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有望国得票数と生産拠点保有

ドキュメント内 牛田論文ブック.indb (ページ 37-46)

第5章  海外事業展開実績評価

⑷   有望国得票数と生産拠点保有

 図表 53 は、中国、インド、タイ、ベトナ ムの各国について、有望国の得票数と当該国

図表52 有望先国・地域における具体的な事業計画の有無

218

89

59 72

35 18 18 13 14

115

159

57 252

62 52

23

54

17 19 11

71 55

27 26 16

77 115

10 33

80

13

112

31

157

21 23 58

104

16 46

200 150 100 50 0 50 100 150 200 250 300

中国 インド ベトナム タイ ロシア 米国 ブラジル インドネシア 韓国 台湾

事業計画あり2007年度調査 事業計画なし2007年度調査 事業計画あり2006年度調査 事業計画なし2006年度調査

に既に生産拠点を有する回答企業の数をまと めたものである。

 中国については、近年得票数は減少傾向に あるものの、回答企業における生産拠点の設 立は進んでいる。上述のとおり既に約 500 社 の回答企業が中国に生産拠点を有しており、

中国に生産拠点の設立を計画した企業は概ね 設立しきった状態ではないかと思われ、中国 事業は日系企業の海外事業の大きな軸になっ ている。一方でインドについては、近年得票 数は急増しているが、現状で生産拠点を有す る社は、回答企業の 10%程度にとどまって おり、両国の投資先としての成熟度合いの差 異が現れている。インド投資では、インドの 巨大市場の魅力がある一方で、インフラをは じめとした投資環境の問題や日本からの地理

的な関係などもあり、特に生産拠点の投資先 としては比較的難易度の高い国であることを 考慮すると、かつての中国のような急激な増 加は望みがたいものと思われるが、今後、イ ンドでの生産拠点設立がどの程度の速度で進 行するかについては要注目であろう。

 上記の中国とインドと同様の成熟度合いの 関係がタイとベトナムにもいえよう。タイに ついては、近年得票数は伸び悩んでいるもの の、回答企業の約 50%が同国に生産拠点を 有しており、日系製造業の東南アジアでの軸 に成長している。一方で、ベトナムについて は、近年得票数は急増しているが、現状で生 産拠点を有する社は、回答企業の 15%程度 にとどまっており、これから拠点の設立が進 行していくものと思われる。なお、生産拠点 図表53 有望国得票数と生産拠点保有企業数(4カ国)

中国

500 100150 200250 300350 400450 500550

2003 2004 2005 2006 2007 生産拠点あり 有望

タイ

0 50 100 150 200 250 300 350

2003 2004 2005 2006 2007 生産拠点あり 有望 インド

0 50 100 150 200 250 300

2003 2004 2005 2006 2007 生産拠点あり 有望

ベトナム

0 50 100 150 200

2003 2004 2005 2006 2007 生産拠点あり 有望

の設立の観点からは、インドよりは増加の立 ち上がりが早くなっているようだ。

2.有望国の有望理由と課題

 各有望国・地域について、その有望理由と 課題を質問しており(いずれも複数回答可)、

その結果を主要国ごとにまとめるものであ る。

⑴ 中国の有望理由と課題

 有望理由としては、「現地マーケットの今 後の成長性」が第1位で、中国の有望理由を 回答した企業の 79.8%が同理由をあげている

(図表 54)。企業のヒアリングにおいても、「販 売先では中国が重みを増してきており、有望 国としてあげている。(電気・電子部品)」、「中 国については、徐々にではあるが高付加価値 品が売れ始めており、生産拠点として以外に 販売先として注目度が高まってきている」。

(精密機械組立)といった意見が多数聞かれ る。ところで、有望理由の2位となっている

「安価な労働力」についてであるが、今年度 調査では、約 50%の得票率であり、中国進 出の大きな要因であることには変わりはない が、03 年度の調査においては約 75%の企業 が同理由をあげていたことに比べると大きく 減少をしてきている。中国でも労働コストの

上昇は激しくなっており、特に中国沿海部に おいては、もはや低い労働コストを主眼とし た進出は過去のものとなりつつある。一方で、

労働コスト上昇の裏返しとして、現地の購買 力の増大があり、そういった観点の理由「現 地マーケットの現状規模」などは着実に地位 を上げてきている。その他では、産業集積の 評価が向上しているようである。労働コスト と産業集積などについての代表的コメントと して次のようなものがあげられる。

・ 中国では人件費の上昇や輸出企業にとって 不利な種々制度変更(増値税の還付率引き 下げ、特定品目での委託加工の禁止等)に より事業環境が徐々に悪化してきている が、それでも現状では特段拠点の移転と いった話にはなっていない。(電機・電子 組立)

・ 賃金は毎年平均1〜1.5 割程度の値上げを 覚悟しているが、特に昨年は3〜4割程度 の賃上げを実施して割増賃金も上昇させ た。但し、それでも中国拠点の人件費は日 本の 1/10 程度で済んでいるため、依然人 件費は安価である。(精密機械組立)

