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2.5.4 有効性の概括評価

2.5.4.1 有効性

本項では、各試験の試験デザイン、被験者の内訳及び有効性結果の要約をそれぞれ記載する。

2.5.4.1.1 試験デザイン及び被験者の内訳の概略

2.5.4.1.1.1 国内臨床試験

2.5.4.1.1.1.1 第Ⅲ相試験(029試験)

本試験は、日本人健康乳児を対象にV260を3回経口接種した場合の有効性及び安全性を評価す るための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、並行群間比較試験である。主要目的

はV260を3回接種した際の、G1、G2、G3、G4又はP1A[8]を含むG型(G9など)に起因したロタ

ウイルス胃腸炎(重症度を問わない)に対する3回接種後14日目以降のワクチン予防効果を評価す ることである。生後6~12週の健康乳児に対して、V260又はプラセボを初回接種し、その後28~

70日の間隔をあけ、生後32週までに合計3回の接種を行った。

有効性の主要評価項目は、治験薬3回接種後14日目以降に発症したG1、G2、G3、G4又はP1A[8]

を含むG型(G9など)に起因したロタウイルス胃腸炎(重症度を問わない)の発症率とした。

試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

本試験では、無作為化された被験者762例中761例(V260群:380例、プラセボ群:381例)が1 回以上の治験薬の接種を受けた。

2.5.4.1.1.2 外国臨床試験

2.5.4.1.1.2.1 第Ⅱ相試験(005試験)

本試験は、外国の健康乳児を対象に、ヒト-ウシ再集合体ロタウイルスワクチンの再集合体組成 の選定及びワクチン予防効果が保証できる力価範囲を検討する目的で実施した無作為化、二重盲 検、プラセボ対照、単施設、群間比較試験である。被験者は、ワクチン力価と再集合体組成が異 なる以下の6群のいずれかに無作為に割り付けられた。

・ 第1群(高力価):力価が5×106 PFU/再集合体/用量の5価(G1、G2、G3、G4及びP1血 清型)ワクチンを接種。

・ 第2群(中間力価):力価が1.6×106 PFU/再集合体/用量の5価(G1、G2、G3、G4及びP1 血清型)ワクチンを接種。

・ 第3群(低力価):力価が5×105 PFU/再集合体/用量の5価(G1、G2、G3、G4及びP1血

2.5 臨床に関する概括評価 - 36 - 清型)ワクチンを接種。

・ 第4群(4価ワクチン群):力価が5×106 PFU/再集合体/用量の4価(G1、G2、G3及びG4 血清型)ワクチンを接種。

・ 第5群(1価ワクチン群):力価が5×106 PFU/用量の1価(P1)ワクチンを接種。

・ 第6群(プラセボ群):プラセボを接種。

試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

本試験では、無作為化された被験者1,946例全例が1回以上の治験薬の接種を受けた。各群の例

数は、5価ワクチンの第1群(高力価群):375例、第2群(中間力価群):328例、第3群(低力価群):

324例、第4群(4価ワクチン群):270例、第5群(1価ワクチン群):327例及び第6群(プラセボ群):

322例であった。

2.5.4.1.1.2.2 第Ⅲ相試験[006試験(REST)]

本試験は、外国の健康乳児を対象にV260を3回経口接種したときの有効性、免疫原性及び安全 性を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、国際共同試験である。主 要目的は出荷時力価(67.2×106~124×106 感染単位/用量)の V260を3回経口接種した際の、3 回接種後14日目以降のG1、G2、G3又はG4血清型に起因したロタウイルス胃腸炎に対する、ワク チン予防効果を評価することであった。生後6~12週に出荷時力価のV260又はプラセボを初回接 種し、その後28~70日の間隔をあけ、生後32週までに合計3回の接種を行った。

また本試験では、腸重積症に関する安全性の評価も主要な目的としたため、以下の5つのコホー トを含む大規模な試験とした。

1) 安全性コホート(無作為化された被験者数:69,837例)

本コホートは、他の4つのコホート(詳細な安全性コホート、台湾コホート、有効性コホート及 び米国での併用コホート)を含んでおり、[006試験(REST)]に組み入れられたすべての被験者 を対象とした。

