• 検索結果がありません。

01_表紙_Ver.-2.2

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "01_表紙_Ver.-2.2"

Copied!
89
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

兵庫県

災害時要援護者

支援指針

(2)

1 はじめに 1 指針策定の経緯と目的 (1) 経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 (2) 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 2 本指針における用語の定義 (1) 法令等との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2 (2) 主な用語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2 3 災害時要援護者と避難行動要支援者 (1) 災害時要援護者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P3 (2) 避難行動要支援者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P4 (3) 留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P5 (4) 災害発生時の特徴的なニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P6 4 ひょうご防災減災推進条例の制定 (1) 条例制定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P8 (2) 条例の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P8 2 災害時要援護者支援の基本的な考え方 1 災害時要援護者支援の基本的な考え方 (1) 災害時要援護者本位の支援の推進・・・・・・・・・・・・・・・ P10 (2) 防災と福祉の連携強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P12 (3) 避難体制の確立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13 (4) 「つながりで守る」支え合い社会の実現・・・・・・・・・・・・ P15 (5) 「助かった命を守り、震災等関連死を防ぐ」被災者支援の強化・・ P17 (6) みんなで災害に立ち向かう意識の醸成・・・・・・・・・・・・・ P20 2 市町地域福祉計画を活用した目標設定・進捗管理 (1) 目標設定・進捗管理の重要性・・・・・・・・・・・・・・・・・ P23 (2) 市町地域福祉計画の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P23 3 災害に備えて 1 避難行動要支援者名簿の整備 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P25 (2) 市町内部組織における名簿作成・・・・・・・・・・・・・・・・・ P26 (3) 県健康福祉事務所における名簿作成・・・・・・・・・・・・・・・ P26

目次

兵庫県災害時要援護者支援指針(平成 29 年9月改訂)

(3)

(4) 地域内での名簿作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P27 (5) 名簿の更新・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P27 2 避難行動要支援者名簿の共有 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P27 (2) 個人情報保護との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P27 (3) 市町行政内部における情報共有・・・・・・・・・・・・・・・・ P30 (4) 住民等との共有・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P30 (5) 住民等と情報を共有する場合の留意点・・・・・・・・・・・・・ P30 (6) 情報共有を望まない者への対応・・・・・・・・・・・・・・・・ P31 3 支援体制の整備 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P32 (2) 地域における避難支援体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・ P32 (3) 市町における体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P35 (4) 避難支援訓練等の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P38 (5) 人材の育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P38 4 地域における避難計画の作成 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P39 (2) 個別支援計画(マイプラン)の作成・・・・・・・・・・・・・・ P40 (3) 災害時における家族の支援計画(ファミリープラン)の作成・・・ P42 (4) 災害時における地域の支援計画(エリアプラン)の作成・・・・・ P42 (5) 各プランの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P42 5 安全な避難場所の確保 (1) 命を守るための緊急避難・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P43 (2) 一般的な避難所(指定避難所)における配慮・・・・・・・・・・ P43 (3) 福祉避難所の指定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P44 (4) 食料品、生活用品等の準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P46 (5) 自宅避難者等への配慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P46 6 平常時の地域包括ケアシステム等との連携 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P46 (2) 介護・看護事業者等との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・ P47 (3) 社会福祉施設等の事業継続体制の構築促進・・・・・・・・・・・ P47 (4) 社会福祉法人相互間の協力体制の構築・・・・・・・・・・・・・ P48 (5) 難病患者等特別な配慮を要する者への対応・・・・・・・・・・・ P48 7 災害時要援護者対策に対する理解の促進 (1) 災害時要援護者とその家族等に対して・・・・・・・・・・・・・ P48 (2) 支援者に対して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P49 (3) 被災者に対して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P49 (4) 外国人への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P49 (5) 地域力の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P50

(4)

4 災害発生時の取組 1 支援体制の確保 (1) 市町の体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P51 (2) 災害時要援護者支援連絡会議(仮称)の開催・・・・・・・・・・ P51 (3) 災害ボランティアセンターと連携した支援体制の確立・・・・・・ P51 (4) 県健康福祉事務所等との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・ P51 2 情報の提供 (1) 情報の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P51 (2) 情報提供の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P52 3 安否確認、救助・避難支援の実施 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P52 (2) 安否確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P53 (3) 救助・避難支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P54 (4) 避難支援組織等と名簿を共有していない避難行動要支援者への対応・・・ P55 (5) 避難支援者の安全確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P55 5 災害時要援護者に対する生活支援 1 全被災者を対象とした調査(被災者ローラー作戦)の実施 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P57 (2) 調査の実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P57 (3) 主な調査内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P58 2 要援護者トリアージの実施 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P58 (2) 医療機関への移送等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P58 (3) 社会福祉施設等への緊急入所等・・・・・・・・・・・・・・・・ P58 (4) 福祉避難所への移送・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P59 3 専門家による支援 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P59 (2) 健康面のケアの実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P59 (3) 保健・福祉サービスの実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P60 (4) こころのケアの実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P60 (5) 特別な医療ニーズへの対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P61 4 指定避難所における対応 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P62 (2) 避難所における災害時要援護者用窓口の設置・・・・・・・・・・ P62 (3) 避難所からの迅速・具体的な支援要請・・・・・・・・・・・・・ P62 (4) 避難所における災害時要援護者に配慮した対応・・・・・・・・・ P62 (5) 避難所における介護保険サービス等の利用・・・・・・・・・・・ P62

(5)

5 応急仮設住宅等における対応 (1) 応急仮設住宅の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P64 (2) 応急仮設住宅への入居・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P64 (3) 福祉仮設住宅の設置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P64 (4) 継続的なケアの実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P64 6 その他の生活支援 (1) 災害時要援護者専用の相談窓口の設置・・・・・・・・・・・・・ P65 (2) 生活支援情報の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P65 (3) 災害時要援護者に配慮した食事の提供・・・・・・・・・・・・・ P65 (4) 生活用品の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P65 (5) 在宅の災害時要援護者への支援・・・・・・・・・・・・・・・・ P65 (6) 社会福祉施設及び入所者への支援・・・・・・・・・・・・・・・ P66 (7) 通訳者の派遣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P66 (8) 当事者団体による支援活動に対する配慮・・・・・・・・・・・・ P66 (9) 介護保険サービス等の利用促進・・・・・・・・・・・・・・・・ P66 付録1(参考様式集) ○ 避難行動要支援者のための個別支援計画(マイプラン)・・・・・・ P68 ○ 災害時における家族の避難計画(ファミリープラン)・・・・・・・ P72 ○ 災害時における地域の避難支援計画(エリアプラン)・・・・・・・ P74 付録2(ひょうご防災減災推進条例) ○ ひょうご防災減災推進条例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P77 付録3(用語集) ○ 用語集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P80 災害時に特に配慮を要する高齢者や障害者等を、災害対策基本法上は「要配慮 者」と定義されていますが、本県では、「災害時要援護者」という用語が、①阪 神・淡路大震災以降継続して使用され、県民に定着していること、②事前準備か ら災害時の避難、避難後の生活までを含めたタイムスパンを持った言葉であるこ とから、「要配慮者」ではなく、引き続き、「災害時要援護者」を使用します。 また、「個別支援計画」についても、国指針(内閣府「避難行動要支援者の避 難行動支援に関する取組指針」)では「個別計画」とされていますが、当該計画 が一人一人の避難時の支援をまとめた計画であることを踏まえ、「個別支援計画」 という用語を使用します。なお、障害福祉分野や生活保護分野においても「個別 支援計画」という仕組みがありますが、本指針においては、特に断りがない限り、 「個別支援計画」とは「個別計画」のことを指します。

