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状態密度

ドキュメント内 慶應義塾大学大学院理工学研究科 (ページ 125-133)

第 6 章 結論 111

B.3 状態密度

動関数uµ は実関数である。従って、

gpR(pi, pj)−gRp(pj, pi) =∑

µ

−uµ(pi)

[exp(ikµa)−exp(−ikµa) t

]

uµ(pj)

=∑

µ

−uµ(pi)2isin(ikµa)

t uµ(pj)

=∑

µ

−uµ(pi)i~vµ

at2 uµ(pj) とすることができる。ここで、(2.52)群速度

v= 1

~

∂E

∂k = 2ta

~ sin(ka) を用いた。これより、

ΣRp(i, j)ΣRp(i, j) = [

τpgRpτp

]

ij[

τpgRpτp

]

ij

=−i

µ

τp(pi, i)uµ(pi)~vµ

a uµ(pjp(pj, j),

Γp = i 2

[

ΣRp ΣRp ]

(B.9) と(2.85)式を求めることができる。

を満たす。(B.10)式の右辺第2項は

i>j

(tijcicj+ h. c. ) =∑

i>j

(tijcicj+tijcjci)

=∑

i>j

tijcicj+∑

i<j

tjicicj

=∑

i̸=j

(tij +tji)cicj

i̸=j

tijcicj

とできる。従って、ハミルトニアンは H =∑

i

εicici+∑

i̸=j

tijcicj (B.12)

となる。

2.4節とは異なるが、遅延グリーン関数GRij(t)を次式で導入する、

GRij(t) 1

i~⟨{ci(t), cj(0)}⟩ϑ(t). (B.13)

ここで、⟨· · · ⟩は基底状態での期待値、ϑ(t)は階段関数を表している。ci(t), ci(t)はそれぞ れHeisenberg表示でのサイトiの生成、消滅演算子である、

ci(t) =eiHt/~cieiHt/~. (B.14)

この遅延グリーン関数のFourier変換は GRij(ω) =

−∞

dtGRij(t)eiωt =

0

dtGRij(t)ei(ω+iδ)t, (B.15)

GRij(t) = 1 2π

−∞

dtGRij(ω)eiωt (B.16)

で与えられる。ここで、δ(>0)は収束因子である。

この遅延グリーン関数の運動方程式を求める。(B.13)式の両辺を時間微分すると i~

∂tGRij(t) =⟨{ci(t), cj}⟩

∂tϑ(t) +⟨{∂

∂tci(t), cj}⟩ϑ(t) (B.17) となる。∂ϑ(t)/∂t=δ(t)と反交換関係(B.11)より、右辺第1項は

• ⟨{ci(t), cj}⟩

∂tϑ(t) =⟨{ci(t), cj}⟩δ(t) =δijδ(t) となる。また、Heisenbergの運動方程式

i~

∂tA(t) = [A, H](t) (B.18)

より、右辺第2項は

⟨{∂

∂tci(t), cj}⟩ϑ(t) = 1

i~⟨{[ci, H](t), cj}⟩ϑ(t) となる。ここで、(B.12)式より

[ci, H] =∑

kεk[ci, ckck]

| {z }

(A)

+∑

k̸=ltkl[ci, ckcl]

| {z }

(B)

,

(A) =∑

k

εk[ci, ckck] =∑

k

εk

({ci, ck}ck−ck{ci, ck})

=∑

k

εkδikck =εici, (B) =∑

k̸=l

tklδikcl = ∑

l(̸=i)

tilcl とできる。ここで、∑

l(̸=i)l = i 以外の l で和をとることを意味している。以下では tii = 0として、和を制限なしに拡張する。結局右辺第2項は

• ⟨{∂

∂tci(t), cj}⟩ϑ(t) = 1

i~⟨{εici(t), cj}+{

k

tikck(t), cj}⟩ϑ(t)

となる。以上をまとめると、(B.17)式は i~

∂tGRij(t) =δijδ(t) + 1

i~⟨{εici(t), cj}+{

k

tikck(t), cj}⟩ϑ(t)

となる。ここで、遅延グリーン関数の定義(B.13)を用いると i~

∂tGRij(t) =δijδ(t) +εiGRij(t) +∑

k

tikGRkj(t) (B.19)

と書ける。さらに、(B.19)式の両辺をFourier変換して整理すると

~ωGRij(ω) =δij+εiGRij(ω) +∑

k

tikGRkj(ω),

運動方程式: (ε−εi)GRij(ω)

k

tikGRkj(ω) =δij (B.20) を得ることができる。ここで、ε =~ωとした。

一方で、グリーン演算子Gˆを導入する、

+−H) ˆG= 1. (B.21)

