第 5 章 画像診断機器に関する配置と利用の関連についての分析
5.6 本章の分析結果に関する補記
本章の NDB を用いた分析結果は、厚生労働省「レセプト情報・特定健診等情報の提供 に関するガイドライン」に従い、厚生労働省およびレセプト情報等の提供に関する有識者 会議において公表許可を得た以下の論文や学会報告の内容を引用し掲載している [24-25]。
石川智基, 満武 巨裕, 佐藤淳平, 合田 和生, 喜連川 優. 放射線画像検査の利用実態に おける地域差分析. 第 39 回医療情報学連合大会 CD-ROM 論文集 2019 年 11 月
石川智基. 画像診断機器の配置および利用の地域差に関する研究. Mothly IHEP(医療 経済研究機構レター)290, p17 – p20. 2019 年 10 月
石川智基, 佐藤淳平, 合田和生, 満武巨裕. レセプト情報等データベースを活用した放 射線画像診断における利用状況可視化の試み. 第 47 回日本放射線技術学会秋季学術大 会 2019 年 10 月
石川智基, 満武 巨裕, 佐藤淳平, 合田 和生, 喜連川 優. 放射線画像検査の利用実態に おける地域差分析.第 39 回医療情報学連合大会 2019 年 11 月
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[17]Matsumoto M, Koike S, Kashima S, Awai K, Ojima T. Geographic distribution
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[24] 石川智基, 満武 巨裕, 佐藤淳平, 合田 和生, 喜連川 優. 放射線画像検査の利用実態における地域差分析. 第 39 回医療情報学連合大会 CD-ROM 論文集 2019 年 11 月
[25] 石川智基. 画像診断機器の配置および利用の地域差に関する研究. Mothly IHEP
第 6 章 本論文の総括
本論文では、医療政策や地域医療計画を作成する上での課題として指摘されている「医師 の不足と偏在」「疾患別需要推計」「資源配置とアクセスにおける関係の評価」「画像診断機 器の配置と利用における関係の評価」といった各課題について、経営管理学や医療情報学の 知見を応用した分析を通じて、医療需給評価に関する一体的な分析手法の提案および分析 結果に基づく政策提言を目的とした。
第2章では、「医師の不足と偏在の将来予測に関する研究」についてまとめた。経営学や オペレーションズリサーチ分野で活用される System Dynamics の概念を応用し、診療科別 および二次医療圏別医師数予測モデルを構築した。この予測モデルを用いて、医学部定員増 員の影響など政策変動を考慮した全国医師数と診療科別医師数の予測を行った。さらに、地 理情報システムの活用により、北海道をケースとした医師偏在について将来予測を行った。
その結果、本章では、日本全体および北海道全体では医師絶対数は充足するが、診療科偏在 と地域偏在の双方とも⾧期的に解消されない可能性が明らかとなった。
第3章では、「人口構造の変化が地域の疾患別需要に与える影響に関する研究」について まとめた。患者調査を用いて、疾患別の需要推計モデルを構築し、疾患別患者数あたりの医 師数を需給バランスの測定指標として活用可能であった。さらに、ハーフィンダール・ハー シュマン指数および Gini 係数を算出によって、資源の偏在を評価し、脳卒中・急性心筋梗 塞の治療に従事する医師数の偏在は改善されるが、全患者数との比較から改善の余地があ ることが明らかとなった。
第4章では、「急性期疾患における資源配置と治療へのアクセスの関連についての研究」
についてまとめた。地理情報システムを使用した分析によって、時間制約を設けた搬送可能 人口について医療資源別に評価を行った。その結果、「治療可能施設」へのアクセシビリテ ィを高めるためには、「専門医師」の確保が必要であることが明らかとなった。また、画像 診断装置については偏在が少なく、治療可能施設へのアクセスを妨げていない資源である ことが明らかとなった。
