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第
1章
私権の主体
民法総則
(1) 取消権者
(2) 取消権行使の効果
ア 取り消すことができる行為は、一応、有効である。しかし、取り消さ れた行為は、初めから無効であったとみなされる(121 本)。
イ このように、一度行われた行為が初めから無効であったとみなされる ので、その行為の当事者には、原状回復義務が発生するはずである。
しかし、制限行為能力者保護の観点から、不当利得の返還範囲につい ては、「現に利益を受けている限度」で返還すれば足りる(121 但)。
「『現に利益を受けている限度』で返還すれば良いということは、『浪費し た場合』は返還しなくて良いのですか?」
「現に利益を受けたとはいえないため返還しなくて良いよ。」
「『現に利益を受けている限度』というのをもう少し分かりやすく教えても らえますか?」
「『現に利益を受けている限度』とは、受けた利益のうち、今もなお存続し ているものをいうんだよ。」
「では、生活費はどうなるのですか?」
ア 制限行為能力者本人(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人)(☆)
イ 法定代理人(親権者、後見人)
ウ 承継人
エ 同意をすることができる者(保佐人、補助人)
☆ 制限行為能力者本人も単独で取消しができる。
「ギャンブルはどうですか?」
「別の判例では、ギャンブル等に浪費してしまった場合には現存利益はな いとされているよ。」
(3) 取消権の消滅
取消権は、追認をすることができる時から5年経過した時、又は、行為の 時から20年経過した時に消滅する(126)。
なお、追認することができる時とは、本人が行為能力者となり、自分の取 り消し得る行為を認識した時(124 条 2 項は、特に成年被後見人について自 己のなした行為の認識を要求した注意規定である)、また、法定代理人、制 限行為能力者の保佐人、補助人が制限行為能力者の行った行為を知った時を いう(124)。
❶ 制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない 行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制 限行為能力を理由として補助人の行為を取り消すことができる。(2006-27-5)
答 【×】
解説 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれ に代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる(17 Ⅳ)。し かし、同意又はこれに代わる許可を得てした行為は、取消しの対象とはな らない。また、同意を得ないでした場合であっても、取り消すことができ るのは被補助人側であり(120 Ⅰ)、相手方ではない。
❷ 未成年者であるBが親権者の同意を得ずにAから金銭を借り入れたが、
後に当該金銭消費貸借契約が取り消された場合、BはAに対し、受領した 金銭につき現存利益のみを返還すれば足りる。(2011-27- オ)
答 【〇】
第
1章
私権の主体
民法総則
未成年者Ⓐ
単独で取引
相手方Ⓒ 法定代理人
Ⓑ
解説 制限行為能力者による取消しの場合には、制限行為能力者保護の観点 から、不当利得の返還範囲については、「現に利益を受けている限度」で 返還すれば足りる(121 但)。よって、BはAに対し、受領した金銭につ き現存利益のみを返還すれば足りる。
❸ Aが 19 歳の時に、その法定代理人Bの同意を得ずにCにAの所有する 不動産を売却した場合に、AおよびBは、Aが成年に達したときには、A C間の売買契約を取り消すことはできない。(2004-25-1)
答 【×】
解説 未成年者がその法定代理人の同意を得ずに法律行為をした場合、原 則として、その未成年者及び法定代理人は取り消すことができる(5Ⅰ、
120 Ⅰ)。そして、取消権は、追認をすることができる時から5年間行使 しないときは、時効によって消滅する(126、124 参照)。本肢の場合、B は、Aが成年に達したとき、法定代理人でなくなるので、AC間の売買契 約を取り消すことはできなくなる。しかし、Aは、Aが成年に達したとき から5年間は取り消すことができる。
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