(6)

5 1 指針策定の経緯と目的 (1) 経緯 阪神・淡路大震災において、高齢者や障害者等、いわゆる「災害時要援護者」とい われる方々に対する安否確認に手間取ったことや、被災後の生活支援が十分でなかっ たことなど、支援のあり方に多くの課題が生じたことから、阪神・淡路大震災の教訓 等を踏まえ、平成 14 年に「災害弱者支援指針」を策定した。 また、平成 16 年台風第 23 号災害において、災害時要援護者への情報伝達や避難支 援に関する課題が顕在化したため、平成 19 年に風水害時の避難支援を中心に内容を大 幅に拡充し、「災害時要援護者支援指針」として策定するとともに、市町向けのモデル マニュアルを作成した。 さらに、平成 21 年台風第9号災害で避難中に遭難する事例が発生したほか、平成 23 年の東日本大震災では、主に津波によって多数の災害時要援護者が犠牲になり、命 が助かった方々も、その後の避難生活で大変な不便を強いられ、なかには亡くなる方 もあった。これらを受け、平成 25 年に指針の全面的な見直しを行うとともに、地域や 住民が具体的なアクションを起こしやすくするための住民向けのガイドブックを作成 し、指針の中に組み込んだ。 その後、平成 28 年には熊本地震が発生し、高齢者や障害者、妊産婦が避難所で居場 所がない、福祉避難所に近隣の一般住民による受入要請が相次ぐ等、災害時要援護者 支援に関する課題が改めて浮き彫りになった。避難所等で、認知症を有する高齢者や 行動障害を有する知的障害者等に対し、一般住民による十分な理解や配慮が得られず、 家族とともにやむなく車中泊を行ったこと等からエコノミー症候群を発症し、死亡す るといった、いわゆる「震災関連死」の数が直接死の数を大きく上回る事態になって いる。 こうした課題とこれまでの経緯を踏まえるとともに、今後、高い確率での発生が見 込まれる南海トラフ巨大地震等を見据えて、より的確な防災減災活動が実践できるよ う、平成 29 年3月に「ひょうご防災減災推進条例」(「ひょうご安全の日を定める条例」 を改正)を制定した。本条例の趣旨を反映し、適切な自助・共助・公助の推進や、防 災と福祉の連携強化等を通じ、災害時要援護者支援に関する市町等の取組を促進する ことを目的として、「災害時要援護者支援指針」の改訂を行うこととした。 (2) 目的 本指針は、市町において作成する「災害時要援護者支援マニュアル」のガイドライ ンとなるもので、市町等における災害時要援護者支援のための日頃の備えと災害発生 時の対応のあり方を明らかにし、災害時の迅速かつ的確な取り組みに資することを目 的としている。 本指針には災害時要援護者のニーズに応える方策を網羅的に記載しており、すべて

はじめに

災害時要援護者支援指針 第1編

(7)

を用意することが理想であるが、少なくとも「災害時要援護者の命を守る」ことを最 優先課題として災害時要援護者支援を計画的かつ着実に推進することが必要である。 ※ 地域防災計画にも災害時要援護者支援の考え方やビジョンを明記しておくことが 望ましい。 2 本指針における用語の定義 (1) 法令等との関係 災害時に特に配慮を要する高齢者や障害者等を、災害対策基本法上は「要配慮者」 と定義されているが、本県では、「災害時要援護者」という用語が、①阪神・淡路大震 災以降継続して使用され、県民に定着していること、②事前準備から災害時の避難、 避難後の生活までを含めた時間経過を持った言葉であることから、「要配慮者」ではな く、引き続き、「災害時要援護者」を使用する。 また、「個別支援計画」についても、国指針(内閣府「避難行動要支援者の避難行動 支援に関する取組指針」)では「個別計画」とされているが、当該計画が一人一人の避 難時の支援をまとめた計画であることを踏まえ、「個別支援計画」という用語を使用す る。なお、障害福祉分野や生活保護分野においても「個別支援計画」という仕組みが あるが、本指針においては、特に断りがない限り、「個別支援計画」とは「個別計画」 のことを指す。 なお、市町において、「要配慮者」及び「個別計画」の用語を使用することを妨げる ものではない。 (2) 主な用語 災 害 時 要 援 護 者 高齢者や障害者、乳幼児等の防災対策において特に配慮を要する 者(災害対策基本法で定める「要配慮者」のこと) 避難行動要支援者 災害時要援護者のうち、災害が発生し、又は災害が発生する恐れ がある場合に自ら避難することが困難な者で、その円滑かつ迅速 な避難の確保を図るため特に支援を要する者 個 別 支 援 計 画 避難行動要支援者のうち、家族等の避難支援が得られない者や家 族だけでは避難が困難な者に対し、個人の具体的な避難支援方法 等を定めた計画(内閣府取組指針で定める「個別計画」のこと) マ イ プ ラ ン 本県における個別支援計画の愛称 ファミリープラン 避難行動要支援者のうち、家族等の避難支援が得られる者や避難 支援組織による支援を望まない者に対し、家族等による具体的な 避難支援方法等を定めた計画 エ リ ア プ ラ ン マイプランとファミリープランを集約し、地域として定めた避難 支援計画 避難支援等関係者 地域防災計画に基づき、避難支援等に携わる関係者(消防、警察、 民生・児童委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織等) 避 難 支 援 組 織 地域で活動する様々な避難支援等関係者によってネットワーク 化された団体

(8)

3 災害時要援護者と避難行動要支援者 (1) 災害時要援護者 本指針において、「災害時要援護者」とは、高齢者(ひとり暮らし高齢者、高齢者の み世帯、ねたきり高齢者、認知症高齢者等)、身体障害者(視覚・聴覚障害者、音声言 語機能障害者、肢体不自由者、内部障害者、難病患者等)、知的障害者、精神障害者(発 達障害者、高次脳機能障害者を含む)、妊産婦、乳幼児・児童、日本語に不慣れな外国 人等で、次のような社会的障壁(日常生活を営む上で妨げとなるもの)が存在するた めに避難行動時やその後の避難生活等に困難な状況に置かれる人たちをいう。 ① 自分の身の危険を察知できない者(周囲が危険の切迫を伝えることができない 状況に置かれている) ② 危険を知らせる情報を受け取ることができない者(意思伝達手段がなく、情報 を周囲から受け取ることができない状況に置かれている) ③ 身の危険を察知できても救助者に伝えられない者(意思伝達手段がなく、危険 を周囲に伝えることができない状況に置かれている) ④ 危険を知らせる情報を受け取っても、対応行動ができない者(情報を受け取っ ても周囲からの適切な支援行動と結びつかない状況に置かれている) ⑤ 災害時(避難準備・高齢者等避難開始の発表から平常の生活が回復するまでの 間)、被災地で生活する際に何らかの配慮が必要である者 ⑥ 性別や年齢による不利益な取扱い等を受けやすい状況に置かれている者 ⑦ 避難所等での生活が困難で、自宅や車中での避難を余儀なくされている者 ⑧ 広域避難者で、所在が行政等に把握されずに孤立させられている者 ※ 病人、旅行者、災害による負傷や長期にわたる避難生活などによって健康を害し た人や、眼鏡等を失ったことによって社会的障壁が生じた人なども災害時要援護者 となりうる。しかしながら、このような人々は災害発生後に顕在化することになり、 事前に対策を講じうる部分は少ない。 本指針では、平常時にあらかじめ災害時要援護者としての対応を考えておくべき住 民を対象として記述し、災害発生後に改めて支援が必要な住民がどれほどいるのかを 網羅的に調査の上、対応が必要な方については、本指針に準拠して支援することを求 めたい。 【社会的障壁】 社会的生活を営むうえで妨げとなる社会的な制度や慣行のことで、障害者基本法等において 定義されている。これまでは、障害の原因を疾病や外傷、その他の健康状態といった個人の責 に帰し、治療や矯正に解決を求める考え方(医学モデル)が中心であったが、現在では、障害 とは社会環境が作り出したものであり、それゆえ、この改善を図ることは社会全体の責任であ るという考え方(社会モデル)に改められた。このことにより、社会保障の課題を人権問題と してとらえられるようになった。

