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本調査では、インドネシアにおける漁港整備に対する支援の方向性を検討するための情報を整 理することを目的として、水産セクターや漁港整備に関する政策、現状と課題の把握、7 つの漁 港の現地調査を行った。以下に、検討事項について記す。

5.1 外環漁港整備計画の評価 5.1.1 整合性

(1) 国家政策・施策と水産セクターの政策目標との整合性

調査時点における国家政策・施策は、国家中期開発戦略(NMTTD2010‐2014;RPJMN)であ る。同計画では、人的資源の質的向上と科学技術の向上による経済競争力の強化を重点目標とし て挙げ、これら目標実現のための基本政策として計11項目(行政改革、貧困削減、食料安全、イ ンフラ整備、投資とビジネス、環境と災害管理、低開発地域・遠隔地・紛争後の支援、文化・創 造性と技術革新など)を掲げている。

「イ」国において経済成長力を強化するための一つの方法は農林水産業など第一次産業の再活 性化である。同国政府は上述のように、インフラ整備、食料安全、環境と災害管理、低開発地域・

遠隔地・紛争後の支援などの政策を重点目標達成のために推進していく計画であり、本調査の外 環漁港整備計画はインドネシアの国家開発計画に合致している。

また、海洋水産省の中期開発戦略(RENSTRA MMAF2010-2014)における基本政策は、行政改 革、貧困削減、食料安全、環境と災害管理、低開発地域・遠隔地・紛争後の支援の5項目である。

これら5項目は、国家中期開発戦略の中にすべて含まれている。

海洋水産省は、2004年に同国国境周辺水域の漁業操業の安全確保および同漁業資源の適正利用 を図るため、インドネシア国外環漁港施設整備にかかるマスタープランを策定し、全国960漁港 の中から、33州のうちの21州にわたる26の漁港を選定した。その選定要件は、自然条件の適性、

水産ビジネスの発展性、遠隔地(国境周辺、島嶼地域等)、地域の開発ポテンシャル、紛争(利害)・ 治安(安全)における脅威削減の可能性などである。さらに、同計画において優先的に実施すべ き第1フェーズの漁港としてインドネシア国でも開発の遅れている東部の国境周辺・島嶼地域に 位置するに9漁港が選定されている。また、同国政府は、外環漁港整備サイトを含む全国86ヶ所 を対象とするミナポリタン構想を策定し、水産業を核とする地域振興を推進していく計画である。

これらのことから、外環漁港整備計画は海洋水産分野の開発戦略に照らしても上記の目的に叶う ものである。

(2) 天然資源及び環境分野における関連計画との整合性

天然資源及び環境分野では、次の5つが重点施策として掲げられている。これらに関係した優 先課題として水産セクターでは、食料安全の増大、海洋資源の管理が優先課題として挙げられて

136 いる。

・天然資源及び環境分野の重点施策

① 持続的発展(基本的事項)

② 気候変動(横断的視点)

③ 島嶼水域開発(横断的視点)

④ 天然資源の開発(資源分野)

⑤ 環境の持続性と質の改善向上(資源分野)

・水産セクターで関連する優先課題

① 食料安全の増大(水産物食料)

② 海洋資源の管理

水産セクターは天然資源及び環境分野の一部を構成し、国民の生活を支える基盤であるととも に国家経済の発展に欠かせない原材料の供給など重要な役割を担っている。したがって、インド ネシア水域の海洋水産資源の有効利用と安全安心な水産物食料の供給を支える漁港、とくに同国 国境周辺、島嶼地域に位置する外環漁港整備計画はこれら天然資源及び環境分野の計画・施策に 合致している。

5.1.2 妥当性

外環漁港整備計画は、貧困削減、食料安全、環境と災害管理、低開発地域・遠隔地・紛争後の 支援という「イ」国社会及び水産セクターのニーズに合致するものである。また、漁港整備は、

地方分権化に関連した地方における地域産業の育成、新たな経済拠点の構築という政策目標や地 域社会のニーズを満たす手段として適切であると考えられる。

また、年間約550万トンと年々増加する国内需要の充足という大きな使命があり、これからは 世界の漁業大国として水産物の国際需要にも答えて水産セクターの国家経済への貢献度を拡大し ていくという課題がある。「イ」国政府はこれらのニーズに的確に答えていかなければならないが、

