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本年度は、ビーコンプロトコルに関する調査・確認、試験用ビーコンの試作・動作確認、

アンテナの基本設計、海外調査などを実施し、概ね、計画どおりの成果を得た。

また、海外調査の結果、現在市販されているPLBの多くがGPS内蔵であることなども 判明した。

次世代コスパス・サーサット衛星のひとつであるSAR/ガリレオに搭載される予定のリ ターンリンク機能の活用は、これまでの単方向通信機能しか有していなかったコスパス・

サーサット用ビーコンの性能を大幅に拡大し、多発する誤発射への有効な対処手段を提供 するとともに、希少資源である周波数の有効利用に貢献する。

引き続き来年度は、

・制御コマンドのうち、平成 20 年度で実施しなかったコマンド(位置信号補正制御、

ショートメッセージの表示等)の動作確認

・擬似地上局(仮想地球局)の基本設計及び試作を行い、電気性能の確認や、擬似地上 局と擬似受信装置との間での通信性能及び環境性能の確認を実施

・将来、正確な位置情報も提供するガリレオ用受信チップを搭載することを想定し、同 等性能を有するGPS受信チップの搭載

・上記ガリレオ用受信チップ(又はGPS受信チップ)用1.5GHz帯受信専用アンテナの ビーコン本体への搭載

・必要なコンポーネントを搭載した上で、実用上支障ない範囲までの小型化

・本調査検討成果のコスパス・サーサット合同委員会への報告及び新機能案に関する提 案等を実施し、コスパス・サーサット機構と調整をしつつ、引き続き高機能なPLBの 開発を推進

なお、調査検討は、我が国に PLB を導入することを視野に入れて進められているが、

PLB を我が国に導入するためには、PLB 遭難警報の配信システムなどもあわせて制度化 しなければならない。この面では、関係政府機関側にて連絡会が開催され、検討が進めら れているので、この動向に注意しつつ、調査検討を進める必要がある。

リターンリンク機能自体は、PLBに限らず、EPIRB及びELTの高度化にも寄与するも のである。今後、本調査検討結果の PLB 以外のコスパス・サーサット・ビーコンに対す る適用にも期待したいところである。

おわりに

林座長が巻頭で述べられたとおり、パーソナルロケータビーコン(PLB)が導入される ことによる恩恵は著しく大きいものと期待されている。例えば、我が国の年度別山岳遭難 件数は年々増加し、平成20 年度の事故件数は2月段階ですでに過去最高となっており、

海難事故は相変わらず多発しているのが現状である。。このPLBが導入されその運用の実 をあげるためには、コスパス・サーサット衛星システム全般が抱える「誤報」問題に対し て有効な機能を有するシステムを用意する必要性が指摘されてきた。

本検討会では、この要請にこたえる技術を備えたPLBのコンセプトが深く検討された。

そして、試作器によるシミュレーション実験によってそのようなコンセプトの装置が実現 可能であることが実証されたものと考えらる。その詳細は本文に記載されている通り、救 難信号発信の真偽を確認する機能や最新のエレクトロデバイスの採用やソフトウェア管理 による省電力化などPLBに求められる国際標準ともいうべき規格を満たすものである

本研究会でまとめた PLB システムの内容は、今後発展が期待されるガリレオ衛星など 多数の中軌道衛星との双方向通信を用いるものであり、遭難者発見の迅速化、位置計測精 度の高度化や複合的な位置計測法の付加などを実するものである。これらの機能により極 地方なども含め全地球的な視野で遭難者の救助を支援することができる点においても画期 的であり、使い勝手のよいPLBの実現を示している。

パリ・ダカール・ラリー(パリダカ)などで先駆的に導入され、国際的に発展してきた パーソナル・ロケータ・ビーコンが山岳列島であり海洋国でもある我が国において一日も 早く稼働することを切に望むものである。

