第 4 章 防災―雪害 事例研究 新潟県、秋田県
4.9 本章の結論
雪害の人的被災を減らすためには、注意喚起など現行の施策の継続とともに、手持ちの データを統計的に解析し、よりピンポイントなターゲット層の選定に資するようにするこ と、国は例年の通知による注意喚起とともに、都道府県が集約的に保有している雪害関連 データの解析を手助けするなど、よりきめ細かな施策を行うことが必要となる。
これらは、雪害のみにとどまらず、災害全般および他の自治体の課題の解消に有益な提 言を行うことにつながり、行革の趣旨にもあっている。
職員の多能化を推進し、OA機器の最新化なども行うことにより、総人員の減少をカバー 確認された事項
「秋田県の事例から、雪害死傷者減少に取り組む自治体 に役立つ、精度が高い解析がされた情報が提供されて いない」
「秋田県は県内市町村に対して65歳で区分した適格とは 言えない情報を提供し、有効な戦略的情報を
提供していない」
「秋田県では個票化可能なデータはあるが、作成する 人、ものが不足しており、対応できない」
a. 自治体の防災実施能力が減退
b. 防災重点目標がヒエラルキーの中で乖離
②官僚制組織の逆機能 a. セクショナリズム b. 形式主義 (1) 官僚制組織
①官僚制組織の機能阻害
防災制度を阻害する要因
(2) P-D-C-Aサイクルマネジメント
① 情報共有不十分
② 災害教訓の忘却
③ 人・もの不足
71
するとともに、データを個票化可能な形で公表することが可能になる。これらを通じて住 民に防災意識を与える場とすることが望まれる。
高齢者も含めた住民の多くが防災の当事者であることを意識すれば、自治体の防災政策 に住民ニーズおよび住民が持つ古くからの防災の知恵が融合することになり、地区防災計 画がより具体的に成果をあげるようになる。その結果、地域防災計画がより確かなものと なる。このような望ましい公助と共助・自助の連携が生じることになり、自治体負担も軽 くなると考えられる。
注1. 気象庁は、大雪害を比較的短期間の多量の降雪によって起こる災害とし、降積雪深な どの量的な基準は示しておらず、雪害は災害発生時に、平成18年豪雪などと災害認定さ れる。
注 2 積雪寒冷特別地域における道路交通に関する特別措置法(雪寒法)により指定される 地域で、施行令により2月の積雪の深さの最大値の累年平均が50cm以上の地域または1 月の平均気温の累年平均が摂氏0度以下の地域をさす。
注3. 2017年11月から2018年3月までの期間に除雪機関連事故が11道県で90件発生 し、そのうち死亡事故が8件、重傷事故が 46 件発生している。その内訳は、除雪機に ひかれる事故、除雪機と壁等に挟まれる事故、オーガ等に巻き込まれる事故、投雪口に 手を突っ込み負傷する事故の4つに分類できるとしている(消費者庁、2018)。
注4. FAFR は、Fatal Accident Frequency Rate の略であり、日本では労働災害発生状況と なる。厚生労働省は「労働災害発生状況」を毎年月別に発表している。
注5. 栃木県と静岡県が高い数値を示している。これは、栃木県は日光市、那須塩原市、那 須町の 3 つのみ指定されており、いずれも比較的豊かな都市で構成されていること、静 岡県は静岡市と浜松市の 2 都市のみ指定されており、いずれも高い財政力を有する都市 であることによる。また、財政力指数が 1 を超える市町村は、豪雪地帯市町村の中で 5 町村(北海道泊村、青森県六ケ所村、新潟県聖篭町、新潟県刈羽村、福井県高浜町)あるが、
新潟県聖篭町を除き、全て原発などの立地による国庫補助金によるものとなっている。
注 6.(自主防災組織の組成されている地域の世帯数)÷(管内全世帯数)で算出される(総務省
消防庁、自主防災組織等の現状)
注7. 2018年1月から2月にかけての大雪では、短期間での集中的な大雪により列車の長 時間駅間停車や大規模な車の立ち往生等が発生し、住民の生活に支障が生じたことから、
列車の長時間駅間停車発生時の対応(防災基本計画ではなく、新潟県の発生事案を受けた 対応)を明記するとともに、大規模な車の立ち往生のリスク箇所の把握、道路利用者へ不 要・不急の道路利用を控える呼びかけの実施等の対策を強化することとした。
注8. 死者の内訳まで公表することにしたきっかけは、平成18年豪雪と考えられる(新潟県 危機対策課聴取)。これは死者内訳の公表が 2007 年(平成 19年)から始まっていること からも納得できる。
72
注 9. 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2016 年時点で男性が72.14 年、女性が
74.79 年となっている。また、健康寿命と平均寿命の差を都道府県別にみると、男性は
青森県(平均寿命:78.67年、健康寿命:71.64年)が最も差が短く、奈良県(平均寿命:
81.36 年、健康寿命:71.39 年)が最も長い。女性は栃木県(平均寿命:86.24年、 健
康寿命:75.73年)が最も差が短く、広島県(平均寿命:87.33年、健康寿命:73.62年)
が最も長い(内閣府「高齢者の健康に関する調査」(平成29年度)。
73