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4.2.1.試験圃場

宮城県仙台市の沿岸部に位置し,農事組合法人が栽培管理する水稲圃場8筆 (直播4筆,

移植4筆) ,いずれも約0.9 ha を対象とした (図 4-1).栽培品種は,直播については全て が 「ひとめぼれ」,移植については,圃場3が 「だて正夢」,圃場4が 「まな娘」,ほか が 「ひとめぼれ」 であった.施肥効果の評価をするための試験区を,1圃場あたり9区,

計72区設置した.各試験区には,UAV リモートセンシングによって LAI を算出する1 m 四方のエリアを17エリア設置した.試験区の中心部に設置したエリア1を中心に,条方向 及び条と直行する方向の計4方向に対して1 m 毎にエリア2からエリア5と設定した (図 4-1).

4-1 本研究で用いた水稲圃場,圃場内に設置した試験区及び各試験区における LAI 計測エリア の位置関係.圃場1から45から8はそれぞれ,移植圃場と直播圃 場である.△ と 〇 のシンボルはそれぞれ,移植圃場と直播圃場に設置した試験 区の位置を示しており,1圃場あたり9試験区を設置した.試験区の中心には UAV による LAI 計測エリア1を設置し,条方向及び条と直行する方向に対して1 m 毎 にエリア2からエリア5を設置した.上図 : 国土地理院の電子国土基本図 (オルソ 画像)32)から引用.下図 : UAV空撮画像 (フォルスカラー表示)

4.2.2.栽培管理 (1) 作付け

て4 gm-2 の密度で点播した.栽植密度は,移植圃場と直播圃場のいずれについても条間0.3

m,株間0.2 m であった.

(2) 施肥

a) 圃場全体に対する施肥

基肥として,「ひとめぼれ2号R」(N - P - K, 12 - 22 - 20) を40 gm-2 施用した.追肥とし て,圃場1及び2 (移植圃場のひとめぼれ栽培圃場) には流込み肥料 (NK 化成) (N K, 20 -10) を5 gm-2 施用した.また,圃場4 (移植圃場のまな娘栽培圃場) には同流込み肥料を10 gm-2施用した.

b) 試験区に対する施肥

追肥 (分げつ肥) として,「21.0 硫酸アンモニア」(N - 21 %, 宇部興産株式会社) を6 月21日に一部の試験区に対して施用した.試験区の中心3 m 四方の範囲 (エリア1及び2 を含む9m2の範囲) に対して90 g (10gm-2) または135 g (15gm-2) を均一に手作業で施用し

た.10 gm-2 と 15 gm-2の追肥をそれぞれ1圃場あたり3試験区に対して行い,90区及び

135区と呼ぶ.追肥を行わなかった残りの試験区を対照区 (000区) とした.

(3) 農薬の施用

作付け時期に,いもち病及び主要害虫に対する防除のため 「Dr オリゼフェルテラ」(北 興化学工業株式会社) を施用した.同時期に,除草のため 「プレキープ除草剤」(石原バ イオサイエンス株式会社) と 「デルタアタック」(協友アグリ株式会社) をそれぞれ,移植 圃場と直播圃場に対して施用した.

5月下旬と7月中旬にそれぞれ,「バッチリフロアブル」(協友アグリ株式会社) と 「ク リンチャーバス ME」(日産化学工業) を全ての圃場に対して施用した.

4.2.3.収量調査

収量構成要素について調査するため,2018年9月18日に各試験区のエリア1内の水稲

を円形 (半径約0.5 m) に刈取った.移植圃場については刈り取った稲のうち5株を,直播

圃場については刈取り範囲内の1条0.5 m 内の全個体をそれぞれサブサンプルとして,穂 数,一穂籾数,登熟歩合及び千粒重を計測した.収量については,刈り取った全てのサン

プルから計測した.そのほかに,稲の茎葉重や刈取り範囲内に存在した雑草重も計測した.

籾,茎葉及び雑草の乾物重の計測は,80 ℃ に設定した通風乾燥機で5日間乾燥させたの ちに行った.登熟歩合を求めるために比重1.06による塩水選を行った.計測した各データ は,刈取り面積で除することで,単位面積あたりの値に変換した.本研究では乾燥籾重を 収量として用いた.

4.2.4.LAI計測

(1) UAV リモートセンシングによる計測

UAV リモートセンシングで取得した画像から LAI を計測する手法として,筆者らが提 案した手法 「FLiES-SVR」(3章) を用いた.UAV リモートセンシングは曇天でも画像を 撮影でき,昼間であれば時刻に依らず撮影することができる.このため,UAV リモート センシングによる画像撮影はさまざまな日射条件下で行われる可能性がある.同じ水稲群 落であっても,日射条件が異なると観測される水稲群落の反射率が変動することが示され ている43).その結果,反射率の値に基づいて LAI を推定しようとする際には誤差が生じ る可能性があった.筆者らの提案した手法は,機械学習手法を用いることで日射条件の違 いに依らず LAI を推定することができるという特徴がある.

