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全国医師数における感度分析の結果

第 2 章 System Dynamics Modeling と地理情報システムを組み合わせた医師不足と偏在の

2.4 結果

2.4.5 全国医師数における感度分析の結果

① 全臨床医師数における感度分析

全臨床医師数について医学部定員における感度分析を行った結果を図 18 に示す。医学部 定員を 10%増加させたケースでは不足から充足へ状態が遷移する年度が 2023 年度となり、

現在の医学部定員での予測結果よりも 3 年解消が短縮することが予測された。一方、医学 部定員を 10%削減したケースでは 2030 年まで充足度が 1.0 に達することがなく不足状態 が持続することが予測された。

② 産科・産婦人科医師数における感度分析

①と同様に、産科・産婦人科医師数について医学部定員における感度分析を行った結果を 図 18 に示す。医学部定員で感度分析を行った結果、医学部定員を一定とした予測と同様に 分析期間中に評価への影響は見られなかった。

医学部入学 医学部生

医師免許 取得者

国家試験合格 医学部定員

国家試験 合格率

外国の学校進学や 死亡など、

その他

other rate

臨床 マッチング

非臨床就職

臨床研修医

臨床勤務 新卒医師 大学院進学

大学院卒業生 大学院生

大学院卒業 院卒後 臨床研修

医師数

勤務 退職

医師退職率

臨床勤務率 学部卒

非臨床就職率

研修修了した 大学院生 院卒非臨床就職など

研修後大学院進学

非臨床就職

研修後大学院 進学率 大学院進学率

院卒生 非臨床就職率

研修参加率

非臨床勤務等 一時就職

国試不合格

再受験 一時就職者数

院卒臨床勤務 院卒後

研修率

研修後 非臨床就職

院卒非臨床就職率

図 11:全国医師数予測モデルのフローダイアグラム

~

北海道 地域枠

○○医療圏医師数 地域枠入学

入学

~

北海道入学定員

勤務地選択

退職率

退職 道内流入率

~

全国医師モ デル 新規参入医師数

非臨床就職

非臨床就職率 道内定着率 大学院生

大学院進学

医療圏別必要医師数

医療圏別充足度 道内研修

医学生

北海道充足度

道内必要医師数 国外就職

他業種就職など

道内研修医

国家試験合格 国試合格率

北海道医師数

道内勤務 道内研修率

ot her rat es

他県勤務 道内流入

図 13:全国の臨床医師数の予測結果

図 14:全国の産科産婦人科医師数の予測結果 280,847

370,345

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年

予 測 医 師 数

10,783

13,498

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年

予 測 医 師 数

図 15:北海道の全臨床医師数 0.7900

1.0600

0 0 0 1 1 1 1

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年

予 測 医 師 数

0.79

1.06

0.66

0.81

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

充足 度

全臨床医師 産科産婦人科医師数

図 17:北海道における充足度予測結果

図 18:全国医師数における感度分析結果 0.5

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年

充足 度

北海道全臨床医師

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年

充足 度

全臨床医師 産科産婦人科医師数

全臨床医師(医学部定員+10%) 産科産婦人科医師(医学部定員+10%)

全臨床医師(医学部定員-10%) 産科産婦人科医師(医学部定員-10%)

2.4.6 北海道医師数における Gini 係数の算出結果

地域別に予測した医師数を基に算出した Gini 係数の推移を表 5 に示した。2010 年で 0.140 であったが、時間とともに減少し 2030 年では 0.121 になると予測された。

表 5:北海道医師数の充足度・Gini 係数の予測結果

年度 2010 2015 2020 2025 2030

人口 10 万人対医師数 218 233.9 258.9 287.1 318.7

医師充足度 0.88 0.94 1.01 1.08 1.14

Gini 係数 0.14 0.139 0.132 0.125 0.121

2.5 考察

2.5.1 全国の医師数及び充足度の予測結果について

日本全国における全臨床医師数は予測期間において常に増加傾向であった。人口 10 万 人対医師数は 2030 年で約 317 人となる(2012 年で OECD 加盟国平均の人口千人対医師 数は 3.1 [37])。 また、2010 年度で不足である状態から 2026 年度で充足し、以降も充 足状態であると予測された。このことから、不足の解決には 2010 年度から 16 年を要し、

現在の医師供給体制では医師不足の解消には⾧期に時間を要すると考えられる。産科産婦 人科・外科については 2010-2030 年度において充足度は上昇しているものの、充足状態に なることはなかった。そのため、医師数の確保を促し、充足度の更なる向上を図る必要が ある。 さらに、全臨床医師数が充足となった 2026 年度以降も産科・産婦人科医師数は 不足が継続することが分かった。このことは、全体で医師は充足しているにも関わらず、

診療科間の配分が機能しておらず、診療科間における返事が残存する可能性を示している ものと考えられる。

2.5.2 感度分析の結果について

医学部定員を対象とした感度分析を行った結果、医学部定員の増員は全臨床医師数およ び産科・産婦人科医師数双方について充足の上昇に寄与することが予測された。しかし、

産科・産婦人科においては不足の解決には至らないことが明らかとなった。

また、医学部定員の+10%ケースの全臨床医師数と産科・産婦人科医師数を比較する と、前項同様に診療科間における偏在が残存していると考えられる。このことから、医学 部定員増員は診療科間偏在の解消には寄与しないことを示していると考えれらえる。

前項の考察結果と同様に、診療科間の偏在という課題が⾧期にわたって、我が国では解消 しない。現行の施策に基づいて考察すると、いくつかの医育大学における指定診療科入学枠 の設置や、診療科を限定した奨学制度の活用などが見られるが、診療科偏在の解消は各大学 に委ねられた努力目標になっていると考えられている[5]。診療科選択のほとんどが医学部 学生の卒業時における自由意志に基づくものであり、また前述の対策も強制力を有してい ないなどの課題がある。例えば、ドイツは医療圏別に専門医師の定員を設けるなど行政区画 を用いた調整を行うことにより地域の需要に応じた医療提供を実行しているが、同様の仕 組みを日本に展開するか議論がされている[5]。こうした施策の是非や、現状の課題を議論 するためにも診療科間の偏在をモニタリングする分析モデルを構築し、活用していくこと は有用であると考える。

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