V. 投資環境における制約
6.2.1 有機栽培アラビカコーヒー、バリコーヒー
背景
• 品質と生産性の低下によりアジアの主要なコーヒー生産国であったインドネシアは、輸出に おいて1996年の386,500トンから2004年の327,300トンに落ち込んだ。同じ時期に、ベト ナムは1996年の226,700トンから2004年の891,500トンへと世界第三位のRobusta生産国 に躍進した。ベトナムと異なり、インドネシアは高地のプランテーションでアラビカコーヒ ーも生産している。生産高は Robusta より少ないが、インドネシアのアラビカコーヒーは国 際的な特産コーヒー市場で認められている。インドネシアブランドのアラビカコーヒーは:
バリコーヒー、ジャバコーヒー、Torajaコーヒー、GayoコーヒーおよびMandailingコーヒー である。Paua で栽培される Baliem コーヒーは、世界市場に向けて新たに導入された別の特 産コーヒーである。
• アラビカコーヒーは Robustaよりはるかに高い価格(ほぼ2~3倍)であるが、インドネシア は全体のコーヒー生産の 5~10%しか生産していない。アラビカコーヒーは高地の栽培のみに 適しており(標高800m以上)、集中的なケアを要し、栽培期間が長いので平均的農民の関心 が低い。
• バリコーヒーは、フランスの研究者達(Cierad)によって 2003 年に評価されたように
Kintamani 独自のアラビカコーヒーとして特許を取得している。ブランド名のある高価格品で
あるにもかかわらず、バリ島の多くのアラビカコーヒー栽培は過去 5年間に16.10%減少した。
• 有機食品/コーヒーに対する需要は先進諸国で伸びており、市場プロセスは非有機産物のほぼ 2倍の量となっている。Subak abianは、現地の知恵と信用を通じてこの有機栽培の管理を採 用できる現地の農民組織である。
提案所在地とビジネスモデル
• 提案される有機アラビカコーヒーのプロジェクトはKintamani Kabに位置している。Buleleng は海抜900mから1,000mの高さである。最初のプロジェクトはバリコーヒーの小自作農の約 50 ヘクタールをカバーし、有機栽培に格上げされる予定である。将来、この地域は現地の利 益に従って拡大されるだろう。約6ヘクタールが苗床と試験エリアに必要である。
• ビジネスモデルは、Subak Abianのもとに組織される現地のコーヒー農民や小自作農との協力
(Kemitraan)を通じて開発されることができる。
投資家は技術支援と証明書の手配を提供することになる。小自作農はそのブランド名で、投 資家によるさらなる加工とパッケージングのために原料製品を合意した標準価格で販売する。
• コーヒーの最終製品はグルメコーヒーとしての高品質の焙煎コーヒーと粉末で、販売店やコ ーヒーステーションで販売するために魅力的な容器にパックされる。
• コーヒープランテーションへの投資の主なコスト要因:
No コスト要因 明細
I 基本投資
1 土地のコスト 苗床とオフィスビル設置に要する土地価格は平方 メートル当たり Rp. 40,000 – Rp.70,000 であ る。
代替策としては土地の長期間賃貸がある。投資家 が政府所有の土地などを見つけることができれば 有利であろう。これまでのところ農業用の賃貸コ ストはヘクタール当たり年間約 Rp 2-3 millions である。
2 道路改善コスト 農地と幹線道路を繋ぐための全体的な道路改善コ ストは平方メートル当たりRp.0.3 – 0.5 millであ る。
3 建物の建設コスト 工場と貯蔵所の建設に現地材料を使用すると、ユ ーティリティ設備(電気と水)のコストを含めて平 方メートル当たり約 Rp.2.5 から 3.5 mill であ る。
• 注記:建設労働の賃金は1日当たりRp 45,000–50,000
である。
II 生産コスト
No コスト要因 明細
4 全体的な生産コスト 土地の準備、種まき、装置、労働、加工、取扱、
プランテーションの保守管理、および復元コスト を含む全体の生産コストはヘクタール当たり約 Rp 6,500,000.- - 7,000,000である。
• 注記:農業労働に要する労賃は 1 日当たり Rp.30,000 – 35,000である。
• 復元コストは400,000 – 500,000となる。
III 輸送コスト
5 輸送コスト バリ島の産物は輸出のためにスラバヤを通らなけ ればならない。インドネシアからの輸出には 20 フィートと 40フィートの2種類のみのコンテナ が使われる。大部分の輸出に 20 フィートコンテ ナが使われる。
2005 年 8 月の見積りでは、さまざまな仕向地へ の輸送コストは次の通りである:
梱包: 20フィートコンテナ(30立方メートル)
は、各サイズ 1立方メートルの30個のクレート を収納できる。各クレートのコストは約 US$ 10 – 12である。
トラック輸送:スラバヤへのコンテナのトラック 輸送(貨物会社が請求する)は、20 フィートコ ンテナ当たりUS$ 570 – 600である。
