第9章 各種課題への対処方針
4. 各種財務関連サービス / 施策の
海外事業が拡大するにつれ、企業は現地の 政治リスクや為替リスク等の様々なリスクに 晒される。また、現地販売の拡大などで販売 先が多様化するにつれ、顧客の信用リスクの あり方も多様化する傾向にあると考えられ る。
回答企業の海外現地法人数は調査を始めた 1989 年より継続して増加傾向にあり、本調 査結果では、回答企業 600 社の持つ現地法人 数は 11,516 社にも上るとの結果となってい る。30 社以上有す企業が 94 社(うち 14 社 は 100 社以上)にも上り、海外現地法人の持 つ経営資源の効率活用の必要性も高まってき ているものと考えられる。
こうした状況認識のもと、本年度調査では、
①中国、②シンガポール / 香港及び③その他 ASEAN 各国といった3つの国・地域におい て導入したいと考えている / 既に導入してい る財務関連サービス及び施策について、図表 78 に示された選択肢から複数回答していた だいた。その結果、各国・地域において3割 程度の企業がこれらの各種財務関連サービス / 施策を活用する方針であることが分かった 図表76 業種別 EPA/FTA の活用方針(業種別)
生産拠点を変えずに 生産品目を見直す
生産拠点の見直し・集約化 を念頭に利用
0%
5%
10%
15%
全業種
(558社) 食料品
(32社) 化学
(77社) 電機・電子組立
(37社) 電機・電子部品
(65社)
自動車部品
(88社)
(図表 77)。各財務関連サービス及び施策毎 に見ると、中国では特に「現地通貨の調達」
による為替リスク軽減に関心を寄せる企業が 多い一方、現状では利用可能なサービス自体 が限定的なためか、「進出先市場での先物予 約・スワップを活用」しようという企業は比 較的少数に留まっている。一方、シンガポー ル / 香港やその他 ASEAN においては、「現 地通貨の調達」と並行して「進出先市場での 先物予約・スワップを活用」する企業も多い。
また、資金の効率的活用を目的として各国・
地域内での CMS(キャッシュマネジメント システム)を検討する企業も少なからずある との結果となった。
補論 中堅・中小企業の海外 事業展開
1.序
本補論は「2007 年度海外事業展開調査」
における回答企業の中から、資本金 10 億円 未満の企業を「中堅・中小企業」として抽出 し、海外事業・投資活動の現状および今後の 展望につき、全企業のケースと比較して特徴 的な動きなどを取りまとめたものである(該 当回答企業:153 社)(図表補1〜補5)。
・該当回答企業:153 社
・ 全回答企業(600 回答)のうち中堅・中 小企業の占める割合:25.5%(前年度調 査 26.0%)
・ 中堅・中小回答企業の保有する現地法人 1,170 社(うちアジア地域における現地 法人は 846 社で、全現地法人数の 72.3%
が同地域に集中している。)
図表77 各種財務関連サービス / 施策の活用方針
30.6%
29.5%
31.2%
69.4%
70.5%
68.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
中国 シンガポール/香港 その他ASEAN
関心あり 特段導入を予定していない/分からない
図表78 活用を検討している財務関連サービス /
施策
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
16.0%
18.0%
中国(488社)
シンガポール/香港(378社)
その他ASEAN(444社)
現地通貨の調達 進出先市場での先物予約 /スワップ等の活用
C M
メントシステム� S�キ��シ�マネジ タリング等︶の活用 現地金融手法︵ファク
図表補1 回答企業の資本金別内訳(親会社単体ベ
ース)
企業数 構成比
(%)
1 億円未満 49 32.0%
1 億円〜 5 億円未満 75 49.0%
5 億円〜 10 億円未満 29 19.0%
10 億円〜 50 億円未満 − − 50 億円〜100 億円未満 − − 100 億円以上 − − 合 計 153 100.0%
図表補2 回答企業の総売上高別内訳(連結ベース)
企業数 構成比(%)
500 億円未満 120 78.4%
500 億円以上〜1,000 億円未満 22 14.4%
1,000 億円以上〜2,000 億円未満 9 5.9%
2,000 億円以上〜3,000 億円未満 − − 3,000 億円以上〜5,000 億円未満 − − 5,000 億円以上〜 1 兆円未満 − − 1 兆円以上 2 1.3%
合 計 153 100.0%
2.国内外の事業展開見通し
⑴ 中期的海外事業展開見通し