(9)

(2) 避難行動要支援者 災害時要援護者のうち、災害が発生し、または災害が発生する恐れがある場合に自 ら避難することが困難な者で、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を 要する者が、避難行動要支援者である。避難行動要支援者の名簿作成に当たっては、 要介護度、障害の程度、家族構成(単身世帯、高齢者のみ世帯など)等を基準に、支 援の必要性が高いか低いかという観点から対象者の重点化、優先化を図ることが重要 である。 基準の設定には様々な考え方があるが、一般的には以下の者を、標準的な避難行動 要支援者として扱うことが考えられる(内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に 関する取組指針」等参照)。 ① 介護保険法(平成9年法律第 123 号)第 19 条第1項に規定する要介護認定を 受けている者のうち、要介護3以上の判定を受けている者 ② 身体障害者福祉法(昭和 24 年法律第 283 号)第 15 条第4項の規定により身 体障害者手帳の交付を受けている者のうち、同法施行規第5条第1項第2号に 規定する障害の等級が1級または2級である者 ③ 「療育手帳制度について」(昭和 48 年9月 27 日付厚生省発児第 156 号事務次 官通知)に規定する療育手帳の交付を受けている者のうち、障害程度の判定が Aである者 ④ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和 25 年法律第 123 号)第 45 条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者のうち、 障害の等級が1級である者 ⑤ その他、単身世帯や高齢者のみの世帯の者、特定疾患を抱える者、乳幼児、 妊婦、外国人等のうち、特別な支援を要する者 名簿の作成に当たっては、上記に加え、民生・児童委員等の意見も聴き、真に支援 を要する者を網羅する。 ○要介護1であっても、認知症があり、支援を必要とするケースがある。 ○65 歳を超えて障害福祉サービスから介護保険サービスに移行した視覚・聴覚障 害者で、生活上の困難は大きいが、介護認定は比較的軽度になるケースがある。 ○障害者によっては、スティグマ(偏見)等の問題から、障害者手帳を取得して いない者も多い。 ※ この他、障害支援区分(例えば3以上)や自立支援医療の受給状況等も勘案する ことが望ましい。

(10)

【地域には様々な災害時要援護者が住んでいる】 (3) 留意事項 ① 特別なニーズへの対応・配慮 支援に当たっては、「年齢、性別、障害の有無その他の被災者の事情を踏まえ、そ の時期に応じて適切に被災者を援護すること」が求められる(災害対策基本法第2 条の2第5号)。これは、社会的に不利益な状況に置かれやすい災害時要援護者の環 境を改善するためのものである。 【女性の場合(避難所等での配慮)】 ○避難所での着替えや授乳に苦慮する。 ○性的被害を受ける。 ○生理用品の用意や入浴、トイレ時の配慮等を要する。 ○女性障害者の場合、女性であることに加え、障害者という点において、複合的 な差別の対象となることがあり、身体的介助を装う性的被害等を受ける。 【障害児の場合(本人及び両親への配慮)】 ○喀痰吸引や経管栄養等の医療的ケアを要する障害児の場合、通常の食べ物が摂 れない子どもも多く、食材を細かく切り刻んだり、すり潰したりする必要があ る。災害後に届く援助物資としての食料品は、こうしたケースを想定していな いことが多く、避難所等では再調理も難しい。 ○知的障害や発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD 等)を有する障害児の場合は、 環境の変化に対する抵抗や不安が強く、感覚過敏等で、奇声や徘徊を繰り返し て他の避難者とトラブルになり、やむなく自宅に戻ったり、車中泊を行ったり することにより、疲弊した家族を含めて震災等関連死に至る可能性もある。 ○子どもであっても、保護者(家族)だけに避難支援の負担を強いることは難し <地域住民>(誰もが災害時要援護者になりうる) <災害時要援護者> ※災害対策基本法でいう「要配慮者」 自宅で生活している人たち(グループホーム生活者を含む) 社 福 祉 施 設 入 所 者 入 院 患 者 自力では避難できない人たち(避難行動要支援者) 家族等の避難支援が得られない人たち 家族だけでは避難が困難な人たち 災害時要援護者一人ひとりのニーズに対応した支援 災害のステージで変化するニーズに対応した支援

(11)

い。被災により学校や児童通所施設(児童発達支援、放課後等デイサービス等) が閉鎖されてしまうと、保護者には休みなしのケアを強いられ、心身ともに疲 弊してしまうことになる。 ○障害児がいることを自主防災組織等に情報提供することは、保護者による抵抗 感が強い。市町は厳密な情報管理の下、避難支援の重要性を粘り強く説明する とともに、平常時から保護者や障害児と関わりのある特別支援学校の教諭や相 談支援専門員等の協力も得て、一人ひとりに即した個別支援計画(マイプラン) の作成を進める等、地域で支える体制づくりを進める必要がある。 ② グループホーム 高齢者や障害者のグループホームは入所施設ではなく、住居として定義されてい る。また、入所施設(特別養護老人ホーム、障害者支援施設等)と比較し、世話人 が利用者に対して少なく、避難時の困難が予想されるため、グループホームの入居 者は避難行動要支援者の対象に含まれる。 ③ 社会福祉施設等 ○内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(平成 25 年8月) では、「社会福祉施設入所者や長期入院患者は支援対象者の所在が明確であり、地 域の避難支援等関係者の人数が限られていることから、避難行動要支援者名簿の 対象は在宅者(一時的に入所、入院している者を含む)を優先すること」とされ ている。 ○社会福祉施設(特別養護老人ホーム、障害者支援施設等)は、災害時に福祉避難 所等として重要な役割を果たすこととなる。山間地等の土砂災害や洪水災害に脆 弱な区域に立地しているような社会福祉施設や精神科病院は、防ぎきれない大洪 水等は必ず発生するという意識を持ち、水防法等で定められた避難確保計画の作 成や避難訓練を実施することが必要である。 ○社会福祉施設等は、災害時に備え、地域社会との連携や交流を平常時から積極的 に進めておく必要がある。また、被災時を想定し、社会福祉施設間の相互応援に 関する協定等を締結しておくことが望ましい。 (4) 災害発生時の特徴的なニーズ 災害時要援護者の具体的な個別支援計画(マイプラン)の策定に当たっては、その 特徴的なニーズを把握しておく必要がある。