衛星通信を利用した個人用捜索救助システムに関する調査研究会 副座長 富山県立大学工学部 情報システム工学科 教授 岡田敏美

参考文献リスト

準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS) Ver. 1.0

Galileo Open Service Signal In Space Interface Control Document OS SIS ICD, Draft 1

Argos-3 Platform Transmitter Terminal (PTT-A2) Platform Message Transceiver (PMT-A2) Physical Layer System Requirements Ed. 2/ Rev. 2

Argos-3 Platform Transmitter Terminal (PTT-A3, including PTT-ZE) Platform Message Transceiver (PMT-A3) Physical Layer System Requirements Ed. 4/ Rev. 1

Argos-3 SERVICE AND MESSAGE FORMAT General Specifications Ed. 2 / Rev. 3

Argos-3 Receiver for Argos PMT Physical Layer System Requirements Ed. 2/ Rev. 1

REPORT OF THE EXPERTS’ WORKING GROUP MEETING ON THE COSPAS-SARSAT STRATEGIC PLAN EWG-2/2008

COSPAS-SARSAT JOINT COMMITTEE TWENTY-SECOND MEETING JC-22/Report

COSPAS-SARSAT 406 MHz MEOSAR IMPLEMENTATION PLAN C/S R.012 Issue 1 – Revision 4

SPECIFICATION FOR COSPAS-SARSAT 406 MHz DISTRESS BEACONS C/S T.001 Issue 3 – Revision 9

COSPAS-SARSAT 406 MHz DISTRESS BEACON TYPE APPROVAL STANDARD C/S T.007 Issue 4 – Revision 3

「衛星による緊急通報システムの高度化に関する調査研究会」報告書 平成20年3月 (社)電波産業会

付属資料

付属資料1:設置要綱(構成員名簿および検討スケジュール)

付属資料2:リターンリンク試験結果 付属資料3:海外動向調査資料(CNES関連) 付属資料4:海外動向調査資料(プレゼン資料)

付属資料 1 :設置要綱

衛星通信を利用した個人用捜索救助システムの調査検討会 設 置 要 綱

平成20 年7月 28日 社 団 法 人 電 波 産 業 会 1 名 称

本会は、衛星通信を利用した個人用捜索救助システムの調査検討会(以下「調査検討 会」という。)と称する。

2 目 的

遭難緊急時の通報のためのコスパス・サーサット(Cospas-Sarsat)システムの一つ として、緊急通報用ビーコンを使用したパーソナル・ロケータ・ビーコン(PLB: Personal

Locator Beacon、以下「PLB」という。)がある。PLBは、小型かつ低価格であるため、

既に多くの国で導入されており、我が国においても登山者や小型船舶からPLBの利用 に対する要望がある。しかし、現在のシステムは通信方式が単向通信で、誤発射の制御 が出来ないため救助機関の負担が大きく我が国では導入されていない。

今般、PLBの高度化の検討が求められており、世界的に通信方式を単向通信から双方 向通信に変更する等の技術的検討が予定されている。この検討の中でビーコン信号の制 御技術や送受信安定させるアンテナ技術が確立されれば、誤発射されたビーコン信号の 停止が可能となり、不必要なビーコン信号が排除されるため周波数の占有率を軽減する ことができる。

このため、本調査検討において海外の動向調査を踏まえつつ、周波数の有効利用率を 改善する技術及び送受信を安定させるためのアンテナ技術の調査検討を行いPLBの高 度化の検討に資するための技術的条件の検討を行うことを目的とする。

3 調査検討項目

次に掲げる項目について調査検討を行い、その結果を取りまとめる。

(1)リターンリンク用ビーコン信号の最適プロトコルの選定

衛星通信のリターンリンクのプロトコルについて、諸外国の状況を調査して

Cospas-Sarsat 衛星に適応できる最適なプロトコルを選定する。

(2)Cospas-Sarsat 規格に適合したビーコン制御信号の構成

ビーコンを制御するための信号について、PLBの規格に適合した制御信号の構成 を行う。

(3)ビーコン制御信号の性能の確認

(1)で選定されたプロトコルに(2)で構成したビーコン制御信号をビーコン試 験機器に加え、周波数安定度等を測定してビーコン性能がPLB規格に適合してい ることを確認する。

