(1) 意義
権利能力のない社団とは、法人となるのに適した実体をもつ団体でありな がら、法的な手続を経ていないため、法人格を持たないものをいう。これに ついては、可能な限り一般社団法人に準じて扱うべきであるとされる。
Ex. PTA、同窓会、サークル etc.
(2) 権利能力のない社団と認められるための要件
(最判昭 39.10.15)
(3) 権利能力のない社団における法律関係
社団自体に権利能力がない以上、権利義務の帰属主体とはならないはずで す。そうすると、法律関係は全て構成員に帰属すると考えられますが、問題 は、どのような形で帰属するのか、という点にあります。
ア 団体としての組織があること。
イ 多数決による意思決定が行われていること。
ウ 構成員の変更に関わらず団体自体が存続すること。
エ 代表方法等の主要な点が確定していること。
ア 権利能力なき社団の財産は、その団体のために存在し、利用されるので あり、実際上は構成員の個人財産とは区別され、独立に管理・運用されて います。ゆえに、実質的・経済的に見れば、その財産は団体自体に帰属し ているのであるから、その実態をできる限り反映させるべきです。
イ そこで、権利能力なき社団の財産は、総構成員に総有的に帰属し、各構 成員は潜在的持分すら有しないものと解されています(つまり、持分を処 分することや、分割請求をすることはできません)(最判昭 32.11.14 等)。
■共同所有の形態の整理
持 分 持分の処分や分割請求
共有 具体的持分がある。 自由になし得る。
合有 潜在的持分のみがある。持分の処分は制限され、分割請求は清算前はなし得ない。
総有 潜在的持分もない。 なし得ない。
←実質的・経済的に見れば、権利能力 なき社団であるPTAに帰属している。
A
P T A B C D
自動車
第
1章
私権の主体
民法総則
ア 構成員の個人責任について
「権利能力のない社団の財産や債務は構成員に総有的に帰属しているとい うことですが、その構成員それぞれの責任はどのようになっているのです か?」
「各構成員は、直接には個人責任を負わないというのが判例だよ(最判昭 48.10.9)。」
イ 権利能力のない社団名義の登記の可否
「権利能力のない社団名義の登記は認められているのですか?」
「権利能力のない社団は、その名の通り、権利の帰属主体とはなり得ないね。
だから、『権利能力のない社団』名義での登記は認められないというのが判 例だよ(最判昭 47.6.2)。」
❶ A、B、CおよびDが、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を 設立したことを前提に、X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表 者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公 示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
(2014-27-1)
答 【〇】
解説 権利能力なき社団の資産として不動産があるときは、構成員全員の総 有に属することになるが、判例によれば、社団構成員の総有に属する不動 産は、その構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるも のであるから、代表者は、その趣旨における受託者たる地位において右不 動産につき自己の名義をもって登記をすることができるものとされている