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活動内容

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3.2 活動内容

実践2と同じく支持体は障子紙、描画材は 食紅液とスポンジスタンプを使用した。実践 者は筆者と美術大学生2名に、共同研究者1 名が加わった。参加は2組5名であった。こ

れまで10名以下を対象とした実践を行ったこ とがなく、経験上大人数が同時に関わる時の ほうが参加者間の交流も活発であったため、

少人数で行うことへの不安が多少あった。結 果的には、少人数であったことによって、こ れまでにできなかった内容を取り込め、多く の発見を得ることとなった。

午前同様に簡単な自己紹介の後、実演によっ て色のにじみ方や変化を観察した。その後小 サイズの障子紙に1人3枚まで描いた。実践 1、2を含め筆者がこれまで行った全てのワー クショップでは、保護者と協働で取り組むこ とを促す意味で、参加する子どもにのみ材料 を渡していた。しかし、今回は人数が少なかっ たことや、描画に興味を示した保護者がいた こともあり、保護者にも材料を渡して一緒に 描くように促した。また、共に実践を行った 美大生と共同研究者にも描画を勧めた。

描画を促して驚いたことは、個々の制作が 互いの描き方や作品を見る行為へ自然に繋がっ ていったことだ。また、そのことが他の参加 者の描画に対する興味へと広がり、新たな技 法への展開を見せたことだ。印象的だったの は、1人の保護者が、4本のスポンジを同時 に並べて描き出し(図11)、向かい側に座っ ていた女児がその様子を見て、両手にスポン ジを持ち描きはじめたことである(図12)。

また、保護者も自身が描くことで子どもや他 の参加者の描画を興味深く見る様子も伺えた。

また、美大生が細かいタッチで色を重ねたり ドリッピングをすることで、その場で展開さ れる描画が急に多方向への広がりを持ち始め たことも、これまでの実践とは異なる展開で あった。

3枚描いた後は共同制作へと移った。描き 始めは子どもと保護者で交互に描くように促 し、後半は自由に描画した。ここでも保護者 が描く様子をじっと見るなど、相互的な描画 と鑑賞の様子が伺えた(図13)。共同制作は 紙に白い部分がなくなってもしばらく続き、

画面の中で多様な色彩の展開が見られた。制 作後、4色からできた画面にどれぐらいの色

屋宜 久美子 参加者間の相互作用を促すアートワークショップについての一考察

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図10 会場配置図

彩があるか、画面を鑑賞しながら色探しを行 い、終了とした。全体的に静かな雰囲気での 実践であったが、参加者間の描画観察やそれ を受けた技法の展開など、描画を媒体とした 参加者間の交流が頻繁に見られる実践であっ た。

おわりに

本報告における3つの実践は、にじみ絵を 共通の題材としながら、内容、進行、環境等 を改善して取り組んだ。いずれの実践にも気 づきや課題があった。実践1では、参加者が

個々に制作を開始するやり方では実践者側の 負担が大きく、そのことが影響して参加者間 の交流が生まれにくい状態となったことが課 題であった。当日自由に参加できるスタイル は、参加者が多く得られる一方で内容に深み や多様性を持たせることが難しいことがわかっ た。

実践2では、実践内容と環境を関連づける 場合は、表現の動機付けだけでは不十分で、

ワークショップが目指す方向性とも重ねて構 築しなければ逆効果となることが明らかになっ た。しかし、会場の様子が参加者の活動に影 響することが確認できたため、改善して今後 の取り組みへと繋げていきたい。

実践3では、参加者の人数が少ないことが 心配要素であったが、未就学児と保護者、ま た実践者3名も制作に加わったことによって、

おのずと描画と鑑賞を行き来する視点が生ま れることがわかった。

実践1、2では、子ども達自身が枚数を重 ねる過程で描き方を試し技法を発展させていっ たのに対して、実践3では自身の描画に加え て他者の観察から得られた発見も加わり、表 現が多方向に展開する様子が伺えた。3つの 実践は内容が異なる部分も多いため全てを同 じ土俵で比較することは難しいが、それでも 実践3からは他の実践とは質的に異なる参加 者間の相互作用が見られた。そこからは、子 どもが保護者の描画観察をステップとして、

段階的に他者の観察へと視野を開いていく様 子が伺えた。

加えて、美大生の存在は材料への柔軟な態 度を示した点において、場の雰囲気へ大きく 影響したと考えられる。美大生は日頃から制 作に携わっているため、材料の扱いや技法に 対する幅広い知識を有している。そのため表 現への興味が強く、描画を楽しみながら行う 態度を基礎に持つ。さらに、普段から表現を 模索しているため、材料や技法への知識に補 らわれるのではなく自由に応用していくこと ができる。そのため、美大生が共に制作を行 うことは、声かけや具体的な指導を越えた、

秋田公立美術大学研究紀要 第2号 平成27年3月 実践報告

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図11 4本のスポンジを使用する様子

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図12 両手で描き始めた児童

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図13 保護者の描画を観察する児童

その場に共にいることによる学びを提示した と言える。

今回のワークショップでは、子どもの描画 が段階的に他者の観察へと広がることや、自 由な広がりが展開される環境の構築が実践内 容へ大きく影響することが確認できた。本報 告で明らかになった課題を改善して、これか らも実践を重ねる中で考察を行っていきたい。

