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検出器モジュールの状態

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 36-43)

この節では、M7期間中のSCT検出器各モジュールの温度・印加電圧・リーク電流値・ゲ イン・ノイズについて記述する。この節で示すデータは、12月1日に行った較正用のランで あるrun#247482を用いたものである。

温度設定

図4.1、 図4.2にSCT検出器バレル部・エンドキャップ部それぞれの各モジュールの温度 を示す。バレル部においてはモジュール間の変動は小さく、各層で一定温度を保っている。

バレル部レイヤー0の各η内の同じ位置に温度が他よりも高い部分が現れているのは、この 部分に対応するクーリングパイプの設定が他と違い高くなってしまっているためである。エ ンドキャップ部においてはバレル部に比べ温度の変動が大きいが、故障により他のモジュー ルに比べ著しく値の外れたものを除いた最低値と最高値でその変動は 6℃程度に収まって いる。

図4.1: SCT検出器バレル部各モジュールの温度。赤色で示されたt0はサイド0、青色で示さ

れたt1はサイド1のものである。

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

図4.2: SCT検出器エンドキャップ部各モジュールの温度

印加電圧設定

SCT検出器モジュールの動作電圧は150 Vである。図4.3、 図4.4に、SCT検出器バレル 部・エンドキャップ部それぞれの各モジュールに対する印加電圧を示す。バレル部の図中の

< 111>, < 100 > は、3.2.2節にて記述したシリコン半導体の切断面のミラー指数を表して

いる。バレル部の印加電圧は150Vで安定している。一部で0 Vになっているのは、不具合 のためにマスクしたモジュールに対応している。バレルレイヤー2の各η内の同じ位置にマ スクしたモジュールがあるのは、その位置に対応するクーリングパイプの故障により安定動 作が危惧されるので使用不可に設定したものである。エンドキャップ部の印加電圧値もほと んどのモジュールが150 Vで安定しているが、CiS製センサーを用いたモジュールの一部で 印加電圧値が30 Vから50 Vほど下がっている。これは2012年の衝突データ取得時に突然 CiS製センサーを用いたモジュールの27 %に急激なリーク電流の上昇が生じたため、その影 響を少しでも抑えるように対応するモジュールの印加電圧を下げたものである[19]。印加電 圧を下げた状態でも完全空乏化電圧は上回っており、検出効率に大きな影響はない。リーク 電流については次に記述する。

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

図4.3: SCT検出器バレル部各モジュールの印加電圧値

図4.4: SCT検出器エンドキャップ部各モジュールの印加電圧値

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

リーク電流

シリコン半導体検出器に逆電圧を印加すると微小電流が流れる。これをリーク電流 または漏れ電流と呼び、ノイズの原因となる。リーク電流は温度に強く依存しており、

T2exp(Eg/2kT) に比例して増大する。T は動作温度、k はボルツマン定数、Eg はバンド ギャップエネルギーである。また、リーク電流は、シリコン結晶が放射線損傷を受けること によっても増大する。

図4.5及び、 図 4.6 に、SCT 検出器バレル部・エンドキャップ部それぞれの各モジュー ルのリーク電流値を示す。バレル部の図中の< 111 >, <100 >は、3.2.2節にて記述したシ リコン半導体の切断面のミラー指数を表している。バレル部におけるリーク電流は各層のモ ジュール間でほぼ同じ値を取っており安定していることが分かる。バレルレイヤー0におい て周期的にピークが見えるのは、図4.1 で示した温度が高い部分に対応している。リーク電 流の平均がレイヤー2, 1, 0の順で大きくなっているのは、衝突点に近いほど放射線に多く曝 されてシリコン結晶に損傷を受けるためである。レイヤー3でのリーク電流が他のレイヤー より高くなっているのは、図4.1で確認できるように、レイヤー3の温度が他に比べ高いた めである。エンドキャップ部のリーク電流も各ディスク毎にほぼ一定値を取って安定してい る。ミドルレイヤーとインナーレイヤーのCiS製センサーを用いたモジュールの一部で値が 大きく外れているものがあるが、この原因については分かっていない。ショートモジュール のリーク電流が小さいのは、ショートモジュールに使用しているセンサーストリップの長さ が6 cmと他のセンサーよりも短いためである。

ゲイン

図4.7、図4.8 に、SCT検出器バレル部・エンドキャップ部それぞれの各モジュールのゲ インを示す。3.3節で記述した較正により、バレル部・エンドキャップ部ともにゲインは約

55 mV/fCである。一部モジュールで値がグラフ外下に落ち込んでいるのは、マスクしたモ

ジュールに対応している。

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

図4.5: SCT検出器バレル部各モジュールのリーク電流値

図4.6: SCT検出器エンドキャップ部各モジュールのリーク電流値

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

図4.7: SCT検出器バレル部各モジュールのゲイン

図4.8: SCT検出器エンドキャップ部各モジュールのゲイン

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第4. 宇宙線データの収集 4.3. 検出器モジュールの状態

ノイズ

図4.9、図4.10に、SCT検出器バレル部・エンドキャップ部それぞれの各モジュールのノ イズを示す。3.3.1節で記述した較正により出したENCによるノイズ値を示している。バレ ル部の図中の<111>, <100>は、3.2.2節にて記述したシリコン半導体の切断面のミラー指 数を表している。バレル部・エンドキャップ部ともに約1500 e付近で揃っている。また、ミ ラー指数< 100>のものを使用したモジュールのノイズが<111 >のものに比べて低い傾向 がある。エンドキャップ部のミドルレイヤーにおいて、CiS製のセンサーを用いたモジュー

ルの方がHamamatsu製のセンサーを用いたモジュールに比べてわずかにノイズが大きい。

図4.9: SCT検出器バレル部各モジュールのノイズ

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第4. 宇宙線データの収集 4.4. 発生した問題

図4.10: SCT検出器エンドキャップ部各モジュールのノイズ

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 36-43)

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