(12)

【災害時要援護者の特徴的なニーズ】 区 分 特 徴 的 な ニ ー ズ(例) 高 齢 者 ひとり暮らし 高 齢 者 ○同居者がいないため、緊急事態等の情報が伝わるのが遅れる場合がある。早めに 情報伝達し、避難支援することが必要 ね た き り 高 齢 者 ○自分の状況を伝えることが困難であり、被害を受けていないかどうか、支援の必 要がないかどうかを支援者側から確認することが必要 ○自力で行動することができないため、避難時は車いす等の補助器具が必要 認 知 症 高 齢 者 ○自分の状況を伝えることが困難であり、被害を受けていないかどうか、支援の必 要がないかどうかを支援者側から確認することが必要 ○自分で判断し、行動することが困難であるため、避難支援等の援助が必要 身 体 障 害 者 視 覚 障 害 者 ○視覚による情報入手が困難であり、緊迫した音声によって情報を伝え、状況説明 を正確に行うことが必要 ○日常の生活圏内でも避難が困難な場合があるため、避難支援等の援助が必要 聴 覚 障 害 者 ○音声による避難・誘導の指示の認識が困難であるため、文字、絵図、手話等を活 用した情報伝達及び状況説明が必要 音声言語機能 障 害 者 ○自分の状況等を伝える際の音声による会話が困難であるため、筆談・手話等によ りニーズを聞き取ることが必要 肢体不自由者 ○自力歩行や素早い避難が困難な場合が多いため、車いす等の補助器具が必要 内 部 障 害 者 難 病 患 者 等 ○外見からは障害があることがわからず(肝機能障害、免疫機能障害等)、自力歩 行できる方も多いが、定期的な治療や、特定の医療機材、医薬品が必要となるた め、医療機関等による支援が必要 ○障害の状況によっては自力歩行や素早い避難行動が困難で、場合によっては車い す等の補助器具が必要 ○人工呼吸器装着者などは電源の確保や医療機関の支援が必要 ○人工透析患者は3~4日以内の透析が必要なため、医療機関の支援が必要 知 的 障 害 者 ○緊急事態等の認識が不十分な場合や環境の変化による精神的な動揺が見られる 場合があるため、気持ちを落ち着かせながら、安全な場所への誘導が必要 ○コミュニケーションボードなどを活用し、絵図、文字などを組み合わせて理解し やすい方法で情報を伝える 精 神 障 害 者 ○災害発生時には、精神的動揺が激しくなる場合があるため、気持ちを落ち着かせ ることが必要 ○幻聴や幻覚(統合失調症等)により、危険を知らせる情報や避難指示等を聞き入 れないことがあるため、丁寧な誘導が必要 ○服薬を継続することが必要であるため、自ら薬の種類を把握しておくとともに、 医療機関による支援が必要 乳 幼 児 ・ 児 童 ○緊急事態の理解が十分ではなく、自力での避難や、避難そのものが困難な場合が あるため、適切な誘導が必要 妊 産 婦 ○避難後の母体の保護及び緊急時の産科医療機関との連携が必要 ○素早い避難が困難 外 国 人 (日本語が不慣れな者) ○日本語での情報が十分理解できないため、多言語や絵図による情報提供が必要 ○文化や慣習の違いから誤解や摩擦が生じる場合があるため、十分な配慮が必要

(13)

4 ひょうご防災減災推進条例の制定 (1) 条例制定の背景 平成 25 年に災害対策基本法が改正され、市町村長は避難行動要支援者名簿に記載さ れた情報を、本人同意や当該市町村条例に特別な定めがある場合に、災害発生に備え た避難支援の実施等に必要な限度で、消防機関や警察、民生・児童委員、社会福祉協 議会等の関係機関に提供できるようになった(災害発生時等緊急を要する場合は本人 同意がなくても名簿情報の提供は可能)。これにより、避難行動要支援者に関する個別 支援計画(マイプラン)の策定が進んでいくものと期待された。 しかし、実際には本人同意の取得が難航し、また、条例に特別な定めを設けるとい った措置等も十分に進んでいないこと等から、個別支援計画(マイプラン)策定の進 捗状況は、本県に限らず、全国的に見ても芳しくはない。そこで、来るべき南海トラ フ巨大地震等に備え、災害時要援護者に対する支援を強化するため、市町による条例 制定等の法制上の必要な措置の促進や、地域における防災力の向上等を図ることを目 的として、本条例を制定することとなった。 (2) 条例の概要 ① 災害時要援護者支援に関する規定 条例には、災害時要援護者支援に関する規定として、市町が避難行動要支援者等 を支援する事業に取り組むこと(第3条第1項第2号)や、自主防災組織等に避難 行動要支援者名簿を提供するために条例制定の措置等を行うこと(同第3項)、自主 防災組織等が、避難行動要支援者の避難に係る個別支援計画の策定及び当該計画に 基づく防災訓練等に取り組むこと(第5条)が規定されている。 【障害者や配慮を要する者に関するシンボルマーク】 内部障害者や難病患者、義足や人工関節を使用している者、妊娠初期の者等、外見上は分 かりづらいが、支援や配慮を要する者であることを示す各種のシンボルマークが活用されて いる。国際的に定められたものや法律の定めるもの、障害者団体や行政機関が提唱している もの等いくつか種類がある。避難所等でこれらのシンボルマークを身に付けている者がいれ ば、配慮を提供する必要がある。 ※上記はシンボルマークの一例であり、詳しくは、以下の兵庫県ホームページを参照 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf10/hw20_000000028.html 【譲りあい感謝マーク】 (兵庫県) 【ヘルプマーク】 (東京都) 【マタニティマーク】 (厚生労働省)

(14)

【条例の規定】 ② 各主体の取組 この他、県・市町・事業者・自主防災組織等・県民等の5つの主体別に、安全で 安心な社会づくりを進めるために必要な取組を規定している。 取組主体 取組の概要 県 ○県民等が行う耐震等防災減災のための活動の支援 ○防災減災に関する研究等の支援 ○市町が行う防災減災の取組を促進する事業 等 市 町 ○指定避難所の指定及び整備等を行う事業 ○避難行動要支援者や特に配慮を要する者を支援する事業 ○避難行動要支援者名簿の情報を自主防災組織等に提供する ための法制上の措置等の実施 等 事 業 者 ○災害時の事業継続等に必要な措置を定めた計画の策定 ○災害時の従業員のボランティア活動の促進 ○災害復旧等に要する物資等提供のための協定締結 等 自主防災組織等 ○地区防災計画の提案及び防災減災活動の実施 ○個別支援計画(マイプラン)の策定及び防災訓練 等 県 民 等 ○災害時のボランティア活動 ○互いに支え合う地域社会づくりに資する活動 等 (市町の取組) 第3条 市町は、防災減災の取組を推進するため、次に掲げる事業に取り組むものとする。 (1) 災害対策基本法(以下「法」という。)第 49 条の7第1項に規定する指定避難所の指 定及び整備等を行う事業 (2) 法第 49 条の 10 第1項に規定する避難行動要支援者(以下「避難行動要支援者」とい う。)その他の特に配慮を要する者を支援する事業 (3)~(5) (略) 2 (略) 3 市町は、災害の発生に備え、自主防災組織等(法第2条の2第2号に規定する自主防災 組織、自治会等の民間団体をいう。以下同じ。)に対し避難行動要支援者の法第 49 条の 11 第1項に規定する名簿情報を提供するため、同条第2項ただし書に規定する特別の定め を設ける条例を制定する等法制上の措置その他の必要な措置を行うものとする。 (自主防災組織等の取組) 第5条 自主防災組織等は、法第 42 条第3項に規定する地区防災計画の提案及び当該計画 に基づく防災減災のための活動に取り組むものとする。 2 自主防災組織等は、避難行動要支援者の避難に係る個別の支援計画の策定及び当該計画 に基づく防災訓練等に取り組むものとする。

