第5章 海外事業展開実績評価
2. 海外市場における中国系、韓国 /
本節では、回答企業の考える中国系・韓国 / 台湾系企業との競合上の立ち位置を高付加価 値品、汎用品といった製品種類毎に質問した 結果を集計して紹介する。設問は、主として 海外市場における中国系企業、韓国 / 台湾系 企業との競合状況を、高付加価値品及び汎用 品といった製品種類毎に「競合していない」
「品質は劣るが価格が安い」「品質は同等・価 格も同程度」「品質は同等で価格が安い」の 4つの中から選択回答してもらう形式にして いる。ここで「競合していない」を選択する 企業は①自社が販売したいと考える領域(特 定の販売先企業(部材を販売する場合)や所 得レベル(消費財を販売する場合))に競合 企業が存在しない、或いは②類似製品を販売 する企業はいるが、同製品との明確な差別化 ができている、等々の理由から、中国系企業 や韓国 / 台湾系企業の存在を気にしていない 企業であり、これらの企業に対しある面で優 位性を維持できている企業といえる。一方で、
「品質は同等・価格も同程度 / 安い」と回答 した企業はこれら企業からのキャッチアップ により自社の優位性、延いては売上、収益等 を侵食されている企業といえる。
全業種での調査結果を見ると、高付加価値 品においては、「競合していない」とする社 が多く、総じて日系企業の高い技術等を活か して優位に事業展開を行っていることが分か る(図表 63)。ただし、「品質は同等で価格 は同等 / 安い」との回答も少なからずあり、
高付加価値品の一部では中国、韓国、台湾系 企業のキャッチアップが進んでいることが窺 える。また、汎用品における中国系企業との 競合では「品質は劣るが価格が安い」との回 答が目立ち、低価格を武器とした中国商品の 攻勢の状況を反映している。汎用品・韓国 / 台湾系企業では「品質は同等で価格も同程度 / 安い」との回答も目立ち、製品レベルは遜 色ない水準に達している韓国 / 台湾系企業も 相当数あることが見て取れる。
図表62 販売市場での競合先(全業種)(複数回答
可)
82 101 102 113
262 286
41 45 35 36 38 50
120 134
80 84 64
80
42 46
30 29 27 28 99
117
60 73
83 92
26 25
15 17 18 24
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
NIEs3 ASEAN5
2006 2007 2006 2007 2006 2007 2006 2007 2006 2007 2006 2007
(のべ社数)
台湾系企業 韓国系企業 中国系企業
中国 北米 EU15 日本
(注)横軸の各販売市場において、中国系企業、韓国系企業、台湾系企業と現在激しく競合している 場合に選択回答(各市場で競合先を複数回答可)。06年の値は、NIEs(NIEs3+シンガポール)、
ASEAN4を表示。
これを業種別に見ると、電機・電子部品、
組立では、高付加価値品は一定の優位性を保 つものの、汎用品では中国企業の低価格攻勢
や差別化が困難になりつつある韓国 / 台湾系 企業と競合を強いられていることが分かる
(図表 64)。一方、自動車では、日系企業の 高い技術力や系列関係などから、比較的緩や かな競合度合いに留まっている。一般機械は、
特に高付加価値品において中国系・韓国 / 台 湾系企業とは一線を画す技術的優位が総じて 維持されている状況といえる。
個別企業の競合状況は、事業内容、製品、
販売先等といった各社の事情毎に様々であ る。以下では、こうした競合状況について企 業からヒアリングした内容を業種別に整理し て紹介する。
<自動車部品>
自動車部品では、日系企業との取引が主で あるという企業も多く、また一部企業では系 列セットメーカーから製品の開発を任されて いるケース(承認図面方式)もあるため、中 国系・韓国 / 台湾系企業とはあまり競合して いないとする声が多く聞かれた。但し、一部 の企業からは、欧米系メーカー向けの取引で 図表63 海外市場における中国・韓台企業との競
合状況(全業種)
(注)主として海外市場における①中国企業、②韓国/台湾系企業との競合状況について、
製品種類毎(高付加価値品/汎用品)に回答。
競合していない 品質は劣るが価格
が安い 品質は同等・価格 も同程度/安い
凡例
22.9%
18.5%
41.8%
54.6%
44.4%
69.2%
41.3%
42.2%
32.6%
12.3%
16.9%
3.3%
60% 40% 20% 0% 20% 40% 60% 80% 100%
韓国/台湾系企業 中国系企業 韓国/台湾系企業 中国系企業
汎用品高付加価値品
(n=427)
(n=402)
(n=448)
