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本件執行停止処分により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要が

ドキュメント内 Microsoft Word - 執行停止申立書 (最終版) (ページ 132-167)

行政事件訴訟法第 25 条2項が定める執行停止制度は、処分によって 既成事実が先行し、後に本案勝訴判決を得ても既に重大な損害を生じて しまう恐れがあるときに、申立人の権利利益を保全するために認められ た仮の処分である。

したがって、処分の効力等を停止することにより、申立人の権利利益 の保全や申立人に生ずるべき損害の発生・拡大の防止に直接に役立つ場 合にこれを認める実益がある。

行訴法は、上記執行停止の実益の判断基準として、「処分により生ずる 重大な損害を避けるため緊急の必要があること」という要件と、その要 件判断において損害の回復の困難の程度の考慮と、損害の性質及び程度 並びに処分の内容及び性質を勘案するものとする。

⑴ 損害の重大性

ア 損害の性質及び程度

(ア)環境的利益の不可逆性について

事業対象地域周辺地域は、第4、2以下に詳述したとおり、絶 滅危惧IA類(CR)に指定されているジュゴン、絶滅危惧Ⅱ類

(VU)のエリグロアジサシなどの希少種の生息地となっている

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他トカゲハゼなどの魚類、ミナミコメツキガニといった甲殻類、

シマカノコ、マングローブアマガイなどの底生生物などレッドリ スト掲載の生物が多数生息し、わずか1週間の調査で 36 種の新 種及び国内初記録の 25 種の十脚甲殻類(エビ・カニ類)などの 生息が確認されるなど、生物学的にも貴重な地域であるとともに、

大浦湾西深部の砂泥地は、詳細な生息地が知られていなかったオ キナワハナムシロや新種の甲殻類など特異的な生物群と希少種 が分布するなど、サンゴ礁の発達する琉球列島の中にあって極め て特異な生物相を有する。

そして、豊かな自然環境を有する辺野古崎・大浦湾は、沖縄県 の「自然環境の保全に関する指針(平成 10年)」により、沿岸地 域の大部分が、評価ランクⅠとして、自然環境の厳格な保護を図 る地域とされてきた。同地域は生物多様性の見地から保全上の配 慮をすべき地域として平成 13 年に環境省により「日本の重要湿 地 500」に選定されている。また、陸域に関しても環境保全指針 においてその大部分が「自然環境の保護・保全を図る区域」であ るランクⅡと評価される区域である。

この様に、対象区域周辺は特異な生物環境を有し、特別な配慮・

保護が必要な区域であるのに対して、辺野古新基地は、全体面積

2,048,272 ㎡もの広大な基地であり、そのうち 1,525,434 ㎡が埋

立て区域として設定され、そこに投入される土砂の総量は約 2100 万㎥にもなる大規模事業である。

本件執行停止処分はまさに上記の大規模な工事の実施を許す ものであり、現に、沖縄防衛局長は本件執行停止決定処分を受け

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て平成 27 年 10 月 28 日には不当に埋立承認時に付された留意事 項を無視して本体工事に着工する旨の工事届出を提出し、現在強 硬に作業を進める姿勢を示している。

全体面積 2,048,272 ㎡もの巨大な基地を作るための工事が進め

られ、約 2100 万㎥もの土砂が投入されたとき、当然ならが、事 業対象区域周辺の生物環境は広範囲に破壊され、どれ程の資金を 投入しようとも、どれだけの努力を行おうとも絶対に元に戻すこ とは出来ない「重大」な損害が生ずることは余りにも当然である。

また、沖縄県にとって事業対象地域の工事が推進され、環境破 壊が進行することは、同時に将来に渡る観光資源や水産資源を恒 久的に失うことを意味し、多様な生物環境を守りつつ、産業を発 展させ、これに向けて総体的な計画を立てて履行していくことも 不可能になることを意味するのであって、この様な観点からも沖 縄県が被る損害の重大性は明らかである。

(イ)沖縄県による土地利用が完全に阻害されること

本件執行停止処分は新基地の建設工事を推進させることを目的 とするものであるところ、「新たな基地を造る」ということは、

第4,3以下に述べたとおり、沖縄県の一致した民意を完全に無 視して、沖縄県内に沖縄県の管理の及ばない土地を創設し、また、

これに対して原状回復義務の免除や租税の免除等の特権的な地 位を有する使用権者を設定することである。

事実、戦後 70 年もの超長期間に渡り、基地の負担を押し付け られてきた沖縄県は、過重な米軍基地の存在により、図り知れな い不利益を被ってきた。望ましい都市形成や交通体系の整備並び