ここで、ε+ =ε+である。両辺を⟨i| · · · |j⟩ではさみ、完全性

k|k⟩⟨k|= 1を用いると

k

⟨i|ε+−H|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩=δij (B.22)

となる。これは(2.56)式と等価である。ハミルトニアンは(B.12)式なので、(B.22)式の左 辺の各項は

k

⟨i|ε+|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩=ε+⟨i|Gˆ|j⟩,

k

⟨i|

l

εlclcl|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩=∑

k

l

εl⟨i|clcl|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩

=∑

l

εl⟨i|l⟩⟨l|Gˆ|j⟩

=εi⟨i|Gˆ|j⟩,

k

⟨i|

l̸=m

tlmclcm|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩=∑

k

l̸=m

tlm⟨i|clcm|k⟩⟨k|Gˆ|j⟩

= ∑

l̸=m

tlm⟨i|l⟩⟨m|Gˆ|j⟩

=∑

m

tim⟨m|Gˆ|j⟩

となる。以上より、

運動方程式: (ε+−εi)⟨i|Gˆ|j⟩ −

k

tik⟨k|Gˆ|j⟩=δij (B.23)

を得る。2つの運動方程式(B.20)式、(B.23)式より、GRij(t) =⟨i|Gˆ|j⟩なので、遅延グリー ン関数GRij(t)はグリーン演算子Gˆ から求めることができる。

ハミルトニアンを対角化して H =∑

µ

ϵµaµaµ (B.24)

とできるとする。このとき、

aµ =∑

iuµici

で、i-表示(空間表示)からµ-表示(スペクトル表示)へのユニタリ変換となっている。aµ, aµ の交換関係は

{aµ, aν}=∑

ij{uµici, uνjcj}=∑

ijuµiuνjδij

=∑

iuµiuνi =δµν, (B.25)

{aµ, aν}= 0, {aµ, aν}= 0 (B.26)

となっている。このとき、遅延グリーン関数は GRµν(t) = 1

i~⟨{aµ(t), aν}⟩ϑ(t) = 1 i~

ij

uµiuνj⟨{ci(t), cj}⟩ϑ(t)

=∑

ij

uµiuνjGRij(t) (B.27)

となる。ここで、

⟨{aµ(t), aν}⟩=⟨eiHt/~aµeiHt/~aν+⟨aνeiHt/~aµeiHt/~

=⟨aµaν⟩eνt/~+⟨aνaµ⟩eµt/~

=δµνeµt/~− ⟨aνaµ⟩eνt/~+⟨aνaµ⟩eµt/~

=δµνeµt/~ (B.28)

となるので、遅延グリーン関数のFourier変換は GRµν(ω) =

−∞

dtGRµν(t)eiωt = δµν

i~

0

dteµt/~ei(ω+iδ)t

= δµν

ε−ϵµ+ (B.29)

となる。ここで、階段関数ϑ(t)に対して、

ϑ(t) = {

0 (t < 0)

limδ→0+e−δt (t > 0) (B.30)

であることを用いた。

状態密度は ρ(ε) =

µ

δ(ε−ϵµ) (B.31)

と定義される。従って、超関数の関係式 1

ε−ϵµ+ =P 1

ε−ϵµ −iπδ(ε−ϵµ) より、(B.29)式を用いると、

ρ(ε) =−1 π

µ

ImGRµµ(ε) =1 πIm[

TrGR(ε)]

(B.32) として遅延グリーン関数の虚部から状態密度を求めることができる。

ここで、状態密度を慣例に従いρ(ε)としたが、2.5節では、ナノ構造の接合部Cの状態密 度としてD(E)の記号を用いる。

補遺 C

2 準位を持つ量子ドットの計算

本補遺では、グリーン関数を導入して2準位を持つ量子ドットにおける電気伝導度や状態 密度、自由エネルギーを導出する。

2準位を持つ量子ドットに伝導チャンネルを1 つずつ持つリード N 本がトンネル結合 Vα,j (j = 1,2) によって接続されている系を考える。ハミルトニアンは

H =Hdot+Hlead+HT, (C.1)

Hdot =∑

j,σ

εjdd, (C.2)

Hlead=∑

α

εkaα,kσaα,kσ, (C.3)

HT =∑

α

(Vα,jdα,jaα,kσ+ h.c.) (C.4)