評価項目は、腸重積症、すべての重篤な有害事象、ロタウイルス胃腸炎による医療機関の利用

(入院又は救急外来受診)とした。

2) 詳細な安全性コホート(無作為化された被験者数:9,647例)

本コホートは、上記安全性コホート中の部分集団であり、他の3つのコホート(台湾コホート、

有効性コホート及び米国での併用コホート)を含んでいる。

安全性コホートの評価項目に加え、非重篤な有害事象も評価した。

3) 台湾コホート(無作為化された被験者数:189例)

2.5 臨床に関する概括評価 - 37 -

本コホートは、詳細な安全性コホートの部分集団で、台湾の施設で実施された試験である。詳 細な安全性コホートの評価項目に加え、免疫原性も評価した。

4) 有効性コホート(無作為化された被験者数:5,686例):

本コホートは、詳細な安全性コホートの部分集団で、詳細な安全性コホートの評価項目に加え、

有効性も評価した。また、一部の症例で免疫原性についても評価した。

5) 米国での併用コホート(無作為化された被験者数:1,358例):

本コホートは、有効性コホートの部分集団で、事前に既定した米国における既承認小児用ワク チンと併用接種(同日)した被験者を対象に、米国の施設で実施された試験である。有効性コホ ートの評価項目に加え、免疫原性も評価した。

本試験の試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

本試験では、無作為化された被験者69,837例中69,696例(V260群:34,873例、プラセボ群:34,823 例)が1回以上の治験薬の接種を受けた。

フィンランドにおける追跡調査延長試験(FES):

フィンランドでは、20,736例の被験者が20 年 月 日から20 年 月 日にかけて、006試験

(REST)の安全性コホートに組み入れられた。さらに、フィンランドでは生後2年目にロタウイ ルス胃腸炎の罹患率が大きく増加するため、追跡調査期間を20 年のロタウイルス感染シーズン 終了時(20 年 月 日)まで延長した。

本延長試験には、20,736例中20,513例の安全性コホートの被験者が参加した。

2.5.4.1.1.2.3 第Ⅲ相試験(007試験)

本試験は、外国の健康乳児を対象にV260を3回経口接種した場合の有効性、免疫原性及び安全 性を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、群間比較試験である。主 要目的は使用期限を設定した力価(約1.1×107感染単位/用量)のV260を3回経口接種した際の、

3回接種後14日目以降のG1、G2、G3又はG4血清型に起因したロタウイルス胃腸炎に対するワク

チン予防効果を評価することであった。生後6~12週にV260又はプラセボを初回接種し、その後 28~70日の間隔をあけ、生後32週までに合計3回の接種を行った。

試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

無作為化された被験者1,312例中1,310例(V260群:650例、プラセボ群:660例)が1回以上の治 験薬の接種を受けた。

2.5 臨床に関する概括評価 - 38 - 2.5.4.1.1.2.4 第Ⅲ相試験(009試験)

本試験はV260の製造ロットの一貫性を確認するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多

施設共同試験である。主要目的は、V260の実生産ロット(3ロット)について、3回接種後のG1、

G2、G3、G4及びP1血清型に対する血清中和抗体の GMT を用いて抗体反応の一貫性を確認する

ことであった。

外国の健康乳児を対象にV260(ロット1)群、V260(ロット2)群、V260(ロット3)群又はプ ラセボ群のいずれか無作為に割り付けた。治験薬は、計3回経口接種し、各接種の間には28~70 日の間隔をあけた。

血清検体は、各被験者から、治験薬3回接種後約42日目に1度だけ採取した。また、事前に規定 した実施医療機関の約140例(各ワクチンロット1~3群:各40例、プラセボ群:20例)の被験者で は、初回接種前の血清検体も採取し、G1、G2、G3、G4及びP1血清型に対する血清中和抗体を測 定した。

試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

本試験では、無作為化された被験者793例(ロット1群:226例、ロット2群:225例、ロット3群:

229例、プラセボ群:113例)が1回以上の治験薬の接種を受けた。

2.5.4.1.1.2.5 第Ⅴ相試験(014試験)

本試験は、V260と OPV の同時又は交互接種時の安全性及び免疫原性を評価する無作為化、非 盲検、多施設共同試験である。外国の健康乳児に対してV260及びOPVを同時又は交互接種した。