(15)

資料3の P5 のとおり、5 1 災害時要援護者支援の基本的な考え方 (1) 災害時要援護者本位の支援の推進 ① 災害時要援護者の意思を尊重した参画と協働の推進 平成 27 年3月に策定された「仙台防災枠組 2015-2030」により、「インクルーシ ブ(排除のない)」で「アクセシブル(障壁のない)」な防災減災対策を進めること が宣言された。災害時要援護者の意思を尊重し、意思決定過程への参画と協働を進 める(例えば、地方防災会議等の意思決定過程への参画)。 また、平成 28 年4月には障害者差別解消法が施行され(障害者権利条約を平成 26 年に批准)、(a) 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止、(b) 災害時を含 めた障害者に対する合理的配慮の提供が、行政機関の法的義務となった(自治会等 による合理的配慮の提供は努力義務)。併せて、障害者からの意思の表明の有無に関 わらず、不特定多数の者を対象とする事前の環境整備(バリアフリー法に基づく公 共的施設や交通機関におけるバリアフリー化等)が求められている(行政機関、自 治会等ともに努力義務)。 ※ 合理的配慮の提供が求められるのは、特定の障害者から配慮を求める意思の表 明があった場合で、その負担が過重でない限り、避難支援や避難所等においても 対応が必要となる(多様な伝達手段による避難関連情報の発信等)。 ② 災害時ケアマネジメントの確立 災害時要援護者の特性は個人によって様々で、災害時においても、平常時のケア マネジメントを基本に置くことが重要である。それぞれの意思や能力を尊重し、本 人が持つ潜在的な力を引き出すことで、災害時要援護者は生活や環境をコントロー ルすることができるようになると考えられている(エンパワメント)。エンパワメン トには、災害時要援護者の「自助」力を最大限に高める効果も期待されることから、

災害時要援護者支援の基本的な考え方

災害時要援護者支援指針 第2編

【仙台防災枠組 2015-2030】 平成 27 年に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」において、今後 15 年間の防 災行動に関する国際的指針として採択された。顕著な気候変動、都市化の進展、グローバル経 済化等を背景にした災害の激甚化を踏まえ、世界中で災害によって失われる命や財産を減らす ために潜在的なリスク要因を減少させることを目指している。 (主な規定) ○政府は指導・規則・調整面での役割を認識し、障害者・高齢者等の関連するステークホル ダーを、政策・計画・基準の企画立案及び実施に参加させなければならない。[Ⅰ 前文] ○インクルーシブかつアクセシブル、差別のない参画と能力強化が必要で、性別・年齢・障 害の有無・文化的側面が全ての政策と実践において取り入れられるべきである。[Ⅲ 指針] ○女性や障害者に力を与え、男女平等やユニバーサルアクセスを可能とする対応・復興再 建・復旧アプローチを公的に牽引し、促進することが鍵となる。[Ⅳ 優先行動]

(16)

以下の点に留意して、個別支援計画(マイプラン)等の作成を行う。 ○支援に当たっては、「誰が助けに行くか」「どこに避難させるか」だけではなく、 災害時要援護者の置かれた環境や生活状況等をアセスメント(評価)する。 ○「どのようなことができるか」「どのようなことを望んでいるか」「どのような 配慮を必要とするか」という観点に着目する。 ○その上で、平常時からの事前準備・災害時の避難・避難後の生活までを含めた 「災害時ケアマネジメント」として、支援を組み立てる。 【災害時ケアマネジメントに基づく支援の組み立て】 【障害者への対応】 [インクルーシブ防災] 障害者や高齢者等を含め、あらゆる人の命を支える防災を目指していこうとするもので、 例えば仙台市等で積極的に取組まれている。災害時要援護者の中でも、特に障害者は、コミ ュニティの一員として十分に認識されていなかったり、個別ニーズが見過ごされていたりす る等の課題があり、対応が急務となっている。 【ケアマネジメント】 社会的ケアを必要とする人々に対し、最も効果的かつ効率的なサービスや資源を提供すると ともに、そのサービス等が有効に利用されているかを継続的にモニタリング・評価することを 言う。ケアマネジャーや相談支援専門員の重要な役割である。 [障害者差別解消法] 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者 と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必 要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないとき は、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の 状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならな い。 災害時ケアマネジメントの視点に基づく要援護者支援により、 ニーズのミスマッチを防止(要援護者本人の意思や特性に配慮 した事前準備~災害時の避難~避難後の生活までを含む総合 的な支援により、直接死・震災等関連死 のリスクを軽減) 要援護者本位 「どんなことができるか」 「どのような支援が必要か」 エンパワメント どこに避難 させるか 誰が助けに 行くか

(17)

(2) 防災と福祉の連携強化 ① 災害時要援護者に対する円滑な支援 災害時要援護者の支援には防災・福祉両面からのアプローチが必要であるが、平 常時(地域包括ケアシステム等)の対応と災害発生時の対応では専門性が異なる等 の理由により、連携がうまく進んでいない事例が見られる。円滑な支援を推進する には、防災と福祉の連携をより一層強化していかなければならない。 【今後の災害時要援護者の動向】 ② 市町における連携 災害時要援護者の支援には、福祉部局や保健医療部局が有する情報やノウハウを 活用することが欠かせない(防災部局と福祉部局等が緊密に連携を図り、対策を推 進する)。平常時から、市町長等を本部長とする連携推進本部や対策会議を設置して おくことは有効な手段である。 ③ 地域における連携 個別支援計画(マイプラン)の作成に当たり、災害時要援護者一人ひとりの状況 を熟知し、ケアプランの作成等を通じ、信頼関係を築いている担当のケアマネジャ ーや相談支援専門員、コミュニティソーシャルワーカー等の福祉専門職から助言を 得ることができれば、障害特性等に応じた避難支援や福祉避難所での配慮を含め、 より実効性の高い計画を作成することができる。支援段階に応じ、個別支援計画(マ イプラン)を支援者間で引き継ぐことで、避難支援後まで含めた長期的視点での対 応が可能になる。この他、以下のような連携方法も考えられる。 ○福祉専門職とのネットワークを作り、福祉施設の見学や福祉講習会への参加等 を通じ、避難支援等関係者の支援技能・技術を向上する。 ○社会福祉協議会や障害者団体と連携し、福祉に対する住民の理解力を高める。 ○地域ケア会議や自立支援協議会の防災部会等に自主防災組織等が参画し、地域 内の災害時要援護者情報や留意点等を把握しておく。 ○福祉専門職に対して防災知識の習得等を目的とした研修を実施する。 災害時要援護者支援においては、医療機関(入院)との連携も重要になる。ま た、緊急入所等で活用する特別養護老人ホームや障害者支援施設は、概ね二次医 ○在宅医療・在宅介護、入所施設・精神科病院等からの地域移行(退所・退院)の推進により、 賃貸住宅やグループホームの居住者が増えている。 ○グローバル化等により、日本語に不慣れな外国人居住者が相当数を占める地域もある。 ○介護・育児のダブルケアや社会的孤立、制度の狭間(軽度認知症、精神障害の疑い等)等、 地域社会における課題が多分野にまたがり、複雑化しつつある。 ※ 厚生労働省は「地域共生社会」構想を打ち出し(平成 29 年2月7日閣議決定)、地域資 源の活用・地域における繋がりの再構築・地域を基盤とする包括的支援の推進等に取り組む としている。