ドキュメント作成:主に船荷証券とドキュメント 受渡しから成るコストは1件に付きUS& 80であ る。
船積み: スラバヤからの船積みコストは仕向け国 によって異なる。たとえば、
- シンガポールへは約US$ 331 - オクラホマ(米国)へは約US$ 3,500
IV その他
No コスト要因 明細
現地の生産性 有機コーヒープランテーションの場合、成熟した プランテーションの平均生産性はヘクタール当た り約Rp. 800,000 – 900,000 kgである。
V 証明のコスト
6 証明書
注記:
証明書の例はヨーロッパ 経済共同体のものである
- 検査:1日当たりEUR 650.-
- 検査報告書の準備と作成:1日当たりEUR 650.-
- 旅行費用:1日当たりEUR 650.-
- 証明(1件の証明を含む):1時間当たりEUR 95.-
- 追加証明:1件当たりEUR 42.- - 輸入許可:1件当たりEUR 172.- - 他のサービス:1時間当たりEUR 84.- - 残留分析:土壌/植物/製品の試験の実費 - 追加費用:旅費、宿泊費、食費の実費
• スラバヤ(Tanjung Perak港)を経由してDenpasarからアジアの仕向け国への20フィ ートコンテナの合計輸送コストは、取扱費用、パッケージングおよび輸出ドキュメン トを含めておよそUS$ 800 – US$ 1,000である。
競争力
• インドネシアの小自作農コーヒーの平均生産性は、ヘクタール当たり 0.600 から 0.750 トン で、これはベトナムにおける平均生産性ヘクタール当たり1.5トンから1.6トンよりはるかに 低いと考えられる。インドネシアの Robusta の品質も、地方分散化の後、地方自治体の拡大 策の欠如により低下している。バリ島のコーヒープランテーションは大部分が小自作農によ って運営され(94.14%)、ほんの狭い面積が私企業によって運営されている。
表 6.2:インドネシアとバリ島のコーヒープランテーション面積2001 – 2004 小自作農
(ha)
私有地 (ha)
合計面積 (ha)
パーセンテージ 年度 (%)
インドネ
シア バリ島 インドネ シア
バ リ 島
インドネ
シア バリ島 インドネ
シア バリ島 1999 1,655,050 39,850 72,200 90 1,127,250 39,950 - - 2000 1,191,180 40,310 69,500 90 1,260,680 40,400 0.118 0.011 2001 1,245,150 42,000 68,200 90 1,313,350 42,000 0.042 0.040 2002 1,318,100 36,710 54,000 90 1,372,200 36,800 0.045 -0.124 2003 1,327,700 36,275 54,000 75 1,381,700 36,350 0.007 -0.012 2004 1,338,600 36,230 53,500 70 1,392,100 36,300 0.008 -0.001 出典:BPS Bali 2004、インドネシアの作物統計 2001-2003、DG Bina Produksi
農業統計 2004、農業省。MCIによる編集 2004
• Kintamani の組織的管理のもとに、集中的な技術支援と拡大策を通じてアラビカコーヒーの生
産性と産物の品質を高めることができる。バリ島のコーヒーは下記の理由で、多くの先進国
(米国、ドイツと他のヨーロッパ、日本)においてその販売価格を回復するだろう:
- バリ島の世界的な販売イメージ
- Kintamaniのオリジナルコーヒーとしてバリコーヒーは特許権を有する - バリコーヒーは有機栽培管理で生産される
表 6.3 インドネシアとバリ島のコーヒー生産 (1999 – 2004) インドネシア
(トン)
バリ島 (トン)
平均生産性 (トン/Ha) 年度
Robusta Arabica Robusta Arabica Robusta Arabica 1999 504,067 27,620 16,420 4,860 0.637 0.455 2000 531,148 23,426 17,213 3,768 0.625 0.545 2001 546,163 23,071 13,881 5,824 0.570 0.560 2002 656,903 25,116 15,584 3,768 0.660 0.540 2003 658,850 27,452 16,331 4,412 0.680 0.525 2004 751,532 33,768 15,386 3,696 0.690 0.596 出典:2004年インドネシア作物栽培地統計から2005年 MCI編集、Bali BPSデータ2004
表 6.4:インドネシアにおけるコーヒーの生産、輸出、消費 (2000 – 2004)
生産 輸出
年度
伸び率 伸び率
消費
2000 554,574 - 337,300 - 217,274
2001 569,234 0.026 249,500 -0.260 319,734