同国の漁業生産量は年間500万トン程度であり、国内の海洋水産資源量(MSY640万トン、TAC512 万トン)からみてほぼ上限に達しており、海面漁獲漁業分野での今後の総生産量増加は期待でき ない。しかし、国内水域でも漁船群の活動に偏りがあり、資源の利用度が低く開発の可能性があ る水域が残っている。これら水域は主に「イ」国の外環に沿った周縁の遠隔地でありほとんどが 低開発の地域である。したがって、漁港を整備し、不均等な水産資源の利用状況を是正し適正な 漁業生産量を確保していくニーズは高いと考えられる。外環漁港整備は、EEZ内の低利用水域で の資源の有効活用を図り、EEZ外の国際水域で操業する漁船に活動拠点を提供することによって、

「イ」国周縁水域での漁業操業の安全確保と水産資源の適正な利用、IUU 漁業の根絶等に大きく 寄与する計画である。このため、「イ」国外環地域において国際基準に見合った新たな漁港を整備 する外環漁港整備計画の開発ニーズは極めて高いと言える。

137 5.1.3 効率性

本事業の効率性について、以下に示すように(1)アウトプット、(2)期間、(3)事業費の点か ら検討した。MMAFの外環漁港整備計画の実施にあたっては当初から国際機関、海外ドナーから の協力支援を期待しているが、その重要性から既に2004年にマスタープランを策定し、独自予算

(中央、地方、特別予算等)を駆使し、外環漁港26についてフェーズ1からフェーズ3までに分 けて総事業予算6兆5千億IDR(約650億円)、実施期間8.5年計画で事業を開始している。外国 の支援は時間がかかるという理由からであり、独自予算で自立的に事業を本来は行いたいという あらわれであると推察される。しかしながら、フェーズ 1の計画工事の実施に際し、ヌヌカンで は桟橋建設鋼管杭の荒天による倒壊破損があり、テルクアワン及びマカッサルでは事業予算の執 行遅れによって建設工事が停滞し、完成時期の先延ばしなど問題が顕在化してきている。したが って、現在のところ完成の見通しがたっておらず、本計画の効率性は小さいと判断せざるを得な い。

この原因は、技術的なこともあるが、海外ドナーの支援がタイムリーに得られていないことも 一因となっている。この理由は、①「イ」国全体でみると他のインフラに比べて優先順位が低い こと、②水産業は長年にわたり農業分野の一部であったため水産分野・漁港整備に対する優先順 位が必ずしも高くないこと、などと考えられる。しかしながら、海洋水産省として 1999 年に農業 省から分離独立して以来、地方との地域格差是正、地域産業の育成による地方経済の振興など、

海洋水産資源の世界的な需要増加を背景として、水産分野の重要性は増加している。したがって、

本事業の「イ」側のドナーに対する働きかけも、今後大きく変化するものと見なければならない。

(1) アウトプット

本事業計画は次の①~⑤の5項目からなる。調査時点では④の段階にありフェーズ1各サイト において漁港施設整備建設工事が実施中であった。いずれのサイトも工事は遅れており完成には いたっていない。アウトプットを得るための投入が不足しており効率性は小さい。

① マスタープランが策定され、コンセプト・目的・期待効果が明らかにされる。

② マスタープランの結果に基づき、フェーズ1の候補地が選定される。

③ フェーズ1各サイトのフィージビリティスタディ、詳細設計が実施される。

④ 詳細設計に基づき、外環漁港整備建設工事が実施され、施設が完成する。

⑤ フェーズ1各サイトにて、完成した外環漁港施設の管理運営が開始される。

(2) 期間

本事業の外環漁港整備計画にかかるマスタープランは2004年に策定された。当初予定はフェー ズ1が5年、フェーズ2とフェーズ3がそれぞれ5.5年である。フェーズごとの間隔は1.5年とな っており、全体工期は8.5年と予定されている。フェーズ1は当初予定工期を調査時点ですでに1 年以上超過しているが、未だ完成にはいたっていない。実施計画に基づくヒト・モノ・カネの投 入が適切に行われていないことから、効率性は小さいものとなっている。

この遅延の原因はサイトによって異なるが新設漁港のテルクアワン、メラウケ、ヌヌカン、マ

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