(n=414)
図表64 海外市場における中国・韓台企業との競合状況(業種毎)
電機・電子組立
7.4%
7.1%
38.5%
46.4%
55.6%
85.7%
38.5%
50.0%
37.0%
7.1%
23.1%
3.6%
60%40%20% 0% 20% 40% 60% 80% 100%
韓国/台湾系企業 (n=27) 中国系企業 (n=28) 韓国/台湾系企業 (n=26) 中国系企業 (n=28)
高付加価値品 高付加価値品
汎用品 汎用品
汎用品
化学
26.3%
20.0%
32.8%
50.8%
40.4%
63.3%
50.0%
49.2%
33.3%
16.7%
17.2%
0.0%
韓国/台湾系企業 (n=57) 中国系企業 (n=60) 韓国/台湾系企業 (n=58) 中国系企業 (n=61)
電機・電子部品
10.0%
13.7%
32.7%
50.0%
48.0%
68.6%
38.8%
42.0%
42.0%
17.6%
28.6%
8.0%
韓国/台湾系企業 (n=50) 中国系企業 (n=51) 韓国/台湾系企業 (n=49) 中国系企業 (n=50)
一般機械
17.9%
16.7%
52.5%
65.9%
61.5%
83.3%
35.0%
31.8%
20.5%
0.0%
12.5%
2.3%
韓国/台湾系企業 (n=39) 中国系企業 (n=42) 韓国/台湾系企業 (n=40) 中国系企業 (n=44)
自動車
競合して
いない 品質は劣るが 価格が安い
品質は同等・
価格も同程度/
凡例 安い
高付加価値品 高付加価値品汎用品
33.3%
29.5%
48.6%
62.5%
42.7%
65.4%
34.3%
36.1%
24.0%
5.1%
17.1%
1.4%
韓国/台湾系企業 (n=75) 中国系企業 (n=78) 韓国/台湾系企業 (n=70) 中国系企業 (n=72)
高付加価値品汎用品
60%40%20%0% 20% 40% 60% 80% 100% 60%40%20%0% 20% 40% 60% 80%100%
60%40%20%0% 20% 40% 60% 80% 100% 60%40%20%0% 20% 40% 60% 80% 100%
の韓国 / 台湾系メーカーとの競合ありとの指 摘もあった。
・ 納入先が日系であることから、競争相手と しては基本的に日系。海外メーカーとはア メリカの取引おいて現地メーカーとの競合 がある程度。(自動車部品)
・ 設計から関与していて、当社に開発が任さ れている部品(承認図面方式)について他 社との競合はないが、セットメーカーが図 面を供給する部品(貸与図面方式)につい ては他社を含めた入札となる。
・ (華東の生産拠点で生産したケーブルを近 隣の地場企業や外資系企業にも拡販する可 能性はないか、問うたところ)当社製品は 地場企業にとって高いらしく、特段引き合 いはない。
・ 主な競合としては、日系の他は欧米系メー カーが主。ただ、米国市場での米系セット メーカー向け商品において韓国系メー カー、中国市場において台湾系メーカーと の競合も存在する。修理用部品において当 社純正でない安いものが出回ることはある が、中国における模造品については現状の ところでは認識していない。なお、マフラー は、シミュレーションを繰り返しながら消 音のための構造を作りこんでいく商品。仮 に当社のノウハウをコピーした商品があっ たとしても、当該コピーメーカーは次世代 商品を作ることができず、結局は完成車 メーカーが困ることとなる。そういった事 情を勘案すると、安いコピー商品が出てき たとしても採用されないものと思われる。
・ 中国系の部品メーカーとの力の差はある が、韓国系のメーカーは力をつけてきてい ると感じる。韓国系メーカーには、当社製 品のコピー商品を作っている会社もある。
もともと金型などが安いところへ、設計等 にかかる技術開発費用も負担していない会 社の製品が安いのは当然だが、一方でコ ピーながらうまく出来ていることを認めざ るを得ない部分もある。なお、組立メーカー がコピー商品を採用することも問題を助長 している。
<一般機械>
一般機械では、製品の品質による差別化に 加え、磐石なアフターサービス体制により中 国系・韓国 / 台湾系企業との差別化に成功し ている企業の声も多く聞かれた。但し、安価 な機種における中国系・韓国/台湾系メーカー との直接的・間接的競合に晒されている企業 もある点には留意を要する。
(サービス面・品質面での差別化に成功して いるケース)
・ この業界では「2台目はサービスが売る」
と言われるが、韓国系企業等との差別化要 因の中で最も大きいのはサービス面だと思 う。特にタイやインドネシアでは多くの代 理店と契約して磐石なサービス体制を敷い ている。(一般機械組立)
