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災害時要援護者に対する生活支援

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指定避難所へ行く

(小中高校・市民会館・体育館等)

妊産婦・乳幼児・障害者・

要援護の高齢者・外国人含む

指定外の施設へ行く

(集会所・ガレージ・事業所など)

妊産婦・乳幼児・障害者・

要援護の高齢者・外国人含む

自宅にとどまる 親族知人宅に身をよせる

(在宅避難)

妊産婦・乳幼児・障害者・

要援護の高齢者・外国人含む

多少の食糧備蓄があっても、当日か

翌日にはすぐ尽きる。持ち寄る。 互いに食糧や水を持ち寄って過ごす 備蓄した食糧や水のほか、あるもの で過ごす。

プライバシー無し、不衛生 周囲に迷惑で避難所に居られない

食料や生活物資、情報が近隣で手に入らない 避難所を出る

が支援なし

避難所にもらいに

行くが断られるかも ボランティア の支援も限界

災害時要援護者に対する生活支援

災害時要援護者支援指針 第5編

実施し、災害時要援護者であることが把握できるようにしておくか、あるいは別途、

災害時要援護者の名簿を作成の上、避難所の管理者と協力してフォローする。

○ 調査は地域包括支援センターや社会福祉協議会、災害ボランティアセンターや居 宅介護事業所等と連携して実施する。

(3) 主な調査内容 ○ 心身の健康状態

○ 日常生活で困っていること

○ 希望する保健・医療や福祉サービス

2 要援護者トリアージの実施 (1) 基本的な考え方

ローラー作戦による調査結果を踏まえ、「助かる命を救う」という視点に立って、個々 の災害時要援護者の優先度、ニーズに応じた保健・医療や福祉サービスを調整する。ト リアージを誰が行うか(保健師、看護師、精神保健福祉士等)、どのタイミングで実施 するか、どのような基準で判断するか等を、あらかじめ決めておく。

(2) 医療機関への移送等

医療機関等と連携を図り、重症患者等が発生した場合には速やかに医療機関へ移送 する。

また、治療や医薬品、医療機器が必要で、被災地での対応が困難な患者については 被災地外の医療機関への移送や被災地外への避難も考慮する。

(3) 社会福祉施設等への緊急入所等

避難所や自宅で生活することができない高齢者等については、特別養護老人ホー ム・障害者支援施設等への緊急入所、ショートステイの利用により対応する。また、

保護者等が児童等を養育することが困難又は不可能な場合は、児童養護施設等への緊 急入所の措置を講じる。

なお、災害時を含め、やむを得ない事情がある場合は定員を超過して入所者を受け 入れることが可能であるため、必要に応じてこれらの規定も活用する。ただし、従来 からの入所者にとって、定員超過での受入は環境変化やサービス量の低下をもたらす 可能性があり、また、自らも被災者であり得る施設職員に過重な負担となる恐れもあ る。したがって、受入時にはこれらの要素も勘案する必要がある。

【東日本大震災における事例(宮城県)

施設への入所が必要な高齢者の移送先の確保はもとより、搬送手段の確保が困難であり、自 衛隊のヘリも要請しつつ、県社協と連携し、車両・燃料・運転手の提供を受け搬送を実施した。

また、福祉施設等に対して定員超過による受入を要請する通知を発出するとともに、受入要 請の様式を作成・活用し受入調整を行った。

・被災施設の入所者の受入調整:304名 ・在宅被災者の受入調整 : 32名

(4) 福祉避難所への移送

○ 避難所や自宅で生活することが困難な災害時要援護者については、直ちに福祉 避難所に移送する(可能な限り、本人の状態(高齢者か障害者か)や特性(身体 障害者か知的障害者か等)に適した福祉避難所に移送する)。

○ あらかじめ指定した福祉避難所のみでは量的に不足する場合は、県(国)と協 議の上、域内の社会福祉施設や公的宿泊施設、旅館・ホテルの借り上げ等により、

福祉避難所として対応する。

○ 小・中学校等一般の避難所に併設する場合には、独立した部屋を用意するなど、

一般の避難スペースとは明確に区分する。

○ 福祉避難所には、相談等に当たる支援員等を配置し、日常生活上の支援を行う。

○ 福祉避難所においては、避難者の生活状況等を把握し、必要な保健・福祉サー ビスを提供する。

○ 災害時要援護者の安心に配慮し、災害時要援護者の家族や介護者についても、

避難状況等を勘案の上、必要に応じて福祉避難所に避難させる。

※ 福祉避難所については「避難所管理運営指針」を参照

3 専門家による支援 (1) 基本的な考え方

災害時要援護者は非常に多様なニーズを有しており、対応の遅れが命の危険につな がる可能性があるため、医師、看護師、保健師、臨床心理士、社会福祉士、精神保健 福祉士、理学療法士、ホームヘルパー等の専門家による支援チームを設置するなどし て必要なサービスを迅速に提供し、必要に応じて地域の医療機関等へ適切につないで いく仕組みを構築する。

個別の避難所では対応が困難なことから、市町災害時要援護者支援班で一元的に調 整を行うことが望ましい。

なお、市町で必要な専門家の確保が困難な場合は、県に対して支援要請を行い、専 門家の確保を図る。

(2) 健康面のケアの実施

県、市町は、救護班による巡回診療や、保健師、栄養士、介護福祉士等と連携を図 り、避難所や在宅の災害時要援護者に対し、適宜巡回して健康相談を実施する。また、

災害時要援護者の心身の健康状態を把握し、保健指導や栄養指導を行い、疾病の予防 や心身の機能低下の予防に努める。医療が必要な場合や災害前からの治療が中断され ている場合は、速やかにかかりつけの医師等の医療機関を紹介し受診勧奨する。

