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事例校は,学校(経営)評価(巻末資料P23〜26参照)を基にして,
教育課程を編成している。それは,ただ問題点を挙げるにとどまらず,どう 改善するか,その具体策まで視野に入れた議論が行われていることがうかが える。それを受けて新年度の教育課程が編成されているのである。すなわち 教育目標についても,指導の重点等についても,「学校」としての共通の見 方が,前年度の内につくられていると考えられる。
また,〈イ〉は,一般に「学校文化の慣習性」として,閉鎖的文化と指摘 されるところ1)であるが,このような論議を経ての継承ならば,問題はない であろう。事実,事例校のr学校経嘗の沿革』 (巻末資料P1〜P22)を 見ると,現在に至るまでに大いに議論され,教育課程が革新されてきている
ことがわかる。
これらのことから,事例校の教育課程編成は,より大きな教育課程の経営 すなわち教育課程を編成,実施,評価するという活動の一環として,学校経 営の中核に位置づけられた活動である,ということができよう。
2.意思決定過程の運営方式
〈ウ〉からくカ〉は,教育課程の内容を意思決定する過程の特徴である。
この意思決定過程に着目すると,すべての事例校の,いずれも内容におい ても, 【図3−2】ような運営方式が用いられていることが分かる。
【図3−2 教育課程内容の意思決定過程】
原案作成 検討・調整 決 定
まず,担当者(組 織)によって原案が 作成され,それを検 討・調整し,学校の 意思として決定する
しくみである。
決定する場として は,いずれも職員会
を設定しており,
がうかがえる。
民主的な手続きを経て,教育課程内容を決定していること
原案担当者(組織)や検討・調整の場などは事例校によって異なっている が,このような運営方式は,より精緻な,より一貫した(整合性のある)教 育課程内容をつくり出すことにつながるしくみと考えられる。
ただし,〈カ〉は,「職員会」の形式化を示すものと考える。これについ ては,次項で考えていくことにする。
3.教育課程編成の遂行過程における教員のかかわり
〈キ〉〜〈ケ〉は,教育課程編成の遂行過程に登場する人や組織の問題で
ある。
まず,教育課程内容別にその原案担当者を一覧すると
なる。
表3−6のように
【表3−6 教育課程内容の原案担当者一覧】
事例校 教育目標 指導の重点 学校創意時
ヤの計画 生活時程 福光中部小学校 校長 教務主任
フ域委員会
教務主任 教務主任 緒川小学校 校長 教務主任 教務主任 教務主任 卯ノ里小学校 校長 教務主任 教務主任 教務主任 合橋小学校 校長 授業研究部 授業研究部 日課担当者 遷喬小学校 校長 各担当者 教務主任 教務主任 教育目標は「校長」,他の教育課程内容は「教務主任」が,その原案作成 の中心となっていることがわかる。これらは,校長あるいは教務主任の職位
としての役割であると考えれば,当然のことである。
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しかし,事例校における実際の担当者は,ここに記された者だけではない と見なければならない。それは,先に述べたように,その素案が,前年度の 内に,ほぼでき上がっているからである。ここに記された担当者とは,教育 課程内容の原案を文書として作成する「係」として位置ついているに過ぎな いのである。つまり,前年度の学校(経営)評価などを基にして検討した者 が,事例校では,実質的な担当者なのである。
事例校ごとに,素案づくりの担当をあげると,以下のようになる。
福光中部小学校… r各種委員会』 (「保健・安全,生徒指導委員会」,
「体力つくり,特別活動委員会」,「研修委員会」の3委員会で,全教員が 分散所属している。)
緒川小学校・・… r各專門部会』 (「創造」, 「教科」
「表現」の4專門部で,全教員が分散所属している。)
.「総合」,
卯ノ里小学校・… r砺究推進委員会』 (校長,教頭,校務主任,教務主 任,および5〜6名の推進委員で構成される会議体)
合橋小学校・・… r授業研究部および生活砺究部』 (研究推進組織の部 会で,同校では,全教員がこのいずれかの部に所属している。)
遷喬小学校・・… r各分掌部会』 (「教務部」,
全部」で,教員は,このいずれかに所属している。)
「生活部」, 「保健安
「個人」ではなく,「組織体」がその素案づくりを担っていることがわか る。ここに,三つ目の特色が存在するように思われる。 (これらの組織の具 体的な活動状況については,次章で詳しく見ていく。)
ここで,事例校の教育課程編成の遂行過程において,人や組織が実際にど のようにかかわっているのかを表にしてみることにする。なお,その際,教 育課程編成の遂行過程をさらに具体的な過程に分割して,より全体的な遂行
状況が表現できるよう配慮した。
【表3−7】〜【表3−11】が,各事例校の実状である。
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【表3−7 福光中部4嘲交の教育課程編成遂行状況】
刈 co
教育課程編成の手順
@担当者・組織
教育
j織欝 1灘蟹醜灘簸定i灘 生縢定灘1
校長・教頭 ● ・ ● ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
教務主任 ○ ・ ● ● ・ ○ ・ ● ・ ● ● 研究主任 ○ ・ ○ ● ・ ● ・ ○ ・ ○ ○
他の主任層 ユ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
※ 各種委員会 ● ● ・ ● ・ ● ・ ●
学年会 層 塵 謄 8 ●
※日常活動の推進母 フ,全教員が所属
企画,検討・調整段階におけるかかわり
i●・・企画でのかかわり,○・・検討・調整でのかかわり)
