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タイ及び EU15 における事業の

ドキュメント内 牛田論文ブック.indb (ページ 30-35)

第5章  海外事業展開実績評価

2.  タイ及び EU15 における事業の

 本節では、前節で当地における事業の収益 率が「高い」とした企業の割合に大きな変化 のあったタイ及び EU について、収益満足度 の変化及びその理由についての集計結果を紹 介する。

 回答企業に対しては、当4初の「収益」目標4 4 4 4 4 4 4 4 に対する4 4 4 4 2006 年度の実績評価4 4 4 4を「5 満足」

「4 やや満足」「3 どちらでもない」「2 や や不十分」「1 不十分」の中から選択回答し ていただいた。また、「3 どちらでもない」

以外の評価をされた場合(高評価(5或いは 4)/ 低評価(1或いは2))には、その理由 を「コスト削減が困難」「販売先確保が困難」

等の中から選択回答していただいた。

 本節では、これらの回答の集計結果から明 らかになった①収益満足度の平均(回答企業 は第1章で明らかになった「収益率」に売上 高を掛け合わせた「収益4 4水準」に満足してい るのか)、② 2006 年度調査結果(2005 年度 実績)からの評価の変化(上昇 / 下降)、の

2点について述べた上で、③収益水準に対す る高評価 / 低評価の理由を踏まえた収益満足 度評価が上昇 / 下降した理由を考察する。

⑴ タイにおける収益満足度評価

 タイにおける収益満足度平均は 3.01 であ り、2006 年度調査結果(2005 年度実績)と 比 較 す る と 0.19 低 下 し て い る( 図 表 44、

45)。図表 44 からも分かるとおり、この低下 幅は比較的大きなものであるため、これを第 1節で説明した収益率が「高い」企業の割合 の大幅な減少と併せ読むと、多くの企業の収 益率の低下は当初予算に必ずしも織り込まれ ていなかった事象によるもの(従って目標に 未達)であることが分かる。

 2年連続で本設問に回答いただいた企業の 評価の変化をみると、全業種で評価が上昇し た企業が 54 社ある一方で、下降した企業は それを上回る 77 社にも上ることがわかる。

これを業種別に見ると、一般機械、自動車、

電機・電子での評価下降企業が多い(図表 46)。

 評価が下降した理由に迫るため、タイでの 収益水準に低評価(不十分・やや不十分)を 下した企業に対して質問した評価理由をみる と、「コスト削減が困難」「販売先からの値引 要求」「為替差損」といった理由を挙げる企 業の数が 2006 年度調査比で大幅増となって いる(図表 47)。収益満足度低下の要因につ いて、更に企業へのヒアリングを実施したと ころ、以下のように、自動車等ではコスト上 昇を販売価格に転嫁できないことや当地から の輸出におけるバーツ高による負の影響が示 唆された。同じく評価下落が目立った一般機 械では、タイの日系自動車関連企業の設備投 資の一巡で需要が減少したことが挙げられ た。

<自動車部品>

・ ①タイ拠点の目標が上がった(前年と同じ 売上でも満足度は低下)、②製造コストの 上昇を完全には価格転嫁できていない、③ バーツ高で同拠点からの輸出品の採算が悪

図表45 売上高満足度評価(全業種)

3.07 3.12

3.03

2.76

3.02 2.99 2.97

2.88 3.16 2.98

2.95 3.14

3.02

2.89

2.73 2.72

3.06

2.79 2.84

2.98 3.36

2.90 2.90 3.14

3.06 3.11

2.99

2.7 2.8 2.9 3 3.1 3.2 3.3

3.4 07年度調査

06年度調査

グループ全体

372 社)

NIEs 3272

社)

ASEAN5 のべ111

6社)

シンガポール

232 社)

タイ340 社)

インドネシア

210 社)

マレーシア

210 社)

フィリピ ン(124

社)

中国480 社)

イン ド(116

社)

ベトナム

114 社)

北米405 社)

中南米

137 社)

EU 15296

社)

中・東欧

111 社)

図表44 収益満足度評価(全業種)

