• 検索結果がありません。

1)実施目的

本調査事業は、日本において外国人患者の受入れを行う際に、患者および医療機関において 必要とされるサービスを、外部支援組織が提供することを仮定し、以下のような流れで実際に 外国人患者を受け入れることを通じて、その具備すべき機能を検証することを目的として、調 査を実施した。

2)事業実施内容・プロセス

本事業では、以下のような流れで「外国人患者受入支援体制」のあり方についての検証を進 めた。

・外国人患者が最初に日本の医療機関もしくは受入支援機関に問い合わせを行ってから、来 日・治療が終了し、帰国するまでのプロセスを「渡航前」、「滞在中」、「帰国後」の3段階 に分けて、そのそれぞれにおいて受入支援機関が具備すべき機能を定義した。

・上記のプロセスに則って実際に外国人患者の受入を実施する中で、患者、医療機関それぞ れから希望された医療周辺サービスをMEJにおける受入支援機能(以下、MEJ)が提供し た。

・受入終了後、外国人患者及びその帯同者や受入医療機関に対して、提供したサービス内容 や外国人患者受入時の留意事項等に関するヒアリング調査を実施した。

・上記の結果に基づき、提供したサービスの充実度を検証するとともに、今後受入支援機関 が提供すべきサービス、具備すべき機能を検討した。

3)実施主体

• 日本エマージェンシーアシスタンス株式会社

4)実施期間

• 2010年11月~2011年3月

4-2.外国人患者の受入実証事業で提供するサービス

本事業では、外国人患者に対し渡航前・滞在中・帰国後の3つの段階において外国人患者の円 滑な受入支援をする上で重要なプロセスについて、以下の9種類に分類し、MEJが具備すべき機 能を定義した。

図表・ 138 外国人患者受入における各プロセスにおけるサービスの概要

-患者の医療情報や受診希望地や渡航時期などの情報を入手

-受入候補となる医療機関へ、1.で入手した患者情報を送付

-医療機関からより詳細な患者情報の入手を希望された場合は、患者に追加情報を要求し、

医療機関へ送付

-患者へ、受入候補となった医療機関の受入条件(検査・治療の内容、スケジュール等)を提示 -患者の了承を得た上で受入医療機関を仮決定

-患者が希望した場合、患者および帯同者のビザ取得を支援 -治療費の支払方法を決定し、受入医療機関へ最終予約を取付け

-患者が希望した場合、往復航空券や宿泊先の予約などを手配

-一連の手配が終了した後、検査・治療スケジュール詳細について、受入医療機関と最終確認

-医療通訳者が空港まで患者を出迎え、滞在先(ホテル、受入医療機関等)まで同伴

-医療機関内において医療通訳者が患者をアテンドし、受付、検査・治療、結果説明時などで通訳 -医療機関、外国人患者からの問合せ窓口となる24時間コールセンターを開設

-滞在先から空港までの交通手段を手配 -通訳者が患者を滞在先から空港まで同伴

-帰国後、患者から診断結果等の医療情報に関する依頼があった場合は、 患者から委任状を 入手して、MEJ経由で患者へ送付

患者からの問合せ&ニーズの把握

受入候補医療機関へ患者情 報を伝達~受入可否の確認

受入医療機関決定(仮予約)

ビザ取得の支援(予約確定)

その他手配

来日後~宿泊施設到着までの支援

治療中の支援

帰国

フォロー

④.

出所)日本エマージェンシーアシスタンス作成

1)渡航前に提供するサービス

(1)患者からの問合せ&ニーズの把握

外国人患者からの日本での治療に関する問合せを一括して受けると共に、国内医療機関が受 入可否を判断するために必要となる患者の医療情報や受診希望地や渡航時期などの情報入手を 支援した。

