第53条関係(残地等に関する損失の補償)
項 目 残地補償の適用について
【質疑の概要】
残地等に関する損失の補償は、用対連基準第 53 条により、残地の形 状、面積等収用損失にかかるものに限定して補償することとし、事業の 施行により生ずる不利益又は損失については補償しないものとされてい る。
残地の評価に当たり、収用損失以外に完成後の道路面との高底差によ る不利益又は損失が受忍限度を越える場合があり、用地取得における隘 路の原因となっている。
高底差による不利益又は損失が受忍限度をこえると明らかに予見され るときは、残地補償として収用損失と同時に補償ができないかお伺いし たい。
【対 応】
高底差に係る損失は収用損失と異なり、事業施行による損失(事業損 失)として取扱われている。
土地収用法では残地の損失にいわゆる事業損失を含むか否かについて は、明文の規定がないこともあって積極説と消極説に分かれているとこ ろであるが、用対連基準第 53 条においては、事業損失は含まない旨明 記されている。
したがって、高底差に係る損失補償については用対連基準第 54 条で 対応すべきである。
しかしながら一方において、これらの事業損失が社会生活上受忍すべ き範囲をこえるものである場合には事前賠償として処理することも認め られているので、高底差による損失を全面的に否定するものではなく、
その不利益又は損失が著しく(例えば橋梁の嵩上げに伴う取付道路と残 地との高底差が著しく通路の設置が不可能な場合等)、別途損害賠償の 請求が認められることが明らかである場合には補償せざるを得ないケー スもあると思われるので、十分な検討を必要とする。
項 目 道路が嵩上げされた場合の残地補償について
【質疑の概要】
、 、
道路が嵩上げされた場合において 残地に関する工事費の補償として 通路の設置に要する工事費の補償をした場合、当該通路となる部分の土 地は、他の残地部分との間に高底差が生じ明らかに価格の低下、利用価 値の減少等の損失が生ずる場合には、残地に関する工事費の補償と合わ せて、当該損失を補償することはできないか。
【対 応】
補償することには賛成であるが、すべての場合減価することには問題 がある。
一例であるが、当該通路部分の面積が残地面積の 10%以上の場合に は、補償する(これは、がけ地補正率であるが)というように制限すべき であると考える。又補償する場合でも当該通路部分だけでなく、残地全 体を一画地として減価に着目すべきであると考える。
【その他参考】
「用地展望」第35号
項 目 残地及び隣接地の嵩上げ補償について
【質疑の概要】
河川改修事業の施行に伴い(堤防の嵩上げ)現道の改築を併せて施行す るもので、現在の幅員 10m を 18m に拡幅する計画である。工事完成後 は現在の路盤よりも最大値H=2m、L=150mのスロープとなる。
当該地域は、全般的に小区画の商店・住宅が連たんし、都市計画法に 基づく用途指定は、近隣商業地域である(建ペイ率 80%、容積率 200%)
・残地に関する補償方針として用対連基準第54条(残地等に関する工事 費の補償)及び同第 60条(隣接土地に関する工事費の補償)により対応す るべく考慮しているが、河川工事と道路工事の合併施工であり、また用 地取得時期と工事施行時期との間に相当な時間的ずれが懸念されるとこ ろから、次のような問題がある。
損失補償の考え方は、用地取得の時点で残地に関する問題(特に 1
残地工事費補償)も含めて一括して解決するのが基本であるが、用 地取得時期と道路工事の施工時期が相当なズレ(3 年)が予想され、
また高底差が著しいような場合には、用地取得と残地工事費の補償 を分離して補償時期をずらせて行うことが出来ないか。
仮に補償時期をずらせて行った場合に、借地人の自家自用のケー 2
スで借地人に残地工事費の補償として、盛土費用も含めて補償する ことが可能か。
(別図)
【対応】
<設問1について>
( ) 河川工事と道路工事の施行時期が予算等の都合で一致しないとすれ1 ば、協議によって委託施行等の方法で解決できる。
( ) 用地買収と残地の工事費等の補償が関連して交渉期間が長期化す2 る。又は交渉妥結したとしても、全関係人から引渡しを受ける時期が 一定でなくバラツキが出る。この場合は、金銭補償が原則であること から、起業地の引渡しを受ければ工事の施行は可能であって、関係人 が残地の工事を施行するか否かは問わない。場合によって、土地収用 法の適用が必要である。