(18)

療圏域単位で設置されている。そのため、連携に当たっては、市町域内だけに限 定せず、各健康福祉事務所の医療・介護連携会議等も活用しながら、二次医療圏 域内でのネットワークづくりについても検討する。 【関西広域連合による支援の枠組】 【地域関係者と福祉専門職等との連携による推進体制】 【ケアマネジャーや相談支援専門員との連携】 (3) 避難体制の確立 災害時要援護者のうち、自力避難が困難で、避難に当たって特に支援を要する人(避 難行動要支援者)について、市町において避難行動要支援者名簿を作成し、自治会等 ごとに該当する名簿を提供して必要な避難支援体制を整備する。 避難行動要支援者であっても、同居家族等による避難支援対応が可能な場合には、 万一の際にどこに、誰とどうやって避難するか、何を持って逃げるかなどについて家 族等で取り決めを行い、「自助」が必要なことを改めて強調し、自助では対応しきれな [仙台市・別府市・播磨町におけるモデル事業の取組] 仙台市と別府市、播磨町ではモデル事業として、ケアマネジャーや相談支援専門員が、ケ アプランやサービス等利用計画作成時に、併せて個別支援計画(マイプラン)を作成する取 組を開始している。高齢者や障害者からの信頼があり、状態を熟知した専門家が計画を作り (市は報酬を支給)、その引継ぎを受けた自主防災組織等が、自分たちで避難支援等が可能か を議論し、困難であれば関係団体や民間事業者に支援協力を仰ぐという仕組みである。福祉 を熟知した専門職と地域で役割分担をしながら協働する取組であり、成果検証が待たれる。 なお、人と防災未来センター(神戸市)もモデル事業に参画し、ケアマネジャーや相談支 援専門員に防災知識や災害時ケアマネジメント等に関する研修プログラムを開発しており、 研修実施機関として関わっていくことを検討している。 更なる広域的な連携として、関西広域連合による支援の枠組を活用することも検討する。関 西広域連合による広域防災計画(関西防災・減災プラン)において、以下のような支援・受援 業務が例示されている。 ○災害時要援護者の適切な避難の実施(避難誘導、福祉避難所の開設、被災施設入所者の一 時受入施設の確保等) ○広域避難者の移送手段の調整 ○ドクターヘリ、救護班の派遣 等 【地域人材】 要援護者 ケアマネジャー 相談支援専門員 福祉部局 防災部局 県・市町社協 地域包括 自主防災組織等 民生・児童委員 NPO、専門職団体 ボランティア等 地域住民 特別支援学校等 【行政・専門職】 啓発・研修等 地 域 ぐ る み 支 援 自 立 支 援 協 議 会 等 を 通 じ た 情 報 交 換 保健医療部局 ケ ア マ ネ ジ メ ン ト

(19)

い部分を、避難行動要支援者の所在や身体状況などの情報を自治会等で共有すること を前提とした「ゾーンディフェンス」(自主防災組織やご近所で助ける)、「マンツーマ ンディフェンス」(避難行動要支援者一人ひとりに避難支援者を選任して助ける)でカ バーする「共助」の避難支援体制の確立を急ぐ。 ① 災害時要援護者に係る情報共有の徹底 個別支援計画(マイプラン)等の作成に当たっては、地域にどれくらいの高齢者 や障害者等がおり、避難支援及びその前後に、それぞれがどのような支援や配慮が 必要であるかを把握しておくことが前提となる。避難行動要支援者名簿は県内各市 町において整備されているが、以下の課題が指摘されている。 ○名簿の登載精度が不十分で、個別支援計画(マイプラン)等の作成優先度の高 い避難行動要支援者が埋もれている。 ○平常時からの避難支援等関係者への提供があまり進んでいない。 防災部局・福祉部局による共同作業で名簿の登載精度を高めるとともに、ひょう ご防災減災推進条例の趣旨を踏まえ、各市町において、名簿の事前提供に関する条 例の制定等(推定同意の取得等)を通じて個別支援計画(マイプラン)等の作成を 促進し、避難行動要支援者支援を円滑に進められる地域づくりを行わなければなら ない。 ※ 地域との繋がりが希薄で、行政の情報等が届きにくく、必要な時に支援を得ら れない者(ひきこもり、生活困窮者等)がいることにも留意する。 ② 避難行動要支援者の避難支援に係る共助体制の確立 地域の自主防災組織、自治会、民生・児童委員等が連携し、避難行動要支援者の 情報共有を前提に、避難支援者・代替者・補助者の選任による避難支援等を行う体 制を構築し、避難行動要支援者のニーズに応じた支援の提供を図る。 なお、机上で本指針の支援システムをあてはめただけの体制整備ではなく、地域 の実情や特性に応じた支援体制を整備し、訓練等を実施して、実際にその体制が機 能することを確認しておくことが重要である。 市町域全域で同時に避難支援体制を確立することが難しいときは、危険性の高い 地区から優先的に取り組むなど、できるところから取り組みを始め、広げていく。 ③ 地域特性に応じた対応の工夫 地域によって自治会への加入率等に差があり、地縁関係が強固な地域もあれば、 近隣での付き合いが乏しい地域もある。こうした地域特性に応じて、例えば、都市 部では、マンション管理組合に避難行動要支援者名簿を提供し、個別支援計画(マ イプラン)の作成を進める等、地域にとって最も取り組みやすく、効果的な方法で 対応することが重要である。

(20)

