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ガリレオ衛星システムリターンリンクについては、まだ国際的にも検討が進められてい ない過程のものである。従って、そのような機能を持ったビーコンに関する調査検討は国 際的にも端緒に至ったところである。ここではコスパス・サーサットの合同委員会ならび に技術委員会に提出されたリターンリンクに関する資料を基に試験機を構成し、本調査検 討で目指すリターンリンクに対する機能を実装しその確認を行った。

5.1 試験用ビーコン構成

リターンリンク応答機能を備えた試験用ビーコンとして、従来のビーコンに試験上必要 な機能を追加したものを調達し、試験を行った。試験ビーコンの内部の構成は図5.1-1 の 系統図にあるようなものとなっている。外観は図 5.1-2のようなものである。リターンリ ンクをビーコンに送る手段としての衛星リンクについては、将来専用受信機用IC(Galileo Chip)が開発されることを想定し、受信機そのものは今回の調査検討の対象外としたが、

代わりに衛星測位受信用ICのための場所を確保した。

図5.1-1 試験ビーコン系統図

図5.1-2 試験用ビーコン外観

これらを実現するため、試験用ビーコン構成は、「制御基板」、「送信基板」、および「電 源基板」の3種の基板と「電池」、「アンテナ端子」、「操作スイッチ」および「リターンリ ンク端子」で構成されている。

(1) 制御基板

制御基板は図5.1-3にあるように、ビーコンの制御を行うためのCPUが搭載されている。

また今後、衛星測位データを送信するための準備として衛星測位(GPS)受信用 IC と、

機能強化のための小型ディスプレイを搭載出来るよう考慮されている。

図5.1-3 制御基板

(2) 送信基板

ビーコンの心臓部とも言えるところがこの送信基板となっている。ここには 406MHz の信号を送り出すための電力増幅部と、今回の一つの目玉である高安定度の406MHzの信 号を作り出す発信器が搭載されている。

消費電流

OCXO DTCXO

-20℃ 46.50 mA 2.00 mA +25℃ 25.90 mA 2.00 mA +55℃ 12.20 mA 2.00 mA 起動時 102.00 mA 2.00 mA

図5.1-4 OCXOとDTCXO外観との消費電流差

ビーコンの 406MHz 帯の遭難信号は衛星によるドップラーシフトにて遭難位置を測位 するために、15分間と短い時間であるが±1×10-9と非常に高い周波数安定度が要求され る。従来のビーコンはOCXO(Oven Controlled X’tal Oscillator:恒温槽付水晶発振器)

が広く採用されていたが、近年、MCXO(Micro-computer Controlled X’tal Oscillator:

マイコン制御水晶発振器、製品名DTCXO)と呼ばれているものが注目されるようになっ てきた。今回は、消費電力の低減と小型化のためこれを採用した。(図5.1-4参照)

(3) 電源基板

「電源基板」は電池よりの電力を各部分で必要な電圧に変換して供給する。406MHzの バースト信号の出力が5Wと大きいため、それを賄う工夫が必要となっている。将来携帯 型の機器とすることを考えると、電池を含め検討を行う必要があると考えられる。

使用する電池に関しては、安全面、入手性ならびに価格などを考慮し一般に市販されて いるリチューム電池をパックにして使用することを想定して、表5.1-1 にあるようなもの を用意した。

表5.1-1 電池一覧

型 名 U10017 CR17450 CR17355 CR123 本 数 3本(3直) 6本(3直2並) 6本(3直2並) 6本(3直2並)

電 圧 9V 9V 9V 9V

パック

電池容量 4.8Ah 5.2Ah 3.5Ah 2.8Ah サイズ φ25.8×50mm φ17×45mm φ17×35.5mm φ17×34.5mm

備 考 電池セルU10017 は 米 国 で 軍 用 に 用いられる単2サ イ ズ の 電 池 で あ る 。 EPIRB や PLB などでも使 用実績があり、低 温 で も 安 定 し た 大 電 力 を 発 生 す る電池であるが、

高額(他の市販電 池のほぼ3倍)で あ る こ と と サ イ ズ が 大 き い の が 難点である。

CR17355 同様に ガ ス メ ー タ や 警 報 器 用 で あ る 。 CR17355 に比べ て 長 さ が 10mm ほ ど 大 き く 容 量 も大きい。

ガ ス メ ー タ や 警 報 器 用 に 使 用 さ れる電池であり、

低 温 特 性 や 微 少 電 流 を 長 時 間 流 す 特 性 は 優 れ て い る が 大 電 流 を 流 す の に 難 が あ る。CR123 とほ ぼ 同 サ イ ズ で あ る。

コ ン パ ク ト カ メ ラ や 小 型 ス ト ロ ボ 用 に 使 用 さ れ る電池である。低 温 特 性 や 瞬 間 的 に 大 電 流 を 流 す 特性に優れ、海外 製 PLB での採用 が見受けられる。

5.2 リターンリンク制御信号によるビーコン動作の詳細

リターンリンクについては、コスパス・サーサットの誤報対策として注目されているが、

ガリレオ衛星により提供されるサービスであるため、欧州を中心に検討が進められている。

システムの全体像は決まりつつあるが、細目についてはまだ詰めが行われていない。その 中のコスパス・サーサットに関わる内容については、コスパス・サーサットの会合に提案 が行われ検討がすすめられているため、参加国はそこに意見ならびに提案を行うことが出 来る。

リターンリンク対応制御付き試験用ビーコンの実証実験の環境としては、図 5.2-1にあ るようなものとなるが、本年度は、そのうち点線で囲まれた部分を行った。

本年度の試験は、試験用ビーコンに受信機に見立てた外部パソコンからリターンリンク 相当のコマンドを与え、試験用ビーコンに所要の動作を行わせる。結果を擬似地球局に見 立てた符号解析器にて読み取るものである。その際の構成例は図5.2-2に示す。

