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第 5 章 線エネルギースペクトル測定

5.3 測定スペクトル解析

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図 5-6 ガウス関数

5.3.2 最小二乗法による測定スペクトルのフィッテング

実験データ にM個のパラメータ を持つ近似関数

を当てはめる場合を考える。最小二乗法とは残差(実験データと近似関数

の差)二乗和 を最小にするパラメータ を見出すことである。

(5.6)

式の残差二乗和が各パラメータ に関して最小となるには、の微分が0になればよいから

(5.7)

を満たすことである。ここで、近似関数を考える。光電ピークはガウス関数で近似し、

(5.8) バックグラウンドは指数関数で近似する。

(5.9)

したがって測定スペクトルの近似関数は(5.10)式とした。

(5.10) (5.10)式を(5.6)式に代入する。

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(5.11) (5.11)式を各5つのパラメータで偏微分した5元連立方程式(5.12)を導く。

(5.12)

最小二乗法は、あてはめようとする近似関数が未知パラメータに関して線形であるか非 線形であるかによって、線形モデルと非線形モデルに区別される。非線形モデルは決定す べきパラメータが線形結合で表せない場合、つまりパラメータが近似関数の分母やべき乗 の指数に入っていたり、指数・対数・三角関数などの内部に入っている場合である。ガウ ス関数は非線形モデルである。非線形モデルは連立方程式を一度解くだけでは解が得られ ない。まず、何らかの方法でパラメータの近似値を推定し、それを出発点にして、残差二 乗和 が最小になるようにパラメータを反復改良する。この反復法にはいろいろなアルゴリ ズムがあるが、最も基本的な方法は、線形近似による反復改良を用いたGauss-Newton法 である。しかしGauss-Newton法は、初期値が真の解から大きく離れていたり、非線形性 が大きかったりすると、安定が悪い。そのため種々の安定化法が提案されている。解析に はGauss-Newton法を修正したMarquardt法を用いた。図5-5の測定スペクトルをフィッ テングした結果を図5-7に示す。また、フィッテングの様子を示すため、片対数グラフでは なく正方グラフにした。5つのパラメータの数値計算結果は以下の通り。

(5.13)

したがって(5.5)式に代入してエネルギーFWHMを求める。

=76.39521112

=76.39@511keV (5.14)

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図 5-7 測定スペクトルのフィッテング結果

5.3.3 エネルギー分解能

エネルギー測定に使用される検出器の性質は単一エネルギー線源 のパルス波高分布の 幅FWHMで特徴づけられる。異なったエネルギーの粒子を弁別する検出器の能力はエネル ギー分解能(energy resolution)といい、比R%で表わす。

(5.15)

(5.14)式を(5.15)に代入する。

(5.16) したがって、Strip-2D-PSDのエネルギー分解能は約15%であった。表5-1に主なPET 検出器のエネルギー分解能比較を示す。CdTe(ショットキ-)検出器のエネルギー分解能 は4%@122keVであるのでStrip-2D-PSDのエネルギー分解能は改善の余地がある。

表 5-1 主な PET 検出器のエネルギー分解能

200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

0 50 100 150 200 250 300 350 400

電子ボルト [keV]

Count

fitted curve 511keV

FWHM 76.39keV

1275keV

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5.3.4 信号対雑音比

ノイズがエネルギー分解能に及ぼす影響を評価するために、一定波高値Vのパルスを考 える。ノイズが無い場合にはこのパルスによる波高値のヒストグラムのFWHMはゼロであ る。ノイズが存在する場合にはパルスはノイズの上に重なり、波高値のヒストグラムはV を中心とした幅を持つガウス分布になる。ノイズの大きさを示す量として信号対雑音比(SN 比)を(5.17)式で定義する。信号の波高値はノイズによって揺らぐのでSN比向上が必要で ある。SN比の値が大きいほどエネルギー分解能は良くなる。

信号波形の0 point~1300 pointまではノイズである(図5-8)。ノイズは周期的なので最

初の300pointまでを抽出すれば十分なデータと判断し、ノイズ波形とした。300×100000

個のデータでノイズ電圧分布を作成した(図4-9)。ノイズはオフセット電圧10.3mVを中 心に偏差電圧±13.5mVで分布していることが分かった。

比 ピーク電圧 ノイズ偏差電圧

(5.17)

図 5-8 ノイズ波形

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 -50

0 50 100 150 200 250

300 信号波形

時間 [points]

電圧 [mV]

0 50 100 150 200 250 300

-20 -10 0 10 20 30

40 ノイズ波形

時間 [points]

電圧 [mV]

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図 5-9 ノイズ電圧分布