第 3 章 ACC 車両が混在する高密度交通流の特性
3.2 交通流特性と車両挙動の把握
3.2.3 交通流率の変動の把握
(2)中央道区間における交通流率
中央道区間における交通流率の推移を縦断線形図と合わせて図 3.13 に示す.この図から,
サグ部の下り坂勾配である0~1.0kpにおいて、全てのパターンで交通流率が低下しているが,
特にp1では,他の混在比率パターンに比べて大きく交通流率が低下している.p1とp2では,
サグ部の下り坂勾配である1.5kpより前に交通流率が一度低下して,サグ部の上り坂勾配であ
る1.5~3.0kpにおいて上昇しているが,p3では,そのような変化は見られない.
そこで,中央道区間における速度コンター図(図3.2~図3.4)を参照すると,図3.2より,
0~0.2kpにおいて,ID15の車頭距離が増加し,70㎞/hまで減速している.ID16以降の車両で
は,特に 0.5~0.7kpにおいて,ID23~ID28にかけて車頭距離が増加して,減速しているのが
読み取れる.以上より,p1では,0~1.0kpにおいて,交通流率が大きく低下していると考えら れる.
図3.3から,1.0kp付近で,ID8,ID24,ID29(いずれもMD車両)の車頭距離が増加して減 速していることが確認できる.以上より,p2では,0~1.5kpで交通流率の低下が見られる.し かし,p2において,0~1.5kpではID8,ID24,ID29以外の車両が車頭距離を維持して走行して いるのが確認できる.これは,ACC車両が前方車両との車間距離を自動的に調節するため,ACC 車両の混在により,車頭距離が増加する車両がp1よりも減少したためであると考えられる.以 上より,p2の交通流率は,p1の交通流率ほど低下しなかったと考えられる.
一方,図3.4から,1.0kp付近でID11の車頭距離が増加して減速しているが,その他の車両
は,車頭距離を維持して追従していることが確認できる.したがって,0~1.5kp において p3 の交通流率は,p2の交通流率ほど低下しなかったと考えられる.
このように,同じ混在比率 50%でも,交通流率に違いが生じた要因として,MD 車両を運転 する個々のドライバーの挙動が交通流に影響したと考えられる.以上より,高密度交通流を対 象としたとき,交通流率が低下しやすいサグ部を有する中央道区間において,ACC 車両の混在
比率が50%のとき,交通流率の低下が抑えられると考えられる.
図3.13 中央道区間における交通流率の推移
(3)山陽道区間における交通流率
山陽道区間における交通流率の推移を縦断線形図と合わせて図 3.14 に示す.この図から,
5.0~6.0kpにおいて,全パターンで交通流率がわずかに低下している.また,7.0kp以降の下
り坂勾配でp1の交通流率が大きく低下している.
そこで,山陽道区間における速度コンター図(図 3.5~図 3.7)を参照する.いずれの場合
も5.0~6.0kpにおいて速度低下が起こっている箇所や,車頭距離が増加した車両が存在せず,
速度コンター図からは原因を特定することはできない.また,図 3.5から,7.0kp付近におい て減速している車両が複数見られる.しかし,どの車両も車頭距離を維持して減速しており,
複数の車両の減速により交通流率が低下したとは考えにくい.
そこで,山陽道区間において,車頭距離と空間平均速度を算出し,交通流率の変動の考察を 行う.山陽道区間における車頭距離と空間平均速度を,交通流率の推移とともに図 3.14 に示 す.5.0~6.0kpにおいて,空間平均速度と車頭距離を参照すると,p1とp3では車頭距離の増 加,p2では空間平均速度の低下が原因で交通流率が低下したと考えられる.また,7.0~8.0kp では,p1の車頭距離が大きく増加したため,p1の交通流率が大きく低下したと考えられる.
以上より,山陽道区間においては,4.0~7.0kpでは上り勾配であるが,中央道区間や高松道 区間に比べ,比較的高速で走行できる区間であるため,全ての混在比率パターンで減速を強い られている箇所はなく,混在比率の違いによって交通流率に差は見られなかったと考えられる.
しかし,7.0~8.0kpでは,下り勾配であり,車両が加速し,車間を開けて走行する箇所となる ため,混在比率0%では交通流率が低下する.一方,混在比率50%では,ACC車両の混在により,
車間を維持して走行する車両が増加するため,交通流率の低下が抑制されると考えられる.
(4)高松道区間における交通流率
高松道区間における交通流率の推移を平面線形図と合わせて図 3.15 に示す.この図から,
カーブ手前の7.0~8.5kpにおいて,p1 の交通流率が大きく低下している.また,カーブ直前 の8.5~9.0kpにおいて,p3の交通流率が上昇している.
そこで,高松道区間における速度コンター図(図3.8~図3.10)を参照する.図3.8から,
8.0~8.5kpにおいて減速波④が存在し,ほとんどの車両が100km/hから40km/hにまで短時間 で減速していることが読み取れるため,8.0~8.5kpにおいて p1の交通流率が大きく低下した と考えられる.
また,図3.10から,9.0kp付近においてほとんどの車両の車頭距離が減少していることが読
み取れる.また,ほとんどの車両が100km/hから50km/hにまで緩やかに減速している.ACC車 両は前方車両の加減速に対して遅れることなく緩やかに反応して追従するという効果により,
多くの車両がカーブ直前の減速箇所において,緩やかに減速し,かつ,車頭距離を維持して追 従していることが確認できる.その結果,交通密度が増加し,p3の交通流率が上昇したと考え られる.したがって,高密度交通流を対象としたとき,カーブ直前の減速箇所でACC車両の混 在比率が上昇することによって,交通密度が増加し,交通流率が上昇することが確認できた.
図3.15 高松道区間における交通流率の推移