・ 中国への進出当初は原料を全て日本から持 ち込んでいたが、近年、日本企業は加工度 の低い単純材料を生産しなくなってきてい る一方、中国地場企業の製品品質も向上し

図表54 中国の有望理由と課題(複数回答可)

有望理由

 (回答社数計:336 社) 社数 比率 1現地マーケットの今後の成長性 268 79.8 

2安価な労働力 169 50.3 

3現地マーケットの現状規模 101 30.1  4組立メーカーへの供給拠点 95 28.3  5安価な部材・原材料 83 24.7 

課題 最も深刻な課題

 (回答社数計:325 社) 社数 比率  (回答社数計:236 社) 社数 比率

1法制の運用が不透明 211 64.9  1法制の運用が不透明 46 19.5 

2知的財産権の保護が不十分 177 54.5  2他社との厳しい競争 44 18.6 

3労働コストの上昇 174 53.5  3労働コストの上昇 33 14.0 

4他社との厳しい競争 146 44.9  4知的財産権の保護が不十分 23 9.7 

5税制の運用が不透明 127 39.1  5課税強化 15 6.4 

てきていることから、現在では原材料の8、

9割程度を現地調達している。なお、この うち一部は日系企業を経由して調達。(精 密機械組立)

 課題で最も多くあげられたものは、「法制 の運用が不透明」(64.9%)で、「知的財産権 の保護が不十分」(54.5%)、「労働コストの 上昇」(53.5%)が続く。中国においては、

中央で定められた法令、規則などが地方では 十分に浸透していないことや、対応する行政 官により解釈や運用が異なり、円滑なオペ レーションに対する阻害要因となっている指 摘は従来より多い。企業のコメントにおいて も、「法制がすぐ変わったり、世界標準とは 言えないような独自の法律が出来たりするこ とに問題を感じている」(窯業・土石製品)、

や「中国の課題では、法令が頻繁に変更とな る上、地方政府の担当者まで変更が浸透して おらず運用に混乱をきたす場合があるなど、

法令関係でも問題多い」(精密機械組立)と の意見が聞かれる。

 また、2番目にあげられている知財関連に ついては、コピー商品の氾濫などに関して次 のようなコメントがあり、他国との比較にお いても特に中国で突出して指摘が多い項目で ある。

・ 中国においては、「知財の保護が不十分」

であることを最大の課題とした。当社製品 のコピー商品が製造されている。裁判を起 こすことも検討したが、時間やコストほど に賠償が得られる見込みはなく、効果的な 手が打てていない現状。なお、中国で汎用 品を生産しているが、ブラックボックスの 部分を残しノウハウを全部は移植していな い。(精密機械組立)

・ 知財関連では、設計図をパートナーである 現地政府が横流しするなどの事例が発生し ており、投資許認可の申請用に設計図を別 途準備するなどの対応が必要なのではと考 えている。こういった点も含め、コンプラ イアンス意識の浸透はまだまだ低い水準。

(化学)

 3番目の「労働コストの上昇」については、

上記の有望理由の裏返しの問題で、有望理由 として「安価な労働力」を上げる回答が大き く減少している点と正反対の動きをしてお り、近年、同項目を課題とする会社が急増し ている。

⑵ インドの有望理由と課題

 有望理由としては、「現地マーケットの今 後の成長性」が第1位で、インドの有望理由 を回答した企業の 84.6%が同理由をあげてい る(図表 55)。中国、インドといった大国に 対しては、やはり大きな現地市場の魅力に対 する評価・期待が高いことがわかる。別の言 い方をすれば成長いちじるしい巨大市場を無 視しえなってきていると言えよう。代表的コ メントとして次のようなものがあげられる。

・ インドやロシアについては、中国の次の成 長市場として捉えており、同国内での需要 に応えるために「新規生産拠点設立」を検 討。(石油・ゴム)

・ インドは将来的に大きな需要が見込める国 で、また、日系自動車メーカーが取り組み を強化していく方針であることを考慮する と、いずれは進出を検討することになろう。

(化学(医薬品除く))

・ インドを選択する他企業が多いのは、同国 の市場成長を逸するリスクを考え始めてい るからだろう。当社の中国展開は、まだ市 場規模は十分でないものの今後当社の安定 成長を視野に入れると手を出さざるを得な いと考えて決定されたものだが、巷間にお ける昨今のインド人気にも似たものを感じ る。(自動車部品)

 インドの特徴としては、3位の項目である

「優秀な人材」が常に高い評価を得ている。

ただし、工場労働者では、とりたてて評価す るコメントは見られず、IT 大国として躍進 するインドのイメージが好影響を与えている ものと思われる。4番目の項目として、「組 立メーカーへの供給拠点」が入っている。特 に自動車組み立てメーカーで生産拠点の設

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