セメント業界では、原燃料として早くから廃棄物・バイオマスの利用が進んでいる。同業界で は、廃棄物・バイオマスを多様な原燃料として利用していることもあり、エネルギー利用分とし ての推計は困難であるが、社団法人セメント協会によるとバイオマスとして2012年度時点には木
くずが63.3万t、肉骨粉が6.5万t程度利用されている。ここで、廃棄物・バイオマスに相当する
ものがすべてエネルギーに利用されていると仮定し、そのエネルギー量を推計する。ここで木く ずや肉骨粉は12.6GJ/tと想定し、他の資源は前述と同等とした。
その結果、全量がエネルギー利用とした場合、廃棄物・バイオマス合わせて 41,582,500GJ、原 油換算107万kL程度の資源が投入されていることとなる。
表 3-7 セメント業界のエネルギー利用量推計
利用量
(t/y)
発熱量
(GJ/t) エネルギー量(GJ/y)
木くず 633,000 12.6 7,975,800
肉骨粉 65,000 12.6 819,000
廃プラ 432,000 30.6 13,219,200
再生油 189,000 37.3 7,049,700
廃油 273,000 37.3 10,182,900
廃タイヤ 71,000 32.9 2,335,900
合計 41,582,500
うちバイオ 8,794,800
うち廃棄物 32,787,700
3.2.2 製紙業界
製紙業界において発生するバイオマス・廃棄物に関しては、その過半が新エネルギー法上で は「黒液・廃材」に含まれている。しかしながら、実態としてこれら以外の資源も活用されて いるため、黒液・廃材の外数となるバイオマス部分等について推計し、新エネ導入量推計結果 に計上する。
(1)製紙業界における黒液・廃材利用
石油等消費動態統計年報より、調査対象に近い2013年の数値を利用すると以下のようになる。
黒液・廃材としてエネルギー利用は、178PJが利用されていると考えられる。
表 3-8 2012年の黒液・廃材利用量 利用量
(BD-t)
エネルギー
(GJ)
黒液利用量 11,238,494 148,348,121
廃材 1,879,041 30,628,368
(2)製紙業界におけるその他の資源利用状況
日本製紙連合会では、会員企業におけるバイオマス等資源利用状況を公表している。2014年 度版フォローアップでは、その内訳詳細が示されていない。ここでは、直近の2013年度フォロ ーアップ版を参考に整理することとする。
表 3-9にバイオマス等資源利用状況を示す。表中の項目「廃材・バーク」は黒液・廃材と重 複していると考えられるため「廃材・バーク」を除外することで(黒液・廃材を除く)バイオ マス分に相当する。したがって、バイオマス分として年間約5.5万PJ(原油換算144万kL)相 当の資源が利用されていると考えられる。
表 3-9 製紙連合会会員企業におけるバイオマス等資源利用状況
2013年度実績
BD-t/年 TJ 原油換算(万kL) 割合(除く廃材)
廃材、バーク 1,843,385 30,047 78.7
PS,紙くず 1,284,140 13,294 34.8 23.4%
RPF + RDF 825,765 21,380 56.0 37.6%
廃タイヤ 430,067 14,406 37.7 25.3%
廃油 63,009 2,533 6.6 4.4%
廃プラ 185,746 5,314 13.9 9.3%
メタン 0 0.0 0.0%
合計 4,632,112 86,974 227.7
合計(除く廃材) 2,788,727 56,927 149.0 100.0%
(出典)日本製紙連合会
表 3-8および表 3-9より、黒液・廃材以外の資源利用状況を整理すると次のようになる。
資源の利用のうち、黒液・廃材が76%は、その他廃棄物が24%という内訳になっている。
表 3-10 黒液・廃材以外の資源利用状況
万kL 割合 黒液・廃材 468.5 75.9%
その他廃棄物 149.0 24.1%
合計 617.5 100.0%
(3)発電量の推計
エネルギー利用されているもののうち、発電に要された量の推計を行う。ここで、「黒液・廃 材」と黒液・廃材以外のバイオマス、廃棄物に按分する。
表 3-11 製紙業界における発電導入状況の推計結果 発電電力量 うちバイオマス・廃棄物混焼分
(GWh) (GWh)
製紙合計 23,360 12,147
ここで、上述の資源利用比率を基に、発電相当量を推計すると次のようになる。
表 3-12 その他廃棄物相当分の発電容量・発電量の推計
割合
バイオマス・廃棄物 発電電力量
(GWh)
原油換算
(万kL)
製紙合計 100.0% 12,147 286.2
黒液・廃材分 75.0% 9,216 217.1 その他廃棄物分 25.0% 2,931 69.1
次に、その他廃棄物分の発電導入量を、バイオマスおよび化石由来廃棄物に分けて推計する。
先に示した資源をバイオマスおよび廃棄物に分類するため、以下のように想定する。
表 3-13 その他廃棄物におけるバイオマスおよび非バイオマスのシェアの推計
導入量 想定した分類 推計結果(シェア)
廃材、バーク 78.7 黒液・廃材(推計から除外) -
PS,紙くず 34.8 バイオマス
バイオマス:42.1%
廃棄物:57.9%
RPF+RDF 56.0 バイオマス50%、廃棄物50%
廃タイヤ 37.7 廃棄物
廃油 6.6 廃棄物
廃プラ 13.9 廃棄物
メタン 0.0 バイオマス
このバイオマスおよび廃棄物の比率を用いて、先のその他廃棄物分の発電量を按分すると以 下のように整理できる。
表 3-14 その他廃棄物由来の発電量に対するバイオマスおよび廃棄物の整理 割合 発電量
(GWh)
原油換算
(万kL)
その他廃棄物計 2,931 69.1 バイオマス分 42.1% 1,235 29.1 化石由来廃棄物分 57.9% 1,696 40.0
(4)まとめ
以上をまとめると、以下のように整理できる。
表 3-15 黒液・廃材およびその他廃棄物のエネルギー利用のまとめ
(単位:万kL)
発電導入量 熱利用
バイオマス 廃棄物 バイオマス 廃棄物
4.バイオマス発電に関する未導入事例における要因分析
前章までは、国内における廃棄物・バイオマスエネルギーの導入実態について、アンケートを 用いたマクロ的な視点での調査結果を示した。本章では、より詳細な実態を把握するために、個々 の事業者がバイオマスエネルギー(発電)設備の導入の際に直面している課題について、「導入検 討が行われたが、実現に至らなかった事例(以下、未導入事例)」の抽出を通じて分析を行う。