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災害発生時の取組

ドキュメント内 01_表紙_Ver.-2.2 (ページ 56-62)

災害時要援護者支援指針 第4編

(2) 情報提供の方法

災害時要援護者が情報から孤立しないよう、災害時要援護者の態様に応じた多様な 情報提供手段の活用を図る。

また、福祉サービス事業者、支援団体、外国人コミュニティ・支援団体等の関係団 体に対しても情報提供を行い、協力を求める。

なお、障害者差別解消法の規定により、意思疎通手段について、障害者から合理的 配慮の求めがあった場合は、過重な負担ではない範囲内で対応しなければならない(市 町手話言語条例等を定めている場合はその規定も参照)。

【災害時要援護者への情報提供の際の配慮事項(例)】

対象者 配 慮 事 項

視覚障害者 ○わかりやすい口調で伝える。 ○音声で複数回繰り返す。

○拡大文字による情報提供を行う。 ○点字による情報提供に努める。

○盲ろう通訳やガイドヘルパー等を避難所等に派遣する。

○Eメールを活用した情報提供(音声読み上げ機能使用)

聴覚障害者 ○筆談や文字、絵等を組み合わせて情報を伝える。

○盲ろう通訳や介助員、手話通訳者、要約筆記者を避難所等に派遣する。

○掲示板、ファクシミリ、Eメールを活用した情報提供を行うとともに、

文字放送専用テレビの避難所への設置に努める。

知的障害者 ○具体的に、わかりやすく情報を伝える。

○コミュニケーションボードなどを活用し、絵図、文字などを組み合わせ て理解しやすい方法で情報を伝える。

精神障害者 ○精神的に不安定になる場合があることに配慮し、正確な情報伝達を行う。

○リラックスした雰囲気を作り、警戒心を抱かせないように伝える。

日本語に不慣れな外国人 ○多言語及び絵図による情報提供を行う。

【障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供】

3 安否確認、救助・避難支援の実施 (1) 基本的な考え方

風水害や津波など、発生までに時間がある災害については、避難支援組織等が地域 住民に対して情報伝達するとともに、避難誘導、避難支援を行う。

地震や大規模事故などの突発的な災害の場合は、避難支援組織等が発生後に地域の 住民の安否確認を行い、救助・避難支援を実施する。

特定の障害者(介助者を含む)から、合理的配慮の提供を求める意思の表明(言語とは限ら ない)があった場合に、過重な負担にならないのであれば、対応しなければならない(行政機 関は法的義務、事業者は努力義務)

過重な負担か否かは、①事務・事業への影響の程度、②実現可能性の程度、③費用・負担の 程度、④事務・事業規模、⑤財政・財務状況から、個別事案ごとに総合的に判断する。

なお、合理的配慮の提供ができないと判断した場合は、障害者に対して理由の説明が求めら れる(聴覚障害者から手話による対応を求められた場合、「手話ができない・手話通訳者が手 配できないから対応不可」とするのではなく、代替的手段として筆談によるコミュニケーショ ンを提案する)

【風水害・津波の場合】

【地震等の場合】

(2) 安否確認

災害が発生したときは、直後から避難行動要支援者名簿等に基づき、地域の避難支 援組織、福祉サービス事業者や支援団体を通じて避難行動要支援者等の安否確認を行 い、災害時要援護者支援班等において集約する。

なお、避難行動要支援者名簿に記載されていない災害時要援護者についても、避難 支援組織等の協力のもと、可能な限り安否確認を実施する。

① 地域における安否確認

避難支援組織等がエリアプラン等を活用し、災害時要援護者の安否確認を、被災 状況を勘案しながらできるだけ速やかに行う。この場合、市町から事前に名簿情報 が提供されている避難行動要支援者に加え、事前の名簿提供に同意していなかった 者についても、災害発生時には市町からのリストの提供を受け、安否確認を行う。

② 関係機関等による安否確認

管内の社会福祉施設及び福祉避難所として指定している施設の被害や負傷者等の 状況を把握する。また、障害者団体、家族会、患者会など、災害時要援護者に関係 する当事者団体からも情報収集を図る。

外国人については、外国人コミュニティ・支援団体等及び NGO 等の関係団体等か らも被害状況を把握する。また、外国人学校、領事館等の建物の被害状況を確認す るとともに、外国人がよく利用する施設等に対しても連絡を取り、状況を確認する よう努める。

地震発生

みんなが それぞれ 安全な場 所へ避難 生き埋め等の救助活動

安否確認

(救助の必要性確認)

危険な自宅からの避難支援 避難準備・高齢

者等避難開始、

津波警報の発表

情報伝達

(住民への声かけ)

避難支援 逃げ遅れの有無の確認

みんなが それぞれ 安全な場 所へ避難

避 難 状 況 (安否情報) を 行 政 に 報告

避 難 状 況 (安否情報) を 行 政 に 報告 救助要請

【安否情報の集約方法(例)】

(3) 救助・避難支援

消防及び警察等による支援体制が整うまでには、一定の時間を要することから、避 難準備・高齢者等避難開始、津波警報発表時の避難支援や災害発生直後の避難行動要 支援者の救助及び避難支援は、地域住民の協力により対応することが求められる。