(4)ビーコン信号を安定送受信のためのアンテナの基本設計

筐体の置かれた環境に依存することなく仰角5~60 度において-3dBi~+4dBi の送受の確保が可能となる400MHz 帯高性能アンテナの基本設計を行う。

(5)海外動向調査

諸外国におけるPLBの高度化に関する動向を調査する。

4 構 成

(1)調査検討会は、座長、副座長、委員及びオブザーバで構成し、その構成員は別紙 のとおりとする。

(2)調査検討会は必要に応じて作業部会を置くことができ、その構成員は検討会において 定める。

(3)作業部会には主査を置き、座長が指名する。

5 運 営

(1)調査検討会は、座長が招集し主宰し、座長の不在の時は、副座長が代行する。

(2)その他調査検討会の運営に関する事項は、調査検討会において定める。

6 設置期間等

(1)調査検討会は、社団法人電波産業会に設置する。

(2)調査検討会は、設置の日から調査検討会で定める日までの間(平成21年3月25 日を限度とする。)設置する。

7 事 務 局

調査検討会の事務局は、社団法人電波産業会が行う。

8 そ の 他

(1)調査検討会における調査検討事項に関する成果を公表する場合には、原則として 社団法人電波産業会及び総務省の承認を得るものとする。

(2)調査検討会の報告書に関する全ての著作権は、総務省に帰属する。

衛星通信を利用した個人用捜索救助システムの調査検討会 構成員名簿(平成20年度)

(会社/機関名五十音順、敬称略)

氏 名 所 属 ・ 役 職

座 長 林 尚 吾 東京海洋大学 海洋工学部 海事システム工学科 教授 副 座 長 岡 田 敏 美 富山県立大学 工学部 情報システム工学科 教授 委 員 前 田 久 昭 株式会社 光電製作所 マリン事業本部 設計部 1グループ

主任

委 員 岩 崎 久 雄 芝浦工業大学 システム工学部 電子情報システム学科 教授 委 員 中 村 勝 英 水洋会 事務局長

委 員 市 村 隆 之 太洋無線株式会社 技術部 海洋システム課 主幹

委 員 池 田 保 東京計器株式会社 電子事業部 海上交通部 顧問

委 員 小 池 貞 利 有識者

委 員 小 野 一 彦 株式会社ケンウッド 第一技術部 第三技術グループ 主査

オブザーバ 大久保 朋美 海上保安庁 総務部 情報通信課 専門官 オブザーバ 八 田 真 治 海上保安庁 警備救難部 管理課 情報通信係長 オブザーバ 谷 清 仁 海上保安庁 警備救難部 救難課 業務係長 オブザーバ 小 林 一 警察庁 生活安全局 地域課 課長補佐 オブザーバ 藤 井 啓 造 警察庁 情報通信局 通信施設課 課長補佐

オブザーバ 成 瀬 芳 之 総務省 総合通信基盤局 衛星移動通信課 課長補佐 オブザーバ 松 井 明 総務省 総合通信基盤局 衛星移動通信課 海上係長 オブザーバ 町 田 昭 総務省 総合通信基盤局 衛星移動通信課 海上係 事 務 局 五十嵐 喜良 社団法人電波産業会 研究開発本部 開発センター長 事 務 局 狩俣 恭太郎 社団法人電波産業会 研究開発本部 次長

事 務 局 城 戸 賛 社団法人電波産業会 研究開発本部 航空海上通信グループ 担当部長

事 務 局 有 竹 信 夫 社団法人電波産業会 研究開発本部 航空海上通信グループ 主任研究員

別紙

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