本研究において定式化した非利用価値を積分形で 表現したものを(41)式に示す.
Nonuse I/a血e
[
eb:2b: ,qwo,uS)p: ,qVO,us)
‑eb:26:,qw,uS)p:,qv,uB
一津26: , qL:8) p≡ , q・ uB)dq
「. 刈
(41)
また, Chke PTiceの定義である(31)式を用いると (41)式は(42)式のように表現することができる.
Nw仙〜 ≡ ‑I: ∂eb:26: ,q,us) p:,q・ us)dq
∂q
= ‑I.I:
∂e6.,p2 ,P: ,q,us) ap.
. ∂p:6,:,p:,q,us) p:ip:・q・us) ∂q
. ∂p瀬,p:,q,us p:巌q・us) ∂q
p歳・q・u s) dq (42)
非利用価値の有する符号については2つの解釈が
考えられる.その第1の解釈は,直接的利用に加え
て環境質に対する情報をも包含した意味での間接的 利用さえも意図しないという状況において,環境質 の非利用価値はゼロであるという主張である.また, 第2の解釈は,直接的および間接的な利用を意図し ない状況においても,例えば,テレビの宣伝,口コミ等の対価が無いような情報によって価値が発生し, 非利用価値が正の符号を有するというものである.
以下,本研究では,非利用価値が如何なる符号を 示しうるかを検討する.
支出関数がe(I)=皇p・&.P・Xであることおよび‥」‥
Choke Priceの定義である(31)式を用いると, (41)式 は(43)式のように表現することができる.