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第 4 章 初回相互作用判別手法

4.1 光子と物質の相互作用

PETに利用される光子は陽電子の対消滅による511keVのエネルギーを持つ 線である。

1.022MeV未満のエネルギーを持つ光子は光電効果またはコンプトン散乱という事象で物

質と相互作用を起こす。

4.1.1 光電効果

光電効果は光子と束縛電子との間の衝突である。光子が原子によって吸収され、そのエ ネルギーが全て原子に強く束縛されている軌道電子に与えられ、電子は運動エネルギー

光子エネルギー

電子の束縛エネルギー

(4.1)

で放出される。この時 線と電子だけでは運動量保存則が成立しないので、余分の運動量は 原子核が受け取るが、このエネルギーは無視できるほど小さい。この現象が起こるために は原子核の存在を必要とするので、最も強く束縛されている電子、つまりK電子が最も断 面積が大きく、約80%がK電子による吸収と考えられる。

この場合、放出される電子の占めていた順位に、外側の軌道から電子が落ちてきて、そ の余ったエネルギーを特性X線として放出する。しかしX線を放出する代わりに、別の軌 道電子にそのエネルギーを与えて電子が放出されることもある(Auger電子)。原子の中 にある特定の軌道(K、Lなど)にある電子による光電効果は、光子のエネルギーがその電 子の電離エネルギーを超えた時に急激に増加(吸収端という)して、エネルギーが高くな ると急激に減少する。

K吸収端から充分離れたところでは、非相対論的に、1個のK電子による微分断面積は 入射光が偏光していない時

(4.2)

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で与えられる。ここでθは入射粒子と電子のなす角、 は電子の速度である。上式の分母 を省略し、K殻の全断面積は

(4.3) となる。この式に単位体積中の原子数 (atoms/cm3、N0:アボガドロ数、ρ:密度 g/cm3、A:原子量 g/atoms) をかけると、単位距離当たりの吸収係数が得られる。

(cm-1) (4.4) K電子以外の光電効果は全体の約1/5であることがわかっているので、近似的に光電吸収 係数は

(4.5) また光子のエネルギーがmec2またはそれ以上の高エネルギー領域では

(4.6) となり、低エネルギーでは光子のエネルギーの3.5乗に反比例して急激に減少するが、高エ ネルギーではエネルギーに逆比例となって、その現象の仕方が緩やかになる。また原子番 号の5乗に比例するので、原子番号の大きな原子に対しては光電吸収の可能性は非常に大 きい。

4.1.2 コンプトン散乱

コンプトン散乱は光子と自由電子との間の衝突である。

図 4-1 コンプトン散乱

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図4-1に示すようにコンプトン散乱を表すと、入射光子エネルギー 、散乱光子エネルギ ー 、反跳電子の運動エネルギー 、運動量 の間にエネルギーおよび運動量の保存則が成 り立つ。

(4.7)

ここで、 なる関係を利用して(4.7)式解くと

(4.8)

(4.9)

(4.10)

となる。散乱光子のエネルギー は のとき最大で、 と入射エネルギーに 等しく、 のとき最小で、(4.11)式となる。

(4.11)

また、反跳電子は(4.10)式の右辺が負にならないことから、決して90°より大きい角で反跳 されることはない。また したがって の時に は最大になり、その値は

(4.12)

となる。このエネルギーをコンプトン端(Compton edge)という。

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