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1.4 健全度評価

1.4.1 点検毎の変状ランク

点検毎の変状は,以下のとおりランク分けし,評価項目毎に評価基準を設定すること を基本とする。

ランク区分 異常・変状の状態

a 異常・変状が発生していない状態

b 異常・変状が発生しているが,機能低下には至っていない状態 c 異常・変状が発生し,所要の機能が低下している状態

d 大きな異常・変状が発生し,所要の機能が著しく低下している状態

【解説】

河道や河川管理施設に対する維持管理は,機能の喪失や低下につながらないよう,

その健全性を維持することを目的として行うが,この健全性を適切に評価するため,

変状の程度を4段階のランクで区分し判定を行う。

変状のランクは評価項目毎に評価基準(閾値等)を設定し,点検により得られた結 果がどのランクに該当するかを判定できるようにする。

1.4.1.1 維持管理における評価項目および評価基準

維持管理における評価項目および評価基準について,設定根拠を以下に示す。なお,

評価基準の閾値は,最新の技術知見に基づくものであり,実際の適用にあたっては,

管理者が実状に応じカスタマイズの上で,適用する必要がある。

a)河床に対する評価基準

表 1.4.1 河床に対する評価基準

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

河 床 低 下 近 傍 の 最 深

河 床 高 計 画 河 床 高 計 画 河 床 高 以 下 計 画 河 床 高 ~ 計 画 河 床 高 - 1.0m 未 満

計 画 河 床 高 - 1.0m 以 下

(設定根拠)

河床に対する評価基準は,維持すべき河床高と根入れ長を考慮して設定する。

① 維持すべき河床高

従来の河道計画では,「計画河床高」を定め,これに対して河道掘削や,護岸工,

橋梁等の河川管理施設の計画・設計を行ってきたことから,築造時の計画条件等を 考慮して,維持すべき河床高の目安を,以下のとおりとする。

維持すべき河床高の目安:計画河床高

② 根入れ長

護岸工,橋梁等は,従来から計画河床高(もしくは現況河床高)に対して一定の 根入れ長を確保して計画されており,この根入れ長までは洗掘等が発生しても安全 な構造となっている。一般的な河川構造物の根入れ長に関する規定は以下のとおり となっている。

表 1.4.2 河川構造物の一般的な根入れ長

種類 根入れ長 出 典

護岸工 0.5~1.5m 河川砂防技術基準(案)同解説 設計編[Ⅰ] p.35

護岸の力学設計法 p.98

橋梁(橋脚) 低水路部2.0m 河川管理施設等構造令 第62条

b)根固工に対する評価基準

表 1.4.3 根固工に対する評価基準

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

移 動 ・ 散

構 造 物 前 面 の 根 固 工 平 坦 幅

変 状 な し 周 辺 と 比 べ て 平 坦

幅 の 低 下 を 確 認 2.0m未 満 2.0m以 上

沈 下

根 固 工 の 移 動 ・ 散 乱 及 び 沈 下

変 状 な し

部 分 的 に ご く 小 さ な 移 動( ず れ )が 見 ら れ る 。

石 ,ブ ロ ッ ク が 沈 下 , 移 動 又 は 散 乱 し て い る 。

石 ,ブ ロ ッ ク が 大 規 模 又 は 広 範 囲 に 移 動 ,散 乱 又 は 沈 下 し て い る 。 ブ ロ ッ ク

等 の 破 損

ブ ロ ッ ク 破

変 状 な し 小 さ な ひ び 割 れ が 発 生 し て い る 。

破 損 ブ ロ ッ ク は 多 数 あ る が , 配 置 の 乱 れ は 少 な い 。

破 損 ブ ロ ッ ク が 多 数 あ り 配 置 の 乱 れ が 生 じ て い る 。

(設定根拠)

