第 3 章 PV 設置住宅群の PV 用パワーコンディショナによる無効電力
3.4 各提案手法の最適化及び効果の検証
3.4.1 無効電力量最小化制御方式に関する分析結果
(1)PVの出力抑制回避率と無効電力注入量に関する評価
本章で提案する無効電力量最小化制御方式による効果を把握するため,第一に,無効電 力量最小化制御方式における力率設定に必要なシミュレーション回数 NSIMLOOPの増加に対 する PVの出力抑制回避率 IMPallSUPrate及び無効電力注入率Qrateの変化に関する分析を行 った。図 3- 13にNSIMLOOPと IMPallSUPrateの相関図を,図3- 14に NSIMLOOPとQrateの相関図 をそれぞれ示す。図 3- 13より,IMPallSUPrateが最大化するまでに必要なNLOOPは,
D2>C1>C2>A1の順になることが確認できた。D2が他の系統よりもNSIMLOOPが増えたのは,
D2では1回のNSIMLOOP増加に対して1軒の住宅の力率設定が変更されるのに対して,他の
3系統ではNSIMLOOP増加に対して3軒の住宅の力率設定が変更されるためである。以下,
C1>C2>A1の順番になったのは,住宅グループ数の差が要因であり,住宅グループ数が多
い C1のNSIMLOOPが多くなる結果となった。
IMPallSUPrateは系統によらず NSIMLOOPの増加に従い,徐々に増加率が小さくなる。これ
は,NSIMLOOPが小さい場合は系統末端の住宅グループの力率設定が行われるが,NSIMLOOP
の増加に伴い徐々に PVの出力抑制回避率の小さい住宅グループにおいて力率設定が実施 されるためである。IMPallSUPrateはいずれの系統でも大きい差はなく,19%から21.5%の間 となった。一方無効電力注入率 Qrateは,図3- 14 に示すとおり,D2>A1>C2>C1の順にな ることが確認できた。D2の Qrateが最大となったのは, D2の住宅グループには,1軒の 住宅しか存在しないのに対して,他の系統では 3軒の住宅が存在することから,低圧系統 における PVの出力抑制回避率に差が生じるためである。一方,他の 3系統では住宅グル ープ内の住宅数が同一であるため,高圧系統の距離の差が PVの出力抑制回避率の差にな
0 20 40 60 80 100 120 140 160
0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00
負荷電力(kW) A1
C1 C2 D2
45 っているものと推定される。
図 3- 13 NSIMLOOPとIMPallSUPrateの相関
図 3- 14 NSIMLOOPとQrateの相関
(2)無効電力量最小化制御方式と標準方式の比較
次に,無効電力量最小化制御方式と標準方式について無効電力量注入率 Qrate及び PV の出力抑制回避率IMPallSUPrate及び無効電力を注入する住宅の割合QRESrateに関する評価 を行った。図3- 15に標準方式と無効電力最小化方式のQrateの比較結果を,図 3- 16に標 準方式と無効電力量最小化方式のIMPallSUPrateの比較結果を,図3- 17に標準方式と無 効電力量最小化方式のQRESrateの比較結果をそれぞれ示す。ただし,図 3- 15では系統別 の各方式におけるQrateの最大値で,図3- 16 では系統別の各方式におけるIMPallSUPrate
の最大値でそれぞれ規格化した値を記載する。
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IMPallSUPrate
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Qrate
NSIMLOOP
A1 C1 C2 D2
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図 3- 15より無効電力量最小化制御方式のQrateは,A1は 80.6%,C1は 89.2%,C2は
87.8%,D2は80.2%と標準方式に対して最大約 20%低減可能であることが確認できた。
一方図3- 16より,標準方式のIMPallSUPrateに対する無効電力量最小化制御方式の
IMPallSUPrateの割合は,A1は 93.1%, C1は 98.9%,C2は97.3%,D2は97.1%と標準方 式のQrateに対する無効電力量最小化制御方式のQrateの割合よりも少なくなることが確 認できた。また,図3- 17に示すとおり,無効電力量最小化制御方式においては,全住 宅数に対する無効電力を注入する住宅数の割合QRESrateも,標準方式と比較して,大幅に 低減可能であり,全系統共通で約20%低減可能であることが確認できた。以上,Qrate
やQRESrateの低減幅が,IMPallSUPrateの低減幅よりも大きいことから,提案する無効電力
量最小化制御方式の効果が明らかになった。なお, 無効電力量最小化制御方式のQrate
やQRESrateの低減が可能なのは,図3- 18に示す1住宅1プロットで示すISUPnrateとQnrate
の相関図のとおり,標準方式では無効電力制御を実施しない場合の各住宅のPVの出力 抑制率ISUPnrateがわずかでも発生している住宅にて無効電力注入率Qnrateが発生してい るが,無効電力量最小化制御方式においては,ISUPnrateが10%未満の住宅にてQnrateが 発生せず,逆にISUPnrateが10%以上の住宅のQnrateが大きくなっていることが要因であ る。
以上,本章で提案する無効電力量最小化制御方式により,IMPallSUPrateを維持しつつ Qrateの最小化及びQRESrateの大幅な削減が可能であることが確認できた。
図 3- 15 標準方式と無効電力最小化方式のQrate比較結果
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力率0.975 力率0.95 力率0.925 力率0.9 力率0.875 力率0.85 提案手法
Qrate(最大値で規格化)
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図 3- 16 標準方式と無効電力最小化方式のIMPallSUPrate比較結果
図3- 17 標準方式と無効電力最小化方式の QRESrate比較結果
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80%
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95%
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力率0.975 力率0.95 力率0.925 力率0.9 力率0.875 力率0.85 提案手法
IMPallSUPrate(最大値で規格化) A1 C1 C2 D2
60%
65%
70%
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90%
95%
100%
力率0.975 力率0.95 力率0.925 力率0.9 力率0.875 力率0.85 提案手法
QRESrate
A1 C1 C2 D2
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(a) 無効電力量最小化制御方式
(b) 標準方式(力率0.9) 図3- 18 ISUPnrateとQnrateの相関
(3)住宅毎の注入無効電力量のばらつき
無効電力量最小化制御方式と標準方式について,住宅間の注入無効電力量のばらつきσ
Qの比較評価を行った。ただし,無効電力量最小化制御方式では,σQに関する特段の制御 を実施していないため,参考値として記載する。図 3- 19に標準方式と無効電力量最小化 制御方式のσQの比較結果を示す。図 3- 19より,全系統の IMPallSUPrateが概ね一致する標 準方式の力率設定 0.925から0.85のσQと比較して,無効電力量最小化制御方式における σQは,標準方式の力率設定 0.9よりは大きくなるが,標準方式の力率設定0.85や 0.875 よりは小さくなることが確認できた。これは,無効電力量最小化制御方式は,コミュニテ
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Qn rate
ISUPnrate
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Qn rate
ISUPnrate
A1 C1 C2 D2
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ィ全体の無効電力量を最小化するための制御であり,無効電力を注入する住宅率 QRESrate
は少なくなるが,IMPallSUPrateが概ね一致する標準方式よりもσQはやや大きくなることを 意味する。
図3- 19 標準方式と提案手法のσQ比較結果