第 4 章 ACC 車両が混在する高密度交通流における運転者挙動
4.2 ドライバーの注意傾向の把握
4.2.3 注意対象物の発話数の分析(混在比率 50%における ACC と MD の比較)
MD車両運転かACC車両運転による違いによる注意対象物の発話の種類を,p2とp3それぞれ で度数分布にして,z検定を行った結果を図4.7に示す.
*p<0.1 図4.7 車両条件(混在比率50%)によるz検定の結果
かし,p2の両区間,p3の高松道区間ではどの発話においても有意な差は見られないという結果 になった.高密度の交通流を対象としたとき,ACC 車両を運転しているときの注意傾向は,MD 車両を運転しているときと変わらないと言える.
4.2.4 視線データの分析(混在比率50%におけるACCとMDの比較)
前節より,p3(50%)の中央道区間(0.8~2.0kp)において,「前方車両」に関する発話が混 在比率パターンの違いで差に有意な傾向が見られた.したがって,p3(50%)の中央道区間(0.8
~2.0kp)において,ドライバーの視線データから,注視回数と注視時間を算出した.図 4.8 に表4.1に示す全項目の平均注視回数と平均注視時間を車両条件別に示す.
図4.8 車両条件(p3)による平均注視回数(上図)と平均注視時間(下図)
そして,項目別に自車両がACCか MDの違いによって差があるかをt検定により分析した.
その中で有意差が認められた項目を抽出したものを以下(図4.9,図4.10)に示す.
図 4.9から,前方車両に対する注視回数はMD車両運転時よりもACC車両運転時の方が有意 に多い結果となった.一方,注視時間は自車両がMDかACCという条件で有意な差は見られない という結果になった.したがって,ACC車両を運転するドライバーとMD車両を運転するドライ バーの前方車両に対する注意負荷は変わらない可能性がある.
図4.10から,メーターに対する注視回数,また,注視時間ともにMD車両運転時よりもACC 車両運転時の方が有意に多い結果となった.以上より,ACC 機能によって,注意が自身の運転 に向けられるようになったと考えられる.
**p<0.05 図4.9 「前方車両」の平均注視回数(左図)と平均注視時間(右図)
**p<0.05
図4.10 「メーター」の平均注視回数(左図)と平均注視時間(右図)
以上より,視線データから,ACC 機能により自身の運転を気にする余裕が出てくる可能性が あると言える.
4.3 ドライバーのストレス度合いの把握
混在比率50%のときMD車両運転かACC車両運転,およびMD車両運転のとき混在比率0%か50%
という条件別に,室内走行実験において実施したヒアリングの設問「どのくらいいらいらやス トレスを感じたか」の10段階評価を分散分析により検討する.
ここで, DS 実験室内の環境(実験室の暗さ,空調,音響システムによる音の大きさなど)
に関する発話を回答の理由とした被験者を分析対象から除いた.また,本研究では混在比率50%
(p2,p3)を1人2度走行してもらっているが,各被験者はMD車両とACC車両の両方を混在比 率50%(p2,p3)で走行してもらった.しかし,ID2が混在比率50%(p2,p3)をACC車両で2 度走行してしまったため,ID21は混在比率50%(p2,p3)をMD車両で2度走行することとなっ た.したがって,ID2とID21を含めた場合,混在比率50%でMD車両とACC車両の被験者の並び が対応しないため,ID2とID21は分析から除いた.
***p<0.01 *p<0.1
図4.11 車両条件(混在比率50%)による分散分析の結果
図4.11から,中央道区間ではACC運転条件は平均が2.46(SD=1.75)であったのに対し,MD 運転条件は平均が4.36(SD=2.74)と,MD車両運転時のほうがACC車両運転時よりも有意に高 い結果となった(*** p<0.01).また,高松道区間でもACC運転条件は平均が3.71(SD=2.34)
であったのに対し,MD運転条件は平均が4.79(SD=2.60)と,MD車両運転時のほうがACC車両 運転時よりも有意に高い傾向が見られた(* p<0. 1).
以上より,ACC車両の運転は,ドライバーのストレスを軽減する可能性がある.