中期的(今後3年程度)海外事業展開につ いて、「強化・拡大する」と回答した企業の 割合は 80.8%、「現状維持」は 17.2%となり、
全企業よりも「強化・拡大する」との回答は 1.4ポイント低い結果となった。しかしながら、
「強化・拡大する」と回答した企業の比率は 05 年度調査では 70.7%、昨年度では 77.0%、
今年度が上記のとおり 80.8%と年々上昇して きており、中堅・中小企業の海外事業に対す る姿勢が総じて高まってきている。中堅・中 小といえども、海外事業の強化は成長のため には避けて通れない道になりつつあるという ことであろう。
⑵ 海外生産比率
海外生産比率は 35.3%となり、前年の 36.0%
から若干低下した。しなしながら、全企業に 比べると従来より中堅・中小企業の同比率は 高い水準で推移しており、本年度も同様の傾 向を示した(図表補9)。なお、2007 年度の 計画値では 36.9%(全企業:31.6%)、2009 年度の計画値は 41.2%(全企業:35.2%)と 今後も上昇することが見込まれているる。中 堅・中小企業の主要業種別では、特に電機・
電子の海外生産比率が高い傾向にある。
⑶ 中期的国内事業展開見通し
国内事業の中期的(今後3年程度)な見通 しについては、「現状規模を維持する」と回 答した企業が 51.3%であったのに対し、「強 化・拡大する」は 43.3%であった(図表補8)。
「強化・拡大する」との回答は、全企業より 8.1 図表補5 海外現地法人の拠点別・地域別内訳
(n=153)(単位:社)
NIEs3 ASEAN5 中国 その他 アジア 北米 中南米 EU15 中・東欧 その他 欧州 ロシア・
他 CIS 大洋州 中近東 アフリカ 合計
生 産 拠 点 44 153 264 29 77 11 25 5 2 0 2 0 1 613
販 売 拠 点 70 118 118 15 68 20 77 7 7 1 3 2 1 507
研究・開発拠点 0 5 6 0 4 0 3 0 0 0 0 0 0 18
そ の 他 4 6 9 5 5 0 3 0 0 0 0 0 0 32
合 計 118 282 397 49 154 31 108 12 9 1 5 2 2 1,170
図表補3 回答企業の従業員数別内訳(親会社単体
ベース)
企業数 構成比
(%)
〜 300 人 70 45.8%
301 人〜 500 人 29 19.0%
501 人〜 1,000 人 38 24.8%
1,001 人〜 5,000 人 15 9.8%
5,001 人〜10,000 人 − − 10,001 人〜 1 0.7%
合 計 153 100.0%
図表補4 回答企業の業種別内訳
業 種 企業数 構成比
(%)
食 料 品 9 5.9%
繊 維 10 6.5%
木 材 ・ 木 製 品 − −
紙 ・ パ ル プ 2 1.3%
化 学 16 10.5%
[化 学(除 医 薬 品)] 15 [9.8%]
[医 薬 品] 1 [0.7%]
石 油 ・ ゴ ム 7 4.6%
窯 業 ・ 土 石 製 品 1 0.7%
鉄 鋼 1 0.7%
非 鉄 金 属 3 2.0%
金 属 製 品 9 5.9%
一 般 機 械 7 4.6%
[一 般 機 械 組 立] 3 [2.0%]
[一 般 機 械 部 品] 4 [2.6%]
電 機 ・ 電 子 26 17.0%
[電 機・ 電 子 組 立] 7 [4.6%]
[電 機・ 電 子 部 品] 19 [12.4%]
輸 送 機(除 自 動 車) − −
自 動 車 30 19.6%
[自 動 車 組 立 ] 1 [0.7%]
[自 動 車 部 品 ] 29 [19.0%]
精 密 機 械 13 8.5%
[精 密 機 械 組 立] 11 [7.2%]
[精 密 機 械 部 品] 2 [1.3%]
そ の 他 19 12.4%
合 計 153 100.0%
ポイント低い。ただ、「強化・拡大する」企 業の割合は昨年度調査に比べ増加してきてお り、全企業に見られた国内での強化・拡大姿 勢の増加傾向は中堅・中小企業でも同様に確 認される結果となった。
また、国内事業の規模を「強化・拡大する」
と回答した企業に、今後国内でどのような分 野に注力するか尋ねたところ、全企業同様に
「高付加価値品の生産」(69.6%)が最も多く、
「研究・開発」(47.3%)に注力するとの回答
が続いた(図表補9)。中堅・中小企業にお いても国内事業の高付加価値化志向がうかが える。
3.中期的有望事業展開先国・地域
中期的(今後3年程度)な有望事業展開先 国は、第1位中国(80 社、得票率 63%)、第 2位がインド(62 社、49%)、第3位がベト 図表補6 中期的(今後3年程度)の海外事業展開規模(主要業種別)
80.8%
17.2%
2.0%
77.8%
22.2%
0.0%
60.0%