・ ここ5年では北米での販売増が顕著。欧米 の競合会社が大型機械を得意としている一 方、当社は小型機に力を入れて個人用の用 途を掴んだことが背景と思われる。また、
日本国内と同水準のしっかりしたアフター サービス体制を敷いていることも他社との 差別化要因になっているように思う。なお、
当該アフターサービスの担当は当社流の サービスを身につけた米国人であり、日本 人の駐在員は基本的に経営管理を担当。な お、当社は米国のみならず東南アジアや中 国でも日本と同じ水準のアフターサービス を提供することにしている。(一般機械組 立)
・ 韓国メーカーでは大宇等が出てきたが、ま だまだ品質面等で大きな差があると認識。
工作機械は①土台(ベッド)とその上に乗 せる②主軸及び③刃物台といった部品3点 を相互にうまく調整しないと期待する性能 が出せない所謂擦り合わせ型製品。加えて、
部品点数も小さいもので 1,000 点、大きい ものでは 3,000 点に上るため、日本企業に とっても海外での生産はなかなか難しい製 品である。
一方、組み立てに高い技術を要す工作機 械独特の特性ゆえに、新興国企業に対する
優位性を比較的高く保持できている分野と いえる。(一般機械組立)
(安価な製品での競合に直面しているケース)
・ 当社製品自体はそう簡単に模倣できないと 思うが、中国や韓国等の地場企業による安 価な製品との競合はある。これら企業の製 品は確かに安価だが、販売担当者は「(当 社製品の耐用年数である)10 年間使用す れば、結果的に品質が良く故障も少ない当 社製品のほうが安価になる」というような 売り込み文句も駆使して販売促進している ものと思う。(一般機械組立)
・ 韓国や中国のメーカーとも安価な機種では 競合あり。しかしながら、当社の注力する 高付加価値品で本格的に競合するのは日本 メーカー。その他、欧州メーカーも品質の 高い製品を投入してくる。(一般機械組立)
・ 「中国市場で競合している」とした中国系 企業は、自国企業の技術力向上を願う同国 政府の優遇を背後に受けて様々なところで 技術を移転させて(或いは盗んで / 模倣し て)吸収し、技術力をつけてきている点が 大きい。第1ステップは外資企業に発注し て技術を吸収した後、第2ステップは自社 で行う、などという事例も聞く。(一般機 械組立)
(直接の競合はなくとも間接的に影響を受け ているケース)
・ 造船事業では、中国企業による過剰投資に より業界全体として供給過剰に陥る 2010 年問題も予見されている。中国企業は安価 な小型船を大量に供給する戦略を取ってい るが、これらが市場に溢れると①小型コン テナ船等の運賃が下がり、②同一航路の大 型コンテナ船の運賃も低下、③運賃をベー スに決定される大型船価格も低下、という ことになり、当社の手がける大型の高付加 価値品も少なからず影響を被る。(一般機 械組立)
・ 中国を中心としたアジアでは、高精度の加 工品質を求める企業がまだそれほど多くな
く、低価格機が中心なため、現時点の収益 率はあまりよくない。また、低品質の競合 他社機の価格に引っ張られて、当社製品の 価格も相当叩かれている。しかしながら、
工作機械の操作パネルの操作法はメーカー 毎にまちまちであることから、現在需要の ある低価格機から取引を始めておくこと が、今後、同じ顧客が高価格機を求めるよ うになった際に生きてくる(当社製品の操 作パネルの操作への習熟が他社製品への切 り替えを阻む障壁となる)と考え、当社は 今からアジア地域の顧客への販売にも注力 して将来の収益源とするための布石を打っ ていく。(一般機械組立)
<電機・電子>
電機・電子では、高付加価値品について品 質面での差別化ができているとする企業もあ る一方で、特に汎用品では中国系・韓国 / 台 湾系メーカーとの厳しい競合にさらされてい る企業の声が多く聞かれた。特に、日系セッ トメーカーでも地場企業製品の利用に逡巡し ない企業が増えてきている点は他業種にはな い特徴である。また、インド、ロシア等の新 興国市場では、韓国系企業の台頭が目覚しく、
日系企業が後発となっている事例も多く聞か れた。
・ 汎用品については、中国、台湾、韓国など も含めプレーヤーが多数。ただし、大型の 製品では、顧客向けのカスタマイズが必要 な事業であり、当該分野での競合はさほど 多くない。(電機・電子部品)
・ 中国においても代替エネルギーが注目され ており、太陽電池の普及が進み始めている。
日系メーカー以外に、ドイツメーカー、中 国地場メーカーが競っている。当社製品は 地場メーカーものに比して高いため需要が なかなか広がらない。当社をはじめとした 日系メーカーは品質が保証された製品をき ちんとつくろうというスタンスなのに対し て、地場メーカーのスタンスはものづくり の考え方がかなり異なっているように思わ