グループ全体

372 社)

NIEs 3272

社)

ASEAN5 のべ111

6社)

シンガポール

232 社)

タイ340 社)

インドネシア

210 社)

マレーシア

210 社)

フィリピ ン(124

社)

中国480 社)

イン ド(116

社)

ベトナム

114 社)

北米405 社)

中南米

137 社)

EU 15296

社)

中・東欧

111 社)

3.01

2.87 2.9 2.89

2.77 2.75

2.75 2.71

2.86 2.87

2.72 2.89

2.65 2.65 2.78 2.89 2.93

2.86 2.83 2.79 2.82

2.96 2.98 2.99

2.82 2.81

3.20

2.6 2.7 2.8 2.9 3 3.1

3.2 07

年度調査

06

年度調査

図表46 タイにおける収益満足度評価

(単位:社)

評価上昇 評価下降

全体 54 77

↓ 一般機械 2 11

↓ 自動車 10 17

↓ 電機・電子 10 13

(注)本調査の「収益満足度評価」では当初の収益目標に対する該当年度の実績評価を「5 満足」

  「4 やや満足」「3 どちらでもない」「2 やや不十分」「1 不十分」の中から選択。本年度調   査では06年度実績について質問。上段の囲いは、同設問に2年連続で回答した企業について、

  評価が前年度調査比上昇/下降した数を各々集計したもの。

売上高・収益満足度評価の元データは付図表3。

図表47 タイでの収益「不満足」理由(全業種)

(注)収益「不満足」理由は、収益満足度評価が「1」若しくは「2」(不満足)とされた国・地域について、

  各々その評価理由を質問しているもの。

製品の成熟化による需要減退

46 景気変動による市場規模縮小

2 6 該当国・地域からの輸出が不調

3 6 6

13

28 31

9 12

16 24

34 36

0 102 0 304 0

56 その他 設立後まもなく本格稼動に 入っていない

為替差損 販売先からの値引要求 コスト削減が困難 販売先確保が困難

(社) 07年度調査

06年度調査

化した、の3点によりタイにおける収益満 足度が低下。(自動車部品)

・ 自動車プレス部品を生産。モデルチェンジ に伴い、仕事が他社へ流れたため(自動車 部品)

<一般機械>

・ タイは販売拠点のみ。日系企業相手に NC 旋盤を販売しているが、自動車関連企業へ の販売が減少した。(一般機械組立)

・ タイは販売拠点のみ。日系企業相手に工場 で利用する運搬機、物をつかむ機械を販売。

2006 年末あたりから、工場設備関連の引 き合いが減った様子。政変が影響している というよりは、為替規制などで資金的な手 当てなどが円滑に行きにくくなったのでは ないか(一般機械組立)

・ タイでは収益満足の理由として「為替差益」

を挙げたが、これは連結決算におけるタイ 拠点業績(バーツ建)の円換算効果による

ところが大きい。(一般機械組立)

<その他業種>

・ タイの収益に不満足な理由は①人件費の上 昇と②為替の影響によるもの。①について は、これまで人海戦術で生産してきたとこ ろを徐々に自動化したり、過剰感のある間 接部門人員を削減したりすることで生産効 率の向上を目指す。また、②は、同国拠点 からの輸出はほとんどないものの、ドル建 てで価格設定された製品をバーツ建てに換 算して売り、決算数値上では日本円に換算 しているところ、円建ての収益(円建)が 目減りしたもの(為替換算のタイムラグに よるものと思われる)。販売自体は悪くな い。(精密機械組立)

・ タイにてサッシなどを製造し日本へ輸出。

仕切通貨は円。製造原価はバーツベースで あり、バーツ高により利幅が低下した。(非 鉄金属)

<コラム3>アジア地域における通貨高の影響

 2005 年度以降、上記で紹介したタイ以外の各国でも現地通貨高が目立っている(コラム 図表)。以下では、アジアにおける現地通貨高の影響として聞かれたヒアリング結果を紹介 する。

(アジアで生産して他国へ輸出している企業)