護岸等の崩壊は,基礎部の洗掘を契機として生じることが多いため,根固工は,

その地点の流勢を減じ,さらに河床を直接覆うことで,急激な洗掘を緩和する目的 で設置される。

根固工の敷設幅を決める際の考え方として,「河川砂防技術基準(案)同解説 設計編[Ⅰ]p.35」では,以下のように規定されている。

・ 護岸前面に河床低下が生じても最低 1 列もしくは 2m 程度以上の平坦幅が確 保されることが必要

c)高水敷に対する評価基準

表 1.4.4 高水敷に対する評価基準

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

侵 食 ・ 堆

侵 食 ・ 堆 積 変 状 な し 高 水 敷 の 侵 食 の 兆 候 が あ る 。

広 範 囲 に わ た る 高 水 敷 の 侵 食 が あ る 。

(設定根拠)

低水護岸がない高水敷幅の評価は,下表のとおりとする。

表 1.4.5 セグメントによる侵食の照査基準 2) 河道のセグメント分類 照査基準

(1洪水で侵食される高水敷幅の目安)

1 40m程度

2-1 高水敷幅b>低水河岸高Hの5倍 2-2および3 高水敷幅b>低水河岸高Hの2~3倍

d)護岸に対する評価基準(基礎工,コンクリート表面の変状)

表 1.4.6 護岸に対する評価基準(基礎工)

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

ひ び 割 れ 変 状 な し

小 さ な ひ び 割 れ( ひ び 割 れ 幅 0.2mm 度 ) が 生 じ て い る 。

や や 大 き な ひ び 割 れ や 小 さ な 亀 裂 が 生 じ て い る 。

部 材 背 面 ま で 達 す る ひ び 割 れ ・ 亀 裂 が 生 じ て い る (5mm 当 )。

沈 下 ・ 陥 没 部 分 的 な 沈 下 が

見 ら れ る 。 沈 下 に よ る 凹 部 が

目 立 つ 。 陥 没 が あ る 。

剥 離 ・ 損 傷

ご く 小 規 模 の 剥 離 ・ 損 傷 が 生 じ て い る 。

広 範 囲 で あ っ て も 表 面 の 剥 離・損 傷 が 生 じ て い る 。

表 面 だ け で な く 部 材 の 深 部 ま で 剥 離 ・ 損 傷 が 及 ん で い る 。

広 範 囲 に 破 損 , ま た は 流 出 し て い る 。

目 地 の 状 況

地 部 , 打 継 ぎ 部 に わ ず か な ず れ , 段 差 , 開 き が 見 ら れ る 。

目 地 部 ,打 継 ぎ 部 に ず れ が あ る が ,水 の 浸 透 は な い 。

目 地 部 , 打 継 ぎ 部 よ り 水 の 浸 透 が あ る 。

目 地 部 , 打 継 ぎ 部 の ず れ が 大 き く , 堤 体 土 砂 の 流 出 が 見 ら れ る 。

基 礎 工 , コ ン ク リ ー ト 表 面 の 変 状

鉄 筋 の 腐 食 一 部 に 錆 汁 , 点 錆 が 見 ら れ る 。

錆 汁 が 多 く ,鉄 筋 腐 食 が 広 範 囲 に 認 め ら れ る 。

浮 き 錆 が 多 く , 鉄 筋 表 面 の 大 部 分 あ る い は 全 周 に 亘 る 腐 食 が 広 範 囲 に 認 め ら れ る 。

浮 き 錆 が 著 し く , 鉄 筋 断 面 積 の 有 意 な 現 象 が 全 域 に 亘 っ て い る 。

(設定根拠)

評価基準の閾値は,「国土交通省河川局治水課:河川における高潮堤防点検・対策 指針(案)・同解説【試行案】,2009.8」を参考に設定している。実際の適用にあた っては,管理者が実状に応じカスタマイズの上で,適用する必要がある。

e)護岸に対する評価基準(ブロック積み及び石積みの変状)

表 1.4.7 護岸に対する評価基準(ブロック及び石積みの変状)

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

ひ び 割 れ

( 横 ク ラ ッ ク )