【表3−8 緒川小学校の教育課程編成遂行状況】
教育課程編成の手順
@担当者・組織
教育
囃囃闃]欝 灘蟄醗謙蜘定il欝 生礫定灘欄
校長・教頭 ● ・ ○ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
教務主任 ○ ・ ● ● ・ ○ ・ ● ・ ● ●
研究主任 ○ ・ ● ● ・ ● ・ ● ・ ● ○
他の主任層 ○ ・ ○ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
※ 専門部会 ○ ◎ ◎ ・ o
学年会 魯 己 鰯 ●
※一般教員を中心と オた研究推進組織
企画,検討・調整段階におけるかかわり
i●・・企画でのかかわり,○・・検討・調整でのかかわり)
【表3−9 卯ノ里小学校の教育課程編成遂行状況】
刈 鉢
教育課程編成の手順
@担当者・組織
鮪縢定灘夢 1二丁醜灘議定il欝 生礫定1欝1
校長・教頭 ● ・ ○ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
教務主任 ○ ・ ● ● ・ ○ ・ ● ・ ● ●
研究主任 ○ ・ ● ● ・ ● ・ ○ ・ ○ ○
他の主任層 ○ ・ ○
○ 齢 ○ O i O
○※研究推進委員会 ○ ・ ● ● ・ ● ・ ● ・ ● ○ ○
学年会 冒 陰 , 陰 ●
※管理職,主任層お 謔ム推進委員で組織
企画,検討・調整段階におけるかかわり
i●・・企画でのかかわり,○・・検討・調整でのかかわり)
【表3一一10 合橋小学校の教育課程編磁『猷況】
N
or
教育課程編成の手順 S当者・組織
教育
[嚢定灘夢 翼劉丁丁二二熱i欝
生活憎憎@ の設定 w導計画の学年別教科校長・教頭 ● ・ ● ● ・ ● ・ ○ ・ ○ ○
]
教育課程担当 ■ ● …
研修担当 ■ ・ ● ・ ・
各担当者 ● ・ ・ ● ・ ● ●
※授業研究部 ○ ・ ○ ● ・ ■ ・ ● ・ ● ○ ○
※生活研究部 ○ ・ ○ ● ・ ○ ・ ● ・ ● ○
※研究推進組織で全 が分散所属
企画,検討・調整段階におけるかかわり
i●・・企画でのかかわり,○・・検討・調整でのかかわり)
【表3−11 遷i喬小学校の教育課程編成遂1『猷況】
N
at
教育課程編成の手順
@担当者・組織
教育
[織灘 慰蟄i丁丁二二灘絵i欝
生活時程@ の設定 学年別教科w導計画の校長・教頭 ● ・ ● ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○
O c
教務主任 ○ ・ ● ● ・ ● ・ ○ ・ ● ●
研究主任 ○ ・ ● ● ・ ● ・ ○ ・ ● ○
他の主任層 ・ ○ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ○
※分掌部会 ○教務部 ・ ● ●各部 ・●教務部 ・●各部 ・●教務部
学年会 ○ ・ ○ ・ O ・ ●
※学校事務組織の部
?ナ全教員が所属
企画,検討・調整段階におけるかかわり
i●・・企画でのかかわり,○・・検討・調整でのかかわり)
一つの教育課程内容を設定する過程でも,実に多くの「人」が登場してい ることがわかる。しかも,教育課程の根幹にかかわる,より抽象度の高い段 階から,「組織的」にかかわっていることに気がつく。
前項で問題とした「職員会」の役割も,このような遂行状況全体を考慮す ると,合理的で,決して形骸化ではないことがわかる。すなわち,大きな場 で一度に教育課程全体を議論するのではなく,少人数の中で,しかも計画段 階から論議しながら編成していこうとしているのである。ただし,合橋小学 校における職員会は,逆に重要な論議の場として位置付けられ,実際にも活 発な議論がなされているようである。これは,学校規模や教職員数の違いに
よるものと考えられる。
これらのことから,事例校の教育課程編成は,教員一人ひとりがかかわっ た「学校ぐるみ」の活動であると言うことができよう。
このような編成方式は,自校の教育課程を自校の課題に基づいて創り出す ために有効な手段であると同時に,その実現に向け,教員一人ひとりの自覚 と認識を深め,意欲を高めることにつながる優れた「しくみ」と思われる。
すなわち,事例校の教育課程編成過程は,教員を単なる教育課程の実施者
(ユーザー)から教育課程の編成者(メーカー)に高めるための実質的力量 2}を育成する「研修の場」にもなっていると考えるのである。
〔注〕
1)中留武昭E学校経営の改善戦略』,第一法規,1989, P12〜15
2)高野桂一編il教育課程経営の理論と実際』,教育開発研究所,1989 「まえがき」から
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第四章 r個性化教育』推進校における教育課程の実施条件
前章第二節で見てきたように,事例校の教育課程編成は,学校の運営体制 や学校経営組織と密接にかかわった活動である。
本章では,この「かかわり」を事例校の学校経営状況(学校経営組織,学 校運営のしくみ,学習環境の整備)に着目して明らかにするとともに,事例 校では教育課程をどう実現させようとしているのかを考察していく。
第一節 事例校における学校経営
1.福光中部小学校
(1)学校経営組織
a.学校条件と学校経営組織の概要
【表4−1】,【図4−1】参照
b.教育指導組織学級数20に対し,教員数(管理職を除く)23名となっている。学級担 任外教員が3名存在している。同校のilティーム・ティーチング』 (以下,
TTと略す。)授業は,主として学年単位で実施されており,学年の担任教 員で賄っている。担任外教員は主に専科授業を担当するが,内1名は高学年 のTTのスタッフとなっている。他の2名は教務主任・研究主任であるが,
必要に応じ,援助できる体制を整えている。