• 検索結果がありません。

湿潤系バイオマス関連メーカー等へのヒアリング結果

ドキュメント内 2010/01/29 (ページ 52-56)

4.3 湿潤系バイオマスに関する未導入事例および導入時における課題

4.3.1 湿潤系バイオマス関連メーカー等へのヒアリング結果

本調査では自治体へのヒアリングに加え、メタン発酵プラントの施工メーカーおよび発電装置 メーカー、バイオマス関連のコンサルティング会社合計 6社にヒアリングを行い、導入を検討し たが実現に至らなかった事例および事業者が直面している課題を収集した。その結果を表 4-4に 示す。

表 4-4 湿潤系バイオマス関連メーカー等へのヒアリング結果一覧

企業 未導入事例の要因 事例詳細

自治体a ・ 立地場所

・ 電気事業者との 協議

・ 建設予定地の近隣送電線への系統接続が困難であったた め、FITが活用できなかった。

自治体b ・ 立地場所

・ 電気事業者との 協議

・ 地域のバイオマス資源を電気エネルギーとして利用する計 画を立てたが、平成26年現在、経済産業省より設備認定が 取得できていない状況である。主な理由としては、廃棄物 処理事業の許可取得が挙げられる。

自治体c ・ 立地場所

・ 電気事業者との 協議

・ 建設候補地が農業地帯であるため、送電網が脆弱であった。

・ 送電線の容量の都合上、夜間のみの受入しかできないとの 回答を得た。

メーカーE ・ 投資回収期間

・ 送電網の脆弱性

・ ある食品会社で、食品リサイクル法施工後、自社で発生す る食品廃棄物をメタン発酵処理することを検討したが、設 備導入後 3 年以内の投資回収を希望する事業者と折り合い がつかず、結局事業者は外部業者に廃棄物を引き取っても らうことに決めた。

・ ある事業者が山間部にメタン発酵設備を導入しようとした が、電力会社より、当該地域の送電可能容量が小さいとい う理由で売電を行うことができなかった。

メーカーF ・ 廃棄物処理法へ の対応

・ 資金調達

・ もともと鶏糞を堆肥化処理していた農家が、焼却による発 電事業の計画を進めていたが、自治体より廃棄物処理法の 適用対象となることを申告され、事業許可が得られなかっ た。(その後、自治体に対して数年間かけて、計画している 事業が「廃棄物処理事業」ではなく「発電事業」であるこ とを説得した)

・ ある食品メーカーが、自社で発生する食品残渣を利用した メタン発酵事業を計画したが、資金調達に苦戦している。

同社は、日本に支社をもたない海外メーカーの装置を導入 しようとしており、性能保証もないため、金融機関は事業 リスクが大きいと判断している。

企業 未導入事例の要因 事例詳細 メーカーH ・ 廃棄物処理施設

の許可取得

・ 消化液の還元

・ ある事業者は自社の土地でメタン発酵プラントを建設する ために廃棄物処理申請を行ったが、その土地が市街化調整 区域であったために、水源の利用規制への適用等、各種手 続きに大変な人手とコストが掛かり、事業を断念してしま った。

メーカーI ・ 経済性

・ 消化液の還元

・ バイオマス種

・ 下水処理場でメタン発酵設備を導入しようとしたが、補助 金を合わせても一年を通じてフル稼働しないと経済性が成 り立たない。

・ 建設予定地周辺に消化液を還元する場所がない。

・ 家畜糞尿をメタン発酵しようとしたが、成分的にガスの発 生量の不足が懸念された。

メーカーJ ・ 廃棄物処理施設 の許可取得

・ FIT 認定取得ま での期間

・ 系統接続協議に 関する期間

・ 廃棄物バイオマスのメタン発酵処理事業に関する許可が自 治体からなかなか下りないことが未導入事例の最大要因で ある。

・ 某プラント建設において、基本契約を結んだ後、FIT申請を 行ったが、環境省の審査等の遅延により認定を取得するま でに1年以上の期間を要した。加えて系統接続についても、

申請が受理され接続確認が終了するまでに、さらに 1 年近 い期間がかかる。

(1)系統接続要因

湿潤系バイオマスでも、木質バイオマス発電と同様に、系統接続要因で導入を断念したケース が報告された。事例としては、農村地域等で発電プラントを建設するに当たり、元々その土地の 送電網が脆弱であったケースだけでなく、FIT 制度が開始されて以降、急激に太陽光発電が導入 されたことにより、後発的にメタン発酵による発電事業を計画した事業者が設備を導入する頃に は、送電網が太陽光発電に占有されていたというケースも北海道をはじめとする複数の地域で確 認されている。この問題については、FIT 制度の設備認定に際し、太陽光発電は数ヶ月で許可が 得られるのに対し、バイオマス発電は場合により廃棄物処理事業許可等の各種手続きを含め 1年 を超すこともあるなど、計画から事業開始までの期間が大きく異なることが影響している。