で与えられる。ここで、dα,j, dα,j はそれぞれ状態|j⟩、スピンσ の生成、消滅演算子で、

aα,kσ, aα,kσ はリードα 中の状態k、スピンσ =±にある伝導電子の生成、消滅演算子であ る。HT はドットとリードのトンネル結合を表すトンネルハミルトニアンでVα,j は量子ドッ ト中の状態 |j⟩ とリード α のトンネル結合である。3.2 節に従い、r|j⟩ が実関数として、

Vα,j も実に取る。また、ハミルトニアンはスピンσに対角的なので、一旦スピンの添え字を 落とす。また、電子間相互作用は無視できるとする。以下では、H0 =Hdot+Hleadとする。

C.1 グリーン関数

系の遅延グリーン関数[(3.7)式] と非摂動グリーン関数はそれぞれ

−H+iδ) ˆG= 1, (C.5)

−H0+iδ) ˆG0 = 1 (C.6)

と定義される。ここで、δ は正の微小量である。ε+ =ε+とする。(C.5)式を

+−H0) ˆG= 1 +HTGˆ (C.7)

と式変形して、両辺の左側からGˆ0を掛けると

Gˆ0+−H0) ˆG= ˆG= ˆG0+ ˆG0HTGˆ (C.8) とできる。ここで、(C.7)式の両辺を⟨i||j⟩で挟む。⟨i|A|j⟩=Ai,j と表記すると、

ε+Gˆi,j

l⟨i|H0|l⟩Gˆl,j =δij +∑

αk⟨i|HT|αk⟩Gˆαk,j (C.9) となる。また、⟨αk||j⟩で挟むと

+−εk) ˆGαk,j =∑

i⟨αk|HT|i⟩Gˆi,j. (C.10)

ここで、⟨i|HT|αk⟩=Vα,i なので、(C.9)式、(C.10)式より、

l

(ε+δil− ⟨i|H0|l⟩)Gˆl,j =δij +∑

αk

lVα,i

Vα,l

ε+−εk

Gˆl,j

=δij +∑

l

Σˆi,lGˆl,j (C.11)

とできる。ここで、Σˆi,l

αkVα,iVα,l/(ε+−εk) は自己エネルギー行列の行列成分であ る。自己エネルギーはトンネル結合による線幅とΣˆj,l = −iΓˆj,l という関係がある。線幅行 列の行列成分Γˆj,l

Γˆj,l ≡i

αk

Vα,jVα,l ε+−εk

=i

α

να)Vα,jVα,l ε+−ε

=i

αVα,jVα,l

να) [

P 1

ε−ε −iπδ(ε−ε) ]

≃π

ανα(ε)Vα,jVα,l (C.12)

と計算される。ここで、να はリードα中の状態密度である。式中のP は主値積分を意味す る。ただし、この項はハミルトニアンH0 のエネルギー原点をシフトするだけなので無視し た。線幅行列Γˆ を用いて(C.11)式を行列表示すると、

(

ε+ˆ1−Hˆ0+iΓˆ

)Gˆdot= ˆ1 (C.13)

として量子ドットのグリーン関数(の行列)が求まる。

次に、リードのグリーン関数を求める。(C.7)式を⟨αk||βkで挟む。省略のために リードの添え字α, βkに含ませると、

+−εk) ˆGk,k =δk,k +∑

jVk,jGˆj,k. (C.14)

また、⟨j||kで挟むと、

l

(ε+δjl− ⟨j|H0|l⟩)Gˆl,k =∑

kVk,jGˆk,k (C.15)

=∑

kVk,j

( δk,k

ε+−εk

+∑

l

Vk,l ε+−εk

Gˆl,k

)

(C.16) とできる。(C.16)式を行列表示し、整理すると

(

ε+ˆ1−Hˆ0+ ˆΓ

)Gˆk = Vk

ε+−εk

(C.17) となる。ただし、このGˆkVk は量子ドットの準位j に対するベクトル、または(N ×1) の行列である。(C.17)式の左辺の行列は量子ドットのグリーン関数Gˆdot の逆行列である。

従って、(C.17)式を(C.14)式に適用すると、

+−εk) ˆGk,k =δk,k +VkT (Gˆdot

) Vk

ε+−εk,

Gˆk,k = δk,k

ε+−εk

+ VkT ε+−εk

(Gˆdot

) Vk

ε+−εk

(C.18) これがリードのグリーン関数である。これは自由エネルギーの計算に用いる。

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