このプロセスにおけるオペレーションは以下のように実施した。

①外国人患者や現地の医療コーディネーター等からの日本での受診に関する問合せを、メー ルまたは電話で受け付け

②外国人患者や現地の医療コーディネーター等に対して、患者に関する基本的な情報を収集 するための「リクエストフォーム」への記入を依頼

<「リクエストフォーム」の概要>

・作成目的

-国籍、使用言語、傷病等の情報や患者のニーズの把握し、受入候補となる医療機関に提 示する基本資料として、受入可否の判断材料の一つとすること

・記入項目

-氏名、年齢、国籍などの患者に関する基本的な情報

-疾病名、現在の病状、受診暦などの医療情報

-日本での受診を希望する理由、受診目的、来日希望日などのニーズ

・作成時期

-最初の問い合わせがあった際にメールにて作成を依頼し、受入候補となる国内医療機関 の選定前までに作成してもらう

・流通経路

-外国人患者からMEJに送信してもらう。

-受領後、受入候補医療機関に送信し、受入候補医療機関に外国人患者受入可否の判断材 料の一つとして活用して頂く

③患者に「個人情報開示同意書」のサインを依頼

<「個人情報開示同意書」の概要>

・作成目的

-サインした外国人患者が、MEJもしくはMEJが指名する者に対して、自身に関するすべ ての疾病、傷害の記録、個人情報を提供することの承認したことを証明するもので、外 国人患者本人が何らかの理由によりかかりつけの医療機関へ問い合わせが出来ない場合 には、本同意書を当該医療機関に提示し、患者の代理であることを証明して必要な医療 情報を収集する

(2)受入候補医療機関へ患者情報を伝達~受入可否の確認

(1)において入手した患者に関する情報を受入候補となる国内医療機関へ送付し、受入可 否の判断を仰いだ。具体的には、以下のような流れで受入可否の確認を行った。

• 受入候補となる医療機関を、対象診療分野、カタログ掲載32掲載医療機関、外国人患者の 受入経験等を勘案した上で決定

• 外国人患者の受入可否を判断頂くために、リクエストフォームや外国人患者に関する各種 医療情報を受入候補となる国内医療機関へ送付

・送付したリクエストフォームの情報を基に、受入候補となる国内医療機関にて受入可否を 判断

・受入候補となる国内医療機関における受入可否の判断結果をMEJが確認

このプロセスにおけるオペレーションは以下のように実施した。

①リクエストフォームおよび患者に関する各種医療情報(CT、MRI等の画像データ、カルテ 等)を受入候補となる国内医療機関へ送付

②受入候補となる医療機関から外国人患者の医療情報を追加でリクエストされた場合には、

外国人患者に対して追加での情報提供を依頼し、必要情報を入手

・何らかの事情により、外国人患者本人が現地のかかりつけ医療機関に依頼できない場合に は、「個人情報開示同意書」を提示し、外国人患者の代理人として現地医療機関から必要情 報を入手

③入手した患者情報を受入候補となる国内医療機関に送付

④受入候補となる国内医療機関において受入可否を判断

⑤受入候補となる医療機関は、受入可と判断した後に以下の情報を整理し、MEJに共有

・検査・治療内容及びスケジュール

・費用概算見積

(3)入医療機関決定(仮予約)

(2)において受入候補となる医療機関が決定した後に、以下のようなフローで受入医療機 関を決定した。

• 受入候補となった国内医療機関における受入条件(検査・治療の内容、スケジュール、概 算での費用等)を外国人患者へ提示

• 患者の了承が得られた後に、渡航日程を仮決定

• 受入に合意した国内医療機関との調整の上、来院日程を決定

• 医療機関とMEJが外国人患者の受入に関する事前打合せを実施

• 医療機関から追加で必要となる医療情報の入手を依頼された場合には、外国人患者に対し て提供を依頼

• 医療機関は外国人患者に関して必要な医療情報のうち、入手可能なものを全てチェックし た上で、受入の最終判断を実施

このプロセスにおけるオペレーションは以下のように実施した。

①外国人患者に対して、受入候補となる国内医療機関が提示した条件等の詳細情報を伝達し、

来日しての治療意向を確認

②外国人患者の治療意向が確認できた後に、受入候補となる医療機関に対して、その意向を 伝達

③外国人患者に対して、検査・治療内容およびスケジュール、治療費用の支払方法、帯同者 の有無等の渡航前に確認すべき事項を最終確認

④MEJと受入医療機関との間で事前打ち合わせを実施し、以下の点について院内及び関係者 間で認識を共有

・これまでメールや電話でやり取りしていた外国人患者に関する医療情報の確認

(CT、MRI等の画像データ、カルテ等)

・外国人患者及び国内医療機関向けにMEJが提供するサービスの概要の確認

・検査・治療スケジュール(当日の受付、担当医師・看護師、検査・治療、宿泊、食事等の 場所、使用する医療機器等)の確認

・検査・治療を受けるに当たっての注意事項のMEJへの共有

・検査・治療に際して外国人患者に記入頂く必要がある書類(検査前の同意書等)のMEJへ の共有

・支払金額(概算)と支払い方法の確認

関連したドキュメント