系統の容量不足の問題に対しては、最近は電力会社側のピーク時に自動停止・自動運転できる ような契約および設備を採用することで接続可能となる案件も増えているが、この場合 2,000 万 円を超える設備投資が必要となる。また、配電線の増強工事を実施することでも対応ができるが、

この方法も数千万円の工事費が必要と言われている。そのため、系統接続の費用を捻出できずに 発電事業を断念する事業者や農家が散見されるとのことであった。

(2)イニシャルコスト

メタン発酵プラントの建設コストについては、多くのメーカーから課題として挙げられている。

メーカーによって建設費は大きく異なるが、個人の酪農家が導入する規模(牛数百頭)で数億円 程度、自治体が実施主体となる生ゴミや畜産系廃棄物の集約型メタン発酵プラントで10億円〜20 億円程度が必要となる。さらに、プラントメーカーによると、地域によっては資材の高騰および 建設労働力の不足によって、2014年はFIT制度開始当初より30%以上建設費が増加しているため、

(3)法的規制への適用

メタン発酵プラントを建設するにあたり、自社外の廃棄物等を収集し処理を行う場合、廃棄物 処理施設の許可を取得する必要がある。生ゴミや食品廃棄物等の大型メタン発酵プラントを製造 するメーカーからは、導入事業者にとって、廃棄物処理に関する法的手続きのクリアは最大の課 題であるとの意見が得られた。

そもそも、廃棄物処理施設を建設する際、住民反対が生じることが第一のハードルとなってい る上、住民反対を避け山間部に建設を計画する場合も、林地開発を行うための許認可を都道府県 から取得することが必要となる。建設地が市街化調整区域の場合は、水源の利用に関する規制が 存在する。また、埋蔵文化財が見つかった場合は、調査などの費用も事業者負担となる。このよ うに、廃棄物処理事業に関する手続きは大きなコストと時間が必要となる。さらに、メタン発酵 による発電が廃棄物処理業に該当するかの判断は都道府県が行うが、自治体および担当者によっ て判断基準が異なり、交渉が長期にわたり事業を断念してしまう事業者も複数報告されている。

(4)原料品質

メタン発酵による発電事業は、木質バイオマス発電事業と異なり、原料が収集できれば一定の 発電量が確保できるわけではない。メタン発酵処理の対象となる湿潤系バイオマスは種類によっ てガス発生量が大きく異なる。基本的に生ゴミや農業残渣等はガス発生量が大きいが、家畜糞尿

(特に豚糞尿)や下水汚泥等は含水率が高く、発酵槽への投入量の割にガス発生量が少ないとい う特徴がある。したがって、発電による経済性を確保するためには年間を通じて高い稼働率を維 持するか、ガス発生量が高い別のバイオマスを投入する方法があるが、これが実現できずに事業 を断念するケースも見られる。

(5)消化液の処理

メタン発酵プラントの運転維持に関して、発酵後の消化液の処理方法が事業性を大きく左右す るとのコメントが複数得られた。十分な農地面積を有する北海道や九州の一部の地域では、メタ ン発酵後の消化液は直接水田や畑作地に散布される。一方で、消化液の還元先に乏しい本州等の 地域では、毎年大きなコストをかけて消化液の排水処理を行い、河川放流しているケースが存在 する。この排水処理工程では、大量のエネルギーを消費すると共に、場合によりメタン発酵施設 全体の年間維持管理コストの約50%に達する程のコストがかかることがある。

例えば、八木バイオエコロジーセンターでは、2010年の排水処理コストが年間維持管理コスト

約9,000万円のうちの54%を占めており、そのほとんどが凝集剤等の薬品費となっている2

とは容易ではない。北海道の農業法人であるサンエイ牧場のように、敷地内の牧場で発生した家 畜排泄物をメタン発酵処理し、消化液を自社の畑作地に利用するという「自社完結型」のケース は稀で、多くの場合消化液を農作物の肥料として利用してくれるよう農家を説得し、契約を結ぶ 必要がある。

プラントメーカーによると、FIT 制度によって大きなインセンティブが付与されたメタン発酵 の引き合いは多数存在するが、上述のように、バイオマス原料の条件や消化液の還元先等の条件 を満たすケースは国内では限定的であり、具体的な計画に進めないまま多くが未導入事例となっ ているとのコメントが得られた。

ドキュメント内 2010/01/29 (ページ 52-56)