20.0%
20.0%
81.3%
18.8%
0.0%
57.1%
42.9%
0.0%
72.0%
24.0%
4.0%
93.3%
6.7%
0.0%
84.6%
15.4%
0.0%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
全業種 食料品 繊維 化学 一般機械 電機・電子 自動車 精密機械
2007年度調査
(単位:%) 〈151社〉 〈9社〉 〈10社〉 〈16社〉 〈7社〉 〈25社〉 〈30社〉 〈13社〉
強化・拡大する 現状程度を維持する 縮小・撤退する
図表補7 海外生産比率の推移
30.3 28.1 27.9 30.6 31.8 31.6 32.4 34.0136.0 35.3 36.9 41.2
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
97 98 99 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2010
(単位 :%)
(年度)
実績値 計画値
※海外生産比率=(海外生産高)/(国内生産高+海外生産高)
図表補8 中期的な国内事業展開見通し
0.023728814 0.015254237
0.455932203
0.013 0.04
0.513 0.505084746 0.433
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
検討中 強化・拡大 する
現状程度を 維持する
縮小する
全国(本年度調査(n=590)n=150)
ナム(55 社、43%)の順となった(図表補 10)。上位3ヵ国を見てみると、まず、中国 が第1位ながら得票、得票率ともに減少させ ているのは、全体での傾向と同様である。ま た、インドが中堅・中小企業においても注目 を集め、ベトナムを抜いて第2位に浮上した。
ベトナムは特に中堅・中小企業からの有望性 の評価が高い傾向にあったが、今年度調査に おいては、票数、得票率とも微減の結果になっ た。
4位以下では、タイ(47 社、37%)が前年 度と同様の順位を保ち、ロシア(20 社、16%)
がひとつ順位を上げた。ただ、ロシアは、全
企業に比して中堅・中小企業においては低め の評価となっており、距離的な関係などから 関心の高まりが低いのではと考えられる。ま た、全企業との比較では、インドネシア、フィ リピンといった東南アジアの国が比較的上位 にきていることも特徴である。
有望国を選択した企業に対しては、投資計 画の有無を質問しているのは本編の通りであ り、中堅・中小企業についても結果をまとめ た。(図表補 11)。「計画あり」では、中国に おける件数が大変多いが、前年度に比べてそ の件数は大きく減少しており、当該傾向は全 企業と同様である。インドにおいては、「計 画なし」からの票が大幅に増加している一方 で、「計画あり」は横ばいである。全企業に おいて「計画あり」の票が大幅増加している 状況と対照的であり、中堅・中小企業におい ては、現実的な投資先というより少し長い目 で見た有望先ととらえれられているようであ る。
ベトナム、ロシアなどは「計画なし」から の票が多く、こういった点は全企業と傾向が 同じである。インドネシアについては、「計 画あり」とする社が数はさほど多くはないも のの前年度の2社から今年度は7社へ増加し ている。当該国の人気は大企業よりむしろ中 堅・中小企業により押し上げられた感がある。
図表補9 今後国内で注力する分野(複数回答可)
80
(%)
12.2 10.3
69.6
73.9
29.7
35.7 47.3
55.8
17.6 18.8
0 20 40 60 80 100
中小 全国
8.7 12.2
72.5 69.6
29.7 31.5
47.3
49.7
17.6
20.1
0 10 20 30 40 50 60 70
2007年度 2006年度
生産(汎用品) 生産(高付加価値品) 販売・サービス 研究・開発 経営・管理
図表補10 中期的有望事業展開先国・地域(複数
回答)
順位
中期的(今後3年程度)有望事業展開先国 本年度調査 (社)
127
(%)
100
06 年度調査 (社)
124
(%)
100 1位 中国 80 63 中国 95 77 2位 インド 62 49 ベトナム 57 46 3位 ベトナム 55 43 インド 52 42 4位 タイ 47 37 タイ 46 37 5位 米国 25 20 米国 20 16 6位 ロシア 20 16 インドネシア 15 12 7位 インドネシア 16 13 ロシア 14 11 8位 ブラジル 11 9 ブラジル 13 10 9位 フィリピン 7 6 EU 10 8 9位 北米 7 6 北米 10 8