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湖東地域の方形周溝墓の概観

ドキュメント内 近江における方形周溝墓の研究 (ページ 83-88)

第5章 近江の方形周溝墓Ⅲ(湖東・湖北・湖西地域)

1 湖東地域の方形周溝墓の概観

湖東地域に所在する方形周溝墓の集成表を表 5に、その所在位置を図 28に示す。

表 5・

図 28

の遺跡番号は共通で、遺跡名のあとの数字は遺跡番号を示す。

表 5

の集成表には造墓 時期ごとに規模・形態・群構成を記載し、表 6には表 5をもとにして規模・形態・群構成 の時期別様相をまとめた。

この地域における方形周溝墓の分布は、

図 28

のように河川の流域、内湖や低湿地帯周辺 に多く分布する。ただ、散在する孤立峰によって河川の流路が規制され、上・中流域でも 小規模な扇状地が形成されており、そこに人々の居住域があり方形周溝墓群が形成されて いる(野辺遺跡(383-031)・内池遺跡(383-036)など)。

表 5

から、湖東地域において方形周溝墓遺跡は 31 ヶ所、方形周溝墓の総数は 216 基を数 える。各調査区域外への分布のひろがりを考えると、この数は大幅に増えるであろう。検 出状況により造墓時期が不明なものも多いが、時期が判定・推定されたものをみると、表

6

のように弥生中期中葉で 26 基、中期後葉で 120 基、後期で 42 基、古墳初期で 16 基とな る。この地域では方形周溝墓の初現が弥生中期中葉であり、他の地域に比べてやや遅い。

さらに、表 5よりどの遺跡も墓域としての土地利用が短期間であるといえる。また、方 形周溝墓基数も弥生中期後葉に突出しており、その前後の時期には基数は少ないことが特 筆される。

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表 5 湖東地域の方形周溝墓集成(1/3)

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表 5 湖東地域の方形周溝墓集成(2/3)

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表 5 湖東地域の方形周溝墓集成(3/3)

表 6 湖東地域の方形周溝墓の規模・形態・群構成の時期別様相

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図 28 湖東地域の方形周溝墓遺跡分布

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2 方形周溝墓の規模・形態

方形周溝墓の規模は表 6に示 すようにどの時期も小規模が優 勢であるが、弥生中期後葉から 中規模・大規模な墓が頻出する。

ただ、方形周溝墓の規模は時期 的な変化よりも、墓群(墓域)

内での大小により重要な意味を もつと考えられるので、各事例 を観察する中で詳述していく。

方形周溝墓の形態は、湖東地域では通例の方形周溝墓のほかに、弥生中期後葉になると 周溝部と台状部がともに円形の円形周溝墓(形態 B2)、台状部が前方後方形を示す前方後 方形周溝墓(形態 C1・C2)がみられる。さらに、弥生後期には通例の方形周溝墓の対向す る 2 辺の中央部に陸橋をもつもの(形態 A2c)があらわれる。図 29はその事例で、西浦遺 跡(403-095)では SX3、柿堂遺跡(403-012)では 1 号~3 号墓が形態 A2c を示す。これは 湖東地域における周溝部の特徴としてあげることができる。また、円形周溝墓(形態 B2)

としては川ノ口遺跡(204-189)の円形周溝墓 6 号・9 号など、前方後方形周溝墓(形態 C1)

では勧学院遺跡(204-122)の 4 次調査での SX2、さらに定型化した前方後方形周溝墓(形 態 C2)として高木(浅小井)遺跡(204-206)の SX01 がある。これらの遺跡については後 節で詳細に検討する。

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