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制限行為能力者が行った法律行為は、後に追認されることによって確定的 に有効なものとなる。追認があるまで有効は有効だが、取り消されてしまえ ば、行為の時に遡って無効になる(これが「取消し」の効果(121 本))。し かも、制限行為能力者の静的安全の保護を重視しているため、制限行為能力 者と取引をした善意の相手方を保護する規定もない。

このように、制限行為能力者と取引をした相手方は不安定な状態に置かれ ることになるので、その相手方の保護のため、相手方に催告権を与えて、法 律関係を速やかに確定することを可能にしている(20)(なお、法律関係を 速やかに確定させる制度として、法定追認(125)、取消権の短期消滅時効

(126)がある)。

(1) 相手方の催告権

第 20 条

1項 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第 17 条第 1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制 限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下 同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その 期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべ き旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間 内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

2項 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない 間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為に ついて前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期 間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。

3項 特別の方式を要する行為については、前2項の期間内にその方式を具 備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

複雑だけど、頑張って 押さえましょうね!

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私権の主体

民法総則

4項 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第 17 条第1項の審判を受 けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追 認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被 保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しない ときは、その行為を取り消したものとみなす。

ア 催告を受ける者と確答がない場合の効果 制限行為能力者本人

〈1〉

〈2〉

Ⓐ 単独で取引

相手方Ⓒ

相手方Ⓒ 制限行為能力者本人

Ⓐ 催 告

催告 法定代理人等

その後

催告を受ける者 確答がない場合の効果 未成年者及び成年被後見人

(行為能力者となった後)(☆1) 追認みなし(20 Ⅰ)

未成年者及び成年被後見人の 法定代理人

・特別の方式(☆2)以外は追認みなし

(20 Ⅱ)

・特別の方式は取消しみなし(20 Ⅲ)

被保佐人及び被補助人

(制限行為能力者の間)(☆1) 取消しみなし(20 Ⅳ)

被保佐人及び被補助人

(行為能力者となった後) 追認みなし(20 Ⅰ)

保佐人及び補助人 ・特別の方式以外は追認みなし(20 Ⅱ)

・特別の方式は取消しみなし(20 Ⅲ)

「確答の通知不発信の効果の見極め方のポイントはありますか?」

「それは、『制限行為能力者の側が、単独で追認できるかどうか』という点 に注意して判断すると良いんだよ。」

「『単独で追認できる』者であれば『追認みなし』で、『単独で追認できない』

者であれば『取消みなし』と考えれば良いということですか?」

「そのとおりだよ。」

イ 催告の仕方

① 催告をされる者が単独で追認できる場合は、1ヵ月以上の期間内に 取消し可能な行為を追認するか否かを確答するように催告する(20

Ⅰ・Ⅱ)。

② 特別の方式を要する場合で、未成年後見人に未成年後見監督人、成 年後見人に成年後見監督人がおり、その同意を要する場合も、①と同 じように、催告をされる者が単独で追認できる場合は、1ヵ月以上の 期間内に取消し可能な行為を追認するか否かを確答するように催告す る(20 Ⅲ)。

③ 催告の相手方が被保佐人・被補助人である場合は、1ヵ月以上の期 間内に保佐人・補助人の追認を得るよう催告する(20 Ⅳ)。

☆2 特別の方式を要する行為とは,後見監督人が選任されている場合で,法定代理 人等の後見人が後見監督人の同意を得て追認するとき等である。

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私権の主体

民法総則

❶ 制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者本人に対して、

1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することが でき、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

(2006-27-2)

答 【×】

解説 未成年者、成年被後見人であるうちは意思表示の受領能力がないので

(98 の2参照)、催告をしても対抗することができない。20 条1項は、制 限行為能力者が行為能力者になった後の規定である。

条文確認

制度趣旨

(2) 制限行為能力者が詐術を用いた場合

第 21 条

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたと きは、その行為を取り消すことができない。

いくら制限行為能力者の静的安全の保護が重要でも、だからといってその 保護されるべき者が詐術(つまり、行為能力者であると偽ること)によって、

その者と取引をする相手方に行為能力者であると誤って信じさせた場合にま で保護すべきではない(取引安全の保護に傾く)。

そこで、詐術を行った制限行為能力者(法定代理人も含む)は、自らの法 律行為を取り消せないとし(21)、いわば制裁を課すことにした。

なお、第三者による詐術が行われた場合は、21 条の話ではない。

「詐術を用いたとき」とは、無能力者(現在の制限行為能力者のこと)が能 力者であることを誤信させるために、相手方に対し積極的術策を用いた場合 に限るものではなく、無能力者が、ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて 相手方の誤信を誘起し、又は誤信を強めた場合をも包含すると解すべきです。

したがって、無能力者であることを黙秘していた場合でも、それが、無能 力者の他の言動などと相俟って、相手方を誤信させ、または誤信を強めたも のと認められるときは、なお詐術に当たるというべきですが、単に無能力者 であることを黙秘していたことの一事をもって、右にいう詐術に当たるとす るのは相当ではありません(最判昭 44.2.13)。

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私権の主体

民法総則

❶ 制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない 行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得 ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信 じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行 為を取り消すことはできない。(2006-27-4)

答 【〇】

解説 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用 いたときは、制限能力者保護の必要性がなく、その行為を取り消すことが できない(21)。これに対し、単に制限行為能力者であることを黙秘して いた場合には、詐術には当たらない(最判昭 44.2.13)。なお、「それに代 わる家庭裁判所の許可」は民法 13 条3項に根拠があるので確認しておこう。

❷ Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」

という。)が締結されたことを前提に、Aは未成年者であったが、その旨 をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であること の黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売 買契約を取り消すことはできない。(2014-28-5)

答 【×】

解説 判例によれば、無能力者(現在の制限行為能力者のこと)であること を黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信さ せ、または誤信を強めたものと認められるときには、「詐術」に当たるが、

黙秘することのみでは詐術に当たらないとされている(最判昭 44.2.13)。

本肢のように、単なる黙秘では「詐術」(21)には当たらない。

条文確認

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