・ マレーシア、インドネシア、北米での収益満足度(やや不十分)の理由として「為替差損」

を選択しているのは、米ドルやマレーシアリンギ、インドネシアルピアの価値が製造拠点 のあるタイや中国の通貨に対し相対的に減価したことが背景(→生産国における為替の相 対的な増価は同増価分についての製造原価増や販売先国における製品価格上昇をもたら す)。(一般機械組立)

・ 中国において収益が「やや不満」となっているのは、人民元高が最大の理由。シップバッ クしてくる製品がほとんどで、これらが為替の影響を受け採算を圧迫している。なお、人 件費も上昇しているが、正社員の比重が小さいためその影響は為替ほどではない。(電機・

電子部品)

(日本からアジア各国へ輸出している企業)

・ タイ、インドネシア等の東南アジア諸国では、建機価格の上昇及び為替の影響により、

2006 年3月期実績比で収益率に改善が見られたため収益「満足」と回答。しかしながら、

建設機械の販売価格と収益自体は欧米の方が高い。収益の絶対水準で見ると、東南アジア はまだこれからという状況。(一般機械組立)

⑵ EU15 における収益満足度評価

 EU15 における収益満足度平均は 2.90 であ り、2006 年度調査結果(2005 年度実績)と 比較すると 0.04 と小幅上昇に留まっている

(図表 44)。これを第1節の収益率が「高い」

企業の割合の大幅増と併せ読むと、当地域で の事業の収益率の上昇は、当初予算や事業計 画において一定程度織り込み済の事象・計画 が功を奏したことによるものも多いことが分 かる。

 2年連続で本設問に回答いただいた企業の 評価の変化をみると、全業種で評価が上昇し た企業が 62 社ある一方で、下降した企業は それを下回る 49 社に留まっている。これを 業種別に見ると、一般機械、食料品での評価 上昇企業が多い(図表 48)。

 評価が上昇した理由に迫るため、EU15 で の収益水準に高評価(満足・やや不満足)を 下した企業に対して質問した評価理由をみる と、過去から指摘数が多かった「販売活動が 順調」の他に「為替差益」といった理由を挙

げる企業の数も 2006 年度調査比で大幅増と なっている(図表 49)。特に評価上昇企業の 多かった一般機械では日本からの輸出が多い ため、ユーロ高による為替差益や販売の増加 が好影響をもたらしたものと考えられる。

 過去からの傾向として、欧州では生産面の 効率化及びブランド構築で苦戦する企業が多 い。本年度の企業ヒアリングでも以下のよう に生産の効率化に苦労している声が聞かれて いる。

・ 欧州では赤字となっている。これは、イギ リスで買収したラジエター生産拠点で主要 図表48 EU15 における収益満足度評価

・ タイ及びインドネシアでの収益満足理由として「為替差益」を挙げているのは、円安・ド ル安により①日本から当地への輸出価格(円安)及び②シンガポールの販売拠点と現地 ディーラーとの取引価格(ドル安・現地通貨高)の双方に割安感が出たため。(一般機械 組立)

コラム図表 アジアにおける為替相場の推移

90 100 110 120 130 140 150

20041 20051 20061 20071

ユーロ 米ドル インドルピー インドネシアルピア 韓国ウォン

マレーシアリンギット フィリピンペソ タイバーツ ベトナムドン

円に対して 現地通貨安 円に対して 現地通貨高

(注)「20041月時点の各通貨1単位あたり円」を100とした場合の現地為替価値推移

(単位:社)

評価上昇 評価下降

全体 62 49

↑ 一般機械 12 5

↑ 食料品 5 0

(注)本調査の「収益満足度評価」では当初の収益目標に対する該当年度の実績評価を「5 満足」

  「4 やや満足」「3 どちらでもない」「2 やや不十分」「1 不十分」の中から選択。本年度調   査では06年度実績について質問。上段の囲いは、同設問に2年連続で回答した企業について、

  評価が前年度調査比上昇/下降した数を各々集計したもの。

売上高・収益満足度評価の元データは付図表3。

ドキュメント内 牛田論文ブック.indb (ページ 30-35)

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