横 ク ラ ッ ク な し

ブ ロ ッ ク な ど の 目 地 部 分 に 沿 っ て 水 平 方 向 ク ラ ッ ク が あ る

ブ ロ ッ ク な ど の 目 地 部 及 び ブ ロ ッ ク な ど 自 体 に も 水 平 ク ラ ッ ク が あ る

ブ ロ ッ ク な ど の 目 地 部 及 び ブ ロ ッ ク な ど に 水 平 方 向 ク ラ ッ ク が あ り , さ ら に ク ラ ッ ク が 開 い て い る ひ び 割 れ

(縦 ,斜 め ク ラ ッ ク )

縦 , 斜 め ク ラ ッ ク な し

ブ ロ ッ ク な ど に 沿 っ て 縦 ,斜 め ク ラ ッ ク が あ る

ブ ロ ッ ク な ど に 沿 っ た 縦・斜 め ク ラ ッ ク の 幅 が 大 き く ,隙 間 が で き て い る

擁 壁 に 縦 ・ 斜 め ク ラ ッ ク が あ り , ず れ が 生 じ て い る

水 平 移 動 水 平 移 動 な し

目 地 部 に5mm 満 の 前 後 の ず れ が あ る

目 地 部 に 5mm 2cm 未 満 の 前 後 の ず れ が あ る

目 地 部 に2cm以 上 の 前 後 の ず れ が あ る 不 同 沈 下

( 目 地 開 き )

不 同 沈 下 な し

目 地 部 に5mm 満 の 上 下 の ず れ 又 は 左 右 の 開 き が あ る

目 地 部 に 5mm 2cm 未 満 の 上 下 の ず れ 又 は 左 右 の 開 き が あ る

目 地 部 に2cm以 上 の 上 下 の ず れ 又 は 左 右 の 開 き が あ る

ふ く ら み ふ く ら み な し

擁 壁 全 体 が 前 方 へ ふ く ら ん で い

ふ く ら み が 更 に 大 き く な り 途 中 の ブ ロ ッ ク な ど に 隙 間 が 生 じ て い る

全 面 へ の ふ く ら み が 大 き く , 途 中 の ブ ロ ッ ク な ど に 抜 け 落 ち が み ら れ る 護 岸 の 変

状 ( ブ ロ ッ ク 及 び 石 積 み の 変 状 )

傾 斜 ・ 折 損 傾 斜 ・ 折 損 な し

擁 壁 全 体 が わ ず か に 前 傾 ( 後 傾 ) し て い る

擁 壁 全 体 が 明 ら か に 前 傾( 後 傾 )し て い る

擁 壁 全 体 が 明 ら か に 前 傾 ( 後 傾 ) し , か つ 途 中 に 折 損 が み ら れ る

(設定根拠)

評価基準の閾値は,「国土交通省:我が家の擁壁チェックシート(案)」を参考に 設定している。実際の適用にあたっては,管理者が実状に応じカスタマイズの上で,

適用する必要がある。

f)天端に対する評価基準

表 1.4.8 天端に対する評価基準

評価基準(変状等のランク)

評価項目

a

天 端 の 変 状 , 陥 没

陥 没 の 有 無 ・ 沈 下 量 ・ 不 陸 の 有 無

部 分 的 な 沈 下 が

見 ら れ る 沈 下 に よ る 凹 部

が 目 立 つ 陥 没 が あ る

(設定根拠)

評価基準の閾値は,「国土交通省河川局治水課:河川における高潮堤防点検・対策 指針(案)・同解説【試行案】,2009.8」を参考に設定している。実際の適用にあた っては,管理者が実状に応じカスタマイズの上で,適用する必要がある。

これまでの評価基準を整理した評価基準一覧表は,次頁に示すとおりである。

表 1.4.9 評価項目および評価基準一覧表(最新の技術的知見に基づく整理)

評価基準(変状等のランク)