尚、土地の取得と一括して解決した場合、用地取得時期と道路施工
、 、
時期が相当ずれる事により 補償を受けた建物所有者は建物を除去し 他に土地を求め当該残地は他の第三者に売却され、これに第三者が 建物を建て、道路工事着手後、隣接地補償の要求が出されても、これ については、第三者が土地を購入する時点において、当該土地が、① 道路改築用地として提供された後の残地であること、②道路改築計画 と当該地との間に相当な高低差を生じる事等を、当然売主から聞くこ とによって知り得た筈であり、第三者がこれらの事実を知らなかった 拡幅線
川
0.5m 0.9m 1.4m 1.7m
0.5m 0.6m 1.3m 1.7m
現 道
ことについては、過失があったものと言うべきであるから補償の必要 は生じない。然し乍ら、訴訟の提起も考慮されるので、できる限りの 周知措置(買収済地への立看板及び当該市町村へのパンフレット配布 等)を講じ、訴訟に対応しておく必要はある。
( ) 残地で嵩上げして揚家をした場合、現道との段差が大きい場合は出3 入に不便を生じることとなるが、この場合は、引渡しを受けた一定区 間ごとに道路工事も併せて盛土等の工事を施行するか、出入にあまり 支障とならない方策を構じることが望ましいと考える。
<設問2について〉
本件の場合の残地等の工事費の補償は、従前の建物への出入が出来な くなることを解消するための盛土、揚家等に必要な費用と考えられる。
工事を必要とする者は、通常は土地に関しては土地所有者、建物に関し ては建物所有者と考えられるが、一体として借地権者に対して直接補償 することも考えられる。
ただし、金銭補償であることから、どちらか一方のみと契約をした場 合、不履行によって後日紛争が生じないためにも、関係人全員の承諾が 必要と思われる。
【その他参考】
項 目 みぞ、かき補償について
【質疑の概要】
隣接土地に関する工事費の補償は事業に係る工事の完了の日以前に行 うことができるか。
【対 応】
道路工事等によって道路とその面する土地との間に高低差が生ずるた め、出入のための階段の設置、坂道の設置あるいは宅地の盛切土等の工 事を行わなければ当該土地の従来の用法に著しく支障をきたすことが実 施計画段階で確実に予見される場合、工事説明会等で工事着工前に補償 要求が出され、これに応じないとその後の用地取得、工事着工等事業の 円滑な施行が図れない場合がしばしば生ずる。
法第 93条、道路法第70条、河川法第21条等において 「…これらの、 工事を必要とする者の請求により…」、「前項の規定による補償は、事 業に係る工事の完了の日から1年を経過した後においては、請求するこ とができない 」と規定されていることについて、事業施行者は請求を。 受けると補償義務が発生すること及び補償請求権は工事の完了から1年 を経過すると消滅することは明確であるが、補償請求権がいつから発生 するのか文理上明らかでないことから標記の疑問が生じたものと思われ る。
前記規定が、請求権の存続期間を定めたものとすれば工事の完了日よ り前の請求は認められないことになり 「工事の完了の日から」は請求、 権を行使できる終期(期限)を定めるための起算日に過ぎないとすれば工 事の完了日より前の請求も認め得ることとなる。次の理由から後者の考 え方、つまり、補償を請求できる時期は現に損失が発生している場合だ けではなく、損失を受けることが確実に予見できる場合も含むと解する のが実情に適する。
そもそも土地収用法等においてこの補償の認定が設けられた理由 1
は、不法行為の理論で解決することも可能であるが、公共事業の施 行に伴いしばしば発生することが予想される事例について、工事の 円滑な施行と補償の迅速な実施を図るためである。
隣接地において必要となった工事についてその費用の金銭補償に 2
代えて、公共事業の施行者が自から行う工事と併せて施行すること が合理的な場合もあることを予想して事業施行者からも施行を要求 することを認めている。このことは当然損失が現に発生する以前の 補償請求も認めることを前提としているものである。
残地におけるみぞ、かき補償については、事前の補償がなされて 3
いる。同じ事業損失であるみぞ、かき補償であるのに補償の実施時