FLiES-SVR では,予めさまざまな日射条件や生育段階における水稲群落の反射率を放射

伝達モデルを用いたシミュレーションツール 「FLiES」 によって作成しておく.日射条 件,LAI 及びシミュレーションされた水稲群落反射率のセットを学習データとして,機械 学習アルゴリズムの1つである SVR46)~49)を用いて学習済みモデルを構築する.この学習 済みモデルに対して,後述する画像処理によってえられる反射率画像 (反射率が画素値と して格納されている画像) からえた群落反射率と撮影時の日射条件などを入力することで LAI を推定する.なお,LAI は図 4-1に示した LAI 計測エリア1から5に対して算出す るため,群落反射率は各エリア内 (1 m 四方) に含まれる反射率画像の画素値を平均する ことで求めた.学習データの作成と SVR による学習済みモデルの構築については,3章 で示した方法と同じ条件で行った.

a) マルチスペクトル画像

「Sequoia」 であった.UAV は水稲圃場上空60 m を飛行しながら水稲圃場全体を網羅す るように,約400枚の画像 (1枚あたりの撮影範囲は約0.4 ha) を撮影した.全ての撮影画 像は進行方向及びその直角方向に隣り合う画像同士が85 % オーバーラップするように 撮影間隔をした.撮影した画像を,画像処理ソフトウェア 「Pix4D mapper」 を用いて1 枚のオルソ補正済みの反射率画像に変換した.オルソ補正済みの反射率画像への変換のた めに行った各処理は,「Pix4D mapper」 に予め処理パラメータ (表 2-3) を設定しておくこ とによって自動実行した.はじめに,各画像においてほかの画像とマッチングするための

特徴点を10000点以上自動抽出し,特徴点に基づいて空中三角測量とバンドル調整を行っ

てポイントクラウドを生成した.1画素以下であることが推奨されている34) バンドル調整 の平均再投影誤差は0.3画素以下であった.次に,センサの内部及び外部パラメータのキ ャリブレーションを行うため,カメラモデルの最適化を実行した.5 % 以下が推奨されて いる34) 内部パラメータと最適化パラメータとの相対誤差は1 % 以下であった.ポイント クラウドから生成した DSM は画像のオルソ補正に用い,0.05 m の空間分解能を持つオル ソ補正済みの反射率画像を生成した.ここで,反射率はキャリブレーションターゲットを 撮影した画像を用いたラジオメトリック補正によって補正されている.キャリブレーショ ンターゲットの画像は,地上において圃場の撮影開始時と終了時に撮影した.また,ラジ オメトリック補正においては UAV に搭載した照度センサによって各画像に記録した太 陽放射照度,ISO 感度,シャッター速度,F 値などの情報も利用している.オルソ補正に おいては,画像の位置あわせのために GCPs を利用した.GCPs は各圃場の隅に設定し,

その座標は国土地理院が公開する電子国土基本図の1つであるオルソ画像32) を参照して 取得した.

b) 日射条件など

UAV によるマルチスペクトル画像撮影時の日射条件などを表 4-1に示す.水稲群落に 入射する太陽光に占める散乱光割合は,最寄りのアメダスが記録している全天日射量37)

用いて,Erbs et al. (1982) の方法36) により算出した.太陽天頂角については,水稲圃場が

位置する位置座標 (図 4-1) と画像を撮影した日時などを用いて算出した45)

4-1 UAV リモートセンシングによるマルチスペクトル画像撮影時の日射条件など.上 段と下段はそれぞれ,直播圃場と移植圃場の日射条件などを示している.

区分 パラメータ 値域

画像撮影日

6月22日 6月28日 7月10日 7月19日

日射 条件

入射光に対する

散乱光割合 0 ~ 1 0.17 0.43

0.85 0.66

0.17 0.17

0.40 0.91 太陽天頂角

(°) 0 ~ 90 57.1

64.4

51.6 60.4

24.5 32.3

49.1 56.4 群落

条件 背景反射率 0 ~ 1 0.04 0.11

0.06 0.13

0.11 0.16

0.10 0.13

(2) LAI-2200による計測

UAV リモートセンシングによる LAI 計測と比較するために,各試験区のエリア1の中 心部において,プラントキャノピーアナライザー 「LAI-2200」 を用いて2回の計測を行 い,平均値を当該試験区の LAI とした.「LAI-2200」 は,植生群落の上方で観測した光 量と群落下部で観測した光量の差に基づいて LAI を推定する5).このため,LAI-2200を 操作する計測者自身による光の遮蔽の影響を回避するため,LAI-2200のセンサ部には観測 方向を限定するためのキャップ (開度90 度) を取り付けて計測を行った.

(3) LAI 増加速度の算出

本研究では,施肥効果を評価する指標として LAI 増加速度を採用した.これは,施肥 によって分げつの増加,総葉数の増加,出葉速度の増加,葉身長さの増大などの変化があ った場合,LAI 増加速度が増大することが想定され,簡易的な評価指標として有効である と考えられるためである.追肥によって LAI 増加速度の増加に寄与する変化が生じるこ とは,過去の研究で報告されている58),61)~63)

移植日の積算気温を0℃とする有効積算気温 (基準温度10 ℃) が400 ℃ から (出穂期

LAI = aT + b(400TTh- 120)4-1

ここで,TabTh はそれぞれ,有効積算気温 (℃),増加速度 (m2m-2-1),T= 0の

時のLAI (m2m-2),出穂期の有効積算気温 (℃) である.今回計測したデータのうち,上記

の有効積算気温の範囲に含まれる6月28日,7月10日及び7月19日のデータを式 4-1に 当てはめる単回帰分析を行い,abを決定した.単回帰分析は,「LAI-2200」 と UAV リ モートセンシングのそれぞれの計測データに対して行い,増加速度と決定係数を比較した.

積算気温は,試験圃場に最も近いアメダスにて観測された気温を用いて計算した.

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