【熊本地震における事例(熊本県)

厚生労働省通知により、定員超過により人員配置基準や施設設備基準を満たさなくなった場 合も報酬減額等を行わないという弾力的な措置が行われた。

(3) 保健・福祉サービスの実施

災害時要援護者の実態調査に基づき、社会福祉協議会、福祉サービス事業者等と連 携した多様な保健・福祉サービスを提供し、生活を支援する。

避難先においても福祉サービス等を継続利用できるよう、福祉サービス事業者と調 整を行う(避難所等の避難先を居宅とみなして、訪問介護等の居宅サービスを実施で きる)。

また、熊本地震においては、入所サービスと同様、通所サービスでも定員を超過し ての利用者の受入や、避難所等で障害者等に補装具や日常生活用具が必要となった場 合に、耐用年数等の如何に関わらずに支給・給付できるといった弾力的な対応も行わ れた。必要に応じ、これらの仕組みも積極的に活用する必要がある。

なお、市町等の判断により、介護保険サービスや障害福祉サービス等の提供に当た り、利用者負担を減免等することも可能である。

○ 入浴サービス等の提供 ○ 移動支援等の提供

○ 居宅サービス(訪問介護、居宅介護等)の提供 ○ 通所サービス(デイサービス、生活介護等)の実施 ○ 訪問看護サービスの実施

○ 保育サービスの実施 等

(4) こころのケアの実施

阪神・淡路大震災では、トウラマ(心的外傷)や PTSD(心的外傷後ストレス障害)

など、被災者に対するこころのケアの重要性が再認識された。

このため、災害時から市町と県(健康福祉事務所、精神保健福祉センター等)、ここ ろのケアセンターが連携し、被災者のこころのケア対策を実施する。

また、こころのケアは生活の再建まで、中長期的な対策が必要である。

【兵庫県こころのケアチーム(ひょうご DPAT)】

県内外における自然災害、犯罪事件や航空機・列車事故等の大規模災害における被災者及び 支援者に対し、精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門チームとして設置している(平 成26年12月~)。

○構成

精神科医、精神科看護師、精神保健福祉士または臨床心理士、ロジスティック(県職員等)

○チーム数

6機関46チーム(各チーム4~5名で構成)

○活動内容

・保健師等チームや医療救護班と連携した精神科医療の提供や支援者支援 ・避難所の巡回、仮設住宅の訪問

(5) 特別な医療ニーズへの対応

① 人工透析を必要とする災害時要援護者への医療対応

慢性腎不全患者は定期的かつ継続的な人工透析が不可欠であることから、災害発 生後、避難行動要支援者名簿等から人工透析患者を把握し、その所在を確認すると ともに、医療機関と連絡調整を図り、人工透析患者の受入体制を確保する。

② 難病患者等への医療対応

難病の治療等には、人工呼吸器等の特殊な医療機器や特定の医薬品が不可欠であ り、常に医薬品を確保し、使用することが求められる。そのため、県健康福祉事務 所と連携して避難行動要支援者名簿等から難病患者等を把握し、その所在を確認す るとともに、医療機関と連絡調整を図り、医薬品等の適切な確保など、難病治療が 滞ることがないよう治療体制を確保する。

③ 在宅酸素療養中の災害時要援護者への医療対応

呼吸器や心臓の機能障害等により酸素吸入を必要とする低肺機能の災害時要援護 者においては、小型酸素ボンベの携帯が必要であり、酸素の充填やスペアボンベが 必要となる。そのため、低肺機能者である災害時要援護者を把握し、その所在を確 認するとともに、酸素の確保等を行い、円滑な酸素供給体制を講じる(県は、医薬 品、医療機器、酸素等医療用ガス等の調達について、関係団体と協定を締結してい る)。

【特別な医療ニーズ(主なもの)】

【参考 難病等の治療に必要な医薬品等】

○ パーキンソン病の抗パーキンソン薬 ○ クローン病の成分栄養

○ 膠原病のステロイド系薬品

○ 糖尿病のインスリン 等

対象 必要資機材等

在宅人工呼吸療法者 アンビューバック、人工呼吸器用バッテリー、手動式又はバッテ リー内蔵吸引器、吸引用チューブ

在宅酸素療法者 酸素濃縮器又は携帯用酸素ボンベ

人工透析患者 (腹膜透析患者)人工透析液バック、加温器 特殊薬剤服用者

糖尿病患者 血糖測定器、注射器具一式、インスリン 心疾患患者 ニトロ舌下錠

臓器移植後患者 免疫抑制剤

在宅経管栄養療法者 栄養チューブセット、経管栄養剤

膀胱・直腸障害者 ストーマ用装具、カテーテル(膀胱、直腸用)

※薬品・機材の入手が困難な場合は、県に調達を依頼する。

※機材の使用やバッテリーの充電等に電気が必要となる場合があるため、必要に応じて関西 電力に対して病院や避難所の優先的な復電を要請する。

ドキュメント内 01_表紙_Ver.-2.2 (ページ 62-72)

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