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無担保貸付モデルに関するゲーム分析

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 33-36)

第 2 章 農村貸付のゲーム分析―農民と銀行の関係―

2.2 農戸と金融機関のゲーム分析

2.2.2 無担保貸付モデルに関するゲーム分析

仮に、銀行が、融資する農民に抵当品の提供あるいは第三者保証を要求しないと、農民 は自分の信用だけで貸付を取得し、それを返済保証とする場合の貸付方式は無担保貸付で ある。上述の基本仮説と説明の前提でのゲーム双方プレイヤーは、完全ベイジアンナッシ ュ均衡においては、部分ゲームの結果経路は(貸付申請、貸付提供)になる。ただし、こ のような均衡はパレート最適ではない。それによるゲーム双方プレイヤーの収益マトリク ス(利得行列)は、表 2-2 の通りである。

表 2-2 農銀双方の収益マトリクス(利得行列) (農民の利得、銀行の利得) 銀行の貸付選択

農民類型

貸付同意 貸付拒否

低リスク農民 UL-R,R 0,RM

高リスク農民 max[UH-R, S], ΦR 0,RM

出所: Zhengguang Zhang(2014) “An Analysis on the Rural Loan Game―The Game between Farmers and Banks.”Economic,Business Management and Education Innovation, Vol33,pp.119.

ゲームツリー(展開型ゲーム)でこのゲーム過程を表示すると、図 2-2 のようになる。

図 2-2 自然プレイヤーN を含む、農銀のゲームモデル

出所: Zhengguang Zhang(2014) “An Analysis on the Rural Loan Game―The Game between Farmers and Banks.”Economic,Business Management and Education Innovation, Vol33,pp.119.

ゲームの第一段階では、自然が一つの高リスク或いは低リスクの農民類型を選択する。

それから第二段階では、農民は貸付を申請するかしないかを選択する。もし申請するを選 択したら、それは、この選択行為が事業にプラスの期待収益をもたらすという判断からで ある。高リスク農民と低リスク農民のすべては、ゼロ以上の期待収益がある貸付を申請す る。もし、低リスク農民 L が貸付を申請すると、その期待利得は下記の通りである。

E(θ⁄ ) = PL 2(UL− R) + (1 − P2) × 0 = P2(UL− R) > 0 (2-1)

この式は、低リスク農民 L が1の確率で貸付を申請することを明らかにしている。もし 高リスク農民 H が貸付を申請すると、その期待利得は下記の通りである。

E(θ⁄ ) = PH 1× max[UH− R, S] + (1 − P1) × 0 ≥ P1S > 0

(2-2)

従って、同様の高リスク農民 H が貸付を申請する確率はP(θ⁄ ) = 1である。 H

ゲームの第三段階では、銀行が行動を行い、農民のリスク類型を識別し、貸付をするか

しないかを決定する。銀行は農民リスクの類型に対する判断(信念)を調整(更新)した ら、下記と計算する。

P(L/θ) = P(L)P(θ/L)/[P(L)P(θ/L) + P(H)P(θ⁄ )] H

(2-3)

同様の計算法で計算すると、

P(θ⁄ ) = P(H)。 H

また、上述の式から、銀行の貸付に対する希望収益を、下記の通りに、計算することが できる。

E(B/θ) = P(L) × R + P(H) ×ΦR = P(L) × R + [1 − P(L)] ×ΦR = P(L) × (1 −Φ)R +ΦR

(2-4)

従って、E(B/θ) ≥ RMの場合、

P(L) × (1 −Φ)R +ΦR ≥ RM

P(L) ≥ (RM−ΦR) (1 −⁄ Φ)RP ∗

(2-5)

P(L) ≥ P ∗があれば、このゲームは混合戦略均衡になる。

混合戦略均衡の場合、これは、市場の一部(真正部分集合)のみが成功になっているケ ースである。このとき、銀行の期待収益そのものは黒字要求を満たすが、一部の資金が高 リスク農民の所に流れていることになる。混合戦略ベイジアン均衡によると、銀行は良い 農民を拒否する側面もあり、あるいは悪い農民を引き受ける側面もあることから、双方の 利益に損失を招く可能性がある。それ以外にも、利率制限の影響で、銀行はリスクのレベ ルで利率を調整することができないため、市場平均利率を採用することしかできない。こ

うなると、良い農民であってもより高い利率を引き受けなければならなくなる。逆に、悪 い農民はより低い利率を取得できる可能性がある。その結果は、良い農民のモチベーショ ンが影響されるという意味で、逆選択が発生していることになる。

より多くの高リスク農民が市場にいる場合、いうまでもなくP(L)は下がる。銀行が自分 の選択を絶えずに調整(信念更新)するに伴い、E(B/θ)は必ず徐々にマイナスになって しまう。この時の銀行の最適な戦略選択は、すべての融資農民の貸付を拒否することであ る。

以上のような、無担保貸付モデルのゲーム結果は、非対象情報が存在するので、銀行は 自分の利益を保護する為に選択する最適な戦略が、農民貸付を拒否する、或いは少しだけ 引き受ける、ことであることが明らかとなった。銀行のやり方は、自分の利益のためにす る者にも、また、業績が優れた農民にも悪影響をもたらし、したがって、社会的利益にも 悪い影響を与える。もし銀行が、数多くの融資農民から良い農民と悪い農民を区分けでき るとすれば、或いは、もし、融資農民が自分が良い農民であることを(無視できるほどの 低コストで)証明できるとすれば、或いは、悪い農民が良い農民に偽装するコストが高す ぎること等の理由が存在するために(結果的に、事実上)良い農民に偽装できない状況が できれば、悪い農民は自ずと明らか(明示)になる。もし、農民に資金を取得後、経営業 績が悪い生産や、非生産収益(たとえば農業以外からというだけでなく、賭博に使う等)

に投資すれば、十分な収益をもらえなくなると予想できれば、彼らはもっと積極的に融資 をしなくなり、徐々に貸付市場から撤退する(王丽颖,2005)。こうなると、経営業績が良 い農民の比率が上がり、E(B/θ)はプラスになる。従って、銀行と良い農民は、収益面を めぐって共同に改善することができる。そうであれば、社会貸付市場の全体資源も、パレ ート改善を実現できる。

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