位置 評価項目

a

河床低下 近 傍 の 最 深

河床高 計画河床高 計画河床高以下 計画河床高~計画河床 高-1.0m未満

計画河床高-1.0m 河床

その他(深掘れ,樹木の繁 茂,土砂等の堆積状況)

移動・散乱

構 造 物 前 面 の 根 固 工 平 坦幅

変状なし

周辺と比べて平 坦幅の低下を確

2.0m以上 2.0m未満

沈下

根 固 工 の 移 動・散乱及び 沈下

変状なし

部分的にごく小 さな移動(ずれ)

が見られる。

石,ブロックが沈下,

移 動 又 は 散 乱 し て い る。

石,ブロックが大規模 又は広範囲に移動,散 乱又は沈下している。

根固め

ブ ロ ッ ク 等の破損

ブ ロ ッ ク 破

変状なし

小さなひび割れ が 発 生 し て い る。

破損ブロックは多数あ るが,配置の乱れは少 ない。

破損ブロックが多数あ り配置の乱れが生じて いる。

高水敷 侵食・堆積 侵食・堆積 変状なし 高水敷の侵食の兆候が ある。

広範囲にわたる高水敷 の侵食がある。

ひび割れ 変状なし

小さなひび割れ

( ひ び 割 れ 幅 0.2mm程度)が 生じている。

やや大きなひび割れや 小さな亀裂が生じてい る。

部材背面まで達するひ び割れ・亀裂が生じて いる(5mm相当)。

沈下・陥没 部分的な沈下

が見られる。 沈下による凹部が目立

つ。 陥没がある。

剥離・損傷

ごく小規模の 剥離・損傷が 生じている。

広範囲であって も表面の剥離・

損傷が生じてい る。

表面だけでなく部材の 深部まで剥離・損傷が 及んでいる。

広範囲に破損,または 流出している。

目地の状況

地部,打継ぎ 部にわずかな ずれ,段差,

開きが見られ る。

目地部,打継ぎ 部にずれがある が,水の浸透は ない。

目地部,打継ぎ部より 水の浸透がある。

目地部,打継ぎ部のず れが大きく,堤体土砂 の流出が見られる。

基礎工,コ ン ク リ ー ト 表 面 の 変状

鉄筋の腐食

一部に錆汁,

点錆が見られ る。

錆汁が多く,鉄 筋腐食が広範囲 に認められる。

浮き錆が多く,鉄筋表 面の大部分あるいは全 周に亘る腐食が広範囲 に認められる。

浮き錆が著しく,鉄筋 断面積の有意な現象が 全域に亘っている。

ひび割れ

( 横 ク ラ ッ ク)

横クラックな

ブロックなどの 目地部分に沿っ て水平方向クラ ックがある

ブロックなどの目地部 及びブロックなど自体 にも水平クラックがあ

ブロックなどの目地部 及びブロックなどに水 平 方 向 ク ラ ッ ク が あ り,さらにクラックが 開いている

ひび割れ (縦,斜めク ラック)

縦,斜めクラ ックなし

ブロックなどに 沿って縦,斜め クラックがある

ブロックなどに沿った 縦・斜めクラックの幅 が大きく,隙間ができ ている

擁壁に縦・斜めクラッ クがあり,ずれが生じ ている

水平移動 水平移動なし

目 地 部 に 5mm 未満の前後のず れがある

目 地 部 に 5mm~2cm 未満の前後のずれがあ

目地部に2cm以上の前

後のずれがある

不同沈下

(目地開き) 不同沈下なし

目 地 部 に 5mm 未満の上下のず れ又は左右の開 きがある

目 地 部 に 5mm~2cm 未満の上下のずれ又は 左右の開きがある

目地部に2cm以上の上

下のずれ又は左右の開 きがある

ふくらみ ふくらみなし

擁壁全体が前方 へふくらんでい

ふくらみが更に大きく なり途中のブロックな どに隙間が生じている

全面へのふくらみが大 きく,途中のブロック などに抜け落ちがみら れる

護岸

護 岸 の 変 状(ブロッ ク 及 び 石 積 み の 変 状)

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