2002 682,019 0.198 325,100 0.303 356,919
2003 686,302 0.006 324,300 -0.002 362,002
2004 785,300 0.144 360,350 0.111 424,950
出典:BPS Bali 2004と国際コーヒー機関 2005からMCI編集(2005)
市場機会
• 西ヨーロッパのコーヒー消費量は一定のままだが、この 4 年間に東ヨーロッパでは年間平均 3%へと大きく伸びた。同じような成長が日本(3.1%)と北米(2.7%)で見られる。インドネシア の合計生産高のうち 45–60%のみが輸出され、残りは消費に使われる。コーヒー生産の全体 的な品質低下により、輸出向けの60%(2000年度)は2004年に45%に減少した。
表 6.5:ヨーロッパ、米国、日本、インドネシアの年間1人当たり消費量(Kg/1人当たり/年) 国 年度
2001 2002 2003 2004
ユーロ 5.01 5.05 5.05 5.17
米国 4.09 3.95 4.25 4.26
日本 3.27 3.24 3.18 3.34
インドネシア 0.50 0.50 0.55 0.55
出典:コーヒー市場レポート、国際コーヒー機関、2005年11月
新たな平均的消費国は中国で、多くの若者はお茶よりコーヒーをたくさん飲んでいる。アラ ビカの世界市場はICO記載のように年間4.5%ずつ成長し続けている。
• 有機食品の世界的なターゲット市場は、教育を受けた大多数の中流クラスで 1 人当たりの収 入が増えている先進国である。有機産物の消費量は昨年 2004 年価格で10-20%伸びた。有機 産物の値段は非有機産物より高いが、消費者は地球資源の持続的可能性に貢献することにな る。
• アラビカコーヒーの世界的価格は依然として高値であるが、Robusta はベトナムの過剰供給 により低下している。アラビカコーヒーを巡るインドネシアの競争相手国はコロンビア、イ ンド、中央アメリカ、ブラジル、パプアニューギニアである。
図 6.1: Robustaとアラビカの世界価格 (ポンド当たり米国セント)
Colombian Milds (Arabica), 109 Colombian Milds
(Arabica), 197
Other Milds (Arabica), 107.74 Other Milds (Arabica),
189.06
Robusta, 51.45 Robusta, 78.75
0 50 100 150 200 250
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005*
米国セント
6.2.2. 有機野菜
背景
• 有機農業は、食品を生産するために生物多様性と土壌のバイオリズムを高める環境保全生産 管理システムである。合成物質や化学品を土壌に投入することを避け、土壌とその生物資源 を持続可能に保全するために自然のプロセスに従う。
• 先進国では、ますます多くの人々が健康意識を高め、地球保全に努め、有機食品産物に対す る需要が大きく伸びている。
• 有機農業管理のために地球保全に尽くしている Subak は、それに対処する公的機関として最 も有用である。Subak は現地の知恵と信用を通じて食糧作物生産における持続可能な農業を 数世代にわたって実践している。
• 先進国の需要は有機食品や有機産物に対してますます伸びているが、開発途上国の供給は国 際証明書によって阻まれている(即ち、米国の NOS、日本の JAS)。BIOcert は現地の有機 証明書を発行するインドネシアNGOの証明である。
提案所在地とビジネスモデル
• Kabupaten Tabanan (Bedugul, Baturiti)およびBangli (Pandokan)は肥沃な火山灰土であり、気 候が適しており、適切な場所として提案される。約 10ヘクタールの土地が苗床と梱包設備に 必要である。
• 土地への初期大型投資を避けるために、適切なビジネスモデルは Subak が組織する土地所有 者である現地農民との協力である。現地の農民は有機管理手順に従って耕地を耕し、その産 物を合意した価格で投資家に販売する。投資家は製品の品質が受け入れられるように農民に 苗と技術支援および講習を提供する。
• 投資家は最終製品をさまざまにパッケージングする:新鮮冷凍、乾燥および真空容器。投資 家は証明書の承認を手配する必要があるが、消費国にとってより大きな利点となる。
• 競争力のあるバリ島有機野菜の産物は、ブロッコリ、サヤインゲン、ホウレンソウ、人参、
トマト、パプリカなどで、オーストラリア、シンガポールで需要が高い。日本の消費者に特 に望まれる他の有機野菜は、日本ホウレンソウ、小蕪、小松菜、南瓜、胡瓜などである。
• 有機コーヒープランテーションへの投資の主なコスト要因
No コスト要因 明細
I 基本投資
1 土地のコスト 苗床とオフィスビルの設置に要する土地の価格は 平方メートル当たりRp 30,000 – Rp.70,000であ る。