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6.2 エンドポイントに関すること:がん罹患情報の活用
本研究では、被ばく線量とがん死亡との関係を解析することで、低線量放射線の健康影 響を評価してきたが、医療技術の進展等に伴いがんの致死率が低下している現状では死亡 を指標とした解析は感度が減少しつつあると思われる。このため死亡のみならず、がん罹 患も健康指標として調査できたならば、イベント数の増加により、さらに精度の高い検討 を行うことができると考えられる。
従来がん罹患情報に関しては、一部の都道府県で地域がん登録制度があったものの、本 研究の対象者は全国に所在しているため、全員を対象としたがん罹患情報の把握は困難で あった。2016年1月に発足した全国がん登録制度68)は、この状況を打開するものである。
がん登録等の推進に関する法律69)第17条において、厚生労働大臣が全国がん登録データベ ースを用いて全国がん登録情報を提供できる者として、本研究に使用したデータを保管し ている放射線影響協会が指定されている(同施行規則70)第19条)。2016年のがん罹患情報 は2019年頃に使用可能となる見通しである(2016年以前の情報は登録されない)。今後は がん登録データベースから、がんの原発部位、診断日、進展度等の情報を取得し、罹患解 析に使用することを予定している。
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<参考>
がん登録等の推進に関する法律 (平成二十五年十二月十三日法律第百十一号)抜粋 第三節 情報の利用及び提供
(厚生労働大臣による利用等)
第十七条 厚生労働大臣は、国のがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに係る調査研 究のため、これに必要な限度で、全国がん登録データベースを用いて、全国がん登録情報 又は特定匿名化情報を自ら利用し、又は次に掲げる者に提供することができる。ただし、
当該利用又は提供によって、その情報により識別をすることができるがんに罹患した者又 は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 国の他の行政機関及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)
第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。次号において同じ。)
二 国の行政機関若しくは独立行政法人から国のがん対策の企画立案若しくは実施に必 要ながんに係る調査研究の委託を受けた者又は国の行政機関若しくは独立行政法人と共同 して当該がんに係る調査研究を行う者
三 前号に掲げる者に準ずる者として厚生労働省令で定める者
がん登録等の推進に関する法律施行規則(平成二十七年九月九日厚生労働省令第百三十七 号)抜粋
(全国がん登録情報等の提供の対象者)
第十九条 法第十七条第一項第三号の厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。
一 公益財団法人放射線影響協会(昭和三十五年九月三十日に財団法人放射線影響協会と いう名称で設立された法人をいう。)
二 公益財団法人放射線影響研究所(昭和五十年四月一日に財団法人放射線影響研究所と いう名称で設立された法人をいう。)
三 福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号)第四十九条の規定に基づき、
福島県が行う健康管理調査の委託を受けた者
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6.3 交絡因子情報に関すること:全対象者を対象とした生活習慣等アンケート調査の実施 本研究の死亡解析で用いた交絡因子情報、即ち喫煙等の生活習慣に関するアンケート調 査は、1997~1999年度に実施した第1次調査、2003~2004年度に実施した第2次調査に 基づいている。これらはいずれも全調査対象者の一部に対して実施したものであり、アン ケート回答者で見られた傾向、例えば累積線量の高い群ほど喫煙率が高い傾向が、アンケ ート未回答者においても同様であるか否かは不明という不確かさがあった(5.2.1で述べた ように、おそらく全解析対象者においても累積線量と喫煙率との正の相関があるとは思わ れるが)。また、アンケートの回答データが幾分古く、特に第1次調査データは取得から約 20年が経過しているが、本研究では喫煙等の状況は回答後も変化しないとの仮定を置いて 解析を行った。
これらの解決策として第3次生活習慣アンケート調査を2005年度より実施している。質 問項目は第1次、第2次調査を踏襲しているが、さらに食事の傾向、企業規模等の社会経 済状態に関する項目も増え、今後は放射線による健康影響を検討する上でより詳細に交絡 因子を検討できることが期待される(参考資料3:第3次生活習慣等アンケート調査質問 票)。このアンケート調査は2018年12月現在で継続中であり、終了した後には、その後数 年おきに実施することも検討している。
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6.4 インフォームド・コンセントに関すること:opt-outからopt-inへ
前述の第3次生活習慣等アンケート調査と併せて調査対象者となることへのインフォー ムド・コンセントを新たに取得している。「1.7.3 インフォームド・コンセント」で述べた とおり、これまでに実施してきたインフォームド・コンセント調査は、本人が調査の対象 者になることについて同意しない場合には、その旨の申出を受け付けるというopt-out方式 を採用してきた。しかしながらこの方式では本人から同意書を受け取っておらず、明示的 な同意確認ではないとの理由で住民票の写しの交付を拒否する自治体が増え、生死確認の 支障となりつつあった。このため本人からの明示的な同意書を取得する方式、即ちopt-in によるインフォームド・コンセント(調査対象者となることの意思確認)を上記の第3次 生活習慣等アンケート調査と併せて実施し、同意者のみアンケートに回答いただく方法を 採用している。新たな方法では本人から取得した同意書があるため、今後の生死確認がス ムーズに行えると考えられる。
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