図5.2-1 リターンリンク実証実験構成

図5.2-2 本年度実証実験構成図

今回の測定にあたっては、ビーコンプロトコルなど全て新しいものであるため、従来の ものが使用出来ず、専用の測定用の機器を用意して行うこととなった。

擬似地球局 リターンリンク

擬似受信機 GNSS

受信機

リターンリンク 送信機

位置データ

リターンリンクコマンド(空中)

RFバースト信号

試験ビーコン

リターンリンクコマンド

点 線 内 本 年 度 実 施 範

光信号

符号解析器

試験ビーコン 符号書込機

初期設定用

RLMコマンド発生用PC

IEC61163相当

406MHz バースト信号

5.2.1 リターンリンクに対する動作の詳細

4.1にて提案したリターンリンク機能案に対する動作の詳細を、表5.2-1のとおりとした。

表5.2-1 リターンリンク受信後のビーコン動作

メッセージ名称 パラメータ値 PLB処理 bit51~54の応答

初期値

1111 0 ACK without Parameter なし (H20年度は)bit51~54の変更以外の処理

はなし

0000

1 ACK with Parameter あり (H20年度は)bit51~54の変更以外の処理 はなし

0001

停止していた406MHz帯の送信を再開する。

Stop 406MHz TX

0 406MHz帯の送信を停止する。

0010

1 406MHz帯の送信間隔を150秒にする。

3 Change Interval

406MHz TX 0 406MHz帯の送信間隔を通常の 50 秒にす

る。

0011

停止していた121.5MHzの送信を再開する。

121.5MHz TX Control

0 121.5MHzの送信を停止する。

0100

通常精度位置データ Shift Location data

通常位置データの下位データ

H20 年度は位置情報を付加しないため、

bit51~54変更以外の操作は行なわない。

0101

6 Confirm alert なし フラッシュLEDを早い間隔(0.25秒基準)

で閃光させ、ブザーで警報音を鳴らし、LCD 表示器に表示することにより緊急通報の真 偽をただす。(H20年度はLCD表示器を実 装しないためLCD表示は行なわない。)

0110

Notify alert reception なし 約5秒間、フラッシュLEDを早い間隔(0.25 秒基準)で閃光させ、ブザーで警報音を鳴ら LCD表示器に表示することにより緊急通 報の受理を通知する。(H20年度はLCD 示器を実装しないためLCD表示は行なわな い。

0111

8 Show fixed message あり パ ラ メ ー タ 値 に 定 義 さ れ た メ ッ セ ー ジ を LCD 表示器に表示する。

H20 年度は LCD 表示器を実装しないため bit51~54変更以外の操作は行なわない。

1000

9 Simple question あり パラメータ値に定義された質問をLCD 表示 器に表示する。

回答はYESボタン/NOボタンで行なう。

H20年度はLCD表示器およびをYES・NO ボタンを実装しないためbit51~54変更以外 の操作は行なわない。

1001

10 Change frequency あり コスパス・サーサット が決めている 3kHz 間隔 19CH のどれかを指定して周波数を変 える。パラメータ値に HEX2 桁でチャネル を指示

H20 年度は周波数変更機能を実装しないた め、bit51~54変更以外の操作は行なわない。

1010

なお、これらのリターンリンクよりのコマンド以外にコスパス・サーサットではリター ンリンクの要求に従い人の手によりビーコンの送信が停止されたものかどうかの確認のた

めMDF(Manual Deactivation Flag)の応答を要求しているため試験内容は12項目となる。

5.2.2 リターンリンク試験用フォワードリンクプロトコルの詳細

リターンリンク試験用フォワードリンクプロトコルについては、4.3.1にて紹介したが、

テストユーザープロトコルを図5.2のように使用して、実験を行った。このプロトコルを 使用した理由としては、

・ コスパス・サーサットでリターンリンクの試験に使用するビーコンフォワードリ ンクプロトコルとして指定されている。(C/S R.012)

・ 万一外部に信号が漏れたとしても、受信局で試験用送信として破棄されるのでコ スパス・サーサットの運用に影響を与えない。

① ビット1~24 同期信号

② ビット25 フォーマットフラグ

“0”= ショートメッセージ(H20年度はこちらを使用する)

“1”= ロングメッセージ

③ ビット26 プロトコルフラグ

“0”= 標準もしくは国別位置プロトコル

“1”= 利用者プロトコル(H20年度はこちらを使用する)

④ ビット27~36 MID(国識別)コード 日本は431→0110101111

⑤ ビット37~39 ユーザープロトコルタイプ

“111”= 試験プロトコルをH20年度は固定して使用する。

ビット40~47 試験ビーコンのID 0~255までのID

ビット48 ARF (Acknowledgement/Confirmation-of-Reception Flag 応答フラグ)

“0”= PLBは起動後にリターンリンクを受信した。

“1”= PLBは起動後リターンリンクを受信していない。(初期値)

ビット49 RBF (RLM-Beacon Flag :リターンリンク・ビーコン・フラグ)

“0”= リターンリンクビーコンでない。

“1”= リターンリンクビーコンである。

ビット50 MDF (Manual-Deactivation Flag : 手動停止フラグ)

“0”= 通常動作(初期値)

“1”= 停止操作した場合、“1”にした406MHz送信を次の1回(1バースト)行ない、停止す る。

ビット51~54 RRM (Return-Link-Message-Reply :リターンリンクメッセージ応答)

リターンリンクの番号を応答する。

ビット55~85 TEST Beacon Data (TBD:未決定)

現状では全て“0”にする。

図5.2 リターンリンク試験用フォワードリンクプロトコルに含まれるデータ

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