1 本報告で述べる3つの実践経費は、平成26年 度秋田公立美術大学競争的研究費によって賄 われている。

2 近年ワークショップが各地で広がりを見せて いる一方で、未就学児が参加できる活動は極 めて限られている。筆者は美術制作が安心や 受容をもたらすことに着目し、親子関係の育 ちに資す通路として美術教育の可能性を見出 しているため、未就学児と保護者を主な実践 対象としている。

3 ColorfieldPainting:キャンバスを色彩の 場と考えオールオーバーな色面によって構成 する絵画。アメリカの批評家クレメント・グ リンバーグ(ClementGreenberg)が1955年 に バ ー ネ ッ ト ・ ニ ュ ー マ ン (Barnett Newman)の絵画を論じるために考案した概念。

4 モーリス・ルイス(MorrisLouis)やヘレン・

フランケンサーラー(HelenFrankenthaler)

の制作など。

5 屋宜久美子「美術制作における作家と世界の つながり」東京藝術大学美術教育研究室編

『美術と教育のあいだ』東京藝術大学出版会、

2011年、pp. 3 - 24

実践①2013年2

月16日10時~12時、モリヤイー

ストキャスト(茨城県守谷市)。実践②2014 年8月13

日10時~12時、なんじぃほ~る(沖 縄県南城大里市)。詳しい内容については、

屋宜久美子「遊びと生成の世界-未就学児対 象の造形ワークショップ実践を通して-」

『美術教育研究』No . 19

/

2013、美術教育研究 会、2013年、pp 30 - 39を参照。

7 実践経費は大学研究費によって賄われている

ため、参加費は主催団体の運営費用とした。

「もりや子育てネットワークままもり」は、

2011年発足の茨城県守谷市を中心に活動する ボランティア団体。

9 イベント「2014いいお産の日 inもりや」は、

小児科医の講演、助産師相談、産前産後ヨガ 体験など、子育てに関する多様な催しからな る(主催:子育てネットワークままもり)。

10 「RA M2014:R andomAcc essMemories」2014 年12

月1日~14日、渡邊幸四郎邸(秋田県秋

田市)

11 2013年2月16

日10時~12時、モリヤイースト

キャスト(茨城県守谷市)。詳しい内容につ いては屋宜久美子、前掲論文を参照。

屋宜 久美子 参加者間の相互作用を促すアートワークショップについての一考察

秋田公立美術大学研究紀要 第2号 平成27年3月 実践報告

「今、東北で 風土への想い」をテーマに制作して

―自然、人々、生活など、あなたが抱く風土への想いを表現して下さい―

皆川 嘉博

平成26年10月4日から11月3日までの31日間にわたり「第29回国民文化祭・あきた2014」が秋田県 内各地において盛大に開催された。そしてこれは東日本大震災以降、東北で開かれる最初の国民文化 祭である。秋田市では主催事業として、作品創作の源である風土への想いをテーマに、日本画(水墨 画含む)・洋画・彫刻・工芸・書・写真の6部門による「美術展」が開催された。全国からの一般公 募作品とともに、東北6県の作家による招待作品とあわせて展示し、東北人がもつ秘めたる創造への エネルギーと風土の魅力を発信した。私も「東北作家・風土への想い」招待作家として、彫刻作品を 制作し、出品した。その制作工程のなかで、考え、目指した内容や、制作の実際の工程等について、

報告したい。制作期間は平成25年12月から平成26年9月まで、およそ10ケ月に及んだ。その制作の内 容と意義について、あらためて検証したい。

キーワード:美術展,東北作家,彫刻作品,

「Now ,t houghtt ot henat ur alf eat ur esi nt heTohokur egi on 」 i spr oducedi nt het heme:Expr esst hef eel i ngst ot henat ur al

f eat ur essuchasnat ur e ,Peopl e ,andl i f et hatyouhol d

MI NAGAWA Yoshi hi r o

Overthe31daysfromOctober4toNovember3,2014

,“29

thNationalCulturalFestivalAkita2014

wasgrandlyheldalloverAkitaPrefecture.AndthisisthefirstNationalCulturalFestivaltobeheldinthe TohokuregionsincetheGreatEastJapanEarthquake.InAkitaCity,the

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tExhibition

by6divisions, whichareJapanesepaintings

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ncludinginkpainting

,Westernpaintings,sculpture,crafts,Calligraphyand pictures,Washeldasorganizedbusinesswiththethem offeelingstothenaturalfeaturesthatisasourceof creation.Theworkswereexhibitedtogetherwiththeinvitationworksbyartistsfrom6prefecturesinTohoku regionandthepublicworkswhichweresentfrom alloverthecountry.Theworksoriginatedthecharm of naturalfeaturesandsecretenergytothecreationthatTohokupeoplehave.Ialsocreatedandexhibiteda sculptureasaninvitedartist

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eelingstowardthenaturalfeatures

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tistsfrom Tohokuregion

.Amongthe processofproduction,IwanttoreportaboutthecontentthatIthoughtandaimedamongtheprocessof productionandactualprocess.Theperiodofproductionrangedforapproximately10monthsfrom December 2013toSeptember2014.Iwanttoverifyagainaboutthecontentandsignificanceofproduction.

Keywords:artexbibitioh,ArtistsofTohoku,sculpture,

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