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7.1 調査概要

平成20年9月22日から10月4日(表7.1-1参照)までの間、ドイツ及びフランスを 訪問し、ハンブルクにて開催された国際海事展“SMM Hamburg”にて複数のコスパス・

サーサット・ビーコンメーカとの会談、フランス宇宙局(CNES)への訪問調査、及びフ ランス国内に本社を置くビーコンメーカへの訪問調査を行った。

表7.1-1 海外動向調査旅程表

曜 日 9/22(月) 9/23(火) 9/24(水) 9/25(木) 9/26(金) 出国 ハンブルグ SMM展示会

訪問先 ACR社 JOTRON社 McMurdo社

曜 日 9/29(月) 9/30(火) 10/1(水) 10/2(木) 10/3(金) パリ トゥールーズ トゥールーズ ガイデル 帰国(10/4)

訪問先 CNES CNES ELTA社 KANNAD社

7.2 フランス国立宇宙研究センター(CNES)

CNESパリ本部及びツールーズ宇宙センターを訪問し、ガリレオのリターンリンク機能 の仕組み、開発状況、打上計画及びフランス国内における PLB の活用状況等について調 査した。

7.2.1 ガリレオ衛星打上計画

ガリレオ衛星は、当初、2007年頃から順次打上が計画されていたところであるが、予算 等の諸事情により、大幅に遅れており、現時点での最新の打上計画(図 7.2.1-1 参照)で は、2010年頃より順次打上を開始し、2015年頃までに完了するということになっている。

しかしながら、打上ロケットの都合、その他の事情等により、更なる遅延が発生する可能 性も否定できないとのことであり、今後も慎重に注視する必要がある。

図7.2.1-1 ガリレオ衛星打ち上げ計画 7.2.2 リターンリンク機能

ガリレオ衛星に搭載されるリターンリンク機能の仕組みは、図7.2.2-1(フランスにおけ る実験時)のとおりである。陸側からビーコンに対してメッセージを送信する機関をリタ ーンリンクサービスプロバイダー(RLSP)と呼び、RLSP は、世界に点在するフランス 領などに設置される予定のガリレオミッションセグメント(GMS)から衛星に対してメッ セージが打ち上げられ、衛星からのリターンリンクメッセージは、L1周波数によってビー コンに対して送信される。ビーコン内では、図 7.2.2-2 のとおり、ガリレオ受信チップか らソフトウェアに対してメッセージが渡されることになる。

図7.2.2-1 ガリレオリターンリンク試験のコンセプト

図7.2.2-2 ビーコン内におけるリターンリンクメッセージ処理

7.2.3 フランスにおけるPLB運用実績

フランスでのPLB利用の歴史は古く、パリダカラリーなどに1990年代から利用されて いた。初期の頃はレンタルのみだったが、2003年頃、突然、注目を浴び、販売されるよう になった。この一つの理由には、小型航空機用のELTの代替物としてPLBが着目された ことがあげられる。現在、フランスMCCが運用しているデータベースには、約1,000台 のPLBが登録されているが、最近、急速に増加しており、ひと月に100台近く登録され ることもある。PLB の誤発射率は、約 75%であり、決して低いとは言えないが、EPIRB

が約95%であることに比べると、かなり低い。これには様々な理由が考えられるが、ひと

つには EPIRB のような自動発射機能がなく、保護シール等を意図的に破らなければ発射

できないことがあげられる。

7.2.4 フランスにおけるMEOLUT(MEOSAR地上局)実験

フランスでは、ガリレオが打ち上げられ次第、リターンリンク機能の試験を含む軌道実

験を図 7.2.1-1 のとおり、実施する予定であるが、当面の間は、すでに打ち上げられてい

る9機のDASS(GPS)衛星によって実験を実施している。MEOSAR 衛星用の地上受信

局としては、DASS 衛星に向けた2台のアンテナとともに、カナダの EMS 社製の

MEOLUT によって、実験を実施しているが、近々、4台のアンテナを備えたフランス独

自開発の MEOLUT も運用を開始し、ガリレオの打上に備える。現在の DASS 衛星から

MEOLUTへのダウンリンクはSバンドであるが、最終的にはLバンドに移行するため、

アプリケーション ソフトウェア

ガリレオ 受信チップ インターフェース

リターンリンクメッセージ

(L1周波数

SバンドとLバンドの両方に対応したMEOLUTを開発した。

単一のMEOLUTでは、図7.2.4-1のように、地球の6分の1をカバーできるため、理

論上は、地球上に6箇所MEOLUTがあれば、全地球をカバーできることになるが、LUT の設置の意思決定は各国政府次第であるため、政治的な理由等により、MEOLUT が数十 箇所に設置される事態になることも予想される。このため、衛星システム及び地上システ ムは、このような事態にも柔軟に対応できるよう設計している。

図7.2.4-1 単一のMEOLUTによる地上カバーエリア

7.3 ビーコンメーカの状況 7.3.1 ACR社(米国)

(1)PLBの販売状況

PLBの使用が許可されている国では全て販売している。欧州ではまだPLBが許可され ていないドイツ以外は、ロシアを含めてほとんどの国で販売しており、その他、米国、カ ナダ、豪州、ニュージーランド、南アフリカ等を含めると、20カ国以上で販売しているこ とになる。