情報共有が円滑に進まない地域の場合、発災後における全被災者の安否確認(被 災者ローラー作戦)及び避難支援が極めて重要になるため、発災時を想定してこれ らの訓練等も実施しておく必要がある。 また、日本語に不慣れな外国人も、避難支援等の対象となる。在留外国人が多い 地域では、日常的な交流を通じた異文化理解の促進に加え、防災研修、避難所生活 に関するルールブックの作成等により、災害予防対策を進めておく。 (4) 「つながりで守る」支え合い社会の実現 ① 個別事情を踏まえた適切な「自助・共助・公助」の推進 大規模災害が発生した場合、行政機関の被災や交通インフラの寸断等により、公 的機関による救援体制(公助)が整うまでには一定の時間を要する。そのため、日 頃から、災害時要援護者自身も、自ら防災対策を実践する(自助)とともに、同居 する家族等がいる場合は災害時における家族の避難計画(ファミリープラン)を作 成し、緊急時にしっかりとサポートをできる体制を構築しておくことが重要である。 また、災害時要援護者が地域で一人暮らしをしている場合も、家族等が定期的な 状況確認を通じて防災意識を高めておく。災害時要援護者を、家族等の「絆」で精 神的な観点からフォローすることは、いざという時に有益である。併せて、近隣住 民に緊急時の連絡先として家族の電話番号を伝えておくほか、災害が発生した際の 状況確認や支援等をあらかじめ依頼しておくことが望ましい。 しかし、介護者の高齢化(老老介護)が進み、また、強度行動障害を有する障害 者や重症心身障害者等である場合は、同居していても、家族だけでの対応が難しい こともある。同居の有無で線引きをせず、各家庭の個別事情を踏まえて「自助」「共 助」「公助」を組み合わせた最適な支援体制を構築し、個別支援計画(マイプラン) 等を作成する。 ② 重層的な縁による支援 行政から避難行動要支援者の情報を提供しても、自治会等にそれを受け止め、活 用していく意識と体制がなければ実効性のある避難に結びつかないため、防災と個 人情報保護等の関係について、住民の理解を求めるとともに、地域のイベントなど を通じて近所のつながり(地縁)の充実を図る。 日頃から近所の人たちによる外出時の手引きや重い荷物を持ってあげるなどの思 いやり、声かけや見守りが行われるような地域コミュニティづくりを進め、災害時 における対応力の向上を図ることが重要である。 また、家族や親戚などの「血縁」に加え、事業所や支援ボランティア、介護保険 サービス事業者など、災害時要援護者が日頃からつながっている様々な「縁」を充 実させ、災害時要援護者が安全で安心して暮らせる地域社会の実現をめざす。

(21)

<本指針が想定する避難支援モデルフロー> 市町が作成する避難行動要支援者名簿を自治会等と共有し、避難行動要支援者一人ひ とりに対応する個別支援計画等を作成して「みんなで逃げる」体制を整備する。 市町災害対策本部 (防災部局中心) 避難支援組織 避難行動 要支援者 災害時要援護者支援班 (福祉部局) 役員(窓口) 避難支援者 <平常時> <災害発生時> 要介護者、障害者等 のデータから避難行動 要支援者名簿を作成 民生・児童委員の 福祉票等で名簿を 補正 制度の広報、地域説明会の開催 避難支援組織の整備 個 別 支 援 計 画(マイプラ ン)等の作成 本人の希望を 聴取 避 難 行 動 要 支 援 者 に 避 難 支 援 者 を 選任 避難方法、避難場所等を相談 個 別 支 援 計 画 等 の 集 約 ( エ リ ア プ ラ ン)作成 避難支援組織から の情報により名簿 を補正 避難行動要支援者避難訓練の実施 要援護者避難支援連 絡会議開催 要請により可能な限り消防、警察等が救助 危険が迫ったら支援打切り避難 避難支援行動を開始 避難開始 避難支援・避難 指定避難所・福祉避難所開設 安否確認・集約 配布 配布 災害発生 避難勧告・避難 指示発令 定期的に名簿更新 福祉避難所の指定 必 要 に 応 じ て 名 簿 提 供 に つ い て の 本 人の意向を確認 名簿共有に関 する意思表示 必要な情報を 提供 ○ 避 難 所 の 指 定・環境整備 ○情報伝達体制 の整備 ○備蓄物資の準 備 ○条例制定等に よる避難行動 要支援者名簿 の関係者間共 有の促進 避難準備・高齢 者等避難開始の 発表 避 難 支 援 マップ作成 避 難 行 動 要 支 援 者 名 簿 を 避 難 支 援 組 織に提供 必要に応じてファ ミリープラン作成

(22)

(5) 「助かった命を守り、震災等関連死を防ぐ」被災者支援の強化 ① 平常時からの配慮 災害時に備えた個別支援計画(マイプラン)等の作成時に、避難誘導時の留意事 項に加え、避難先で要する配慮等についても記載しておく。この情報を避難所等に 引き継ぐことで、震災等関連死の防止に役立てる。 ② 災害のステージに応じた支援の実施 災害時要援護者に必要な支援内容は、災害発生時から復興まで、それぞれのステ ージで異なる。助かった命を守り、震災等関連死を防ぐため、必要な人に必要なサ ービスを提供できるよう、切れ目なく柔軟に対策を講じていく必要がある。 ③ 「助かった命を守る」支援システムの構築 ア 寝たきりの高齢者など、一般の避難所で生活することが困難な災害時要援護者 については、あらかじめ福祉避難所等を避難場所に定める。 イ 被災者ローラー作戦、要援護者トリアージ、専門家による支援の三位一体で被 災者を守る支援システムを構築する。 被災者 ローラー作戦 自宅等に取り残された(とどまった)人や、避難所で時間 の経過等によって援護が必要になった人など、被災地の住 民全員を対象としたニーズ調査を実施 要援護者 トリアージ 保健医療福祉サービス提供の優先度を判断し、福祉避難所、 福祉施設、医療機関への移送等を決定 専門家による支援 こころのケア、人工透析等の医療サービス、福祉サービス など専門家による支援 ウ 避難行動要支援者は、災害に直面している時だけでなく、被災後の生活におい ても命の危険にさらされることから、本人の同意なしで名簿を介護保険サービス 事業者や域外からの支援チームに提供し、迅速に調査及び支援を行う。 エ 避難所によっては環境や配慮が不適切で、災害時要援護者が厳しい状況に置か れることがあるため、特段の配慮を講じる必要がある。また、避難所の中だけで はなく、自宅避難や車中避難を余儀なくされている者への注意も必要である。 ④ 平常時のシステムと切れ目のない支援システムの構築 災害時要援護者の多くは平常時から保健・医療や福祉サービスの対象者であり、 地域包括ケアシステムや障害福祉サービスなどで使われる個人情報や施設、設備、 人材等は災害時要援護者支援にも活用できることから、「災害時用」のしくみをつく るのではなく、介護・看護事業者等の協力を得て平常時-災害時-平常時と切れ目 なく支援を提供するトータルなシステムの構築を図る。 そのためには、地域福祉計画等に災害時要援護者対策を明記し、市町における保

(23)

健、医療、福祉、まちづくり、防災関係部局の連携と協働を進めることが重要であ る。 ⑤ 地域コミュニティとのネットワーク 震災等関連死を防ぐには、生きがいづくりや自立支援を含む総合的なケアが必要 である。特に、日常生活を営んでいた地域コミュニティの存在は大きい。特別な事 情がある場合を除き、支援の各段階において、コミュニティとの関わりを維持する ことを考慮し、疎外感や孤独感を抱かせないように留意する。 ○近隣の避難所に移動した後、災害時要援護者を福祉避難所に移送するか否かの 判断を迫られる(福祉避難所では専門的なケアを得ることができる)。移送に当 たっては、心身の状況や必要とする支援の内容を第一に考えなければならない が、必ずしも福祉避難所での処遇を要しない場合は、地域コミュニティとの繋 がりの維持という観点から、そのままとどまる方が望ましいこともある。本人 の意思・希望をできるだけ尊重し、適切な判断を行う。 ○借上型仮設住宅は対応の迅速性等が高く評価される一方で、地域コミュニティ から隔離されることで、見守り支援等のネットワークから漏れ、孤立化に至る 恐れも指摘されている。被災者台帳等を活用することで、借上型仮設住宅での 生活者を把握し、社会的ケアを提供していかなければならない。 ⑥ 広域的なバックアップ体制の整備 大規模災害時には、県や関西広域連合が保健師、介護スタッフ等の専門人材の派 遣調整を行い、必要に応じて支援チームを派遣する。 【避難場所の種類】 区 分 定 義 緊急の避難場所 災害時の危険を回避するために一時的に避難する場所 小規模な広場、公園や津波から逃れるための避難ビルなど 指定避難所 災害により避難生活を余儀なくされた場合に一定期間の避難生活 を行う場所(市町が地域の小中学校などを指定) 福祉避難所 災害時要援護者を受け入れるために必要な配慮がなされた避難所 で、地域の福祉施設などを市町が指定