第5章では、「画像診断機器の配置と利用の関連についての研究」についてまとめた。余 剰に配置されている可能性が指摘されている日本の画像診断機器は各々どれだけ使われい てるのか、という観点から配置と利用に関する実態把握を行った。NDB を用いて二次医療 圏別の検査件数を分析した結果、配置と利用には非線形関係があることが示唆され、非線形 のトレードオフの関係があることが明らかとなった。また、各二次医療圏に新規に装置を追 加する際の評価指標を算出する方法について提案を行った。
本論文では、医療政策や地域医療計画の立案を支援することを目的としているため、一貫 して公的統計や行政が管理し第三者提供可能なデータベースを活用した。本研究を展開し ていくことによって、政策における意思決定者が、立案を行う際に議論の材料となるデータ や指標を算出するプロセスとして発展可能であると考える。各章では、個別の課題に対して、
利用データ、モデルの構築、分析、評価を行うまでの一体的な方法論として提案を行った。
本論文の手法論を基にした分析や医療資源についての評価指標が、政策立案の議論過程に 新たな視点として提供されることを期待する。
謝辞
本研究を遂行するにあたり、多大なるご指導を頂きました指導教員の小笠原 克彦教授に深く感 謝いたします。小笠原教授には北海道大学医学部保健学科に始まり⾧きに亘ってご指導賜りまし た。私が小笠原教授の研究室のドアをたたき、研究室メンバーとなってから約 10 年近く、その間 様々な経験を積ませていただきました。臨床での実務、病院経営人材育成プロジェクトの担当業 務、医療経済・医療政策の研究等、私のキャリアにおける意思決定の際には、常に小笠原教授の助 言が傍にありました。医療従事者としての技術的指導に加え、学問の路を示していただき研究者と して、教育者として在るべき姿を説いていただいた日々は、私にとって財産であり、人生の礎であ ります。ここに心より深く感謝いたします。
本論文の審査を通じて、本研究に適切なご助言をいただいた主査の北海道大学大学院保健科学 研究院 齋藤 健 教授、副査の北海道大学大学院保健科学研究院 中谷 純 客員教授、北海道大学 大学院保健科学研究院 神島 保 教授に深く御礼申し上げます。
小笠原教授の研究室では、多くの先輩から適格なご指導を賜り、同期や後輩とは共に切磋琢磨し 学び合うことができました。北海道科学大学 谷川 琢海 准教授、谷川原 綾子 講師、旭川医科大 学 谷 祐児 准教授、量子科学技術研究開発機構 大場 久照 室⾧、群馬県立県民健康科学大学 寺 下 貴美 講師、北海道大学病院臨床研究開発センター 西本 尚樹 准教授、小樽商科大学大学院商 学研究科 藤原 健祐 准教授、北海道大学大学院保健科学研究院 山品 博子 助教、 森井 康博 特任助教、IQVIA 社 辻 真太朗 様、 北海道教育大学 教育学部岩見沢校 鈴木 哲平 講師、統計 数理研究所 田村 菜穂美 助教、北海道厚生連 札幌厚生病院 小林 永一様、ここに書ききれな いたくさんの方々に深く感謝いたします。
本研究における NDB を用いた研究を遂行するにあたり、現所属である医療経済研究機構関係者 の皆さまに多大なるご支援を賜りました。医療経済研究機構 野中 祥子様、満武 巨裕 様には 研究プロジェクトを通じたご指導をはじめ、上京後の研究環境整備や、学位取得に際し温かいご支 援をいただき、深く感謝いたします。また、本分析は東京大学生産技術研究所 喜連川 優 教授研 究室のご支援なしには遂行不可能でした。東京大学生産技術研究所 合田 和生 准教授、佐藤 淳 平 研究員には共同研究を通じてたくさんのご助言・示唆を賜り、深く感謝いたします。
故郷の旭川を遠く離れた後も、絶え間なく励まし支えてくれた家族へ。幼少期から熱心に教育に 時間を費やしていただいた恩に感謝の想いが尽きません。私が辛い時、支えになるのは家族が私に 費やしてくれた時間や想いであり、今なお私の社会貢献に対する熱意の源泉となっています。家族 の支援を欠いては、決して今日までたどり着くことはありませんでした。進学、転職、上京と自由 気ままな息子・弟の決断を否定することなく誰よりも応援し、今日まで励まし支え続けてくれたこ と、心より深く感謝いたします。
最後に、本論文の着想や遂行、考察、動機付けに至っては、多くの皆さまとの出会いを通じて得 たものであります。本論文は、紙幅も尽きるほど多くの方に支えていただきながら、執筆すること ができました。臨床や研究、教育などの様々な活動で出会えた皆さまに、この感謝の念が漏れるこ となく届きますよう祈り、謝辞とさせていただきます。
2020 年 5 月