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に専業基盤の整備など地域の振興開発を図る上で大きな障害と なり、街の中心地に基地を持つ沖縄島中部の主要都市では、周辺 集落間の交通網が遮断され整備などが不十分な状況になってい るなど、基地の存在が沖縄県の発展を阻害していることは明らか である。また、この様な負担は陸地に限らず、空域や海域に関し ても多大な制限を受け入れざるを得ない状況に陥っているので ある。

本来沖縄県には、県内の土地については、沖縄県民の意思に従 って、沖縄県の発展のために計画を立て、利用していく権能が認 められているはずであるにもかかわらず、本件執行停止処分によ って工事が推進されれば、沖縄県は沖縄県民の意思に反して、自 らの管理の及ばない広大な土地が生ぜしめる既成事実が刻一刻 と積み重ねられていく。

沖縄県が基地の負担によってこれまで被ってきた不利益は戦 後 70 年が経過した現在もなお何ら填補されていないことに鑑み れば、本件執行停止処分によって沖縄県の被る損害が重大ではな いなどとは言えようもない。

(ウ)辺野古新基地への移設は「危険の除去」ではなく「危険の移転」

であること

国は、普天間飛行場における「危険性を除去」するための唯一 の解決策が辺野古新基地への基地移転であると繰返し主張する。

しかしながら、辺野古新基地に移転すれば普天間の危険性は除 去されるとの論理は極めて不当である。

すなわち、普天間飛行場周辺区域においては、航空機の墜落に

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よる住民の身体・生命・財産上の危険が存在し、また、度重なる 航空機騒音によって、その生活上の危険が蔓延していることは明 らかであるが、問題は、国は米軍基地の運用による危険から守る べき責務を国民に対して負っているにもかかわらず、その様な危 険性を野放しにして、何ら実効性のある対応を採っておらず、そ れは辺野古新基地の移転に際しても何も変わっていないという 点である。

例えば、米軍機による航空機騒音による被害は蔓延し、沖縄県 民生活に多大なる損失をもたらしており、この点については、度 重なる訴訟において国の無策が明らかにされ、本件埋立承認申請 やこれに先立つ環境影響評価においても、極めて多数の指摘があ ったにもかかわらず、国はこれまでの無策、無関心を何ら改めず、

相も変わらず「運用上の所要」により、騒音の減衰が見込めるな ど、見当はずれの回答に終始しているのである。

この様に、国が、現に普天間飛行場周辺区域において危険性を 生ぜしめていることについて何らの解決も示さないままに、辺野 古新基地を建設し、巨大な二本の滑走路、弾薬庫、艦船の接岸可 能な護岸といった本格的、恒久的な基地建設を実行するとすれば、

それは、普天間の危険性を除去するのではなく、普天間の危険性 をそのまま辺野古に移転し、かつ、沖縄県に米軍基地を固定化す るものである。

その意味で、本件において着目すべきは、普天間の危険性除去 ではなく普天間飛行場の移設に伴って生ずる「辺野古における危 険の発生」である。

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普天間の危険性は誰もが認めるところであるが、それを発生さ せている国が何らの対策も講じることなく、漫然と、基地を移転 させようとすれば、それは、国自身が認める基地の危険性を辺野 古に移転させるものであって、これによって新たに生じる危険性 が重大であることは明らかである。

(エ)小括

以上から、本件執行停止によって工事が推進されることによっ て、広大な土地について希少な生物環境が破壊され、沖縄県の権 原が及ばない基地の建設に向けて既成事実が積み重ねられ固定 化が進められようとしていること、また、辺野古新基地は普天間 飛行場の危険性を移転させるものであること、いずれの損害も金 銭によって解決されてはならないものであり、また、本件事業の 規模や基地の性質に鑑みれば、その損害の程度は、余りにも重大 である。

イ 処分の内容及び性質

行訴法 25 条3項は「処分の内容及び性質」を勘案することを求 めているところ、これは、処分によって得られる利益や当該処分を 行う緊急性・必要性を検討することを意味すると考えられている。

処分によって得られる利益について、執行停止によって「私人た る沖縄防衛局」が得る利益は、工事着工遅れによって生じうる可能 性がある違約金等を免れる利益くらいであろうが、未だに工事の着 工にも至っていない段階において、考慮に値すべき利益とは到底言 い難い。

本件執行停止処分において、国土交通大臣が、それ以上に、「普天

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