したがって、避難行動要支援者を救助し、避難所等に避難支援するよう避難支援組織 に働きかける。

なお、避難行動要支援者名簿に記載されていない災害時要援護者についても、避難 支援組織等の協力のもと、可能な限り救助・避難支援を実施する。

避難地域の避難支援組織等で救助や避難支援が対応できないケースについては、必 要に応じて消防、警察等に対して救助を要請する。

被災状況によっては、自主防災組織等が機能しないことも考えられる。避難支援組 織に連絡が取れないなど、状況が把握できない場合には、消防及び警察等と協力し、

行政側から積極的に情報収集を行って、避難行動要支援者名簿等に基づき、可能な限 り迅速に救助及び避難支援を行う。

【避難場所の考え方】

基本的には個別支援計画(マイプラン)に定めた避難先に避難支援するが、災害の 種類や現地の状況によってはこれにこだわらず、「命の危険を回避する」という視点に 立って柔軟に対応する。必要に応じて避難所、福祉避難所を追加指定する。

【水害・津波の際の避難場所の例】

○周囲が既に浸水している場合は無理に移動しない。

○十分な避難時間が確保できない場合は付近の津波一時避難ビル等に一旦避難する。

避 難

水平移動 垂直移動 その場を

立ち退く その場に とどまる

災害時に命を守るための 避難場所

安全を確保 できる空間

指定施設

安全なマンションの高い階など

自宅の2階 マンションの高層階

近くの小学校など

集落集会所 近隣の高層建物 避 難 支 援 組 織 等

地 域 の 災 害 時 要 援 護 者 の 状 況

社 会 福 祉 施 設 等 市         町

入 所 者 及 び 施 設 の 状 況 情 報 集 約 ・ 対 策 の 実 施 当 事 者 団 体 等

会 員 等 の 状 況

【救助・避難支援時の配慮事項(例)】

対象者 配 慮 事 項 ねたきりの高

齢者

車いす、ストレッチャー等の移動用具の使用が望ましいが、確保できない場合に は、担架やリヤカーの使用、おんぶなどにより避難する。

視覚障害者 白杖等を確保する。必要に応じて手引き・誘導により避難する。また、日常の生 活圏であっても災害時には環境の変化から認知地図が使用不能となる場合がある ことに配慮する。

聴覚障害者 手話や筆談(筆記用具等を用意しておく)によって、状況説明を行い、避難所等 へ誘導する。

肢体不自由者 自力で避難することが困難な場合には、車いすやストレッチャー等の移動用具等 を確保することが望ましいが、移動用具等が確保できない場合には、担架やリヤ カーの使用、おんぶなどにより避難する。

内部障害者 難病患者

常時使用している医療機材を確保するほか、医薬品を携帯するとともに、自力で 避難することが困難な場合には、車いすやストレッチャー等の移動用具等を確保 することが望ましい。

知的障害者 不安から大声や奇声を上げる等の行為があっても叱らず、気持ちを落ち着かせる。

災害の状況や避難所等の位置をわかりやすく説明し、必要に応じて誘導する。

精神障害者 災害の状況や避難所等の位置をわかりやすく説明し、必要に応じて誘導する。気 持ちを落ち着かせることに努め、必要に応じて主治医や保健所の助言を仰ぐ。

児童 災害の状況や避難所等の位置を伝えるとともに、自力で避難することが困難な場 合には、適切に誘導する。

乳幼児 保護者に災害の状況や避難所等の位置を伝えるとともに、保護者が複数の乳幼児 を抱えている場合などには必要に応じて避難支援を行う。

妊産婦 妊娠の時期や個人により身体の状態が大きく異なるため、本人に確認する必要が ある。妊娠初期は外見上では分かりにくい。妊娠後期は腹部が大きくなることか ら、足元が自分ではよく見えず、身動きが取りにくく、ちょっとした歩行でも息 があがりやすくなるため、介助することが望ましい。

(4) 避難支援組織等と名簿を共有していない避難行動要支援者への対応

避難支援組織等への名簿提供に同意せず、避難支援組織等と名簿を共有していない 避難行動要支援者についても、災害の発生により、安否確認や救助・避難支援を要す る状況になった場合には、避難支援組織等へ本人の同意なしで名簿を提供し、可能な 限り早期の安否確認、救助・避難支援を行う。

そのためにも、避難支援組織等に対しては、情報共有を望んでいない人が当該地域 に何人在住しているかといった個人を特定できない範囲で情報を、十分な情報管理の もとであらかじめ提供し、必要に応じてエリアプランに組み込む等、それに対応でき る体制を用意してもらうなどの対策を講じておくことが望ましい。

(5) 避難支援者の安全確保

避難支援に際しては、避難支援者本人又は支援者の家族等の生命及び身体の安全が 確保されていることが大前提である。避難支援者は、地域の実情や災害の状況に応じ て、可能な範囲で避難支援を行う。

なお、津波浸水想定区域内における避難支援活動については、津波到達までに短い 時間しかないため、「気象庁が発表する津波到達予想時刻までの時間」から「避難時間」

(安全な高台等へ退避するために要する時間)や「安全時間」(安全・確実に退避が完 了するよう、余裕を見込んだ時間)を差し引いた「活動可能時間」を設定し、それを

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