• 検索結果がありません。

1.2

1.1

O.3

O.2

〈0 0・1

o

一〇.1

一 a−Agl

−A一 B−Agl

一〇.2 O O.2 O.4 O.6 O.8 1 1.2       Agイオンのポイント

図3.2.3.13

α一AgI、β一AgIにおけるAgイオンの移動に伴う 移動Agイオンと周辺Agイオン間の結合次数の変化

一一 84 一

1.2

1.1

癒  1

〈ロ

  O.9

O.8

O.7

一[卜α一AgI

−tX一 B 一Ag 1

一〇.2 0 O.2 O.4 O.6 O.8 1 1.2 Agイオンのポイント

図3.2.3.14

α一AgI、β一AgIにおけるAgイオンの移動に伴う

移動Agイオンと周辺イオン問の総結合次数の変化

一85一

iE

O.2

O.15

O.1

O.05

o

一〇.05

一〇.1

一〇.15

一〇.2

一〇.2 O

Oe2 O・4 O・6 O−8 1 le2

Agイオンのポイント

図3.2.3.15

α一AgI、β一AgIにおけるAgイオンの移動に伴う

移動Agイオンの実効電荷の変化

一86一

3−3 イオン伝導度のパラメーター

 ある物体が電気を通すということは、電圧をかけたときに、その物質 中に、電荷を持った粒子(荷電担体)が存在していて、それが移動する ことによる。どの程度電気を通すかの尺度である電気伝導度σ(Scm−1)

6=enpt

で表される。ここで、eは荷電担体1個あたりのもつ電気量(電気素量)、

nは単位体積中の荷電担体の数、すなわち荷電担体の濃度、μは電場が かかったとき荷電担体がどれくらい動きやすいかを示す量で、移動度と 呼ばれる。eは定数であるので、σはnとμによって変化することにな

る。

 荷電担体がイオンの場合、イオン伝導と呼ばれる。固体中でイオン伝 導が生じる場合は、荷電担体となり得るイオンが存在し、且つ、ある速

さで動く必要がある。イオンは電子に比べてはるかに大きいサイズ(半 径)と質量をもつので、一般に固体中を移動するのは困難である。その ため、ある種の特別な条件が満たされたときに、初めて固体中の移動が 観察される。その条件として、格子欠陥や層状構造、平均構造などがわ

かっている。

 これらのことから考えると、固体のイオン伝導度には、それらを構成 する分子の構造や原子間の結合状態が大きく関わっていることがわかる。

そこで、固体の結合状態を計算し解析を行った結果を用いれば、固体の イオン伝導度の目安となるパラメーターを見つけることができるのでは ないかと考えた。

一87一

3−3−1 M13×14クラスターモデルと計算条件

 固体状態のイオン伝導度が明らかにされている、1価の陽イオンにな

りやすいAg・Na・Li・Kのハロゲン化物について、イオン伝導度

の目安となるパラメーターの検討を行った。

 対象としたハロゲン化物は、すべて岩塩型構造の単位格子を計算に用 いた。そのクラスターモデルを図3.3.1に示す。

図中、1価の陽イオンを小さい球で、ハロゲン化物イオンを大きい球で 示した。1価の陽イオンとハロゲン化物イオンとの結合距離は文献を参 考に決定した。計算には、イオン同士のクーロンカを考慮するために、

マーデルングポテンシャルを計算に取り入れた。

一88一

Xイオン

( 1,Br,Cl, F)

Mイオン

(Ag , K, Na , li)

図3.3.1M13×14クラスターモデル

一89一

3−3−2 活性化エネルギー・結合次数・軌道エネルギー・一・一の相関 イオン伝導度κは以下の式で表される。

    K :K, exp(一Ea/kT)

κoは定数、Eaは活性化エネルギー一、kはボルツマン定数、Tは絶対 温度を表している。イオン伝導度の値をそのまま用いた場合、物質問の 値の差が大きすぎるため、比較が難しくなる。そのため、化学結合に関 連した値であり、イオン伝導度も反映している活1生化エネルギーの値を 用いた。固体状態における無機化合物のイオン伝導度の活性化エネルギ ーの値は、文献(5)を参考にした。活性化エネルギーは値が小さいもの ほど、イオン伝導度が大きくなる。一方、理論計算より得られる物質内 の陽イオンとハロゲン化物イオンとの結合状態を表すパラメーターとし て、陽イオンの結合次数を用いた。結合次数は、共有結合性の目安であ り、共有結合性は結合する軌道同士のエネルギー準位により決まる。つ まり、陽イオンの結合次数を取り上げることにより陽イオン、陰イオン の軌道のエネルギー差を含む結合状態を反映できると考えた。さらに、

ハロゲン化物内の結合に寄与の大きい陽イオンの外殻軌道のエネルギー を用いた。これは、イオン伝導が起きる際に、ハロゲンとの結合の変化 に最も寄与している軌道の状態を考慮するためである。今回の計算では、

陽イオンにアルカリ金属イオンを多く用いたので、アルカリ金属や銀の 最外殻であるs軌道のエネルギーを用いた。活性化エネルギー、結合次 数、軌道エネルギー間の相関を調べ、イオン伝導度に影響を与える電子 論的パラメーターについて検討した。

 図3.3.2.1に、結合次数と活性化エネルギーの間の相関を示した。

図の縦軸には活性化エネルギーを、横軸には中心陽イオンの結合次数を 結合数6で割った値を平均結合数として示してある。図中の直線は、す べての値について一次式で最小二乗近似した直線である。

 陽イオンについて比較すると、Agのハロゲン化物は最も平均結合次 数が大きく活性化エネルギーが小さい傾向がみられる。Liのハロゲン 化物についてはAgよりやや活性化エネルギーが大きく平均結合次数が