有効性の主要目的は、V260と同時接種した場合のOPVの免疫原性、及びOPVと同時接種した場

合のV260の免疫原性を評価することであった。

第1群の被験者(同時接種群)は、V260及びOPVを56~84日(8~12週)の間隔で、計3回同時 に経口接種した。第2群の被験者(交互接種群)は、最初に V260を接種し、V260接種から次の OPV 接種までは14~28日(2~4週)の間隔をあけ、OPV 接種から次の V260接種までは42日(6 週)以上の間隔をあけて各3回経口接種した。また、各V260接種の間隔は56~84日(8~12週)と 規定した。

試験デザイン及び被験者の内訳の詳細は[2.7.3E.1項]及び[2.7.3E.3項]に示した。

本試験では、無作為化された被験者全例735例(同時接種群:372例、交互接種群:363例)が1 回以上の治験薬の接種を受けた。

2.5 臨床に関する概括評価 - 39 -

2.5.4.1.2 有効性の結果の要約

本項では、外国で実施した第Ⅱ相試験及び国内外で実施した第Ⅲ相試験の有効性の要約を示し た。

2.5.4.1.2.1 第Ⅱ相試験における結果の要約

外国で実施した第Ⅱ相試験のうち、Proof-of-concept試験であった002試験では、4価(G1、G2、

G3及びP1血清型)ヒト-ウシ再集合体ロタウイルスワクチンが、重症度及び血清型に関係なくロ

タウイルス胃腸炎に対して74.6%(95%信頼区間:49.5%, 88.3%)のワクチン予防効果を示した。

特に、重度のロタウイルス胃腸炎に対しては100%(95%信頼区間:43.5%, 100%)のワクチン予 防効果を示した。[資料5.4: 11]

さらに、5価(G1、G2、G3、G4及びP1血清型)、4価(G1、G2、G3及びG4血清型)及び1価(P1 血清型)のヒト-ウシ再集合体ロタウイルスワクチンを用いた力価範囲設定試験(005試験)を実 施した。その結果、5価ヒト-ウシ再集合体ロタウイルスワクチンのワクチン予防効果は、第1群(高 力価)が68.0%(95%信頼区間:31.1%, 86.4%)、第2群(中間力価)が74.3%(95%信頼区間:37.9%, 91.0%)、第3群(低力価)が57.6%(95%信頼区間:11.8%, 80.9%)であった。これら3つの力価で は統計学的な差はなかった。また、第4群(4価ワクチン)は74.0%(95%信頼区間:40.3%, 90.3%)

であった。

重度のロタウイルス胃腸炎に対するワクチン予防効果は、第1~4群で100%、第5群[1価(P1)

ワクチン]で88.1%であった。第5群では、G1、G2、G3又はG4血清型に起因したロタウイルス胃 腸炎(重症度を問わない)に対する有意なワクチン予防効果は認められなかったものの、中等度

~重度のロタウイルス胃腸炎に対しては、有意なワクチン予防効果が確認された。[資料5.3.5.1:

P005]

以上の結果を参考に、外国における第Ⅲ相試験で使用するヒト-ウシ再集合体ワクチンは、5価

(G1、G2、G3、G4及びP1血清型)再集合体組成を選択することとした。また、使用期限を設定 した力価は中間力価(1.6×106 PFU/再集合体/用量)を参考に設定することとした。なお、こ れらの試験で用いたヒト-ウシ再集合体ワクチンの製剤処方(緩衝液非含有/緩衝液含有)、製造 工程(研究用スケール/製品化スケール)及び力価アッセイ法(プラックアッセイ/M-QPA)は 第Ⅲ相試験以降で使用したものと異なったが、第Ⅱ相試験と第Ⅲ相試験の有効性は類似していた。

2.5.4.1.2.2 第Ⅲ相試験における結果の要約

国内第Ⅲ相試験(029試験)では、外国でのV260の市販製剤を用いて、日本人乳児における有 効性を評価した。また、外国臨床試験[006試験(REST)及び007試験]では、出荷時力価の範囲 と使用期限を設定する力価での有効性をそれぞれ評価した。

本項では、国内第Ⅲ相試験(029試験)及び外国第Ⅲ相試験[006試験(REST)及び007試験]

の有効性の成績を要約する。有効性の結果は、以下の評価項目ごとに試験別にまとめた。

1)重症度別の有効性 2) 血清型別の有効性

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