(24)

<本指針が想定する災害発生後の被災者支援の体系> 災害発生後は、避難行動要支援者名簿登載者に加えて新たな要援護者も探索してニーズ に対応した支援を提供する。 【平常時の生活の拠点】 災害時要援護者以外の者 (地域(自宅等)) 災害時要援護者 [地域(自宅等)で生活] 社会福祉 施設入所 医療機関 入院 自宅・ 親戚宅等 (在宅避 難等も含 む) 緊急の避難場所 (一時避難ビル、未指 定の建物、公園等) 指定避難所 福祉避難所 福祉施設 医療機関 自宅・ 親戚宅等 (在宅避 難等も含 む) 緊急の避難場所 指定避難所 仮設住宅 福祉避難所 福祉施設 医療機関

災 害 発 生

入 院 患 者 安全確保 入所者 安全確保 ○支援スタッ フ配置 ○要援護者用 食 料 ・ 物 資 の供給 ○要援護者支援班設置 ○要援護者用窓口 設置 ○避難所の環境整 備(個室等) ○ 要 援 護 者 用 食 料・物資の供給 個別支援計画(マイプ ラン)に従って避難 安否確認 緊急避難 被災者ローラー作戦の実施 ○保健師・看護師等を中心として、自主防災組織等の地域住民の協力を 得て、全被災者を対象に健康状態や福祉ニーズを調査 ○必要に応じて要援護者名簿を本人同意なしで応援チーム等に提供 ○名簿登載者に加え被災による新たな要援護者を探索 ○災害が収束するまで繰り返し実施 専門家による支援 ○必要に応じてこころのケアな どの専門家チームを投入 事業継続 緊急入院 緊急入所 ○救助・救出 ○避難所として追 加指定 ○食料・物資・情 報の提供 移送 ボランティアとの連携 人工透析・在宅酸素療養患者・難病患者等への医療支援 被害を受けた場合は患 者・入所者を他施設へ 介護保険サービスや障害福祉サービス等の継続提供 それぞれのふさわしい場所へ(安全・安心な生活への復帰) 保健医療福祉 サービスの提供 要援護者トリアージ ○保健師・看護師・精神保健福祉士等が支援が必要な人の優先度を決定 ファミリープラ ンに従って避難 ※社会福祉施設や精神 科病院等は土砂・洪水 災害等に脆弱な区域 に立地しているもの もあるため、緊密な状 況確認を実施

(25)

(6) みんなで災害に立ち向かう意識の醸成 ① 当事者参加による支援の充実 災害時要援護者対策の推進には、災害時要援護者のニーズをくみ取り、対策内容 に反映することが重要になることから、個別支援計画(マイプラン)等の作成や避 難訓練の実施などの機会をとらえて当事者が主体的に参画し、本人の意思や必要と する配慮、心身の状況等を丁寧に確認しながら対策を検討することが不可欠である。 また、住宅の耐震化や屋内安全対策、水・食料・薬・装具等の備蓄などの事前の 備えに加えて、「命を守るために個人情報を活用する」観点から、災害時要援護者本 人や家族に対して地域の避難支援等関係者との情報共有や日頃からの近所の人たち との交流を図るとともに、災害時の状況をシミュレーションし、どんな備えや対策 が必要かを考えるなど、自らできることは自ら率先して行うよう啓発を行う。 ② 災害時要援護者自身による備えと意識の強化(個人のレジリエンス向上) 避難支援や生活再建に公助・共助は欠かせないが、災害が発生した際、必ずしも これらの支援が届くとは限らない。 ○まずは「自分の身は自分で守る」ため、平常時から「自助」力の強化を意識し、 可能な限り、災害時の備えをしておく。 ○発災時の混乱や支援者の怪我等により、個別支援計画(マイプラン)どおりに 速やかな支援が受けられなかったとしても、避難支援等関係者に法的責任等を 問うものではないことを理解する。 ○避難所等において必要とする配慮を申し出ることができず、自宅に戻ってしま う災害時要援護者もいる。困っている時に声を上げることができるようにする。 【在宅で医療的ケアを受けている災害時要援護者の備え(例)】 ③ 防災減災を推進する県民活動の実践(社会のレジリエンス向上) 災害に対しては公的機関だけでなく、地域住民も力を合わせて立ち向かうことが 必要である。予想される南海トラフ地震においても、兵庫県は地震発生から津波到 来まで最低でも 40 分程度の時間があるため、助け合ってみんなで逃げることができ れば人的被害を大幅に減らすことが可能になる。 県では、危険箇所を確認しながら避難路を逃げる訓練、災害時要援護者の支援体 制づくりなど、地域ぐるみで取り組む県民運動を展開している。 ○人工呼吸器や痰吸引器のバッテリーの充電状況、予備バッテリーの準備 ○在宅酸素両療法機器(酸素濃縮装置等)の酸素ボンベ残量、予備ボンベの準備 ○外部バッテリー、自家発電装置の確保 ○アンビューバックの準備と平常時からの複数人による操作トレーニング ○人工呼吸器や痰吸引器が転倒しないための措置 ○ストーマケアに要する蓄尿袋・蓄便袋の一定量の予備の準備

(26)

【取り組み例】 ①フェンス、電柱等に海抜と津波高、避難場所の方向を表示 ②避難路沿道の倒壊の危険性のある建物、豪雨時に土砂崩れの危険性のある地点の 表示 ③家族で話し合い、避難場所をあらかじめ決めておく取り組み ④大声で津波到来を叫びながらてんでばらばらに避難路を逃げる訓練 ⑤災害時要援護者の支援体制づくり ⑥避難したことを示す標識(シール等)の作成・配付 ⑦あいさつ等、日頃からの近所づきあいによる信頼関係づくり 等

参照

関連したドキュメント

 模擬授業では, 「防災と市民」をテーマにして,防災カードゲームを使用し

 支援活動を行った学生に対し何らかの支援を行ったか(問 2-2)を尋ねた(図 8 参照)ところ, 「ボランティア保険への加入」が 42.3 % と最も多く,

○防災・減災対策 784,913 千円

(※1) 「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書」 (平成 29(2017)年 12 月 15 日)参照。.. (※2)

その後 20 年近くを経た現在、警察におきまし ては、平成 8 年に警察庁において被害者対策要綱 が、平成

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3

意思決定支援とは、自 ら意思を 決定 すること に困難を抱える障害者が、日常生活や 社会生活に関して自

○ また、 障害者総合支援法の改正により、 平成 30 年度から、 障害のある人の 重度化・高齢化に対応できる共同生活援助