一 90 一一

小さい。Kのハロゲン化物は、これらの中では活性化エネルギーが大き く平均結合次数が小さい傾向を示している。Naのハロゲン化物は、活 性化エネルギーと結合次数のばらつきが大きく、他の陽イオンと比べ異

なった傾向を示している。

 ハロゲンよる違いについてみると、ヨウ化銀も含めて考えた場合、ヨ ウ化物の活性化エネルギーがそれぞれのハロゲン化物の中で最も小さい 値を示している。また、平均結合次数は、臭化物、塩化物に比べ若干小

さな値を取る傾向があることがわかる。臭化物、塩化物の平均結合次数 については、Naのハロゲン化物を除き、近い値を示している。活性化 エネルギーについても臭化物、塩化物は近い値を示しているが、Ag、

Kでは塩化物が小さい値をとり、Li、Naでは臭化物が小さな値とな

り、両者の間にはっきりとした差はみられない。フッ化物については、一 活性化エネルギーが大きく平均結合次数が小さい傾向がある。全体をみ

ると、平均結合次数と活性化エネルギーの間には、弱い負の相関がみら れるが、陽イオンやハロゲン化物イオンの違いによる傾向は、あまりは

っきりしない。

 図3.3.2.2に、s軌道のエネルギーと活性化エネルギーの間の相関を示 す。縦軸には活性化エネルギV一一一・、横軸には各ハロゲン化物中の中心陽イ オンのs軌道のエネルギv一・・一一を示した。図に示した直線は、すべての値に ついて一次式で最小二乗近似した直線である。

 図から、Agのハロゲン化物とLi、Naのヨウ化物は特にs軌道エ

ネルギー、活性化エネルギーともに低い値を示していることがわかる。

また、Kとしiのフッ化物はs軌道エネルギv・一一一、活性化エネルギーとも に高い値を示している。全体的な傾向をみると、s軌道のエネルギーと 活性化エネルギーの問には正の相関がみられる。s軌道のエネルギーが 低いものほど活性化エネルギーが低くなり、イオン伝導度が高くなると いう関係がみられる。結合次数と活性化エネルギーの相関の図と比較し ても値のばらつきが少なく、よい相関を示していることがわかる。

 これらのことから、結果として、s軌道のエネルギs一一一一とイオン伝導の 活性化エネルギ・一一・・の間に、大変よい相関があることがわかった。

一91一

230

210

190

活 170化 150

ノレ 130

1   110

90

フO

O.02

■k13f14

li13f14

■kユ3br14

巳na13cl14

k13i14■k13cl14

■na

嘔na13f14 ■li13cl14

■li13br14

li13i14

■na13i14

aq13b ag1

lna13br14

ag13cl14

O.04 O.06 O.08 O.1 O.12 O.14 O.16 O.18 O.2

     平均結合次数

図3.3.2.1

 固体状態の無機化合物における、中心陽イオンの  結合次数とイオン伝導の活性化エネルギーの相関

一92一

230

210

190

活170

エ  ユら 

ノレ

ギ 130 1

 110

90

70

團k13f14

圏li13f14 睡k13br14

@1 圏na13c114 na13br!4u羅、、ム、、4k13c114

團li13c114

@  羅㌔a 13f14

圏li13br14

aq13br14       1

@   翻醗li13i14

@ na13i14 aq!3c114

2

4 6 8 10 12

  最外殻s軌道エネルギー

14

図3.3.2.2

 固体状態の無機化合物における、中心陽イオンの 外殻s軌道エネルギーとイオン伝導の活性化エネ  ルギーの相関

一93一

第4章 結論

 本研究で得られた結論についてまとめる。

01価陽イオンとハロゲン化物イオンの結合状態

・1価陽イオンとハロゲン化物の結合状態について検討を行った結 果、

 結合次数と実効電荷の相関がs電子元素、d電子元素、金属p電子元  素、非金属p電子元素の4つのタイプに分類することができた。

・アルカリ金属、アルカリ土類金属は結合次数と実効電荷の問に特に良  い負の相関がみられた。

・1価の陽イオンになりやすい元素のなかでAgとCuはアルカリ金属  と比較して結合次数が低く、ハロゲンとの相互作用が弱い傾向を示し

 た。

○銀系超イオン伝導体の電子状態

・α一AgI結晶学のAgイオンと1イオンの結合には、主にAg4d

 と15pが関与しており、占有軌道に、反結合性の成分を持つという  特徴があった。

・α一AgI型クラスターを用いて、陽イオンがAgの場合とNaの場

 合について比較を行った結果、Agを用いた場合、移動Agイオンと  周辺Agイオンの間の結合次数が八面体隙間で大きく増加し、 Agイ  オンの移動に伴う周囲のすべてのイオンとの間の総結合次数の変化が  小さくなることがわかった。

 結合次数の減少量が、移動の際の活性化エネルギーの大きさに対応す

 ると考えられることから、よりAgイオンは、α一AgI型の結晶中

 で、Naイオンに比べ移動し易いことがわかった。

・Agイオンの移動に伴う、α一AgI中のおよびβ一AgI中のAg

 イオンの電子状態を比較した結果、α一一AgI中のAgイオンは、1  イオンとの間の結合次数の減少が小さく、Agイオンの移動に伴う総  結合次数の変化が小さくなることがわかった。また、β一AgI中の  Agイオンは、移動に伴う共有結合性の変化が大きく、活性化エネル

 ギー・一一が大きくなるためイオン伝導性が低くなることがわかった。

一94一

関連したドキュメント