昨年だけで、数千台は販売した。米国などでは、町中のアウトドアショップで店頭販売 されており、毎年、20%~30%は成長している主力商品である。

(2)最新モデル

最新のPLBモデルは、MicroFix406GPS PLB(図

7.3.1-1)であり、GPS内蔵が標準であり、GPS非内

蔵のモデルは販売していない。古いモデル(Aqua Fix 406 GPS PLB)には、GPS非内蔵のものや外付けGPS とのインターフェースによるものなどもあったが、今 後のモデルは全て GPS 内蔵になる。現在、市場に出 回っているものでは、およそ70%位がGPS内蔵であ り、値段的にもGPSの有無は100 米ドル程度しか差

がないため、多くのユーザがGPS内蔵型を求めている。このため、ACR社は、GPS非内 蔵型のPLBは製造しないこととした。上記MicroFixの市場価格は、700~800米ドル程 度であると思われる。GPS を内蔵すると確かにバッテリーを消費するが、ACR では、特 別なバッテリーを使用しているわけではなく、9V のリチウムバッテリーを2つ使用して いるのみである。GPS位置は、国際規則に従って20分に一度アップデートしている。バ ッテリー継続時間は、24時間であり、耐寒温度は、マイナス20度である。121.5MHzホ ーミング信号内蔵している。

上記 MicroFix では、海上用・陸上用としてボディーを便宜上色分けして販売している

が、機能や性能に違いはない。

(3)リターンリンクへの対応

ガリレオのリターンリンク機能についても、EUやRTCMより情報を入手しているが、

現時点ではこれに対応したビーコンの開発は行っていない。しかしながら、衛星が打ち上 げられれば、当然、これに対応したビーコンも開発・販売していく予定である。

7.3.2 McMurdo社(英国)

(1)PLBの販売状況

PLBの使用が許可されている国では全て販売している。欧州ではまだPLBが許可され ていないドイツ以外は、ロシアを含めてほとんどの国で販売しており、その他、米国、カ ナダ、豪州、ニュージーランド、南アフリカ等を含めると、20カ国以上で販売しているこ とになる。

図7.3.1-1 MicroFix406GPS

これまでに、10,000台以上販売した。毎年、25%程度成長している商品である。最近で は、豪州陸軍に720台納品、スウェーデンのプライベートパイロットに800台納品、ギリ シャに60台納品、その他香港にも納品した。

(2)最新モデル

最新モデルは、Fastfind Maxというものであり、GPS 内蔵のものと非内蔵のものがある。内蔵のものは、

Fastfind MaxG(図7.3.2-1)という。これまでに市場に 出回っているものをみると、GPS 内蔵と非内蔵の比は、

8:2くらいだと思われるが、McMurdoでは、ユーザの好 みに対応できるよう内蔵型・非内蔵型の両方を提供して いる。GPS内蔵型の精度は、±62m程度である。

Fastfind Maxシリーズは、バッテリーの継続時間が、

48時間であるが、一世代前の Fastfindシリーズには、

バッテリーの継続時間を 24 時間としたモデルや、寒冷

地仕様(耐寒温度-40度)のモデルもあり、これらも、継続して販売している。

バッテリーには、特別仕様のリチウムバッテリーを使用している。121.5MHzホーミン グ信号内蔵している。

メーカ希望標準価格は、表7.3.2-1のとおりである。

表7.3.2-1 Mcmurdo社PLB価格表

名 称 標準価格(ポンド)

Fastfind Max PLB(-20℃, 48hours) £250 Fastfind MaxG GPS PLB(-20℃, 48hours) £340

Fastfind PLB(-40℃, 24hours) £300

Fastfind Plus GPS PLB(-40℃, 24hours) £440

7.3.3 Kannad社(フランス)

(1)販売状況

PLBが許可されている国では全て販売しており、およそ20カ国位になる。昨年一年間 で、数千台は販売した。PLBは、毎年、約25%成長している有力なマーケットである。

図7.3.2-1 Fastfind MaxG

(2)最新モデル

最新のPLBは、406XS-3 GPS(図7.3.3-1)という モデルであるが、GPS 内蔵が標準であり、GPS 非内 蔵のモデルは販売していない。古いモデルには、GPS 非内蔵のものもあったが、現在、PLB市場に出回って いるビーコンの約90%位がGPS内蔵であるため、今 後のモデルは全てGPS内蔵とすることにした。

バッテリーは、普通のリチウムバッテリーを使用し ており、GPS位置は、国際規則に従って20分に一度 更新される。この 20 分という間隔を5分に改正する 見直しが行われているため、正式に決定すれば、5 分 間隔に修正する。

バッテリー継続時間は、24時間であり、耐寒温度は、-20度である。121.5MHzホーミ ング信号内蔵している。

(3)リターンリンクへの対応

Kannand社では、スイスの大学とともに、9年間にもわたって、ガリレオに搭載予定の

リターンリンク機能に関する研究開発を進めてきた。まだビーコンの試作品までは完成し ていないが、大型の装置によって次の実験を行った。

„ 送信周波数を遠隔で変更する実験

„ ショートメッセージを液晶表示器に表示する実験

„ 遠隔で送信をOFFにする実験

7.3.4 Jotron社(ノルウェー)

Jotron社は、現在PLBを開発中であり、2009年には販売を開始する。日本では船舶機

器メーカを通じて販売を希望していた。2009年早々には、具体的なサンプルも完成する予 定である。

7.3.5 ELTA社(フランス)

ELT を販売しており、JAL などを大口の顧客としてビジネスを展開しているが、PLB の開発にも興味を持っている。ただ、現時点では、具体的な計画はない。しかしELTA社

図7.3.3-1 406XS-3 GPS

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