5.1 各種の定義
5.1.3 検出効率
定義
本研究では、検出器性能の指標として検出効率を用いた。一般的に検出効率は、ある検出 器に検出対象が入ったときにそれを検出できる確率のことである。SCT検出器における検出 効率は、荷電粒子がセンサーを通過したとき信号が検出される確率である。SCT検出器のセ ンサーに対しては、99 %以上の検出効率が要求される。つまり、センサーを荷電粒子が通過 したとき99 %以上の確率で信号が生成され、検出されなくてはならない。
SCT検出器の検出効率を出すに当たって、まず再構成したトラックに対して以下の条件を かけてトラックの選別を行う。
• 横運動量pT> 1 GeV/c
• トラック上のTRT検出器のヒット数hitTRT ≥45
• トラック上のSCT検出器のヒット数hitSCT ≥ 7
• 5つ以上の異なるSCTモジュール上にヒットを持つ
• トラックのフィットに対してχ2/d.o.f <3(d.o.fは自由度)
• ヒットがセンサーの有感領域内にあること
この選別をクリアしたトラックを検出効率の計算に使用する。トラックが決定できれば、
そのトラックがどのモジュールを貫くかが分かる。そして、そのモジュール上に確かにクラ スターがあるかを確かめることで検出効率が計算できる。ヒットとして認めるのは、再構成 したトラックとセンサー上の交点から半径2 mm以内のクラスターのみである。この交点と クラスターとの距離を残差(resudial)と呼ぶ。あるモジュールに対する検出効率の定義は、
以下の式のようになる。
E f f = NHit NT rack
(5.1) NHit は、残差が2 mm以下のヒットの数。NT rack はそのモジュールを横切るトラックの数 である。図5.4を例に考えてみると、赤丸のヒットは再構成したトラック上にあるためヒッ トとして数えられる。黄色のヒットは残差が2 mm 以上の位置にありヒットとはならない。
また、上から4番目のモジュールは信号を生成していない。この場合、赤丸ヒットを持つモ ジュールは、横切るトラック数1でヒット数1となり検出効率100 %となる。黄色丸ヒット と信号のないモジュールは、横切るトラック数1に対してヒット数0のため、検出効率は0
%となる。
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第5. データ解析 5.1. 各種の定義
図5.4: 検出効率の定義の模式図。黄色のヒットはresudialが2 mm以上のため、検出効率の 計算ではヒットとして扱わない。
検出効率の計算から除外されるもの
検出効率の計算においては、使用不能と判断されデータ収集から外したモジュール、読み 出しチップの問題で使用できないストリップはマスクし、計算から除外する。今回のM7の 宇宙線取得においても、全 78のモジュールをマスクした。図5.5 に示すようにバレル部レ イヤー 2においては、モジュールを冷やすためのクーリングパイプの不調により48個のモ ジュールをマスクした。表5.1にマスクした全78モジュールをまとめた。
図5.5: バレル部レイヤー2サイド0の検出効率のη−φ分布。φ=5, 6, 7, 8に対応する大き な領域をクーリングパイプの問題のためにマスクした。
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第5. データ解析 5.1. 各種の定義
表5.1: M7でデータ取得から外したモジュール
レイヤー・ディスク データ取得から外したモジュール(η, φ) バレルレイヤー0 (-4, 22) (-2, 3) (5, 13) (6, 13) バレルレイヤー1 (-3, 26) (-2, 39) バレルレイヤー2 (-6 to 6, 5 to 8) (-1, 15) バレルレイヤー3 (1, 13) (1, 38) Aサイドディスク0 -Aサイドディスク1 (0, 4) Aサイドディスク2 -Aサイドディスク3 -Aサイドディスク4 -Aサイドディスク5 (2, 25) Aサイドディスク6 (0, 3) (0, 33) Aサイドディスク7 -Aサイドディスク8 (0, 7) Cサイドディスク0 -Cサイドディスク1 -Cサイドディスク2 (1, 38) Cサイドディスク3 (0, 28) Cサイドディスク4 (1, 22) Cサイドディスク5 -Cサイドディスク6 -Cサイドディスク7 -Cサイドディスク8 (0, 14 to 26)
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第 6 章
結果と考察
この章では、M7で取得した宇宙線データを用いて評価したSCT検出器の検出効率の結果 とそれに対する考察を述べる。また、原因が特定できていないM7のデータ取得中に生じた 問題についてもここで記述する。